イナズマイレブン ~『必殺技』に憧れて~   作:@ドラゴン

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やっと化身出せた!

いつ出すか本当に悩んだよ…

書き終わって気付く、文字の少なさ…


第14話 野生戦

~試合当日~

 

学校で見掛けた時、やけに怪我が目立つ様な気がしたが気のせいなんかじゃ無かったか。

 

「よう豪炎寺。大分無理な練習してたみたいだな、傷だらけじゃねぇか。」

 

「天願か?そっちは上手くいって…人の事言えるのか?」

 

かく言う俺も、ここまで無茶やらかしたのは何時ぶりだろうな。

 

「なに、身体は無駄に頑丈でな。多少無茶した位で勝てるなら幾らでもするさ。

イナズマ落としはどうだ、やれそうか?」

 

「いや、悪いが未だ出来てない」

 

未だ、ね。その心意気があるなら、この試合中にでも完成させるだろう、コイツらなら不思議とそう思える。

 

「それで、お前の方はどうなんだ」

 

「化身の具現には成功した。だが、使い所を誤ればそれで終いだ。

もう少し早く発現出来る様になれば、消耗を抑えれたかも知れんがな…」

 

化身の具現化に成功したのが昨日の昼過ぎだ。そこから何度練習しようにも流石に時間が足りなかった。

 

過度な特訓で今日の試合に疲労や怪我を残したまま戦うなんざ、本末転倒もいいところだからな。

 

 

 

長い時間移動して、野生中に到着したのは良いが…

 

「なぁ、俺達はサッカーしに来たんだよな?」

 

何だ此処は、未開の地に開拓に来たって言ってもまだ現実味があるレベルだ、本当に日本なのか?

 

生徒もかなり野生化してるぞ、ここ卒業してからやってけんのかよ……あれ?選手だけなのか、観客は至って普通に見える。

 

サッカーがアイツらを野生に返してしまったのだろうか…。

 

試合が始まる様だが、何だろう、奴等の姿や言動でどうにもやる気が…試合開始の笛が遠く聞こえる…。

 

 

 

 

 

 

 

試合開始から僅かな時間だったが、それでも分かる程奴等は強かった。

 

音無から見せて貰った過去の試合データから実際に強いのは分かっていたつもりだったが、これは想像以上だ。

 

豪炎寺が撃とうとしたファイア トルネードの高さに届いたのは予想通りだったが、映像と実際に見るのとではまるで違う。

 

何より驚いたのは攻撃の連繋だ。一発は大した威力の無いシュートだが、それを畳み掛ける様に繰り出して来る。

何とか防いだ円堂だが、あれは相当危うかった。

 

考えを巡らせ、注意が散漫になっていたからだろう、"それ"に気付くのが遅れた。

 

「染岡、避けろっ!」

 

何だあの肉弾戦車!?

 

「大丈夫か、染岡!?」

 

「足首を捻ったみてぇだ。

プレーは出来るが、もうドラゴン クラッシュは撃てねぇな」

 

「悪ぃな、もう少し早く気付けたら…。」

 

「お前が声を掛けてくれたから気付けたんだ、もしあのままやってたらどうなってたか。

俺の事より、代わりは誰を出すんだ。」

 

今控えにいるのは、目金、栗松、土門か。

 

「土門、お前確か野生中とは戦った事があるって言ってたよな、DF頼めるか」

 

「りょーかい、俺がDFって事は…」

 

「壁山がFWで行く、そうなるよな円堂」

 

「ああ、この試合はもうイナズマ落としの完成に懸かってる」

 

「あれ?天願の化身って奴はどーなってんの?」

 

すかさず土門が聞いてくる。1人ずっと別で練習やってたんだ。その疑問は当然のものだろう。

 

「悪いが、それは一発きりだと考えておいてくれ、恥ずかしい話だがそう何発もってのは厳しい」

 

交代とポジション変更が終わり、試合が再開する。

 

ファウルだと思っていたが、審判的にはセーフだったらしい。

 

野生中のスローインで始まる…土門が即行必殺技で奪いに行ったがキラースライド?最近何かで見た様な…。

 

考えてる暇は無ぇな、イナズマ落としの為か、かなり高めのパスが出た。

 

それに合わせて二人が飛び上がるが…

 

途中で下を見たのだろう、壁山が急に体勢を崩してしまい失敗に終わる。

 

得点源である染岡の負傷、そしてイナズマ落としの失敗、これ以上士気を下げさせる訳にはいかねぇからな。

 

…少し早い気もするが出すならここしかない、か。

 

「何を狙ったのか知らないが、空中なら負けないッケ!」

 

「へぇ、その言葉、此処()の王者を前にしても尚言い張れるか?」

 

壁山と豪炎寺の影に隠れて跳躍した甲斐があった、敵と向かい合った状態で力を解放…!

 

「コケッ!?」 「天願!?」

 

このチームの猛攻は脅威だ、今の内にインパクトのあるコイツで、プレッシャーを与えておく!

 

「来い、化身!」

 

赤い鱗と甲殻に身を包んだ、炎の竜が俺の背後に飛翔する。

 

「【火竜 リオレウス】!」

 

「こ、これはまさか…ドラゴン!?」

 

「あの時の化身と違う…?」

 

【リオレウス】が羽ばたき、天に向かうと連動して俺も上昇、鶏井を超えてなお上へ…

 

「喰らえ…」

 

そして遥か上空からボールを全力で蹴り落とす!

