バカとオリと召喚獣   作:孤独なバカ

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Aクラス戦1

「では、両者共準備はいいですか?」

学年主任でありAクラス担任の高橋先生が立会人を勤めることとなっていた。

「あぁ」

「……問題ない。」

Aクラスの中に特別に作ったフィールドを挟み頷く。

「それでは一人目の方どうぞ。」

「アタシから行くよっ。」

木下が手を上げる。ってことは

「頼んだぞ。明久」

「うん。分かったよ。」

明久が前にでる。

「教科はどうしますか?」

「数学でお願いします。」

木下が高橋先生に言う。なるほどやっぱりそうだったか。

「それでは開始してください。」

「「試獣召喚(サモン)」」

幾何学的な魔法陣から二人の召喚獣が出てくる。

 

 Fクラス          Aクラス

吉井 明久  【数学】 木下 優子

  51点     VS     376点

あいつ本当にどうしようもないな。あいつ。でも良かった。腕輪が使えないから。

「これで終わりよ。」

かなりスピードを載せて槍を突き出す木下の召喚獣。だけど

「よっと。」

明久の召喚獣がその槍を避け

「えっ?」

「がら空きだよ。」

木下の召喚獣の胴に明久の召喚獣の木刀が当たる。

 

 Fクラス          Aクラス

 吉井 明久  【数学】  木下 優子

  51点      VS      336点

今の直撃で40点か。結構与えられるもんだな。

「ちょっと、大沢どういうことよ?なんでアキの召喚獣の召喚獣は戦死してないのよ。」

「観察処分者の唯一の利点だよ。なんども召喚許可をもらっているから召喚獣の操作に関してはこの学年トップなんだよ。だからただ点数が高いだけの召喚獣の動きなら避けられるんだよ。」

と言っている間にも明久は避けてカウンターを決める。オレも明久と最後の召喚獣テストの時に戦ったのだが腕輪を使わないと点数が減らせなかった。

「だからあいつは腕輪がなかったらこの学年で一番強いんだよ。それに」

オレは明久の動きを見る。かわしてカウンターを繰り返しているから、かなりエグい。

「ちょっとなんで当たらないのよ。」

「ああ言うことに木下はかなり弱いんだよ。秀吉から聞くにかなりの短気らしいからな。だから粘られた後には」

すると槍を大きく振りかぶったのでバランスが崩れ大きな隙がうまれる。

「明久今だ。」

「これで終わりだ!」

明久の召喚獣が助走をつけ、捨て身の突進をする。だから普通だったらオレでも避けられる簡単攻撃だがバランスが崩れていたので木下の召喚獣に直撃する。

 

 Fクラス           Aクラス

 吉井 明久   【数学】  木下 優子

36点       VS     DEAD

 

