BanG Dream!ーMy Soul Shouts Loud!!   作:パン粉

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ついにやってしまった。R-18投稿という悪魔の所業を……

いいんですかねぇ……
界隈では二次創作はエロ禁止だとか言われてますが……

でも久しぶりにえろいの書くとモチベ上がるので、ちょくちょく書きますよ〜書く書く


8

 

 

「今度は真っ白かー。毛先もまた綺麗に染めちゃって」

「これからはこれで行くつもりよ」

 

 CiRClEの仕事をやる前にまりながヒビキのヘアカラーについてまた感想を入れた。ブリーチをしてまた白を入れ、毛先は青系のグラデーションに染めている。いい加減禿げそうな気がするが、頭皮の状態は友人いわく最高に良いレベルだそうだ。頑強さは頭までも保たれているのには流石にまりなも驚く。頭がおかしいレベルでの頻度で髪を弄りまくっているのだ、どこかおかしくなってもいいはずで、しかも頭を打ったと聞いているのに染めてしまうのだから、尚更頭をおかしくしてしまったのではないかと心配してしまう。それを悟るヒビキにぐさりと釘を刺されるが適当にごまかした。

 

 その時、唐突にヒビキが薫とこころが来る、と言った。果たしてそれは本当に来てしまって、臭いがしたんだと彼が当てた理由を聞いて見る辺り、それが本当になのだと信じ込んでしまう。音楽以外にも人間離れしてきてしまうと、最早彼を首輪で繋いだほうがいいのではと考えた。

 

「練習ないでしょ、かおちゃん」

「そのあだ名はやめてください……」

「えー?かわいいじゃん、かおちゃん」

「ほんとに……恥ずかしいから……!」

 

 顔を真っ赤にして辱めを受けさせる彼女は置いておき、こころはヒビキを見て、うんと頷いた。どうしたのかと思えば、その詳細を話し出す。

 

「ミッシェルがヒビキの手伝いが欲しいって言ってたの。DJだけじゃ色々と足りないからって!」

「なるほど。そのお使いに来たわけだ、こころちゃんは」

 

 くるりとクリップボードを皿回しのように扱って机に置く。それと、とこころはポシェットから黒のチェックと黄色の箱を取り出した。はい、とヒビキにそれを手渡せば、貰っていいのかとヒビキは恐る恐る聞いた。もちろんと答えるものの、多分彼女は価値を知らない。否、ヒビキくらいしか価値はわからないだろう。

 

「コイーバのベイーケ56、10本……!?6万くらいするな……」

「パパがそれ持っていってって!ヒビキのファンだって言ってたわ?」

「え、どちゃ嬉しいんだけど」

 

 うおおおお、と一人興奮するヒビキ。ありがとうとこころにお礼を言うものの、いいのいいのと返された。お金持ちの金銭感覚はわからない、と言うと恐らくブーメランが返ってくることだろう。おまけにシガーマッチまでついている。ヒュミドールまで渡されて、今日の仕事これで終わりと言わんばかりの報酬だった。

 

 あと、とヒビキのデビューアルバムをこころが手渡した。インディーズでソロ名義で出したこの一枚のCDは口コミ効果でじわじわと売れた、プログレッシブメタルにジャンル分けされるものだ。ケースを開ければ一番最初の方にプレスされたものとわかって、単なるミーハーなファンではないことに気づく。店のサインペンを借り、レーベル面にきゅきゅっとサインを入れると、こころの笑顔は更に強くなった。これで彼女の父親もまた大いに喜ぶ事だろう。

 

 

 ライブイベントの運営を終えて、疲れ切ったバンド達に労いの言葉をかけてから掃除に入る。CiRClEのライブのPA担当は基本的にヒビキだ。ここでもヒビキノートが存在して、マイキングやミキシングなどは全て彼に委ねられる。ありがとうございました、とヒビキに礼を言っては引き上げていくバンド。彼らを見送ると、アンプやドラムのチェックに入って、ヘッドを張り替えたりチューブのヘタリ具合を診たりした。

 

 熱心に働く彼の真面目さを映画監督は買ったのだろう。怪我で離脱は残念な事だと周りは思うが、更にもう一つ貴重な才能を得たのだから喜んでおくのがスジかもしれない。バンドとしては超一流に育て上げられたPastel*Palettesは、ロゼリアをも凌駕すると言っても過言ではない。こんな男を雇っている自分の眼を誉めてやりたい、そうまりなは思った。

 

 黙々と働く彼の背中。ひよこが大きくプリントされたTシャツがせわしなく皺を作ったり伸ばしたりする。大きめのサイズなのであろう。メンズスカートからすらっと伸びるスキニーの長い脚、ブーツのかつんかつんというソールの音、全てが今のヒビキの音楽の材料であった。どこまでこの男は音楽と仲良くしていけるのであろう。その先をまりなは見てみたくあって、もしかしたらこの気概に自分は惹かれているのかもしれないと気付き出した。

 

 ほぼ同い年の自分たちは、彼に今惚れている女の子達と違い、社会的に何の障害もない。しかし、周りの声を気にするのが恋ではない。本当に好きなら、惚れているなら、周りがどんなにとやかく言おうと自分を貫くのが恋愛というものだ。

