....暁の水平線に勝利を刻むのだ
.... は本当に犬みたいだな
....!応答しろ!どうした!何があった!
....嘘だろ…冗談だと言ってくれ!いつもみたいに笑顔を見せてくれ!
....ははは…もう… は本当にいないんだな…
....待っていてくれ。そっちへ行くのはもう少し先になるが、必ず平和な海を取り戻してみせる
....お前の願いは必ず俺が叶えて見せる
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ゴポゴポゴポ
....クライ
....ナニモミエナイ
....ココハドコ
....ワタシハ…ダレ
....ワタ…シハ…
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?「...督。起きてください」
提督「うぅぅん。」
?「提督。起きてください。そんなところで寝ていると風邪をひきますよ」
提督「んんん...?」パチ
提督「ふぁぁぁ...おはよう。済まない、寝てしまっていたみたいだ」
?「いいえ、提督がお疲れな様子は皆知っています」
?「しかし、そのまま寝てしまっていると風邪を召しませてしまいますので、申し訳ありませんが声をかけさせて頂きました」
提督「ああ、ありがとう。助かったよ。大和」
大和「当然のことをしたまでです。ですけど提督?最近は根を詰めすぎなのでは...?」
提督「そんなことはないさ。少し寝不足だっただけだ」
大和「少し、ですか。もう少しお体をご自愛ください。皆も心配していましたよ?」
提督「すまない。だが、私には悠長にしている時間はないのだよ」
大和「提督のお気持ちもわかります。いつも私達の事を一番に考えてくださっているのも伝わっています」
大和「ですが、少しご自身を蔑ろにし過ぎています。提督が私達をご心配してくださるように、私達も提督を心配しているのです」
提督「その気持ちは凄くありがたい。しかし私にはやらねばならないことがあるんだ」
大和「わかっています。何よりも戦争を憎み、平和を愛する提督の願いですから...」
提督「ああ。いつまでも戦争を長引かせちゃいけないんだ。何処までも美しいあの青い海を取り返す」
提督「それが、...との約束でもあるんだ」ボソ
大和「...?提督?何かおっしゃいましたか?」
提督「いいや、何でもない。残りの執務を進めよう」
大和「わかりました。では、こちらの書類はお任せください」
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.... はいつも構ってほしがるよなぁ
....ん?プレゼント?俺にか?...ありがとう!大事にするよ
....え?お返しが欲しい?何が欲しいんだ?...え?もう一度言ってくれ
....本当に欲しいのか?後悔とかしないんだな?
....わかった。ならこのユビワを…
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???「マックラデ...ナニモミエナイ....」
???「ワタシハ...ココデナニヲシテイルノ...」
???「ナニカヲマッテイル...キガスル...」
???「オモイダセナイ...オモイダセナイノ...」
???「ヒカリノサキニ タダズムアナタ...アナタハ ダアレ?」
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コンコン
提督「入れ」
?「失礼しまーす」
?「第二艦隊、遠征より帰投したよ!遅いよね?」
提督「遅くはない。時間通りだ。いつもありがとう、島風」
島風「おーそーいーのー!皆に合わせると遅くて退屈しちゃうんだもん」
提督「そんなこと言わないでくれ。皆で助け合って任務をこなす。素晴らしいことじゃないか」
島風「島風が合わせるだけじゃいやなの!皆からも合わせて欲しいの!」
提督「あまりわがままを言わないでくれ。島風の速さにはいつも助けられている」
提督「持前の速さで、艦隊の皆を引っ張りながら助け合っていってほしいんだ」
島風「...。提督の中で私はいちばん?」
提督「島風"も"一番だ」
島風「私だけじゃないんだよね...」ボソ
提督「ん...何か言ったか。島風」
島風「いいえ、何でもありませーん!では、報告終了!補給いってきまーす!」
提督「あ、ああ。御苦労さま。艦隊の皆にも労ってくれ。これを、間宮券だ」スッ
島風「間宮!ありがとうございまーす!じゃあ、いくね!」バタン
提督「うむ。元気があっていいことだ」
大和「提督?あまり問題を先送りにしていると、手痛いしっぺ返しがいつかきますよ...?」
提督「わかってはいるんだが...私には応えることができないんだ」
大和「...やはりまだ"あの事"を...」
提督「.......。」
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....汝、健やかなる時も病める時も
....え?いらない?儀式だぞ?
....そんなことより早くユビワを寄こせって?待て、落ち着け
....過程も大事だろ?一生に一度のことなんだぞ?
....幸せ?だから?待てない?待て!話の脈略が!
