イナズマイレブン ~『必殺技』に憧れて~   作:@ドラゴン

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更新が随分と遅れて申し訳ないです………

待って頂いた方、更新がない間にお気に入りして頂いた方に感謝を。

超難産だった……

世宇子以来試合が全然無くて必殺技も出せなくて、待たせた上でのこの駄文ぷり…………酷評の嵐が見えるぜぇ…

評価やお気に入りの減少なんか怖くねぇっ……!

さぁ来い!ほんの些細な事で俺のメンタルは死ぬぞぉ!










茶番はここまで、本編をどうぞ



第36話 衝撃の真実

 

 

 

学校の破壊、か……何もかも壊されちまってるな。

 

宇宙人と戦った翌日、俺は瓦礫の山と化した雷門中へと訪れていた。

呼び出されたのもあるが、それ以上に学校の現状をこの目に映しておきたかった。

昨日は直接傘美野に行き、その後も雷門へは帰らなかった事もあり、どんな姿になっているか見ていなかったからだ。

 

 

 

もし、俺が皆と一緒にバスで帰っていれば、そんな後悔が募るが………いや、結局何も変えられないんだろうな。

 

そんなものは俺の思い上がりだ。

 

帝国の時も、世宇子の時も、いつも傷だらけなのは皆だけだった。

そんな皆を守ろうと奮起して、動き回って―――そして俺は一体何が出来た?

俺の思いも行動も、全て無意味で無価値で………そして今回もまた不様に……

 

分かっている、分かってはいても………それでも、あの時あの場所に共にいられたら――、そんな傲慢が湧き上がる自分が…………嗚呼、本当に嫌になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれくらいそうしていただろうか………ふと、ザッザッ、と俺の元へ近付いて来る音が聞こえる。

 

「……よぉ、身体の方はもう大丈夫なのか?」

「お陰様で、な」

「親父が驚く顔を見るのを久しぶりだったな、何せ完璧な応急処置だったそうだ」

「そうか、役に立てたんなら良かった。

――――で、話ってのはなんだ。鬼道、それに豪炎寺」

 

「そうだな、単刀直入に聞こう。

天願、お前―――――()()()()()()()()()()()()?」

 

「…………………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼道side

 

 

 

 

鳩が豆鉄砲を食ったよう、とは今の天願みたいな事を言うのだろう。

何を言われたのか分からない、そんな風に呆然としている。

 

「勘違いされない為に先に言っておくが、必殺技の時と普段の動きの()の事もじゃない。

お前の、()()()身体能力の事だ」

 

「ちょっと待て、意味が分からねぇ。

本当のって………まるで俺が全力じゃないみたいな言い方じゃ―――」

 

「そう言っている」

 

混乱している天願の言葉を遮って断言すると

 

「なん、で……」

 

この様子、以前奴の弱点を告げた時と同じ―――いや、あの日と比べものにならない程激しく狼狽している。

前回の件もあって予測はしていたがやはり無意識か……

 

 

「お前は途中から来たから知らないだろうが、あの時俺達は宇宙人に手も足も、それどころか反応すらさせて貰えなかった。

世宇子と渡り合った俺達が、だ」

 

「豪炎寺の言う通り、奴等の能力は世宇子よりも遥か上のものだった。

つまり、その世宇子相手に互角の立ち回りを見せていたお前でも太刀打ち出来る筈は無かったんだ………本来ならば。

 

なのに昨日の試合で張り合う所か、凌駕すらしてみせた。

それもお前が余力を残している(必殺技を使っていない)状態で、だ」

 

そもそも世宇子との時だって本当に互角だったのかすら怪しい。

今思い返すと世宇子イレブンに集中的なラフプレーを受けて尚無傷だった事の異常さが分かる。あいつと競り合った者が擦り傷程度とはいえ、怪我があったにも関わらず、だ。

本当に同等の身体能力を持つ者同士で打つかり合って、それで怪我をしたのが一方だけなんて……偶然にしては出来すぎだ。

 

イナビカリ修練場の頃の話を聞くに全く成長がなかった訳ではないのだろうが、恐らく今までは無意識下で対峙した相手に合わせて出す力を変化させていたのだろう。

こう考えると木戸川のFWよりやや上だった身体能力が、世宇子イレブンに匹敵するレベルまで一気に上がった事の辻褄も合う。

 

「昨日の『ファイアトルネードDD』の失敗、あれはお前の急激に上昇した身体能力によって、力が不安定になりインパクトのタイミングもズレたから事によるものだ」

 

「お前の性格やプレーを見ていれば、意識して手を抜いていた訳じゃないのは予想できる。

だが、これから宇宙人と戦うにあたってお前の本当の実力を出しきれるかどうかが勝敗を分ける鍵の一つである事は間違いない」

 

「…………」

 

相当ショックだったのだろう、目の焦点は合わず顔は青ざめて絶句したままの天願に声を掛けようとして……

 

 

「ん――――あれは……」

 

 

 

Side out

 

鬼道と豪炎寺から告げられた事実が、耳に貼りついたまま離れない。

 

全力を出していなかった………?

