はい、本編はじまります。
美鈴達が風呂から出た頃、ちょうどレミリアは目が覚めた。
「咲夜、あの娘の様子はどうかしら?」
「しっかりと働いており、使えるかと。」
「そう、良かったわ。さっそく新しい住人の歓迎会を始めなければならないわね。準備は出来ているの?」
「はい、食卓に沢山の御馳走を用意しております。お嬢様は着替えをなさってから食堂にお越しください。」
「流石にパジャマでは行かないわよ。それと────」
ドカーーーンッ
下の方角から爆発音が聞こえて来た。紅魔館には地下があり、厳重に結界で守られている。
「...妹様ですね。見て来ましょうか?」
「はぁ...。いや、いいわ。私が行くから咲夜は食堂で待っていて。」
「承知致しました。行ってらっしゃいませお嬢様。」
(全く世話のやける子だわ、ほんとに...)
頭の中で考え事をしながら地下へ向かう途中、美鈴達に出会った。
「あら、あなた達はお風呂だったのね。湯加減はどうだったかしら?」
「「良かったです!」」
「じゃなくて!今の爆発音はまた妹様ですか!?」
「ええ、そうよ。私が様子を見に行くからあなた達は食堂で待ってなさい。」
「了解です。お気をつけてくださいね!さ、行くよルーミアちゃん。」
「はい!」
美鈴に手を引っ張られ、ルーミアは食堂へと進んで行った。
「美鈴さん、さっき妹様って言ってたけど、もしかしてお嬢様の妹って事?」
「そうよ。名前は フランドール・スカーレット と言うの。普段は優しいのだけれど、たまに好戦的になって危ないのよ。普段は地下にはいるからあまり近づかないようにね。」
「この屋敷ってふくざつな事情があるんだね。」
「姉妹は姉妹同士じゃないとわからないこともあるからね。私達は基本的に見守るだけよ。」
一方、レミリアは地下へとたどり着いた。周りは破壊された扉の破片が飛び散っている。
「また派手にやらかしてくれるわね。直すのもタダじゃないと言うのに...」
深くため息をつくレミリア。その背後から人影が現れた。
「あら、今日の相手はお姉様なのね!これはまた楽しそうだわ♪」
「時間がないの、全力で行くわよ。」
フラン vs レミリア
先手はフランがとっていた。左右から放たれる弾幕はかなりの数である。
「どう?お姉様には避けられるかしら。」
戦いを楽しんでいる彼女は不気味な笑みを浮かべ、さらに大きい弾を打ち込んだ。
「ただ弾を飛ばしているだけじゃ当たらないわよ。しっかりと狙いなさい。」
荒れ狂う弾の中を簡単に抜けて行く彼女はとても優雅で美しく、フランでさえも見とれていた。
「へぇ...やるじゃない。ならこれはどう?」
彼女は弾を撃つのを一旦止め、自身に力を込め始めた。なんと!4人に増えたのである。
「これは分身なんかじゃないわ。全部ホンモノよ。お姉様には私達を倒せるのかしら。」
4人一斉に打ち込まれた弾幕は今までとは比べものにならないくらいの破壊力だった。
「私に怪我をさせるなんて、すごいじゃないフラン。いつの間にこんな事出来るようになったのかしら。ほんとはもっと遊んでいたいけれど、これで終わりよ。」
レミリアが右手に力を込め始め、緋色の槍がでてきた。
「これでも食らいなさい! グングニル!!!」
その槍は禍々しく、当たれば即死レベルの魔力が帯びていた。猛スピードで投げられた槍は1人目のフランへ向かって行った。
「お姉様の力ってこんな物なのね。期待してそんしちゃったわ。」
彼女はそう言い、ひらりと槍を避けてしまったのである!
「私は最初から全力で行くと言ったはずよ...?」
レミリアが笑みを浮かべて呟くと、4人いたフランが1人に減ってしまっていた。
「どうして!槍は避けたはずよ!当たるはずないのに...」
「そう、ただの槍ならそれで終わりよ。でもね、私のは特別なの。何処へ逃げても必ず見つけ貫くのよ。必ずね。」
はっ と振り返った頃にはもう遅かったようで、目の前に槍が迫っていた。
「出し抜かれたって訳ね。参ったわお姉様。」
槍がフランに当たる瞬間、シュウウ...と音を立てながら槍は消えていった。
「これ以上屋敷を壊すのは面倒だからね。大人しく地下へ戻りなさい。またいつでも勝負してあげるから。」
「次は絶対お姉様には負けないもん!すっごい技見せてやるんだから!」
こうして小さな異変は幕を閉じた。
ここからフランちゃんはどう成長して行くのか楽しみですね。あ、フランちゃんは好きで地下にいるという設定です。何か見られたくないものでもあるんでしょうかね。