教室中が静寂に包まれる。

「嘘でしょう。」

木下の声が聞こえる。だけど

「明久よくやった!」

オレが明久の頭を思いっきり叩く。

その声に高橋先生は我に返り

「初戦はFクラスの勝利です。」

するとAクラスから悲鳴が、Fクラスからは歓声が聞こえてくる。それほどまでにも初戦は大きかった。

「ちょっと楽痛いよ。」

「お前最初に言うことそれかよ。」

苦笑してしまう。

「だって、楽の作戦だから勝てたんだから。」

「一人で勝てるように頑張れよ。まぁ、よくやった明久。後は下がってろ。後姫路。」

「はい?」

「点数高いからと言って油断してると明久みたいな奴に負ける可能性があるんだよ。点数が高いからって油断するな。」

「分かりました。」

「では次の方どうぞ。」

「んじゃオレだな。教科は数学。」

高橋先生の声にオレがステージに立つ。

「じゃあ、私がいくわ。」

とメガネをかけておかっぱ頭の女の子が前に立つ。

「佐藤かよ。確か理系はかなり高かったな。」

「えぇ。あなたほどじゃあないけどね。」

「あぁ。でも運が悪かったな。佐藤。」

「なんですか?」

「もうお前の負けが確定してるだよ。」

「まだわからないじゃあないですか?そっちのクラスの吉井君が木下さんに勝ったように。」

「まぁ、そうだけどな。」

「それでは開始してください。」

「「試獣召喚(サモン)」」

オレの召喚獣が現れる。そしてすぐに腕輪を使った。

 Fクラス         Aクラス

 大沢 楽  【数学】  佐藤 美穂

  301点    VS DEAD

「あれ?なんで?」

「オレの腕輪の能力だよ。テストの点を500点消費するかわりにフィールド全体の召喚獣を戦死させる。」

「……えっ?ちょっと待ってキミの点数元々何点だったの?」

「801点だけど。」

明久の言ったとおりに寝てからテストを受けたら集中力が上がったのかケアレスミスがかなりへっていた。

数学限定だったのけど。

「元々遠距離タイプの召喚獣なのに1対1だったらかなり不利だったから使わせてもらった。とりあえず高橋先生。」

「はい。Fクラスの勝利です。」

するとまた歓声が上がる。

「よくやった。楽。だけどなんでその腕輪試召戦争の時に使わなかった?」

「これ味方にも有効なんだよ。点数消費も激しいしそれなら一人で戦った方が強い。」

「確かに理数教科ならお主に勝てるのは先生にもおるかどうか分からないからのう。」

「それに通常攻撃にも点数消費するからかなり使いづらいんだよ。」

弾丸にも点数消費があるし。

「なんかごめんな。」

「別に。でもこれで2勝か。ほぼ勝ちは確定だな。」

「あぁこの次はな。」

「では三人目の方どうぞ。」

「………(スック)」

康太が立ち上がる。

「じゃ、ボクが行くよ!」

やっぱり工藤が手を挙げる。

「教科は?」

「……保健体育」

康太には伝えてある。工藤も保健体育が得意であることも。

「土屋くんだっけ?随分と保健体育が得意みたいだね。」

無言の康太。

「でも、ボクだってかなり得意なんだよ?……キミとは違って、実技でね。」

「お前、まだそんなこと言ってるのか。」

ため息をつく。

「大沢くん?」

「お前Fクラスの連中を前にそんなこと言うな暴走止めるの大変なんだぞ。お前みたいな可愛いやつがいうと本気にするやつがたくさんいるしな。」

すると工藤の顔が真っ赤になる。

「ふぇ?大沢くん何言ってるのさ。」

「この場合は大沢くんのいってることが正しいとおもうわよ。」

意外にも賛成したのは木下だった。

「えっ優子まで。」

「……愛子は可愛いから心配したほうがいい。」

「ちょっと代表!」

「だからお前は少し気をつけろっていってるんだよ。近くにいたら守ってやれるけど。」

「……」

顔を茹でダコのように真っ赤にさせる工藤。

「ねぇ、楽お前工藤と付き合ってるのか?」

「つきあってないけどそれがどうした?」

「あぁ、なんか珍しくお前が女子と話してるからな。」

「別に。なんでもねえよ。」

こいつにちょっと気になったからと言うとからかわれる原因になるので絶対に言わない。

「あのそろそろ召喚を開始してください。」

「大沢くん後から覚えておいてね。」

小声で工藤から聞こえてきた言葉には目をそらさせてもらおう。

試獣召喚(サモン)

「……試獣召喚(サモン)

すると前にみた小太刀の二刀流。対して工藤は巨大な斧か。

「ちょっと楽、ムッツリーニが。」

「知ってたか?明久、俺が唯一得意教科でトップになれない教科があること?」

「それと何がかんけいあるのさ!」

「バイバイ、ムッツリーニくん。」

工藤の召喚獣が康太の召喚獣を両断しそうになった。だけども

「……加速」

「えっ」

康太の召喚獣は射程外に出ていた。

「俺が康太に勝てるのはあいつの調子が悪い時で俺の調子が良かった時だけだ。」

「……加速終了」

 

  Fクラス            Aクラス

 土屋 康太  【保健体育】   工藤 愛子

  572点     VS      446点

 

血が吹き出して倒れる工藤の召喚獣

この結果Fクラスの勝利が決まった。


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