....あ…!全く…俺はお前のことをおもっ...!ング
....おい…不意打ちは卑怯だ…
....こんな思い出も俺達らしいって?ははっ…確かにそうだな
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???「アタタカナ キモチ」
???「ワタシハ コンナキモチハ シラナイハズナノニ」
???「イカナキャ....アノヒトガ マッテイル」
???「イマスグイクネ.......トク」
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提督「何だって?新型の深海棲艦だと?」
大淀「はい。これまでに発見された深海棲艦とは全くの別種みたいです」
提督「特徴はあるのか?」
大淀「あまり情報がないので不確かな情報になりますが…」
提督「構わない。少しでも知っていることを教えてくれ」
大淀「わかりました。まず、大本営は新種のサイズや装備から”駆逐艦”と判断しました」
提督「駆逐艦...姫級や鬼級か?」
大淀「はい。クラスは姫になると思います。しかしこれまでとは全く別物で…」
大淀「装甲は高そうには見えません。しかし、回避性能と火力の桁が違います」
大淀「それに、目に入るモノは手当たり次第攻撃してきます」
大淀「その凶暴さと攻撃性から、大本営は新種を”暴走駆逐鬼姫”(ボウソウクチクキキ)と名付けました」
提督「暴走駆逐鬼姫…?」
大淀「はい。戦闘が激化していくにつれて敵味方問わずに攻撃するそうです」
提督「深海棲艦にも…か?」
大淀「そのようです。普段の目は碧色なのですが、暴走すると目が赤色になるそうです」
提督「スイッチが入るようなものか…それは厄介だな」
大淀「最初の出現場所から徐々にこちらへ近づいているようです。”発見次第速ヤカニ排除スルベシ”と大本営からの通達です」
提督「わかった。皆にも注意するように伝えておこう」
大淀「そのほうが宜しいかと。宜しくお願いします」
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....将来の夢?この青い海を平和にすることさ
....それ以外で?うーん、直ぐには思いつかないな
....え?何でそこで拗ねるんだ?
....もういい?俺がよくない。どうしたんだ一体
.... のこと…?ハハハ、そんなことで拗ねていたのか
....痛い痛い、叩かないでくれ。蔑ろにしたわけじゃないさ
....カッコカリでもケッコンはしただろ…?俺はカッコカリのつもりはないんだけどな
....真っ赤になりやがって。愛いやつめ。
....この戦争が終わって平和になったら…死が二人を分かつまで一緒にいような
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???「チガウ...コイツジャナイ」
???「チカヅイテルハズナノニ」
???「トオクニカンジテシマウ」
???「ワタシノココロニイル アナタハダレナノ」
???「どオシて こンナニ くルシイノ....」
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ビービー
提督「どうした!何事だ!」
ガガッ
??「提督!出やがった!新種のアイツだ!」
提督「何!?暴走駆逐鬼姫か!」
??「そうだ!もう鎮守府の近くまできてやがる!」
??「畜生!ここでやるしかねぇのかよ…!」
提督「天龍!無理するな!お前は今遠征用の装備だろう!一旦戻って体制を立て直せ!」
天龍「だめだ!一緒に出ている駆逐艦共がびびってやがる!」
天龍「ここで誰かが足止めしないと、全滅の危険だってあるんだぜ!」
天龍「この中で一番錬度が高くて、軽巡洋艦のオレが残るほうが生き残れる確率が高い!」
提督「だめだ!すぐにこちらから援軍を向かわせるからすぐに逃げるんだ!」
天龍「そんなの待ってられっかよ!提督だってわかってんだろ!?全員で逃げたところですぐに追いつかれる!」
提督「だからって!誰かを犠牲にしていいわけあるか!」
天龍「黙れ!その判断ミスで全員を轟沈させてしまってもいいのかよ!?」
提督「っ!!!!」
天龍「提督…オレだってこんなとこで沈むつもりなんてねぇよ」
提督「天龍…」
天龍「少しくらいオレ様を信じたらどうだ?なんたって世界水準をこえてっからよ!」
提督「…わかった。随伴の駆逐艦は急いで鎮守府へ戻れ!こちらからもすぐに出れる艦で編成を行い援軍へ向かう!」
提督「別に倒さなくてもいい!それまで絶対に耐えてくれ!」
天龍「わかったよ。オレだってやれるってところみせてやるぜ」
天龍「こんなやつの一匹や二匹なぁ…朝飯前だってよ!」
提督「…必ず援軍を送る!無茶するなよ!天龍!」
天龍「わぁってるっての。うるせーな。全てこのオレに任せておけ!」プチッ
提督「…くそ!」
提督「動ける艦をすぐに編成!点呼はいい!すぐに天龍の救出へ向かってくれぇぇ!」
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天龍「へっ。最後までいらねぇ心配しやがって」
天龍「ほら、お前たちは先にいけ。ここはオレが食い止めてやっからよ」
天龍「心配すんな。オレが嘘をついたことがあるかぁ?」
天龍「あんな奴はオレ一人で余裕だ。余裕。」
天龍「逆に守りながらは戦えねぇ。…わかるな?」
天龍「よし、いい子だ。お前たち!行け!」
天龍「…漸くいったか…」
天龍「お前たち…すまねぇな…。これが最初で最後の嘘になるかもしらねぇ」
天龍「最初から諦める気はさらさらないがな…!」
天龍「へっ!来な!化け物!オレ様が相手になってやるぜ!」
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.... !しっかりしろ! !
