「あれ?雄二達は?」
俺が服を着て戻ってくるとさっきまで働いていた雄二や秀吉の姿がなかった。
「さっき、姫路さん達と一緒に敵情視察しに行ったよ。君がいない間にクレーマーがやってきてね。」
「……久保。本当か?」
「あぁ。坂本くんがめちゃくちゃな交渉術で追いはらったけど…どうやら他のクラスでもここのクレームをしてるらしい。」
するとやっぱり確信に変わる。
「久保それは何て言う先輩か分かるか?」
「えっと常村先輩と夏川先輩だったかな?」
ビンゴってことは
「…久保。少し頼みがあるんだがいいか?」
「なんだい?」
「俺と雄二、明久がいない間女子が攫われないように見ていてほしい。」
すると驚く久保
「どうして、そう言い切れるんだい?」
「どうやら理事長の方でトラブっているらしくそれに明久、雄二が関わっている可能性が高い。それが召喚大会の賞品がきっかけだと思う。だからもし俺と工藤か雄二と明久がいなくなった時ここで何か起こすことが多い。雄二と明久は多分負けないし俺らも後は二つ勝てばその二人と当たる。俺はパートナーを守るから他の女子をお前に任せたい。」
一番信頼できるのは久保だ。あの中だったらちょっとこいつだけ異質だし
「……でも僕だけじゃさすがに無理があると思うが。」
「万が一のために今鉄人に頼んでる。ちょっとさすがに清涼祭の途中だ。外部の人間が紛れ込む絶好の機会だしどうやら教師の中で派閥もできてるらしい。今は鉄人には姫路、島田姉妹、霧島、木下姉弟、を守ってもらうことになってる。関わりが多いのはその六人だからな。でも一応のためここで働いてる女子は守ってやってほしい。」
「……Fクラスの人材は使っていいかい?」
「もちろんだ。女子を攫おうとしているんなら多分協力してくれるはずだ。……報酬は明久の子供の頃の寝顔写真」
「やらせてもらおう。」
よし買収完了。これでなんとかなるはずだ。
「でも、先輩方がそんなことをするつもりかい?」
「いや、多分教頭派だと思う。さっき派閥争いがあるって言っただろ?それがババ…学園長側とたぬ…教頭側で分かれてるんだ。先輩方は多分教頭側に推薦か何かでつられていると予測できる。竹原教頭ってあまりいい噂聞かないし。裏のつながりを持っていてもおかしくない。」
「……そういえば君は情報通だったね。」
久保は少し考えてから
「それなら先輩が妨害してきていたのは吉井くん達の妨害と考えていいのかな?」
「十中八九そうだろう。それか俺らの妨害か。」
「……成る程。」
「それとこの件は霧島達には言わないでくれ。こんなことで手を抜かれたら明久達にも迷惑だろうしな。」
「……分かった。」
「頼むぞ。」
久保は頷く。
「それで、売上はどんな感じだ?」
「かなりいい。吉井くんと須川くん、土屋くんの考えたメニューは売れている。特に烏龍茶と胡麻団子は売り上げがすごいな。」
「なんでメイド喫茶に中国の飲茶と烏龍茶が出るんだろう。」
「気にしたら負けだと思うよ。」
久保もおかしいと思ってるのかため息をついている。
「でも、売り上げがいいんだったら打ち上げを豪勢に合同でやってもいいと思うし。」
「そこらへんは君に任せるよ。僕たちは詳しくないから。」
「了解。」
「あの二人ともそんなところで話してないで出てくれない?昼時だから忙しくて。」
佐藤の声が聞こえる。
「了解。すぐ出る。」
「あぁ。僕は休憩時間だから少し休むから大沢くんお願いしていいかな?」
「わかった。」
俺は現場にでる。
さて労働の時間だ。
「いらっしゃいませ。お嬢様。」
もう何人目だろうか。本当に人の足が止まらない。
「大沢くん凄い人気だよね。」
「工藤。お前もな。」
基本俺と工藤が今は接客の中心となっている。
「どうやら康太主催で人気投票もやってるらしいぞ。男性部門と女性部門で。売上に応じた投票らしいから余計に客足が伸びてきた。」
ああいうことに関しての康太は天才的だ。売上ついでにムッツリーニ商店の客を増やすんだろうな。
「妨害とかも多いのによく持ちこたえてるな。」
「うん。やっぱり施設と実際の味が伸びてる原因だと思うよ。」
なんでこういうときまともな回答を工藤はしてくるんだろうか?
