バカとオリと召喚獣   作:孤独なバカ

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一回戦後

「……つまらないな。」

「いや大沢くんが強すぎるんだよ。なに?850点って聞いたことないよ。」

「あ〜数学だけは高橋先生と鉄人レベルだからなぁ。」

「……あの二人もおかしいよ。」

「うん。高橋先生に限ったら俺数学でも勝てるか微妙なラインだぞ。あの人全教科点数いかれてるから。」

一回戦が終わったあと俺と工藤は看板を持って校舎の見回りをしていた

「でもさ、この模擬店の名前もおかしいと思うけどなぁ。なんで俺が報告した10分間でこんな名前になったんだよ。絶対に霧島の仕業だろ。」

「うん。よくわかったね?」

「こんなふざけた名前をつけるやつはFクラスでも明久くらいしかいないからな。バカと天才は紙一重と言うし。なんか俺には黙っているけど明久たちが企んでるし……なんかきな臭いんだよ。元々明久はともかく雄二はこんなことをするような奴じゃないし学園長も何か隠してやがる。……なんか裏で大掛かりな作業をしてる。嫌な予感がしてるんだよなぁ。」

「いや、そこまで予測してるんだったら気付こうよ。絶対なにかあるよね?」

だよな。正直面倒だしほっとこうと思ってたけど…

「はぁ。まぁ大体予想はつくけどな。どうせ。理事長がまたやらかしたんだろ。腕輪の調整。」

「……腕輪って白金の腕輪?」

「あぁ。性能は良いんだけど俺が動かしたとき最後の一回以外失敗してたからなぁ。多分俺が出るって聞いて俺とそのパートナーとだけが使えるようにしたんだろうけど……後は予備で使える人材が雄二と明久だったんだろ。」

ほぼ100%そうだと考えていた

「試験召喚獣の欠陥はかなり問題視されるし嫌な感じが結構してる。だから今回は俺と雄二が話し合って決めた。俺は工藤の警備って感じだ。」

「……いつのまにそうなったの?」

「昨日どういうことか話してきてな、決勝戦にあいつらか俺らが優勝すればいいだけだろ?って言ってきやがった。多分このままだったら正直なところ決勝戦俺たち負けるぞ。明久腕輪持ち以外になると最強の戦士だからな。それに雄二も最近じゃ成績が上がってる。もう文系になると俺も工藤も勝てないほどになってるし」

「へぇ〜そうなんだ?」

「あぁ努力したんだろうな。単純な動機だからこそあいつらは強くなる。好きや認めてほしい奴がいるからあいつらは強いんだ。いつか俺よりもすごい奴になる。……やっぱりあいつらはすげぇよ。」

明久は誰か知らないけど守りたい人がいるようだしそれだけの力はある。

「…なんか大沢くんたちって凄いね。」

「……そうか?」

「いつもはあんなふざけたことばっかりしてるのにAクラス相手に勝ったり色々してるよね?…間違えなく今の二年生はFクラスが最強のクラスだと思ってるんじゃないかなぁ?男子も認めたくはないと思うけど多分Fクラスの実力は認めていると思うけどなぁ。」

「……それなら布石は一つ積めたかな。」

「布石?」

「あぁ。ちゃんとした試召戦争をするような理由になるだろ?」

すると工藤の目が真剣になる。この感覚は本当凄いな。

「えっ?」

「……伊達に雄二に敗北積ませたわけじゃねーぞ。あいつに敗北を一度教えてやるのも手の内だ。それにAクラスも悔しいだろうし模擬戦くらいなら学園長も許してくれるだろう?……なにより俺らはちゃんとした試合で勝ったわけじゃないし、ちゃんとした試合をやりたいと言うのが本音だ。」

それまでにFクラスも何度か試召戦争してちゃんとした試合を申し込もうと案を繰り出してた。雄二の敗北と明久の成長、この二つは絶対に欠かせないものだった。

もう勝てる条件は揃ってる。

「それが俺がただ見てるだけだと思ったら大間違いだぞ。腕輪だってそのための布石だ。……まぁ、本当は雄二の応援が一番大きいんだよなぁ。あいつも霧島にはちゃんと自分から告白したいだろうし。」

「えっ?」

「お前さっきから驚きすぎ。あいつ嫌がってはいるけど、一度も拒絶はしたことないだろ?本当素直じゃないんだよなぁ。ちゃんと自分の中で理解はしてるんだろうけどさ。やっぱり過去が邪魔するのだろうなぁ。」

