バカとオリと召喚獣   作:孤独なバカ

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過ち

「……本当に食中毒起こったんだな。」

「うん。かなり重大な問題だと思うんだけど…」

俺と工藤は話している。三回戦の相手は結局食中毒でリタイヤ。四回戦の相手も一人がリタイヤして何故か横溝と横田のペアと当てることになっていた。彼奴らも何故か上がってきてるんだよなぁ。

「最近FクラスはEクラス並に成績があるしトーナメント表に恵まれていたのもあると思うよ?」

「思考読むなよ。まぁ、それならいいんだけどなぁ。」

成績の向上はやっぱりこの学園にもいい印象を与えられるし何よりも観客にもいい印象を与えられる。

それにほぼ勝てるしな。

「召喚獣の扱いは慣れてると思うけど…成績は確か80点〜60点くらいだったはずだ。両方俺と同じ理系タイプだしな。」

「ついでに理系の成績聞いていい?」

「80〜100点だ。」

「うん。でも脅威なのは今までにCクラスとDクラスの人たちを倒してきたんだよね?」

「あぁ。どうやらかなり操作技術はうまい。やっぱり戦争に慣れてるだろうからな。特にDクラスは俺たち以上に戦争をしているのに勝ったというのが大きい。」

原因は多分リア充の殲滅というなの八つ当たりだろうがそれでも今までの中で一番の強敵になることは間違いはないだろう。

「それに俺の一番の苦手な科目っていうのが大きいな。ちょっと工藤頼りになりそうだけど、大丈夫か?」

「うん。任せて。」

……そういや苦手科目で戦うのは初めてになるんだよなぁ

「……はぁ、苦手科目で戦うのがこんなに不安だなんて思いもしなかった。」

「いつもだったら500点超えてるからね。」

苦笑する工藤にため息をつく。

それにもう一つ気になることがあるんだよなぁ

「……工藤走るぞ。」

小声で工藤に話す

「えっ?」

「つけられてる。多分二人だ。……倒すこともできるけどさすがに喧嘩はまずいし逃げるぞ。」

さっきから話してる背後にずっと視線がつきまとっていた。

……しかも凄く敵意を感じる

「あの角を曲がって階段を一気に降りるぞ。走れるか?」

「うん大丈夫。」

「んじゃ。行くぞ。西村先生に会うか教室までノーストップで走るぞ。」

俺は後ろを見ると見覚えのある二人組みがついてきている。

制服は近隣の高校のもので…

ってかナンパしてた男子高校生じゃねーか。

たしかヤスオとか言ってたか?

……足速くないこと願うぞ。

そして

曲がり角を曲がった瞬間俺と工藤は走り始めた

そして少し離れると

「おい。バレたぞ。」

「追いかけろ。」

「……なんでこんなことになるんだよ。」

「知らないよ。」

全力疾走で階段をおりその後玄関前を通る。

玄関前は人混みで溢れており見学者が大勢学校に上り込む

「……悪い工藤。」

俺は工藤の手を引く。

「えっ?」

「ちょっと失礼。」

人混みの少しの隙間を入り込み俺は混雑している所を潜り抜ける。

よく安売りセールにいくのでこれくらいなら楽勝だった。

そしてもう一度二階に上がり教室の中に入る。

「…おかえり楽ってどうしたのじゃ?なんで息を切らしておるのじゃ?」

とりあえず当分の間は息を切らしていたが

「…追われてるんだよ。どうやらどっかの他校の生徒が見張っててな。だから少し全速力で逃げてきたわけ。」

「なんじゃと?」

「……気をつけろ。結構慣れてやがる。」

息を整え

「工藤も大丈夫か?お前こういうの慣れ。」

と言いかけた途端俺は声を止めてしまう。

顔を真っ赤にあの時のようにしているけど、どこか前よりも魅力的にみえる。

あれ、こんなにもかわいかったかこいつ。

元々可愛いとは思ってたけどこんなにも可愛いとは思ってなかった。

顔が熱く工藤の方を見れない。

……

「……楽?」

すると明久が首を傾げてる

「えっ?あ、わり。聞いてなかった。」

「……お主顔赤いのじゃが大丈夫かのう?体調でも悪いのかのう。」

「……多分体調不良じゃないと思うぞ。」

どこからか現れた雄二がニヤニヤと笑ってる。

「ところで楽はいつまで工藤の手を握ってるんだ?」

「えっ?あ、悪い。」

俺が手を離す。

「あ、ううん大丈夫だよ。」

「……」

「……」

ヤバい気まずい。

「なんか初々しいのう。」

「そういや追われていたって言ってたけど大丈夫なの?」

明久の言葉に頷く

「あぁ。教室入ったから大丈夫だとは思うぞ。一応ここはお客がいるからさすがに手は出しづらいはず。」

一応お客がいる場だ。

それに何かあったら雄二に任せておけば大丈夫だろう。

「それで俺も出るけど何すればいい?」

「じゃあ接客頼む。あとすまん。」

「分かってる。後から詳細だけ聞かせろ。」

雄二の言葉にため息をつく

俺は接客に急いで戻る。

今工藤の近くにいたら心泊が早くなり胸が張り裂けそうになる

「……何なんだよ。これ。」

その一言は誰の耳にも聞こえなかった。

 