なんだ、それは―――――つまり俺は、仲間が傷付いて倒れていくのを見て、それでも手を抜いていたのか?

仲間を守る為に奮闘しようとしていたのも、全てはフリだったと………そうなるのか。

 

エイリア学園との試合で分かったって事は、世宇子戦では確実に手を弛めていた訳で……

 

今入院しているアイツらは世宇子とエイリア、2つの試合の負担が積み重なった為によるものだ。

 

もし俺が世宇子戦で全力を出しきれていたなら、アイツらの負担もずっと少なくなって、入院しなくて済んだんじゃないか?

 

「……―――!」

 

エイリア戦もだ、昨日のアレが俺の底だという保証はない。

本当は更に上があって、それさえ出していれば黒いボールを受け止めて、校舎を完全に守れていたかも………

 

おい……―――ん!」

 

無意識だったから、だから?

入院しているアイツらを見て、どの面下げてそんな台詞を吐け――――

 

 

「――――天願!」

 

 

「どうしたんだ、天願?」

 

気付けば円堂が顔を覗き込んでいる。

 

「………円……堂。

いつから、ここに?」

 

「いつからって、さっきからずっと声掛けてたじゃないか……大丈夫か?」

 

周りを見渡すと円堂だけじゃない、今動ける雷門イレブン全員が集まっていた。

 

「まさか、宇宙人との戦いでどっか怪我でも!?」

 

円堂の問い掛けと同時に驚きが、それよりも大きい不安を含んだ空気が広がる。

 

「いや、大丈夫だ、問題ない。

……俺の事は気にしなくていい」

 

そう返すとすぐにその空気は払拭され、場に安堵の思いが満ちる。

 

―――――ふと、思った。

皆が揃っているこの場で全てを打ち明けてしまおうと。

どんな言葉を浴びせられようと、それは受けて然るべき罰。

ここでひた隠しにして後で今より酷な状況で発覚するかもしれない。

なら、その憂いはここで絶ってしまった方が良いはすだ。

そう思い至り口に開こうとして―――――

 

「良かったっすーー。

半田先輩や皆に加えて天願さんまでいなくなるかと思うと……!」

 

「天願さんがいるなら心強いでやんすね!」

 

「何せあの宇宙人と互角にやりあう程だしな」

 

「あの決勝が終わったばかりなのに、お前の非常識っぷりがここまで頼もしく思える日がこんなに早く来るとは思わなかったな」

 

「次こそは宇宙人のボールを止めてみせる!

頼りにしてるぜ、天願!」

 

…………掛けられた声から気付いた。()()()()()()()()

 

それに程度の差はあれど、()()()()()()()()と期待している事に。

 

それはそうだ、誰にもどうにも出来なかった盤面を唯一人で動かせる奴がいれば―――――()()()に向けられる期待を、思いを想像する事は難くない。

 

自らの勇気の発露か、円堂に鼓舞されたからかは分からないが、昨日の出来事を思わせない程に活気付いているその姿を目にした俺は―――――

 

 

 

「ああ、やられっぱなしは性に合わない―――次は負けねぇ!」

 

 

―――――普段の自分を演じた

折角持ち直したばかりのアイツらを崩す真似など、到底出来るものではなかったから。

 

………大丈夫、真意を隠し通すのは慣れてる、いつも通りの俺を演じ続ける―――いずれ、真実を打ち明けるその日まで。

 

…………問題の先送りでしかないのは分かっているが、他に取る手なんざ浮かばねぇしな。

 

より活気付く皆を見ながら、いずれ訪れる破綻、その瞬間への覚悟を固めていくその背に、憐れみと遣る瀬無さを含んだ悲しげな2つの視線が向けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、次は天願だけじゃない、俺達全員の力を見せ付けてやろうぜ!」

 

「「「おお!!!」」」

 

再びチームの勢いがついた所へ

 

「――――待って、時間がないわ。

怪我してる皆を待てる?

