バカとオリと召喚獣   作:孤独なバカ

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Aクラス戦2 そして戦後交渉

「Fクラスの勝利です。」

Fクラスから歓声が聞こえてくる。

「ナイス康太。」

「……当たり前。」

康太のすごいところは得意な教科の努力を怠らないところだ。一教科限りなら学年一位から落ちたことがなかった。

俺が康太から一位になれたのは康太の試験が振り分け試験だったからだろう。この学年は振り分け試験ではスポーツと医療系統が多く完全に俺の管轄だったからだろう。

「う、嘘だ。こんなクラスに僕たちが負けるはずが。」

「負け犬は黙っててくれないか。特に選ばれてもいないやつが言える口じゃないだろう。」

俺がニヤリと笑う。

「ほら、四戦目にいこうぜ。底辺とバカにしてたやつにはいい制裁になっただろうし。」

俺は笑う。

「では四戦目には移ります。」

高橋先生、この人だけは本当に読めない。自分のクラスが負けていても気にならないのか。それとも負けることがわかっていたのか。

「あ、は、はいっ。わたしですっ。」

こっちは当然姫路だな。

正直なところここまでは負けるつもりはなかった。ここかなり厳しいところなんだよなぁ。

「それなら僕が相手をしよう。」

やっぱり久保か。

姫路が欠席したおかげで学年次席。まぁ俺を含めても学年五位以内に入る強者だ。俺とは全く反対で文系科目に関しては霧島以上の成績を持っている。

「科目はどうしますか?」

「総合科目でお願いします。」

絶対に勝てる自信があるのか総合点数で挑むらしい。

……決まったな。

見ないでも試合は結果がわかった。

そして結果は予想どうりになった。

  Fクラス          Aクラス

 姫路 瑞希 【総合科目】  久保 利光

  4409点    VS     3397点

『マ、マジか!?」

『いつの間にこんな実力を!?』

『この点数霧島翔子に匹敵するぞ。」

当たり前だろう。もともと頭がいいので俺が少し教えるだけで理系科目がずば抜けて上がった。特に数学に関しては500点オーバーというかなり高い成績を残している。

「ぐっ……!姫路さん、どうやってそんなに強くなったんだ?」

久保が悔しそうにしている。

そりゃ少し前は同じくらいだったのがこんなに差をつけられたのだ。

「……私、このクラスの皆が好きなんです。人の為に一生懸命な皆のいる、Fクラスが。」

これ絶対に明久のことだな。

多分あの時から明久のことが好きなんだろう。

「姫路ちょっとこい。」

「なんですか?大沢くん。」

試獣戦争が終わった姫路がこっちにやってくる。

「お前が言ったことって明久のことか?」

「な、何を言ってるんですか。大沢くん。」

「顔を真っ赤にしながら否定しても嘘だってわかるぞ。」

「うぅ。」

「全くお前は本当に変わってないなミズ。」

「……えっ?」

姫路がこっちを見る。

「小学校同じだっただろ。」

「覚えてたんですか?」

「明久が唯一仲が良かったと言える女子だったからな。あの時はさっさとくっつけってずっと思ってた。」

「えっどういうことですか。」

「自分で考えろよバカ。」

すると姫路はすごく傷ついたように座り込む。

「まぁ一つだけ言っとくけど明久はたらしで鈍感だから競争率高いぞ。今一番距離が近いのは島田だから姫路にとったら不利だと思うけど。」

「分かってます。でも吉井くんのことが好きですから。」

いい目をしているな。多分これじゃあちゃんといい恋をするだろう。

「なら、言うことはないからいいぞ。こんどはがんばれよ。姫路。」

「はい。頑張りますね。楽くん。」

「大沢にしろ。あいつらにバレたら面倒だ。」

「わかりました。ありがとうございます。大沢くん。」

姫路は明久の所に向かってく。

たぶん雄二の試合を、見に行くのだろう。

「お主姫路と何話しておったのじゃ?」

「秀吉か。ただのコイバナだよ。」

「どうせお主のことなら姫路をからかっていただけだろうに。」

「そうともいう。」

おれは苦笑する。

「しかしお主は雄二が霧島に勝てると思ってはおらんじゃろう。」

「……どうしてだ?秀吉?」

俺なんかバレるようなことしたか?

「お主は明久が勝つと確信してたからのう。雄二から四勝一敗ときいておったのじゃ。お主がこういった場面で予想を外すとは思えんくてのう。」

「正解だよ。霧島に雄二は負けるさ。」

「ふむ。なぜじゃ。霧島の弱点をちゃんと見抜いたじゃろ。」

大化の改新を絶対に間違えることを雄二は知っているので小学生レベルの上限ありの社会で挑んだよな。

「じゃあ。秀吉お前は小学校のテストで100点取れるか?」

「どういうことじゃ?」

「まだ数学とかなら分かるけど文系科目だろ。いくら昔神童と言われた雄二でもなにも勉強せずに社会で100点とるなんて無理ってことだよ。ってか俺が今受けても公民でつまずくから100点は絶対に無理ってこと。」

そして一時間後

 

 Fクラス       Aクラス

 坂本 雄二 【社会】 霧島 翔子

  53点    VS   97点

 

