「……相手にもならなかったな。」
「あはは。」
結局二回戦は589点をとった俺の召喚獣に驚く二人に当てるだけの簡単なお仕事だったので余裕で二人の召喚獣を蹴散らしました
「……明久と戦いてぇ。あいつの召喚獣とガチの喧嘩をしたい。」
「……大沢くんって戦闘狂?」
「まぁ。自覚はあるけど……今の二年で手応えがあるのって今の所明久しかいないんだよなぁ。結構俺も明久と模擬戦してるのに全くっていっていいほど勝てないし」
「えっ?」
「あいつに腕輪なしで勝ったことなんか一度もねぇよ。だからあいつは凄いんだよなぁ。」
あいつがなんでそこまで強いのか知らないけど模擬戦してるが最近じゃ一度も当てられてない。
なんであんなに強いんだよ。
唯一の観察処分者だが俺や姫路よりも強いのは明久だ。
そしてそのことを一番理解してるのは俺と雄二。
ただ点数が高いやつよりかも重要な戦力だとわかっている
「でも吉井くんって点数は低いよね?」
「低くてもたった一つでも相手より優れていたら勝てるチャンスはあるさ。あいつはバカだけどいい方でのバカだ。何事も決めたら一直線で後先考えず自分がやりたいことをやる。まぁ、後始末をやるのが大変だけどな。」
あいつのいいところはバカなところだ。誰にだって理由があれば謝るし、間違いはちゃんと言ってくる。
だからこそ憧れるんだよ。あのバカは。
「……大沢くんが強い理由分かったかもしれない。」
「ん?」
「何でもないよ。それよりもクラスの手伝いに戻らなくてもいいの?」
「だって執事服とか着るの面倒くさいじゃん。それでいらっしゃいませお嬢様とかいうの真面目にやだ。」
「大沢くんって子供?」
「否定はしない。でもさ、好きな人なら別にいいけど、そういうのって嫌じゃないか?」
「うーん?そうかなぁ?でも好きな人ならいいんでしょ?」
「そりゃな。別にもっと恥ずかしい姿見られるし別にいいだろ?」
「もっと恥ずかしい姿?」
すると考え始めて少し経った後
「えっ?」
すぐに顔を真っ赤にさせた。こいつよくエロいキャラでいようと思ったな。
「な、なに言ってるの。」
「お前キャラ忘れんなよ。それただの恋する乙女みたいだぞ。」
「な?」
顔を真っ赤にしてるけど自爆してることは気づいてるんだろうか?
「うぅ。」
「……やっぱりお前面白いな。」
少し笑ってしまう。やっぱりこいつからかうの好きだわ。
そうしながら教室に向かっていると
「あっ!優しいお兄ちゃんだ。」
小さい女の子が抱きついてくる。
「ゴフっ」
「大沢くん?」
その女の子の頭が俺の溝に当たり腹部に激痛が走る。
「……さっきまでボクをからかった罰だよ。」
「工藤聞こえてるぞ。……俺を優しいお兄ちゃんって呼ぶのは、確か葉月ちゃんだったよな?元気だったか?」
「はい。」
「知り合い?」
工藤は知らなかったか。
「明久と葉月ちゃんの姉ちゃんのために人形を買ったことがあるんだよ。あいつその時に色々あって観察処分者の称号を手に入れたからよく覚えてる。」
「なんで吉井くんは人形を買っただけで観察処分者になったの?」
「後から話す。ここが分かったのは制服のせいか。」
「はい。でもバカなお兄ちゃんが見つからないんです。」
「あ〜明久は今頃大会行っているからなぁ。もうそろそろ戻ってくるだろうしもしよかったら一緒にくるか?カップケーキぐらいだったら奢ってやるぞ。」
「ほんとうですか!!」
笑顔になる葉月ちゃんに笑う
「あぁ。バカなお兄ちゃんも戻ってくるだろうし、別にいいぞ。」
「ありがとう。優しいお兄ちゃん。お兄ちゃんが作ったお人形と優しいお姉ちゃんがくれた人形と一緒に寝てます。」
「……へぇ〜大沢くんって裁縫できたんだ?」
工藤が興味ありげで見てくるけど。
「できねぇよ。」
「えっ?」
「できないから必死で本やインターネットで探しながら作ったんだよ。俺も仕送り前だったから半分しか出せなかったし、あまり時間がなかったからな。めちゃくちゃ下手なものを渡したんだよ。結局明久が金銭をもう半分出したから必要なかったけどな。」
あの時作った物は渡さないと思ったら最後に落としちゃったんだよなぁ。少し恥ずかしかったけど最終的にお礼を言われてしまったらさすがに照れくさかった。
「でも葉月は嬉しかったですよ。」
「……それだけで嬉しいよ。じゃあ、俺らも仕事しますか。そういえば優しいお姉ちゃんって誰だ?」
「えっと、胸が大きなお姉ちゃんでした。」
「……大体分かった。」
「わかったの?」
成る程あの時明久が姫路とあったのはこのせいか。
少し無言で歩く。すると途中まで歩いていたのですぐに教室につく
「戻ったぞ。」
「お、戻ったか遅かったな。」
雄二がもう戻ってきていて、こっちを見る。
「諸事情がある。後明久にぬいぐるみの子が来てるって伝えてくれ。ついでにカップケーキをこの女の子に作ってあげてくれ俺は着替えてくる。」
「ボクも着替えてくるね。」
「ちょっと待て楽どういうことだ?」
「知り合いだから多分通じるはずだ。あと忘れてるようだったら数発殴れば思い出すと思う。葉月ちゃん多分ここにバカなお兄ちゃんいるはずだから少し待っててね。」
「はい。優しいお兄ちゃん。」
「……んじゃ後たのんだ。」
俺が着替えに戻ると少しため息をつく。
仕事嫌だな
そんなことを思いながら着替え始めた