やはり材木座が書くラノベは間違っている   作:ターナ

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第19話

「今度は初めてオリキャラを出してみたのだ」

「中二、オリキャラってなに?」

「オリジナルキャラクターだ。我が考えた登場人物ということだな」

「..ふーん、じゃあ私たちは出てないんだ」

「まあ、少し出てくるだけだな。今回はオリキャラなので、先に読んでもらう必要はないと思うぞ」

「でも私たちも出てくるのでしょ、念のため読んだ方がいいと思うのだけれど」

「では、由比ヶ浜殿、生徒会長殿お願いできるか」

「私では駄目なのかしら?」

「奉仕部への依頼がある設定で、どうしても雪ノ下殿は会話が多くなってしまうので」

「そういうことね、では二人お願いするわ」

 

由比ヶ浜さんと一色さんは読み終わった後、少し話をしているようだわ。何かまずい内容でも有ったのかしら。

 

コッチハ アトデ チュウニ

ソウデスネ

 

「多分大丈夫と思うんだけど」

「雪ノ下先輩が先輩に毒を吐くのは何時ものことですよね」

「私は毒を吐いているわけではないわ、的確な指摘と言って貰えないかしら」

「じゃあ、問題ないですよね。木材先輩、ラノベを配ってください」

 

**************************

(ここから材木座の小説)

 

彼女の名前は綾瀬 綾(あやせ あや)。なぜか最近懐かれていて、今も俺に腕を絡めてベストプレイスに座ってラノベの話をしている。

それは俺たちが3年生に上がって少したったころ、ベストプレイスで彼女が先にご飯を食べていた時から始まった。

 

昼休み購買でパンを買い、ベストプレイスに向かうと女子生徒が弁当を食べていた。げ、これだと戸塚を愛でれないじゃないか。彼女は黒髪を肩ぐらいまで伸ばしたセミロング、横顔しか見れないが顔は整っており、かなり可愛いんじゃないか。でも虚ろな目をしどこか彼方をみていた。

他の場所に移るしかないな。そう思っていたら向こうもこちらに気づき、目が合ってしまった。やべ、凄い可愛い。雪乃や結衣、いろはにも負けてないんじゃないか。

その女子生徒は俺と目が合うと怯えた顔をし、俯いてしまった。何、そんなに俺が怖いの?目が駄目なの?ちょっとショックなんだけれど。ただ、彼女からは俺に怯えているだけではなく、どこか諦めてしまった雰囲気が漂っていた。

何かこのまま放っておくのも気分が悪いので、俺は話しかけていた。

 

「すまん、何時もここで昼飯を食べているんでな。こっち座ってもいいか」

「あ、はい。どうぞ」

「....」

 

俺はベストプレイスの端に腰掛けたが、お互い無言で昼飯を食べていた。彼女は最初怯えていたが、俺は戸塚を愛でていたため、彼女を意識せずにいたことで、警戒心が解けたのか、ご飯を食べ終えたあとラノベを読み出していた。

 

「それ、禁書目録(インデックス)か?」

「あ、はい」

「ああ、悪い。俺は3年比企谷八幡だ」

「わ、私は1年の綾瀬 綾(あやせ あや)です」

「悪いな、読書中。ラノベ好きなのか」

「はい。比企谷先輩もラノベ読むんですか」

「ああ、結構読むな」

「そうなんですね」

「....」

 

綾瀬もぼっちなのか、お互い会話が続かない。まあ、俺は黙っている方が気が楽なんでいいんだけど。そんなこと考えていると、予鈴がなったため俺はゴミを片付け立ち上がった。

 

「あ、あの比企谷先輩。明日もここに来ていいですか」

「俺の場所じゃないからな、良いんじゃないか」

「はい、では明日も一緒にお願いします」

 

え、それって明日も来いってこと?まあ最初、綾瀬のこと気になって話しかけたのは俺からだしな、明日も来るか。

 

「ああ、じゃあな」

 

そう言って俺は、教室に戻った。

 

次の日、購買に行きパンを買った後、ベストプレイスに向かうか迷ったが、約束も有るので、俺はベストプライスに向かった。綾瀬は先に来ていたが、弁当を食べずに俺を待っていたらしい。

 

「比企谷先輩、こんにちは」

「ああ」

「来てくれて嬉しいです」

「いや、昼飯を食べに来ただけだから」

「..それでもです」

「では、いただきます」

「ああ」

 

お互い無言でご飯を食べ、そのまま俺はマッ缶を飲みながら戸塚を目で追っていた。

 

「....比企谷先輩、私を嫌ってますか」

「は?いきなり何言っているの?」

「ごめんなさい、変な事聞いて」

「俺は綾瀬の事よく知らないし、嫌うも何もないだろ」

「..普通、そうですよね」

「..まあ、人間なんてそいつの事知らなくても、第一印象で決めつけるからな。俺もそうだろうけど」

「でも、比企谷先輩は私にはそう言う態度、見せないですよね」

「嫌うも何もそう言う印象持ってないからな...綾瀬、なにか悩みがあるのか?」

「...はい」

 

