「ただし戦争のルールは違う。5対5の一騎打ちの個人戦だな。」
「あんた達何が目的なの?」
木下が聞いてくる。
「もちろんFクラスの勝利が狙いだ。」
雄二が言い切る。
「というか勝算がなければオレが止めてる。」
「まぁ、そうよね。あなたが負け確実の試合を考えるはずないわね。」
木下がため息をつく。
「まぁ、Aクラスには拒否権はないけどな。」
「どういう事よ。」
「まず断ったらこいつが代表のBクラスに攻め込まさせさせる。康太例の物を」
「……了解。」
康太はある本をオレに投げる。
「……それは?」
「Bクラス代表の趣味だよ。あっ女子はあまり生理的に受けつけない可能性があるから見ないほうがいいぞ。」「一体なん……」
1ページ目を見て木下は固まる。
ムッツリーニが1日で編集、撮影した根本の女装写真集、生まれ変わったワタシを見て!!だ。正直かなり気持ち悪い
「もし断ったらこの代表にメイド服姿でオレ達の前に戦ってもらうぞ。」
「……ちょっと待って。トイレに行ってきていいかしら。」
「……別にいいぞ。木下すまなかった。」
さすがに女装写真集の威力が強すぎたか。
「……まぁ、こんな変態に攻め込まさせたくなかったら戦争しろってこと。ついでにCクラスはDクラスに宣戦布告されているから脅すことも無駄だぞ。」
「……やられたな。とことん先手をとられてる。教科はどうするつもりだい?」
「選択制にしようと思っている。Fクラス3、Aクラス2でどうだ?ちょうどいい妥協点だと思うが?」
「うーん。」
「ついでに一つだけ。オレ達は教室の交換は行わない。一年間の同盟が目的と言っておこう。」
「「「えっ?」」」
すると全員が驚いたような顔がしている。
「ちょっとどういうことだよ。楽。」
「明久、落ち着けよ。正直オレと雄二が一生懸命考えた結果、3ヶ月後Aクラスから責められたならよほどなことがない限り守りきれないんだよ。」
「ちょっとどういうこと?」
「簡単だよ。戦力が違いすぎるんだ。」
オレはため息をつく。
「正直、クラス全員の戦力はAクラスにかなわない。」
「まぁ、それが妥当ね。」
木下が戻ってきた。
「だけどFクラスは個性の固まりだ。団体戦なら厳しいが個人戦だと勝てるものがある。オレの理系がその一般例だ。」
「なるほど。」
明久達が納得する。
「ってことでちゃんとしたやつじゃないからこれくらいが妥当じゃないか?」
「なるほど。でも僕達に利点はあるのかい?」
久保なら絶対聞いてくることだと思っていたのて切り札を出す。
「あるぞ。普通に。まぁ、簡単に言うと、一年間の互いのクラスに宣戦布告されないことそれと、勝ったクラスの勝ち数の分だけ相手の言うことを聞くっていうのはどうだ?」
するとガチャガチャと音が聞こえるが無視しておこう。
「……受けてもいい。」
とやはりそうだった。その言葉にニヤリと笑う。
「だ、代表。」
「その条件受けてもいい。」
「交渉成立だな。」
明久が雄二に何か言っていたがオレは交渉を続ける。
「ついでにもちろん命令と言っても学生程度だからそこには安心してくれ。」
「分かったわ。時間帯は」
「明日の放課後でどうだ?補充テストも終わっているだろうし。」
「えぇ。いいわよ。」
「なら。それで決定だ。」
「んじゃ明日の放課後オレ達がそっちの教室に行くと言うことでいいか?」
「えぇ。いいわよ。」
「じゃあ正々堂々と戦おうぜ。じゃまた明日な。あと工藤、うまかった。サンキュー。」
弁当箱を投げる。
「明日は負けねえから覚悟しとけ。」
「こっちこそ負けないよ。」
「んじゃまた明日。」
「うん。また明日。」
オレらFクラスは屋上をあとにする。ここまできて負けるとなったら完全オレのせいだな。
Aクラス戦の朝最後の作戦を雄二がクラスメイトにつげていく。
Aクラス戦の一騎討ちと言ったらビックリしていたがあっさりと賛成してくれたことには素直に驚いた。そして基本的に昨日全部聞いていたのでオレは今日のオレが対戦カードになる数学、保健体育の教科書を見ていた。その二つは今日補充テストがあるのでしっかり勉強しておかないといけない。
正直オレ、康太が負けたら他は勝てるかどうかは微妙なところだ。
100%落とせるところで落とされたら流れは完全にもっていかれる。だから絶対に負けるわけにはいかない。
士気を上げたり、作戦を考えるのならば雄二の方が向いている。オレが相手の行動を読み罠にはめることを得意としていた。つまりここは雄二に全部任せた方がいいだろう。
多分オレには工藤、久保、佐藤、木下を当ててくるだろう。絶対にここは倒さないといけない。一番有効なのはその2教科だ。
「楽。根詰めすぎじゃない?」
明久が話してくる。
「そうか?テスト前なんてこんなもんだろ。」
「うーん。そうかなぁ?」
「お前は勉強しなくていいのかよ。お前も今日出すって言っておいただろ。」
「ちゃんと勉強したよ。」
「……総合は?」
「653点」
「……」
こいつ、オレの七分の一もとれてないのかよ。
「まぁ、いいけど。作戦は伝えた通りにな。」
「…でも本当にそれで勝てるの。」
「お前ならできるだろ。」
「一応できるけど……」
「なら大丈夫だ。オレが作戦を立てて明久が動く。いつものことだろ。」
「そうだね。」
明久が頷く。
「だから、絶対に勝つ。やるなら勝って終わらないと胸くそ悪いしな。」
「相変わらずだね。勝てるかな?」
んなもん決まっているだろう。
「絶対勝つさ。」
オレは明久の頭を思いっきり叩く。
「何するのさ。楽。バカになったらどうするのさ。」
「お前、これ以上バカになる要素あったのか?近所の中学生にバカなお兄ちゃんって言われたんだろ。」
「なっ!そんな半端なリアルな嘘をつかないでよ。」
「ごめん。小学生だったか?」
「…人違いです。」
「ちょっと待て本当に言われたのかよ。」
こいつ小学生にバカにされるって。
「まぁ、明久は単純なところが強みだからな。」
「それ遠回りにバカっていってない?」
おっと珍しく勘がいいな。
「まぁ、簡潔にいうとバカにはバカの戦い方があるってことだ。卑怯でも勝てれば相手は文句言えないだろ。Aクラスを見返してやろうぜ。」
「まぁ、僕はバカじゃないけど……楽、借り一つね。」
「今度飯奢ってやるから。明久は二戦目頼むぞ。」
「任せて。」
すると雄二の方でも演説が終わりそうだった。
「楽は少し休んだ方がいいよ。召喚獣の扱いは集中力を使うから。」
「あぁ、んじゃ少し寝るか。一時間ほど寝てくるから誰か起こしにきてくれ。屋上にいるから。」
「分かったよ。」
オレは屋上に上がる。
さてとどこまでやれるか。
そしてどれだけ楽しめるか期待しておこう。