二時間後

「工藤行こうぜ。」

「あ、う、うん。」

「……お前いつものキャラもう見る影もねぇな。」

顔を真っ赤にして動揺している工藤に苦笑する。

「……うぅ。ボクこんなキャラじゃないのに。」

あのさ。俺は明久みたいに鈍感じゃないからさすがに気づくぞ。……少しは隠せ。

と言いたかったがこらえる。

こいつ本当に恋愛ごとになると弱いよな。

「……これじゃ予定を早めたほうがいいか。」

「……えっ?」

「何でもない。」

俺は少しため息をつく。そして歩き出すと今やってるAブロックの明久達を思い出す

「そういえば今雄二と明久ペアと島田と姫路達が戦ってるんだよなぁ……明久生きてたらいいなぁ。」

「島田さんと姫路さんってなんか絶対に吉井くんのこと好きなのに、なんであんなこと信じるんだろうね?」

「明久がロリコンなはずないだろうが。あいつどれだけ信用されてないんだろうなぁ。」

少し残念だと思う。

「でも吉井くんモテるよね。」

「まぁ、そこそこイケメンで明るく誰にも優しい明久がモテない理由がないだろ?バカだけど自分の信念は絶対に曲げないし、何事にも熱心だからな。」

あいつのいいところは沢山あるけど何よりもその姿勢だろう

「それに、料理などの家事はできるし思いやりだってできる。まぁすごく不器用だけどな。だから明久がモテても別に俺はおかしいとは思わないけどなぁ。」

「でも、前優子が坂本くんと一緒に女子更衣室で二人を見かけたって言ってたけど。」

「……あいつ何してるんだよ。」

頭が痛くなってくる。なんでそんな奴を褒めたんだ俺

「でもさ、大沢くんってそういうことはしないよね?」

「まぁな。まぁそういうことに興味がないわけじゃないけど、好きな奴以外の物見たってなぁ。」

あまり覗きとか興味がないのはそこだ。

好きな人なら興味はあるけどな。やっぱりなんか気が進まないんだよなぁ。

「もしかしてHな本も持ってないの?」

「持ってないなぁ。たまに康太と明久からもらうことはあるけど、あまり趣味が合わないんだよなぁ。あの二人巨乳派だし。」

エロ本は持ってないなぁ。基本PCか携帯に保存するくらいで

ってかバレるとすごく面倒くさいしな。

「……そういえば巨乳の人が嫌いって言ってたけど何かあったの?」

「あぁ。…ちょっと姫路並みの料理の下手な人の料理を毎日食べさせられると言う拷問を昔胸の大きな人にやらされてたから。」

「……よく生きてたね。」

「本当にな。」

もう本当に耐性ができるまで食べさせられたからな。

「でも、ボクはどうなの?吉井くんが言ってたよね。大沢くんのタイプなんでしょ」

「……黙秘する。」

「それもう肯定してることと変わりないと思うんだけど。」

「仕方ないだろう。工藤かわいいし、常識があるしタイプど真ん中なんだから。」

正直性格もすこし可愛いし何より暴力を振るわない。

料理だってできるしな。

「……えっと。大沢くん褒めすぎじゃないのかな?」

「……仕方ねぇだろ好きなんだし。」

「……えっ?」

「あっ!」

やばい思いっきり口を滑らせた。工藤も立ち止まり顔を赤くさせる。

「……」

「……」

互いに無言が続く。

「……えっと、それって」

工藤が顔を真っ赤にしている。

「こんなとこで言うつもりじゃなかったんだけどなあ……」

頭をかきため息をつく。仕方ないか

「俺は工藤のことが好きだ。俺と付き合ってくれ。」

シンプルで単純な告白。本とかじゃあ緊張で言いづらいと言ってたけど何故か言いやすかった。

なんでだろうか。

心拍数は過去にないくらい早いのに緊張だってしてるのに

でも自然と口に出た。

ムードも何もないからだろうか?

「えっと、とりあえず言いたいことは沢山あるけど……」

うん。分かってる。俺だってこんなところで告白することになるとは思わなかった。

こんなところで告白するってかなり恥ずかしいよな。

「……本当にボクでいいの?」

「……あぁ。」

「えっと。じゃあよろしくお願いします。」

「いいのか?」

「うん。ボクも大沢くんのことが好きだから。」

「……ならよかった。」

少しだけホッとする

「でも、あの告白はないと思うんだけど。」

「いうな。分かってるから。」

かなり視線が痛い

「はぁ。さすがに目立ちすぎたな。行くぞ。工藤。」

「うん。」

すると周りから囃し立てる声が聞こえてくる

「逃げるか。」

「うん。」

俺と工藤は走り出す。もう今日は散々な一日だと確信していた。


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