霧島から聞いたときは驚いたけど元々俺たちのクラスはお人好しの塊だ。

「本当にバカばっかり。少しくらい素直になればいいのになぁ。」

明久も雄二ももう少し素直になればいいのになぁ。

嫌われる役の立場にもなってほしいぞ。

「でもさ、それってお互いの得になるの?」

「元々学力向上のためにやってるんだ今度は一騎討ちじゃなくてちゃんと試召戦争したい奴もAクラスにもいるだろ。…だいたい男子だけど。それに木下と久保はもうやる気だぞ。俺に模擬戦でいいからやらせてほしいって言ってきてるし、それに工藤だってもう一度康太とやり合いたいだろ?」

「それよりはボクは君と戦いたいな。保健体育に私保険体育でも君には負けてるから。」

「俺の腕輪の能力で一撃だけどな。」

「……その腕輪強すぎない?」

「強くはないだろ。この腕輪使うタイミングなんかほとんどないぞ得に一対一の試合だったら基本は使わないぞ。一対多だったら分かるけど。」

「でも、それ総合科目だったらかなり強いよね?確か3000点以上で腕輪使えるから。」

「まぁ最低な。でもさそこまでしても面白くないだろ?やっぱり掛け合いとかそう言うのも楽しみたいし。」

「……大体一撃でみんなを潰してる大沢くんがいうことじゃないよね?」

「でも試験召喚システムはやっぱりこの学校のいいところだし、せっかく入ったんだったらやっぱり楽しまなきゃ損だろ。」

やっぱり俺の召喚獣にも弱点はあるしな

耐久だったらやっぱり明久とか雄二の召喚獣はやっぱり凄い。

それに比べ遠距離型の俺の召喚獣はやっぱり接近戦には弱いのだ。

「やっぱり大沢くんは面白いなぁ。」

すると工藤が笑う。

「悪いかよ。」

「ううん。でも、」

少しだけ小さな声で

「ボクも頑張らないとね。」

何をとは聞かないでおくか。

「まぁ、頑張れ。」

「うん。そういえば大沢くんは明日シフト入っていなかったんだよね?」

「俺たちはほぼ決勝進出できると思われてるらしいからな。」

そのためか俺も工藤も二人とも明日はオフになっていた。

「じゃあボクと一緒に清涼祭回らないかな?」

「別にいいけど。てかそのつもりだったし。」

「えっ?」

「お前とシフト合わせてるからどうしようもないだろ?明久達と普通だったら回ってるのをあいつら明日も働き詰めなんだし。それだから工藤誘った方がいいだろ?」

付き合ってもらったのもあるしできれば、お礼もしたかったから丁度いい機会だ。

それにもうお前の気持ちに気付いてるしな。

「……それに俺もちょっと交友は広く浅くがモットーだからあんまり付き合ってくれるひとがいないんだよ。だからちょっと付き合ってくれると嬉しいんだけどダメか?」

「う、うん。勿論いいよ。」

顔を真っ赤にしてる工藤に笑ってしまう。こいつ恋愛ごとになるととことん弱いよな。

「一種のバカなんだろうな。俺も工藤も。」

「えっ?」

「だから驚きすぎだ。」

工藤は純粋な少女だと思う。今までずっと見てきたが積極的でいることによって本来の純粋な部分を隠そうとしてる。

いやそれも工藤愛子という女の子だろうか?保健体育の実技を得意にしてるんだろうか?

この少女のことをもっと知りたい。

なんだろう?

なんでこんなに工藤のことが気になるんだろう。

「……まぁいいか。工藤二回戦行くぞ。これ終わったらホールだからな。一応教科は英語Wで相手は平均250〜300点前後だから多分大丈夫だろう。お前も最近は成績上がっていってるからなんとかなるはずだ。」

「……うん。でも私結構厳しいかも。」

「フォローはするけど俺も500点台だしBクラスだけだからなんとかなるはずだ。前衛は任せた。」

「普通は男子が前衛をするところじゃないかなぁ。」

「うっせ。召喚獣が後衛型なんだから仕方ないだろ。」

軽口で言うけど忘れてないぞ。

あのときに言った近くにいれば守ってやるって言ったしな

俺は嘘は嫌いっても言っただろ

ちゃんと守ってやるからな


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