その時、予鈴がなったため、話は打ち切られてしまった。

 

「綾瀬、もし悩みがあるなら放課後、奉仕部に来い。平塚先生に聞けば場所はわかるから」

 

そういうと俺は教室に向かった。綾瀬からは何も返事はなかったが、これでいいのだろう。綾瀬が自分で現状をどうにかしたいと考えなければ、何も変わらないのだから。

 

放課後、いろはと新たに奉仕部入りした小町を交えた5人が集まり、部室でラノベを読んで寛いでいると、ノックをする音が聞こえた。

雪乃が「どうぞ」と返事をすると綾瀬が入ってきた。

 

「お、お邪魔します。1年の綾瀬綾といいます」

 

綾瀬が入ってきて挨拶をした後、俺たちもそれぞれ挨拶をした。

 

「綾瀬さん。1年生がよく奉仕部を知っていたわね」

「比企谷先輩に教えてもらって平塚先生に聞いてきました」

「綾瀬さん。あなた八幡の事知っているの?何かされなかった?脅迫されていない?」

「まて雪乃。俺がなんで脅迫しないといけないんだ」

「彼女、可愛いでしょ。フラグメーカーの貴方であれば、手を出している可能性が大きいもの」

「比企谷先輩はそんなことしません!!ただお昼一緒に食べてもらっているだけです。なんでそんなこと言うんですか、雪ノ下先輩、ひどいです!!」

「あ、綾瀬さんごめんなさい。確かにそうね、私が悪かったわ。八幡とは何時も軽口を言い合っているのよ」

「でも親しき中にも礼儀ありっていうじゃないですか!!」

「いや綾瀬良いんだ。何時もこうやって軽口を言い合って、俺も好きで楽しんでいるしな」

「でも、でも」ウゥ

「俺の為に怒ってくれてありがとうな、綾瀬」ナデナデ

 

頭を撫でると、綾瀬は俺の胸で泣き出してしまったため、俺は頭を撫で続けた。途中綾瀬は顔が赤くなっていたが、どうしたんだ?熱でも出たのか。俺が手をおでこに当てると、より赤くなっているように見えたが大丈夫なのか。

 

「だ、大丈夫です。比企谷先輩」

「ああ、熱があるなら言ってくれよ」

「雪ノ下先輩、すみませんでした。生意気なことを言ってしまって」

「いいえ、綾瀬さん。私の方こそ配慮が足りなかったわ、ごめんなさい」

「いえ、雪ノ下先輩が言っていたこと、いま身を持って実感しましたから」

「俺にもその配慮を少しでも分けてくれれば良いのに」

「ヒッキー、何時もゆきのんとの会話、楽しんでいるじゃん」

「..はぁ、でも先輩って本当に無意識なんですね」

「お兄ちゃんですからね」

「それで綾瀬さん。今日はどのような依頼なのかしら」

「はい・・・・」

 

綾瀬の話では入学式前に病気に掛かり、学校が始まっても一週間程欠席していたので、回りはすでにグループが出来ていた。勇気を出して自分から話しかけても、どこにも入れてもらえなかったらしい。虐めまでは行っていないが、無視されているということだった。

 

「でも綾瀬さん。貴女と話していても嫌われる要素はないと思うのだけれど」

「そうですよね、顔も可愛いしトップカーストに居ても良いぐらいですよね」

「うん、綾ちんのなにが駄目なんだろうね」

「由比ヶ浜先輩、綾ちんって私ですか」

「うん、かわいいでしょ」

「小町はE組だけど綾瀬さんってクラスは何組?」

「A組だよ」

「うーん、じゃあ違うか」

「どうしたんだ、小町。何か知っているのか」

「多分関係ないんだけどね、C組にいる女王が自分のグループに可愛い子を入れて、入らない子は排除しているって聞いてね」

「なんだ、その女王って」

「容姿はまあ可愛い方なんだけど凄いわがままなの。家も金持ちらしくて、みんなに色々おごってくれるらしいけどね。小町にもグループに入れって言ってきたけど、断ったんだ。その子名前は愛甲愛(あいこう あい)だったかな」

「え、愛甲さんだったら私知ってます。一緒の中学校でしたから。確かに彼女は中学の時からグループの友達を増やすことを考えていて、私も誘われたことがあります。ただ私はラノベを読むのが好きで、そういう子達と集まっていましたから断りましたけど」

「疑うのは悪い事だけれど、もしかしたらその愛甲さんが関係あるかも知れないわね」

「ああ、そうだな。裏で手を引いている可能性があるな」

「でもどうして違うクラスの私を?」

「あくまでも憶測だが、中学のとき断られたのを根に持っているのかもな。高校でトップカーストになりたいが、綾瀬は入らないのが分かっている。綾瀬の可愛さはトップクラスだろ、そんな綾瀬がグループを作り出したら自分のグループがトップから転落するかもしれない。今から2年、3年になったときの地盤作りってところか」

