「材木座、今日も持ってきたのか」
「左様、昨日読んでもらおうと思っていたのだが、読んで貰え無かったのでまた来たのだ」
そういうと材木座君はラノベをだしてきたのだけれど、私ではなく、由比ヶ浜さん、一色さんに渡してきたわ。
「今回はメインが雪ノ下殿なので由比ヶ浜殿と生徒会長殿に読んでもらって、問題が無ければみんなで読んで欲しいのだ」
材木座君は多分気を使ってくれているのね、私たちがやり方を変えれば一色さんが感づいて、彼女のことだから八幡や材木座君に詰め寄るかもしれない。その気遣いがうれしく感じれるわ。
「じゃあ、由比ヶ浜さん、一色さん。先に読んで貰えるかしら」
「うん、じゃあちょっと待ってね」
彼女達は材木座君のラノベを読んでいるのだけれど、顔がだんだんニヤニヤ?ニコニコしだしたわ。そんなに面白いのかしら。早く読んでみたいわね。
「木材先輩、今回台詞形式なので雪ノ下先輩に音読して貰った方が良くないですか」
「やってもらえるのであれば、お願いしたいのだが」
「ゆきのん、どう?」
「私は読んでいないのよ、判断出来ないわ。でも音読は恥ずかしいわよ」
「先輩もやってくださいよ」
「いやだよ、俺を巻き込むな」
「でも、ここに居る中二意外、全員が出ているんだよ、どうするの?」
「しょうがないわね。では、みんなでやりましょうか」
「ええ、俺も?」
「雪ノ下先輩、最後まで読んでくださいね」
今回初めて私たちが自分の台詞を音読するのね。恥ずかしいけど、ちょっと面白そうなので思わず提案してしまったわ。
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(ここから材木座の小説)
「なあ、ちょっと三人ともいいか?」
「何かしら?比企谷君」
「今度の土曜日、アルバイトしてみるつもりはないか?」
「あなたから誘って来るなんて怪しいわね、いかがわしいアルバイトかしら」
「じゃあ、雪ノ下はいいや」
「え!?比企谷く「由比ヶ浜、一色聞いてくれるか?」...」
「う、うん。どんなアルバイト?」
「母さんが今まで仕事頑張っていたのは、夢だった喫茶店をやりたかった為でな。ようやく今度の土曜日、オープンすることになったんだ。それでオープニングスタッフを募集しているんだが、やってもらえないか」
「えっ!?じゃあ私達、先輩のお母さんのお手伝い出来るんですか!?」
「お手伝いっていうか、アルバイトな。バイト代も出すって言ってたし」
「ヒッキー!!私やりたい!!」
「私もやります!!先輩!!」
「比企が「それでこれが衣装になるんだが」..」
「うわー!!小町ちゃん可愛い!!この服も凄く可愛い!!」
「本当に可愛いですね!!私達もこれ着れるんですか!!」
「あの「ああ、四人分用意してあるしな。あと、こっちが俺の服装な」..」
「ヒッキー!!格好いい!!眼鏡凄い似合っているじゃん!!」
「先輩!!めちゃくちゃカッコいいです!!」
「私にも見せ「小町がノリノリでな、髪型もワックスでセットしてくるし」..」
「うん、いつもこれぐらいやったら良いのに!!」
「先輩!!本当にカッコいいですよ!!今度この格好でデートしてください!!」
「ヒッキー!!私ともデートしようね!!」
「ごめん「しばらく喫茶店のアルバイトで忙しいんだよ」..」
「うぅ、ごめ「眼鏡掛けて親父が持っていたボタンダウンのワイシャツを着ただけなんだがな」..」
「..ヒッキー、そろそろゆきのんの「でも助かるわ、詳しくはライン送るから後で教えて貰えないか」..うん」
「..はい、先輩」
「雪乃が悪かっ「あと一人誘わないといけないんだが誰か居ないか?」..」
「お姉ちゃんに言「ああ、雪ノ下さんか!!あの人ならどんなことでも対応できるだろうからバッチリだな。教えてくれてありがとうな、雪ノ下」...」
「..フフフ、そういう態度をとるのね」
「由比ヶ浜さん、一色さん。今日はこれで部活を終わるわ、帰って良いわよ。比企谷君、あなたは残りなさい。お話があるの」ニコッ
「いや、今日はあれがあれなんで」
「比企谷君、二人でお話しましょう」
「..じゃあ、私達帰るね。ラインはまた明日交換しよ。ゆきのんほどほどにね」
