バカとオリと召喚獣   作:孤独なバカ

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トラブル

「明久と雄二、それと木下と霧島、もうそろそろ行かなくていいのか?」

「えっ?あ、もうこんな時間。それじゃ行ってくるね。」

「おう。いってら。」

明久を送りつけると俺は苦笑してしまう。

「須川調理班今何人いるか?」

「二人しかいないけど。」

「島田、キッチン入ってくれ姫路はホールでメイドリーダー。佐藤は客寄せに行っている松井と杉野にホール戻るようにしてくれ。」

「えぇ、でも客寄せがいなくなるわよ?」

「もう客寄せはいい。今日限りはもう客は何もしなくても回る。それよりも接客する人が欲しい。」

今の盛況ぶりを見ると今は客寄せよりも接客業に傾けたほうがいいだろう。

「分かったわ。瑞希にもそう伝えておけばいい?」

「佐藤にも伝えておいてくれ。」

とりあえず雄二が抜けたので責任者になったのだがやることは基本は同じ接客と店の管理くらいだし

……ふう。まぁ俺も30分後には試合なんだけどな。

「さてと俺たちも抜けるか。工藤もうそろそろ着替えて行くぞ。」

「うん。でもいいの?」

「大丈夫だろう。一応鉄人が見てくれるらしいし……これで引っかかってくれたらいいんだけどなぁ。」

「西村先生なら大丈夫じゃないかな?」

「だと思うんだけどな。」

なんか嫌な予感がするんだよなぁ

「まぁ、いい。それで常夏コンビなんだけど、あまり腕輪の効果を知られたくないだろ?ここまできたんだったらそのまま腕輪を使わないようにするほうがいいだろ。だからさっさとトドメを刺すぞ。グルネードを開始と同時にはなつから。」

「分かった。その漏らしたのに追撃加えればいいよね。」

「あぁ、威力的には200点くらい減らせるはずだ。」

「相変わらず凄い威力だね。」

「だから初っ端相手の」

とここで一旦口を占める

「どうしたの?」

「……盗聴の気配がする。壁越しに聞いてたな。」

「えっ?」

「多分お客さんに隠れていたんだろうな……厄介な真似しやがって。」

「……なんで気づくの?」

ありえないように見るけど

「康太で察してくれ。」

「ムッツリーニくん何してるの?」

「盗聴及び盗撮。さらに盗撮した写真でカメラを整えたりしてる。」

「……それ犯罪だよね?」

「バレなきゃ大丈夫だろうな。姫路の料理が許されている時点で。」

「……この学校大丈夫かな?面白いけど。」

「それは同感。」

苦笑してしまう。

でも少し気になることがあるんだけど…

「次の試合保健体育だったよな?」

「うん。そうだけど。」

それなら俺らに妨害してこないっていうのがおかしいよな?

保健体育はほとんど俺と工藤の領域だ

康太以外ならほとんど俺たちにかなう奴はいない

工藤は点数を一度さらしているし、二人掛かりなら工藤に勝てると思ってるだろうか?

ということはもしかして俺の点数が露見してないんじゃないのか?

そうすると点数が把握できる

300点以上だな。

「…工藤、やっぱり腕輪使うわ。一年のブランクの差って結構激しいし。」

「えっと。何で?」

「多分お前の保体の点数は知っていると思うんだよ。保体だったら学年3位だろ?」

「……」

凄く悔しそうだな。

「でも、相手も学年でトップ10に入るほどの秀才なんだ。理数系では主席の高城先輩についで2位と3位を張っている……もしかしたらの為に使っておいた方が確実に決勝に進めるだろ?」

「トップ10に入るってもしかして。」

「三年も同じように上位10人の点数がかなり高いらしい。これは二学年と同じだ。そのうちの二人と戦うわけだから…」

「そうだね。ここは切り札切った方がいいかも。」

「ここだな。使いどきは。」

「そうだね。とりあえず着替えてきていいかな?」

「おう。俺も着替えてくるから。集合場所どうする?」

「教室でいいんじゃないかな?」

「了解。じゃあまた後でな。」

「うん。」

すると女子更衣室の方に向かって行く工藤

それが失敗だったと分かるのが少し後のことだった。

 

着替え終わって工藤を待っていると

「お主どうしたのじゃ?」

秀吉と康太がやってくる。

「俺は工藤待ちだよ。雄二達の試合は終わったのか?って何で観戦に行っただけでそんなボロボロになるんだよ?」

「……雄二の作戦が失敗した。」

すると納得してしまう。

「なるほどそっち木下に化けるのが失敗したんだな。」

「……」

康太が一度頷く。

「でも、遅いな。工藤。もう10分待ってるのにこないんだよあいつ。」

「……?」

「そういえばもうそろそろ行かないとまずいと思うのじゃが。」

俺も頷く。もう試合15分前だから行かないといけないんだけど…

「……なんか嫌な予感がする。」

康太が少し嫌なことを言ってくる。

「……なぁ、雄二は?」

「霧島が薬を盛ったから明久が今吐かせておる。」

「霧島と木下は?」

「今は女子更衣室で着替えに」

「……」

俺たちはもう分かってしまった。

「康太場所を特定してくれ。俺の携帯を貸す。秀吉は鉄人に事情を話して女子更衣室の確認。俺は雄二と明久を連絡してくる。」

「「了解(分かったのじゃ)」」

「……ちっ!さっきのは盗聴じゃなく監視して攫うためかよ。」

俺は全力で走る。

やばいやられた。確かに女子更衣室は基本男子は入ってこれず人目もつきにくい。

攫うには絶好の場所じゃないか。

俺は会場近くのトイレ周辺を探すと

「明久、今日という今日はお前をコロス。」

「あはは。やだなぁ雄二。目が怖いよ。」

「おい。明久。雄二。」

俺は大声で叫ぶ。すると二人とも気づいたらしくこっちを見てくる

「どうしたの?楽そんなに慌てて。」

「工藤が行方不明なんだよ。もしかしたらやられたかもしれない。」

「……それ本当か?」

「女子更衣室で着替えてる最中にやられたかもしれない。」

「大沢。」

すると鉄人が走ってくる。

「どうでした?」

「ダメだ。先生方に頼んだが見つからない。」

「……やっぱり召喚大会で俺と雄二と明久達を優勝させないようにしてるな。」

「……霧島と木下も攫われている。」

「なっ?」

すると康太がやってくる。

「俺のカメラに映っていたのか?」

すると頷く。なるほどな

「攫われたのは霧島と木下、工藤の三人か。西村先生携帯電話の使用許可を。まぁもう使ってますけど」

「あぁ。許可する。」

俺の携帯は親の仕事の関係上学校内の様子を見渡すことができるようになっている。

「…康太居場所特定できるか?」

「……」

すると一度頷く。こういった時の康太はすごく頼りになる。そして数分後

「……分かった。」

「どこだ?」

「ここから近くのカラオケ。」

ってことは走ったら5分もかからないか

「……雄二、行くか。」

「あぁ。」

ぎらりと獲物を狩る狼みたいな目になっている。

「きっちり落とし前つけないとな。西村先生すみませんが俺たちは棄権ってことにしてください。」

「……分かった。」

すると今回の一件は見逃してくれるのか補講については何も言われない。

「んじゃ。さっさと片付けるぞ。」

「あぁ。絶対ゆるさねぇ。」

「僕も行くよ。秀吉のお姉さんも助けないとね。」

「……俺も行く。」

「わしもじゃ。姉上を助けなければならないからのう。」

雄二の掛け声に俺たちは頷く。

そして走り始めた。


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