「か、可愛さはトップクラス....//」

「でも小町はどうなんだ?お前の回りも上位カーストだろ?」

「小町たちも集まっている子はいるけど、そんなカーストとか気にしてないよ」

「でも決め付けて行動するのはまだ早計ね。まずは1年生に聞き取りする必要があるわ。小町さん、私たちでは1年生の事は分からないので、お願いしていいかしら」

「はい、小町がちょちょいって情報収集してきますよ」

 

小町の情報では予想通り、愛甲が裏で手を引いているのが分かった。俺たちはA組内のトップカーストに話を聞きにいき、綾瀬と仲良くしたかったが、愛甲が怖かったと聞いたため、綾瀬を入れてもらうようお願いしようとしたところ、逆に今までの事を謝罪され、綾瀬は受け入れてもらえた。

また、C組の排除されていた女子たちも綾瀬のグループと小町のグループが手を差し伸べた。綾瀬、小町のグループは葉山グループの結衣、生徒会長のいろはと仲よくなったため、手出しもされず、仲良く過ごしているらしい。

 

「比企谷先輩!!」

「ああ綾瀬か、どうしたんだ。俺、今から奉仕部に行くんだけど」

「私も今回のお礼でお邪魔させていただきます」

「お礼なんて良いぞ、依頼をこなしただけだし」

「いいえ、私がお礼を言いたいんです、それと....」

「?そうか、まあ良いんじゃないの」

 

「今回は本当に有難うございました」

「いいえ、綾瀬さん。私たちはほとんど何もやっていないわ。今日はまだ来ていないのだけれど、今回は小町さんが色々やってくれたので、彼女に伝えて貰えるかしら」

「はい、でも先輩達も私の話を聞いてもらって親身に相談にのってもらいました。それだけでも私にとっては気持ちが楽になりました」

「ありがとう、綾瀬さん。そういって貰えるとこちらも嬉しいわ」

「うん、綾ちん。これからも何か有ったら幾らでも相談してね」

「私も手伝うからこれからもよろしくね」

 

「...後、先輩達に助けてもらってこんなこと言うのは失礼かも知れませんが....今は先輩達に勝てるとは思っていません。..でも、私は比企谷先輩が好きです。だからこれからは覚悟しておいてください。と、綾瀬は先輩達に戦線布告します」

 

いきなり綾瀬は御坂妹の真似をし雪乃達に言い放つと、俺の横に移動して頬にキスしてきた。

 

「な、なにするんだ!?綾瀬!!」

「何やっているんだし!!ヒッキー!!」

「..八幡。部室で不純異性交遊を行うとは何を考えているのかしら」

「せ、先輩。生徒会長として今のは見逃せませんね」

 

綾瀬は何も思っていないのか俺の右腕に抱きついてきて言い放った。

 

「先輩たちには感謝していますが、そんなことばかり言っていると、比企谷先輩を貰っちゃいますから」

 

綾瀬は出会ってから一番の笑顔をみせ、俺に微笑んでいた。

 

(ここまで材木座の小説)

**************************

 

「....」

「ま、まあ、面白ろかったんじゃないですかね」

「..うん、そうだね」

「材木座君、禁書目録(インデックス)と言うのはラノベの事なのね?最初分からなかったわ」

「人気のあるラノベなので、出させてもらいました」

「材木座、御坂妹の真似しているところ、俺は分かるが3人とも知らないぞ。他のラノベの設定を出すのであれば、説明を入れたほうが良いんじゃないか」

「どうやって途中に説明を入れるのだ?」

「例えば俺との会話中、禁書目録(インデックス)の好きなところを話していて御坂妹をだすとかだな」

「うむ、そうやってラノベの中に出せばいいのだな」

「あと、告白?宣言?なのかもしれないが、ラノベの真似でやるのはどうかと思うぞ」

「そうね、自分の言葉で伝えた方がいいわね」

「私は綾ちんについて、もっと説明が欲しいかな。髪の長さしか説明ないし、顔が可愛いと書いてあっても、いまいちピンとこないし」

「そうですね、私たち3人と比べてましたけど、それぞれ違いますしね」

「そうね、容姿について説明を入れた方がいいでしょうね」

「顔については難しくないですか、後は胸の大きさとかですか」

「....八幡、今日は終わりにしましょう」

「うん?もう帰っていいのか」

「ええ、八幡は帰ってもらって結構よ」

「材木座君はちょっと話があるので残ってもらうことになるけれど」

「?ああ、じゃあな」

 

「あ、あのどうして我だけ残されたのですか」

「中二、その前にそこに正座」

 

そういうと由比ヶ浜さんは以前、私と材木座君が正座させられたところを指差したわ。

 

「材木座君、確か最初のラノベの時、私たちの恋愛ものっていう条件だったと思ったのだけれど」

「そうだよね、だから登場人物として出して良いって話だったよね、中二」

「木材先輩、忘れてないですよね。それでどうしてオリキャラをメインで出しているんですかね」

「あと先ほどの容姿について言っていたところも説明してもらえるわよね。貴方にとって女性は顔と胸だけの存在なのかしら?」

「そ、それは....」

 

このあと私たちからの説きょ..指導は1時間以上、最終下校時刻まで行われたわ。

 

 

 


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