 

「ん……」

「どうしたの、まりなちゃん?いきなりひっついたりしてさ」

「たまには私も甘えさせてよ。他の女の子ばっかりずるい」

「いつでも甘えていいよ。まりなちゃんなら大歓迎!大事な先輩だしね」

 

 ニッコリ笑う顔は今まで見てきた中で一番女の子らしい。もしかして自分は同性愛なのでは、と疑うものの、相手はれっきとした男の子だ。片腕一本でアンプヘッドを担ぎ上げる姿はまさに男の証明。というか、成人男性でもこれは出来ない。 

 

 ライブの見物人としてきたハロハピは、ヒビキの片付けを自主的に手伝った。バイト代も出ないのに熱心にやってくれるこの5人、ガルパがあるからなのだろうが、ここまでやってくれるとは思ってはいなかった。ありがとね、と今日は感謝しっぱなしのヒビキになんてことはないとはぐみとこころは答えた。ちょっとだけ疲れたような花音と美咲に頭をぺこりと下げて、薫にはまた頼むよと言う。ご褒美、とドリンクを一杯だけタダで振る舞って、彼はロビーの椅子に座って寛ぎ出した。ふう、と疲れてはいないのにまるでそうしたかのように息を吐き、飲み干して皆で帰るハロハピを見送ってから自分も帰り支度をする。

 

 バイクに跨るときに、まりなが事務所にあるもう一つのヒビキのヘルメットを被ってちゃっかり後ろに座った。エンジンをかけて彼女に話しかける。どこまで行けばいいんで、と。

 

「駅!」

「はいはーい」

 

 安全運転。ヒビキの腰にぎゅっと腕を巻きつけ、体重を乗せる。そのまま7分程して駅に、そしてそこでバイト帰りのモカと会えば客交代。商店街まですぐに飛んでいった。

 

 

「この髪も素敵ですよ。ヒビキさんっぽいですなぁ」

「そう?」

「そう。高校のときってこんな色でしたよね?」

「確かにそうだなぁ。生徒指導部に勧められた色だったなこれ」

「そんなに校則緩かったんですね」

 

 トロトロと走らせるバイクはモカのリクエストでやまぶきベーカリーに到着した。途端、純と沙南が出てきてヒビキに抱きつく。肩に二人を乗せ、出てきた沙綾にここに停めるよと許可を貰ってから邪魔にならないところに移動してロックした。

 

 メットを外して店の中で二人を降ろす。親の仲がよかったもので、ヒビキが高校生の時から付き合いのある彼女にもやはり懐かしい髪色だと思ったようだ。白髪のヒビキはやはり新鮮な様で、ちびっ子二人は一瞬ヒビキの偽物かと思いつつも、声音と仕草は彼であるのだからすぐに受け入れる。

 

「んー、これ。あとこれ」

「相変わらずよく食うな」

「成長期なんで。あとはこのエピ10個!」

「お代は誰が払うの?」

「ぬふふ……ポイントカードがあるんだよね。さーや」

「うわ、よくここまで集めたね?」

「ヘビーユーザーだからねぇ。ヒビキさんも一個奢ってあげますよ」

「じゃあこのクリームコロネを」

「チョココロネもいいですよぉ!」

 

 トレイには山盛りのパン、そこでヒビキはコロネを指差す。ちょうどチョココロネ目当てで来たりみがヒビキにぐいっと寄ってきて、チョココロネの愛を存分にぶちまける。勢いに気圧されチョココロネを2つほどとると、もっと!と押された。

 

「いや、十分だから……。それにこれ以上取るとりみりんの食べる分無くなるし」

「あっ……」

「いや~、愛が深いですなぁりみりんは。さーや、お会計よろしく~」

「はーい」

 

 熱くなったりみの背中をぽんぽんと叩いて励ましてやる。好きなものにこんなに熱くなれるのは素晴らしいことだと褒めて、逆にりみを照れさせた。相変わらず人の扱いがうまいなと沙綾とモカは感じる。あんな風になれればな、と昔から思っているが、なかなかそううまくいかない。お人好しで面倒見がいいのは沙綾も同じなのだが、さすがに彼には及ばないと自認している。ヒビキもささっと会計を済ませ、モカはそこで別れて、りみが今度はヒビキの後ろに座る。それなりに大きいバイクではあるが、ゆっくりと動かしていく為に恐怖感も何もない。そうして牛込家に着けば、出迎えのゆりがヒビキにまた抱き着いた。

 

 段々香澄と行動パターンが被ってきている。あははと力なく笑うヒビキだが、あまりR指定の方に向いていないのはこの子だけかもしれない。ぐいっと長い腕で彼女を抱き上げて地面に下ろす、と同時にりみも姉に倣って抱きついてきた。

 

 ――俺はぶら下がり健康機か?

 

 少しだけ気になって見に来た彼女たちの両親は、ニヤニヤしながら戻っていった。親公認ということになったのとほぼ同義、ヒビキの受難はまだまだ終わらないことだろう。


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