それに、まだ全員が全快と言えない現状を交代無しで戦い抜けるの?」

 

夏美が待ったをかける。

人数こそ足りているものの、怪我が完治している訳ではないのだ。

今の状態で宇宙人と戦えばより怪我が悪化してしまうだろう。

皆の回復に加え、宇宙人との能力差は埋める為の時間も必要だ。

俺達には絶対的に時間が足りていなかった。

 

「だけど、やらなきゃ………!」

 

かと言って、その間宇宙人が侵攻しているのを黙って見ている訳にも………

 

「――――そうだ、やらねばならん!」

 

 

「監督!」

「校長先生!?」

 

思考が埋没していたその時、響監督と校長先生が現れる。

監督は一言、着いて来いとだけ言って足早に立ち去って行く。

 

 

説明のない監督の発言に困惑しつつも着いて行くと……

 

「イナビカリ修練場?」

 

「良かった。ここは無事だったんだな……」

 

「そうか!次のエイリア学園との対戦に向けて特訓するんですね!」

 

円堂が合点がいった、と問い掛けるも監督は沈黙を貫いている。

 

―――もしや、まだ目的地に着いていない?

 

黙したままの監督が歩く先にはエレベーターが………こんなものあったか?

 

 

赤い光に満ちているエレベーターに乗って少し、停止の音声が鳴り、扉の開いた先には………

 

何かの映像が映されているモニターや用途不明の機材が置かれた部屋が――――見た感じでは、会議室が一番近いか?

 

モニターの前に立っているのは………

 

「ここは一体………それに理事長!?」

 

俺達一人一人を見渡した理事長は良く来てくれた、と前置きして話し始めた。

 

「君達だけでも無事で良かった。

最早一刻の猶予もない、エイリア学園はこれからも破壊活動を続ける事だろう。

奴等の侵攻を阻止するには地上最強のサッカーチームを作らねばならんのだ!

そして、エイリア学園を倒す為には」

 

発言の途中だが、理事長が言わんとしている事を察した円堂が先んじて口を開く。

 

「―――――理事長、俺達にやらせて下さい。

いえ、俺達がやります!

皆、やろう!日本一の次は、宇宙一だ!」

 

「「「おお!!」」」

 

…………一応、アイツらが本当の宇宙人でない事は知っているんだが―――まさか、日本から一気に宇宙とはな。

 

ん?これは……昇降機の作動音か?

 

「準備が出来次第出発だ。

円堂、それに天願、頼んだぞ」

 

「えっ………頼んだぞって、監督は?」

 

「俺は行かん」

 

きっぱりと言いきった響監督の発言に皆が唖然とした様子になる。

 

それと同時にエレベーターが降りて来たが………来ないな?

気配があるから人が居るのは間違いないんだが。

 

「響監督には私から頼んでいる事があるんだ。

これもエイリア学園と戦う為に必要な事でな」

 

「ちょっ……もしかして俺達、監督無し?」

 

「理事長………!」

「監督が居ないなんて、そんなぁ……」

「そんなの勝ち目が無いでやんす!?」

 

「落ち着け、響監督が行かないって事で、監督不在とは言われてない。そうでしょう、理事長?

差し詰め、たった今到着された方が新しい監督、という事ですか?」

 

 

言いながら振り向くと、機械的な音声と共に昇降機の扉が開かれ――――――――っ!?

あの姿、俺の記憶が正しいなら………!

 

「話が早くて助かるよ、紹介しよう!

これから君達の監督を務めてくれる、吉良瞳子監督だ」

 

そこには腰まで届く黒い髪に暗めの青い瞳が特徴の女性が立っていた。

俺達を見定めるその姿は、クールというより冷徹な雰囲気を醸し出している。

 

――――何故、彼女がこの場にいるのか……

 

目が合った瞬間、驚愕から目を見開くも一瞬で取り繕い、此方へ……俺達へ目もくれずに理事長の元へ歩み寄る。

 

「ちょっとガッカリですね、理事長。

監督が居ないだけでここまで取り乱すお子様の集まりだとは思いませんでした。

本当にこの子達に地球の未来が託せるんですか?

