約束
「んじゃ。このメイド、執事喫茶でいいのか?」
「……問題ない。」
「はい。大丈夫です。」
姫路達が頷く。
今なぜかオレと木下が清涼祭の準備に当たっていた。ついでにオレと秀吉以外の男子はグラウンドで野球をやっている。
「でも、執事とか誰がやるんだ?このクラスに執事とか似合いそうな奴いるか?メイドだったら工藤とか姫路とか出ればいいけど。」
「大沢君がやればいいんじゃない?似合うと思うよ。」
工藤からの提案が上がるけど
「悪い。オレその日用事あって基本は手伝えないんだよ。それにオレが着たって似合わないだろう。」
「じゃあ吉井君はどうでしょうか?」
「あいつはキッチンに回らせる。あいつは料理うまいしな。正直料理の上手さなら雄二にもやってほしいんだけど。前回の反省としてホールに回ってもらう。」
あのラブレター事件後雄二達はFクラスで鉄人の授業があったらしくかなりボロボロで帰ってきた。
「じゃあ、久保君は?打倒でしょう?」
「あぁ、あいつも強制的にやらせるから。後は……島田お前だけキッチンとメイド両立させてもらうぞ。」
「ごめん。大沢。ウチは召喚大会に出るからちょっと困るかな?」
「……お前らもかよ。了解。木下お前がメイド班仕切ってくれ。」
「ごめん。わたしも代表と一緒に召喚大会に出るから。都合が悪いわね。」
「……はぁ。ならどうしようかな?……よし秀吉お前がメイド班仕切れ。お前なら演劇で何回かメイドやっていただろう。」
「うむ。分かったのじゃ。」
「ついでに久保は執事班のリーダー頼んでいいか?」
「別に構わないよ。」
「んじゃ後は随時連絡する。以上解散。」
オレが言うとため息や安息の声が聞こえる。
「なんでオレが雄二の代わりにやらないといけないんだよ。」
「アキ達は今ごろ鉄人に追いかけられているわよ。」
「マジでうらやましいわ。オレだって野球したいのに。」
「…そこ?」
まぁ今ごろ明久は鉄人、雄二は霧島においかけられているだろうしいいか。
「そういや工藤、お前清涼祭の日空いてるか?」
「うん。空いてるけど?」
「なら、召喚大会一緒に出てくれないか?オレも出たいんだけどペアがいないんだよ。」
するとザワザワと騒ぎ始める。
「ちょっと大沢、あんたは誰と行くのよ?」
「大沢君、誰と行くんですか?」
「はっ?どういうことだ?」
オレは首を傾げる。
「オレが欲しいのは白金の腕輪だから他の商品見てないんだけど、何かもらえるのか?」
「白金の指輪?」
「あぁ、ちょっとあることで教師を殴ってしまって召喚獣システムの実験台になっていたんだけど、そのときは不具合があったらしいけどすごい効果でさぁ。」
「ちょっと待って、今教師を殴ったって言わなかった?」
「言ったぞ。だけど理由を話したらその教師が解雇されたらしいけど。」
「……あなたいったい何があったの?」
えっと、まぁ簡単にまとめるか
「振り分け試験で体調不良で気絶した姫路の途中退席を認めなかった教師をぶん殴って姫路を明久と一緒に保健室に運んだ。」
「あの?もしかして大沢君がFクラスに入るきっかけって」
遠慮がちに姫路がオレにいうけど
「いや、もともとテスト中寝てたから関係ないぞ。」
「それはそれで問題あると思うけどな。」
てか話それすぎだろ。
「んで何をもらえるんだよ。」
「如月グランドパークって知っている?」
「確か…来月オープンする遊園地だろ?」
明久から聞いたからよく覚えている。
「そこのプレオープンプレミアムペアチケットがもらえるんだよ。」
「ふーん。あーなるほど。そういうことか。」
霧島は雄二とあの二人はどちらかが明久と行く予定だろう。
ってことは
「オレはどうでもいいな。ただ試召戦争をたのしめればいいだけだし。」
「じゃあ、ボクが参加したらそのチケットもらってもいいの?」
工藤が食いついた。
「別にいいけど。」
「じゃあ、ボクでよければ参加してもいいよ。だけど勝っても負けても如月グランドパークに連れてってよ。」
「まぁ、別にいいけど。オレはプレチケット簡単に手に入るしな。」
「ならいいよ。」
「交渉成立だな。ついでにやるからにはやれるだけやるぞ。」
「大沢と愛子のペアはきついわね。」
「…苦労しそうね。」
「まぁ文系で霧島と木下に当たったらほぼ負け確だけどな。島田が文系」
オレは頭をかく
「そういえば、坂本君たち遅いね。」
Fクラスメンバーが帰ってきているのにまだ戻っていなかった。
「そういえばそうだな。」
「どうせ、霧島に捕まっているか鉄人に捕まっているかのどちらかだろ。工藤受付してこようぜ。秀吉、木下、Fクラスメンバーに説明頼むな。」
オレは教室から素早く抜け出した。
後ろから怒った二人の声が聞こえたが気のせいだろう。