....頼む…目をあけてくれよ…
....お前に言いたかったことが山ほどあるんだ…
....愛してるの一言も言えなかった…
....もっとたくさん行きたいところもあったんだ
....約束、しただろ...?
....こんなに早くに来るなんて…思ってもいなかった…
....ははは…艦娘が陸で死ぬなんて笑えないよな…
....お前の墓は建てない。思い出はいつも胸の中に
....安らかに眠れ。多数の英霊が眠るいる水底で…
....愛していたよ。 ち…
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???ち「ソコニ イルノネ」
???ち「ジャマヲシテキタ カンムスハ モウイナイ」
???ち「イマカラソッチヘイクネ」
???ち「テイトクさん...」
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提督「大和!状況はどうなっている!」
大和「もうすぐ天龍さんと最後に通信したポイントへつきます!」
提督「頼む!急いでくれ!」
大和「わかっています!そろそろ目視で見えてきます!」
大和「見えてきました!あれは…」
提督「大和!?どうなっている!状況は!?」
大和「…目標ポイント到着…状況は駆逐鬼姫が一体…」
提督「な…!?」
大和「味方の艦影…見エズ…」
提督「何だと…!」
大和「敵…高速で接近…会敵します!」
提督「ちくしょおおおおおおおおおお!!!!!!!」
提督「天龍…!くそおおおお!私が…俺があの時に判断を間違っていなければ…!!」
大和「きゃあああああ!」
提督「大和!どうした!何があった!」
大和「くっ…あり得ません…何で…どうして…」
提督「大和!どうした!大和!!!!」
大和「第一艦隊…駆逐鬼姫と会敵…戦闘開始しましたが…」
大和「会敵からわずか一分足らずで味方四隻がロスト-轟沈-…」
提督「なっ…」
大和「旗艦-大和-大破…通信中に最後の味方一隻がロスト-轟沈-…」
提督「嘘だろ…!大和!嘘だといってくれえええ!」
大和「提督…申し訳ありません…。大和も…約束を守れそうにありません」
提督「大和!頼む!逃げてくれ!大和!」
大和「大和は…提督を…お慕いしていました…」
提督「大和!死ぬなあ!大和ぉ!」
大和「提督…愛して…」
提督「大和…?大和!?やまとおおおおおお!」
提督「はは…何だよ…皆して約束を守れねえやつばっかだ…」
提督「もう誰も沈めたりしないと誓ったのに…!」
提督「ううっ…くそぉ…!ぐっ…!何でだよぉ…!」
提督「これは…俺の罰なのか…なぁ…教えてくれよ…夕立…」
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??だち「テイトクさン もうじゃマするヤツはイナイ…」
??だち「やっとあえルンだね…」
?うだち「いますぐいくヨ…」
夕立?「待っててね?提督さん…」
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提督「ヤツはこちらへ向かっているのだろうか」
提督「鎮守府にはもう艦娘はいない」
提督「最高戦力をぶつけても勝てなかった相手だ。悪戯に被害を増やしてしまうだけだろう」
提督「そうなる前に艦娘達には応援を呼びに行けと命令を出して離れさせた」
提督「次の提督の元で幸せに暮らせることを願っている」
提督「夕立…もうすぐだ。志半ばで無念だが…漸く会いにいける」
提督「すぐそっちへ行くからな…」
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ドガーン
提督「漸くお出ましか」
駆逐鬼姫「ていとくさん おむかえに きたよ」
提督「散々私を苦しめた挙句、命を奪いにきたか」
提督「一思いにやってくれ。私はもう疲れてしまったんだ」
駆逐鬼姫「ていとくさん お疲れっぽい?」
提督「お疲れっぽいんだ…。え…?ぽい?」
駆逐鬼姫?「ぽい」
提督「お前は…まさか…」
駆逐鬼姫?「ていとくさんがお疲れなら 夕立が癒してあげるっぽい?」
提督「なんだ…これは。私は夢を見ているのか…?」
駆逐鬼姫?「夢だなんてひどいっぽい。これはちゃんと現実っぽい」
駆逐鬼姫?「現実-リアル-だよ?私がミンなを沈めたヨ?」
提督「…!!」
駆逐鬼姫?「サア、ていとくさンも一緒にナろ?」
駆逐鬼姫?「暗クテ…あたたか-ツメタ-イ…水底へ…」
提督「ああ…そうか…君が迎えにきてくれたんだね…」
提督「皆には悪いことをしてしまったが…私は…俺は最後にこうして君と会えた」
提督「不謹慎なことだが…俺は幸せものなのだな…」
駆逐鬼姫?「みンナ待ッてルヨ・・・?」
駆逐鬼姫?「全テを海の揺ラメきニマカセテ…全てヲツツんデクレル…深海デ…」
駆逐鬼姫?「みンナシアワセになルっぽい…」
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初投稿 処女作です。
至らぬ点も多いと思います。意見や感想、指摘など大歓迎です。
誤字脱字あれば報告お願いします。
拙い文章ですが少しでも面白いと思っていただければ幸いです。