「本当じゃったのう。」

「うん。知ってた。」

「以上で4対1でFクラスの勝利です。」

高橋先生の声に少しの間静寂になる。

まぁ最後の試合がかなり締まらなかったからなぁ。

「とりあえず。俺たちの勝ちだけど雄二何か言い訳はあるか?」

「……」

俺は少し笑ってしまう。

「どうせ小学生レベルのテストってだけあって油断してたんだろ。」

「言い訳はしない。」

だろうな。

「霧島に勝つんだったら。俺の理数系か康太の保体で勝負するべきだった。この二つに関しては確実に霧島に勝っているからな。」

「……あぁ。」

「お前の成績だけがすべてじゃない。確かにそうだろうよ。ただ成績があったほうが武器になる。だからないがしろにしていいことじゃない。だからといって成績が全てといってるAクラスのやつ。そう言う奴がいるからAクラスは負けたんだよ。」

全員が俺の方を見る。

「今日のMVPは明久だ。誰がなんと言おうともその事実は変わらない。」

「えっ?ぼく?」

「お前以外に誰がいるんだよ。初戦木下に教科選択権があったにもかかわらず勝った。しかも6倍もある相手にな。」

木下が悔しいのか唇を噛む。

「康太も得意科目なら一生懸命に勉強して俺の点数を抜いた。姫路はFクラスの奴らが好きって言う理由で点数を伸ばす為に俺と鉄人に勉強を教わりにいっていた。明久は自分の唯一の強みを生かして格上の相手を倒した。雄二も今日は締まらなかったけど指揮する能力、弱点を的確につくことに限ったら霧島より凄いぞ。」

「……結局何が言いたいんだい?」

久保が聞いてくる。

「簡単だよ。つまりどこかで負けない。Aクラスだからまけるはずがないって言う油断があったからお前らは負けた。雄二もな。どうせ姫路と俺だけ警戒しとけば勝てると思ってたんだろ。Aクラスの奴らは。そんな思考がある限り俺たちには勝てない。まぁ勝ったことで油断するバカがいたら話は別だけどな。」

するとFクラスの生徒数人が反応する。

「さて、戦評も終わったし、戦後対談といこうぜ。Aクラスさん。うちのクラスは4でそっちが1だな。明久、姫路、康太、俺か。んじゃ俺からまずFクラスとAクラスは行事、勉学の向上目指す為に協力しあうこと。まぁ授業や学校行事でAクラスの設備を共同で使わせてくれ。ついでに勉強を教えてくれってことだな。」

「大沢くん。それは」

「ついでに学園長の許可はとってあるから言い逃れはできないぞ。まぁ、Aクラスに勝つことが条件だから勝ったし問題ないだろう。」

「くっ。」

Aクラス(主に男子が)嫌な顔をしていた。

「次、明久。」

「えっと。負けたことを木下さんや久保くんたちのせいにしないでほしいなぁ。」

なんか明久らしいよなぁ。

「んじゃ二つ目はそれだな。次姫路。」

「はい。久保くん、霧島さん私に勉強を教えてくれませんか?」

これには全員言葉を失う。

こいつはまだ成績をのばそうとしてるのか。

「もちろん、大沢くんもですよ。」

「まぁいいけど。俺も文系科目は教わりたいしな。んじゃ康太。」

「……もう終わった。」

「ふーん。じゃあAクラス。」

「……私が決めていい?」

「うん。結局代表以外はFクラスの人に勝てなかったからいいよ。」

「そうね。代表が決めていいわよ。」

するといつの間にか康太がカメラを取り出していた。

 

「それじゃ、雄二私と付き合って?」

 

教室中がまたもや静寂に包まれる。

「やっぱりな。お前まだ諦めてなかったのか。」

「……わたしは諦めない。ずっと雄二のことが好き。」

「楽お前こうなることが分かってたのか?」

睨みつけてくる雄二。

「まぁ知ってたな。霧島から相談されてたし。ついでに拒否権はないので。」

「だから、今からデートに行く。」

「ぐぁっ、放せ!楽おぼえてやがれ。」

「嫌に決まってるだろ。」

霧島に引っ張られている雄二を見送る。

「さーてと明久。勝ったから飯でも食いに行こうぜ。奢ってやるから。」

「いいの!!」

「あぁせっかくだし豪勢に焼肉に行くか。」

「ちょっと待って、アキは今日ウチにクレープ奢ってくれる約束なのよ。」

「ちょっと美波それは今週末の予定じゃ。」

「違います。私と映画に行くんです。」

「ちょっと姫路さん。それは話すらあがってないよ。」

明久は取り込み中の用だから別のやつ誘おうかな。

「あの。大沢くん。」

工藤が話しかけてくる。

「うん?」

「このあと見たい映画あるんだけど一緒に行かない?」

「映画?別にいいけど。」

どのみち暇だし

「本当!!じゃあ行こう!!」

「ちょ、手を引っ張るな。自分で歩けるって」

すると明久も二人に連れられて商店街の映画館に向かうらしい。

なんかこれからも騒がしい日々が続きそうだと頭を抱えた。


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