「もうそろそろ、初戦の時間だから抜けさせてもらおうぜ。」
「えっ?もうそんな時間だっけ?」
工藤が時計を見ると開店から30分が過ぎていた。
「雄二たちも勝ったって連絡きたし入れ替わるにはちょうどいいだろ。」
明久からメールがきて勝ったと書いてあった。
どうやら雄二の点数がかなり上がっていてBクラス上位並みにあったらしい。
本当はAクラス並みだと思うけどな。
元々神童と呼ばれていた
あれからの努力の山はオレが一番知っている。
特にその教科が数学だったらなおさらだ。
あいつ、数学はかなりとれてたからな。
オレは待合室につくと工藤に話しかける。
「……工藤、多分決勝に上がってくるのは雄二と明久だな。」
服を着替えてからオレは真面目な顔で言う。
「えっ?でも代表と優子たちや姫路さんと島田さんのペアは?」
「勝てない。Fクラスはこの学校の二学年の中で唯一の理系のクラス。特に古文ってことを姫路たちは知らなかった。」
正直雄二は悪知恵だけはずば抜けている。
「あいつら姫路たちのトーナメント表細工しやがったからな。」
「……えっ?」
「内緒だぞ。オレも姫路たちに時間確認したいふりしてトーナメント表みたら見事にごまかしてあった。まぁ、雄二たちが姫路に渡していたからな。いやー見事だった。んで準決勝は保体だから康太を多分だしてくるか木下を秀吉にすり替えるかのどちらかだろ。」
「……それ反則じゃないの?」
「……バレなきゃいいんだよ。あいつらもけっこう本気出してきたということだろ。」
オレはトーナメント表を見る。
オレは決勝戦を見る。
教科は日本史
……ここまで上がらないといけないのか。
正直オレも古典、現社は全然自信がない。
オレも得意科目で試合はしたことがあるが。苦手科目で戦ったことが全くないんだよな。
「……工藤、初戦は基本お前に任せる。多分オレは時々明久の雑用を手伝っていたから召喚獣の扱いは多分工藤よりも上手いはずだしな。」
一回戦は数学、もし工藤が戦死してもカバーはできるはずだ。
「さすがに高すぎたらオレが潰すけどな。」
「……君の腕輪、本当に強すぎるよね。」
「消費点数はエグいけどな。」
500点ってかなり厳しいぞ。
まぁ、500点消費しなくても1つだけ使える方法はあるけど。
まあ今回は使わないだろうけど。使う時があれば使うつもりだ。
「そういえば何点くらいか分かる?」
「初戦の3-Aと3-Bの奴は正直データが殆どないんだよな。三年は去年の殆ど試召戦争してないし。」
操作スキルはオレたちとあまりかわりはないが、でも格上だと思っていいだろう。
まぁ、数学じゃなかったらだけど。
でも1つ思っていたのは明らかに雄二たちに運が良すぎるよな。教科が当たる相手の弱点になっているし、決勝についてもオレはまだ文系の中で得意な科目だけど、工藤が一番苦手科目なんだよな。
……まさかな。
「大沢くん何怖い顔してるの?」
「……いや、ちょっと考え事。」
オレは切り替える。
「工藤、やっぱりすぐ終わらせる。腕輪は使わないけど。」
「急にどうしたの?」
「いや、ちょっと油断してたかなって。相手は一応A組だから、本気出していこうと思っただけ。」
さすがに相手を舐めすぎていた。理数系が600点越えだったら負ける可能性は充分ある。
そういえば相手の点数がわからない敵と戦うのも初めてか。
「……ちょっと気を引き締めるか。工藤もいるか?」
オレはため息をつき鞄からシュークリームを取りだし一口食べる。
「ボクはいいよ。」
ちょっと焦りからか油断をしてたようだ。口の中にカスタードクリームの甘さが広がる。
「甘いよな。」
自分自身に言ったのか、シュークリームの甘さなのかそれともその両方か。
オレは全く分からなかった。
さらに鞄からブラックコーヒーを出す。
甘さが一転苦味が口の中に残る。
「それじゃ、次の試合に移ります。」
「んじゃ行くか。」
「うん。」
オレたちが歩く。どうやら次の相手はもうスタンバってるようだった。
「えーそれでは、試験召喚大会一回戦を始めます。」
目の前にはギャルっぽい女の子とチャラ男みたいな金髪の髪の二人が出てくる。
「あんたらが工藤と大沢。」
「そうだけど。」
「へぇー。出来損ないのFクラスと優秀なAクラスのコンビって珍しいけど、思った通り男子の方はバカそうだな。」
「先輩の方がバカ面してますよ。軽薄そうで。女の敵みたいなキャラですね。」
「……」
今ピキって音が聞こえたような気がする。
しかもこの人けっこうな人と関係持っているから事実に近いんだよなぁ。けっこう悪評になってるし。
「……それに先輩、Fクラスは今回試召戦争に全勝中ですよ。最低片のクラスじゃなくて今は最強のクラスですよ。それに先輩、Fクラスを舐めると痛い目にあいますよ。」
「……大沢くんが言うと妙に説得力があるよね。」
工藤がぽつりと言うけど相手には聞こえないだろう。
「あの、もうそろそろ召喚してください。」
「はいはい。
「
するとヤンキーみたいな召喚獣と鉈を持った女の召喚獣が出てくる。
【数学】
Aクラス剣下上 刀 & Bクラス馬路奈 いわ
350点 & 218点
「思っていたより高いな。」
「アハハ。オレたちの実力に驚いたか。恥をかきたくなかったら降参していいんだぜ。」
「アホか。勝てる試合に降参するほどバカじゃねぇよ。」
「ボクたちも召喚しようか。」
「「
すると斧と二丁拳銃を持ったいつも召喚獣が出てくる。
【数学】
Fクラス大沢 楽 & Aクラス工藤 愛子
850点 & 325点
「「……えっ?」」
「んじゃ。オレは点数高い方潰すからもう一人の方よろしく。」
「うん。」
オレは驚いている男のすきだらけの召喚獣に貫通弾をセットし一撃で男の召喚獣を潰す。
そのすきに工藤が斧で対戦相手を真っ二つにする。
そしてあっけなく試合は終わった。