まぁAクラスだからか
「どうやら営業停止の店が一つできたっていうのが一番の大きな原因じゃないかな。どうやら食中毒がでたらしいよ。」
するとメガネをかけた男子が戻ってくる。
「おっ?久保か。復帰してくれ俺たち三回戦近いから。」
「あぁ。そのためにきたんだけど多分二人とも三回戦は不戦勝だと思うよ。さっき言ってたように一年E組が食中毒事件を起こして営業停止になったらしい。」
「うげ。それを俺達のクラスに流れ込んだのか。」
「坂本くん達の対戦相手もどうやら巻き込まれてるらしい。後理事長先生から飲食店は管理を整えてほしいそうだ。」
「料理長の須川に連絡してくれ。そして木下に殺戮兵器を絶対にキッチンにいれるなとも。」
「……うん。まさか姫路さんがあんなに料理が下手だとは思ってなかったよ。木下さんから聞いたが坂本くんが倒れたんだろ?」
久保も殺戮兵器が姫路だと知らされているらしい。
「あぁ。俺もあんなに下手だとは思わなかった。俺が食った時かなりきつかったから。」
「あはは。さすがのボクもあの後に食べようとはおもわないかなぁ?」
工藤が引きつっている。
「……そういや久保はなんで俺の対戦相手について知ってるんだ?」
「さっき布施先生にあって伝えてくれって頼まれたんだよ。今休憩時間だから。
「まぁ俺Bブロックの初戦だからなぁ。開始時間が色々不安定なんだよなぁ。一応のため行くか。」
「うん。でも次古典だよ?大丈夫なの?」
「一応最近伸びてきて140点代だからCクラス並にあるから大丈夫だと思う。」
「それでも140点代なんだ。」
「……これでも学年平均は超えてるのになぁ。」
Aクラストップ10にとったらさすがに低いんだよなぁ
「……はぁ。一番苦手の教科もう少し点数伸ばそう。せめて200はほしいな。」
「勉強する気はあるんだ?」
「あるに決まってるだろ。元々教師になりたいし勉強するにきまってるだろ?」
「……」
二人とも驚いたような顔をしてる
「なんだよ?」
「いや、意外だな。先生になりたいって。」
結構久保って正直なんだな。
「悪いか?」
「いいや。おかしくないと思うよ。」
「うん。でも意外。」
「まぁ色々あったんだよ。少し霧島の過去とか聞くと少し考えさせられてな。」
「代表?」
俺は頷く。
「……また今度でもこの話はしてやる。隠せなんて誰にも言われてないしな。とりあえず俺は三回戦行ってくるよ。一応のためだけども。」
「うん。不戦敗になったら嫌だからボクも行こうかな。」
「……もしかして僕って信頼ないのか?」
何を今更
「お前明久のラブレターの件忘れてないだろうな?」
「……」
「今俺の中でのお前の信頼度って島田以上、Aクラス女子未満だぞ。」
「ねえ。案外Aクラス女子の信頼度高いよね。」
「あんだけまともな女子だったらさすがにな。男子はFFF団並だけど…。」
「そして島田さんの評価低くない?」
「だって暴力振る自体で俺的に少し。」
「「あぁ。」」
二人とも納得したようだ。
「…まぁ久保はそういうところはないから安心できるけど前のことがあったからなぁ。」
「なんだろう。一番異常だと思ってた大沢くんが一番の常識人なんだけど…」
「てか俺5バカって言われているけど基本俺何もしてないし。てかいつのまにか5バカ認定されるしバカって自覚はあるけど、さすがに常識くらいは分かるぞ。……少しこの学校にきて俺の中の常識が歪みかけてるとこはあるけど。」
なんでなんだろう。女子ってあんなに凶暴な生物だったか?
「……うん。ボクも自覚あるな。」
「だろ。」
工藤も頷く
「ってか行くぞ。この話も後からだ。」
「そうだね。せっかくの試召戦争なんだし楽しまなきゃね。」
「お前も大概戦闘狂だろ」
そんな感じで二回戦から三回戦開始までのんびりとしていた。