彼等は既にエイリア学園に負けているんですよ?」

 

紹介を受け、歩きながら流し目で観察した彼女から下された評価は辛口なものだった。

 

「だから勝つんです。

俺達が負けたのは確かです。そしてそれは次の勝利へと繋げられる―――!」

 

 

 

「そう、頼もしいわね。

でも私のサッカーは今までとは違うわよ、覚悟しておいて」

 

感情を感じさせなかったさっきまでとは打って変わり、挑戦的な表情で俺達に告げて来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理事長から解散が言い渡されて、皆が帰り行く中

 

「……………天願想叶君。

エイリア学園に唯一引けを取らなかった選手は貴重です。

後で話を聞かせて貰えるかしら」

 

横に立った時、他には聞こえない声量で告げられる。

 

「そうですね、貴女の下す采配に興味がありますし、此方としても色々とお聞かせ願えますか―――――()()()()?」

 

最後の言葉に僅かな反応を示した彼女に、ある住所の書かれた紙片をすれ違い様に渡す。

 

 

何が狙いで此処に居るのか、宇宙人と偽る訳は、そして―――彼等は何の目的でこんな事を仕出かしたのか。

 

聞きたい事を整理しながら、その場を後にした。

 

 

 

 

 




なんだかイナイレssがじわじわと増えてる気がして嬉しい
いい感じだ………もっと増えろー!


背中と肩打撲したり、仕事がクソ忙しくなったり、FGOが剣豪終わってすぐハロウィンイベして来たり、面白いss増えてたり、巨影都市がバカゲーだったり、今期アニメが豊富過ぎたり、色々あって気付けば執筆途中のを放置して、どんな感じだったか自己作一から読み直したり、10回書いて9回主人公が闇堕ちしてヤバかった………

しかも復刻クリスマス始まっちゃったよ………





もうね、主人公の心がズタボロ過ぎてヤバい。
こんな展開は予想してなかっただけに筆がまるで進まなかった………

こうなった原因は彼が自身の特典を把握する前に原作入りしてしまった事。
無限の剣製とか王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)とか、貰っても肝心の中身が無いってケースもあるし、しっかりと全容を把握しておけとあれほど………(言ってない)


尚、完全に把握したところで、相手にもよるが(主人公にとっては)軽い接触でも、大怪我を負わせかねないから結局手を抜く(調整する)必要があったり……

また、遠慮なしにチートを発揮した世界線の主人公はあらゆる可能性(全ての平行世界)の中で最強にこそなれるものの、その分周囲の成長機会を奪ってしまい、結果としてチームとしての総合力が大きく下がってしまう模様。


どう転んでもハードモード――――誰だよこんな面倒臭い設定考えた馬鹿は!

書きづらくてしゃーないから、もうちょっと色んなパターン考えて設定から練り直したけど、その案で行った主人公が全てFFI辺りで要らない子or誰かの下位互換になってしまった………

迷走してる感があるのは分かってるけど―――

開き直って現行の設定で進める事にしたぜ!

一から書き直しても今以上に面白くできる自信無いし、もう突っ切ってやらぁ!



……今までだってアドリブとかノリで書いてたし今更か。

ネタバレ?になるのかは筆者でも分からんけど、本編は『主人公の()()()()()()()()()が最強になる世界線』です。







今回の捕捉


・決勝後、なんやかんやで円堂達と行動を共にしていた場合

ジェミニストームと雷門イレブンの中間位の実力で戦う為、あまり疑われずに済みこのイベントは起こらない。が、原作にて風丸が脱退した辺りで発生、本編以上に心折れます。
その世界線では、原作吹雪の様にジェネシスとの最終決戦の最中に覚醒する事に。
同一試合にて、二人同時に治療を施す豪炎寺医師は流石である。

・豪炎寺と鬼道の視線

この二人は主人公にそのつもりが無く、本当に無意識でいた事を察しました。
その上で、主人公が苦悩の上に取った選択(チームを気遣って隠した事)を理解しています。
しかし余りに特殊過ぎる事例の為に掛ける言葉もフォローすらも出来ず、ただ主人公が苦しんでいるのを見る事しか出来ない、そんな無力感故にです。

・円堂は主人公の様子に気付かないの?

主人公が本気で隠し通そうとすれば、今回の豪炎寺&鬼道の様に苦悩の全貌を知ってでもいない限り、まず気付けません。
それにFFIの韓国戦で結構な鈍感描写があったからそれを加味すればこんなもんかな?と。
原作でもエイリア編でも痛みで露骨に顔をしかめる染岡に気付けてなかったからね、仕方ない。





前書きにもありましたが、本当に遅くなって申し訳ないです。
段々と忙しくなってきて、亀更新になるかもしれないですが、エタる事はせず続けていく所存ですので、更新遅い時は「別の事に現抜かしてんなー」位に思って、気長に待っていて貰えると幸いです。


ご読了、ありがとうございました。


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