「..先輩、それではまた明日、お願いします」
「ええ、さようなら」
「な、なあ、何で鍵を締めているんだ?」
「邪魔が入ったらイヤだもの」
「お!?おい!?なんで俺の足に跨ってくるんだ!?か、顔が近い!!」
「フフフ、あそこまで馬鹿にされたのは初めてだわ」
「いや、あれはお前が「雪乃」..雪ノ下?「雪乃」..ゆ、雪乃がいかがわしいアルバイトって言い出したんだろ。俺も母親が頑張っているのを見てたんでちょっとムカついたんだ」
「すぐ謝ろうと思ったけれど八幡が言わせてくれなかったもん!!」
「..すぐには許せないだろ、こっちも頭に血が上っているし」
「でもずっと聞いてくれなかったもん!!結衣ちゃん達とずっと楽しそうにお話しして、雪乃を除け者にして」
「..それは見てたら、その可愛いかったから、つい」
「どうしてそんなことしたの?」
「気になる女子にちょっかい掛けたいとか、分かるだろ」
「分かんない!!ちゃんと言って」
「...雪乃のこと、その..す、好きだから」
「でも八幡、結衣ちゃんといろはちゃんにデート誘われてデレデレしてた」
「してないぞ、行くとも言ってないし」
「じゃあ、証明して見せて」
「ど、どうやって」
「八幡からチュウして」
「..ああ、わかった。好きだぞ、雪乃」チュッ
「ふふ、ありがとう。ねえナデナデして」
「これでいいか」ナデナデ
「うん、気持ちいいニャ..」
「雪乃、いまニャって言ったか」
「言ってないもん」
「じゃあ、ナデナデやめていいか」
「駄目!!..駄目ニャンだから」
「可愛いな、雪ニャンは」ナデナデ
「..はぁ、結局最終下校時刻までナデナデさせられた」
「ふふ、は!ち!ま!ん!大好き!!」
(ここまでが材木座の小説)
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うぅ、何で私は最後まで読んだのかしら。途中で投げ出せば良かったのに、つい読んでしまったわ。最近材木座君のラノベに毒されているかも知れないわね。
「雪ニャン、かわいい!!」
「そうですよね、雪ニャン先輩が先輩と二人きりになるとこういう風になるんですかね」
「材木座、どうして雪乃のデレを書いたんだ」
「以前八幡が言っていただろう。雪ノ下殿であれば、ギャップで甘えてくれるのがいいと」
「ああ、確かに言った覚えは有るな」
「雪ノ下殿であれば、こういう風にデレれば男など容易く落とせるだろう」
「..まあ、何か違う気もするが、確かに可愛いな」
「名字呼びも変化をつけるために、わざとさせてもらったのだ」
「でも中二、これ読みにくくない?最初、ゆきにゃんの台詞に全部ヒッキーが被せて喋っているよね。もうちょっと分かり易くできないのかな」
「そうですよね、雪ニャン先輩が自分のこと『雪乃』って言い出した所も子供みたいになったって言うのは判るんですけど、地の文とか入れないと説明不足というか」
「今回は台詞だけでどこまで表現できるか試してみたかったのだ。幼児化とか雪ノ下殿の姉上を『お姉ちゃん』と言わせたかったのでな。ただラノベ本体がかなり短くなってしまったのだが」
「..材木座君、もしかして私に『お姉ちゃん』と言わせたいために書いたのかしら」
「そ、そんなことはないでしゅ」
「そうだよ、雪ニャン。音読しようって言ったの私達だし」
「ゆ、由比ヶ浜さん。その雪ニャンは止めて貰えないかしら」
「ええ、可愛いじゃないですか。雪ニャン先輩!!」
「一色さん、貴女も止めなさい。人の嫌がる事はやっては駄目よ」
「でも先輩から『雪ニャン』って言われたらうれしいですよね」
「..そ、そんなこと無いわよ。大体八幡がそんなこと言うわけないじゃない」
「良いのか、呼んでも....雪ニャン」
「あ、は、八幡は何を言っているのかしら。そ、それは二人きりの時に...」
「..へぇ、二人きりだったらいいんだ、雪ニャン」
「雪ニャン先輩ってツンデレなんですね」
「うぅ、八幡なんとかしてぇ」
「まあ、今日は諦めろ、雪ニャン」
「ゆ、雪ニャン殿のラノベ、デレを多くした方が良いのかもな」
「うぅ、材木座君まで....」
この後部活終了まで雪ニャンと呼ばれ続けたわ。私の黒歴史が新たに刻まれてしまったわね。