 

更に化身である【リオレウス】の火炎ブレスと俺のシュートが融合し、巨大な火球となってゴールへ飛んで行く。

 

「『ラグナブラスト』!」

 

少し距離はあったものの、反応の遅れたKPでは止められず豪快にネットへ突き刺さった。

 

呆然としていた鶏井だがそれも束の間、俺に向かって

 

「…まさかあんな隠し玉があるとは思わなかったッケ。

それでも次こそは俺が空を制するッケ」

 

アレを見ても勝ちに行くと宣言する、か。

最初こそふざけている連中かと思ったが、その闘志は本物らしい。

 

「空を統べる王はアイツ(【リオレウス】)だけ、次に勝つのも俺だ」

 

そう言葉を交わして自陣に戻る。

 

点を決めたのは良いが、確実にマークされるよな…。

 

それにさっきのアイツ、威圧を掛けておいたが化身はもう出せないし、純粋な技量での真っ向勝負となると…俺が上を取れて漸く5分って所か。

 

イナズマ落としを完成させて欲しいが、壁山の精神は限界っぽいし、このままじゃジリ貧、詰むのは時間の問題だな…

 

 

 

前半ではこれ以上点の動きは無かったが、どちらが優勢なのかは素人目にも分かる程、野生中が圧倒していた。

 

俺と豪炎寺にボールが渡っても、得意の瞬発力と機動力で即座に厳重なマークがつき、攻めあぐねていた。

 

野生中はその動きを生かしてDF陣を翻弄、複数人で息もつかせぬ怒濤の攻めにより、円堂を着実に消耗させていた。

 

「円堂、手は大丈夫か?一応GK練習は欠かしてない、いつでも代われるぞ。」

 

「大丈夫だ、まだやれる。

それに天願は野生中にとって無視出来ない存在だ、俺と代わった所で攻撃が激しさを増すだけになる、同じ理由でDFに下がるのもダメだ!」

 

それは薄々気付いているが、そうでもしないと先に円堂の限界が来るしな…。

 

「分かった…。だが、俺が限界だと判断したら無理矢理にでもDFに下がるし、最悪GKを交代する。

まだ一回戦なんだ、敗けられないのは当然だが、かといってここで無理して後に響かせる訳にもいかない。

分かるよな?」

 

「ああ、分かった…。」

 

円堂は渋々ながら、そう返した。

 

まるで真綿で首を絞められているかの様にゆっくりと、しかし着実に俺達は追い詰められていた。

 

 

 

円堂の激励でも壁山が立ち直れないまま、後半が始まってしまう。

 

豪炎寺は仕方なく1人でイナズマ落としに挑むが、あっさりと鶏井にボールを奪われ、反撃を受けてしまう。

 

そこには、前半終盤で見た光景が広がっていた。

唯一違うのは、円堂に触発された仲間達がゾーンプレスをかけ、堅実に守れている事だが、前半で野生中の動きに対抗する為に随分と動き回ったのだ、スタミナ切れまでもう間もないだろう。

 

俺もとっくにフォローへ回っているが、1人、また1人と限界に達した事で出来た穴を塞ぐには至らない。

 

だからって諦めてたまるかよ…!

 

「『ゴッドハンド』!」

 

円堂、お前まだ技を使える力が残っていたのか。

 

「壁山!豪炎寺!」

 

二人の名を呼び、長距離のパスを出す、それを受け取った時の壁山の瞳は恐怖こそ健在だが、それを塗り潰す程の強い熱意に満ちていた。

 

…あれなら大丈夫そうだな。

 

壁山は下を見る行為を仰向けの姿勢になる事で封じ込め、豪炎寺は肩や腕に比べると十分に安定する腹部を足場に出来た為、より強力なキックを繰り出す。

 

土壇場で完成した『イナズマ落とし』がゴールに突き刺さると同時に試合終了のホイッスルが鳴り響き、2対0で俺達は初戦に勝利した。

 

 

 

 

 

 

試合が終わって俺は豪炎寺にどうしても聞きたい事があった。

 

「…なあ、豪炎寺」

 

「どうした、急に呼び出して」

 

「土門の使ったあの技、確か帝国の技だったよな?」

 

最近見たと思ったあの技、あれは音無と他校の情報の勉強で試合映像を見ていた際、帝国の守備陣が使っていた物だった。

 

「!…気付いたのか」

 

「時期外れの転入、そして帝国の技。思い過ごしならそれに越した事はねぇが…気を付けておいた方が良い」

 

「そうだな…取り敢えず今は様子を見ておくか…」

 

折角勝てたってのに、後味の悪い事が分かってしまうか…




化身
【火竜 リオレウス】
引用「MONSTER HUNTER」
空の王者と呼ばれ、非常に優れた空戦能力を発揮する竜

化身アームドが可能。
アームド状態はリオレウスの防具一式

化身進化で【蒼火竜】【銀火竜】に変化出来る。
【黒炎王】は合体技限定

必殺技
『ラグナブラスト』
リオレウスと共に遥か上空へ飛翔、蹴り落としたボールにリオレウスがブレスをぶつけて融合、巨大な火球となり、ゴールは降り注ぐ。

技の名前はガンランスの「リオ=ラグナブラスト」から。

技の名前がブレス、とかだと味気ないと思い武器から取る事を決定。
ブレスという事でガンナー系から取ろうとしたが、どれも微妙だった所に見付かった。

因みに2体目の化身で、

主人公が初めて出した化身は
青い瞳を持つ、社長(sea horse)の嫁

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