お腹が空いちゃったらちょこっとサボっても仕方ないよね(笑)。
コンコン
ドアのノックが聞こえる。どうやら仕事の時間のようだ。
「ふぁ〜...。おはようございます。メイド長。」
「ぐっすり眠れたかしら?着替えと朝食はそこに置いてあるから、準備が出来次第玄関に来てちょうだい。もし迷ったらこのボールを握ると良いわ。屋敷の中なら直ぐに私が行くから。」
そう言うとさっと姿を消した。
なんと便利な道具でしょう。これはパチュリーに頼んで作った物だそうだ。元々はお嬢様の為に作ったものである。
(こんな道具も作れちゃうなんて、凄い人ばっかりなんだなぁ...)
ぱぱっと朝食を済ませ、着替えて玄関へ向かった。途中何度か迷いそうになったが、なんとか無事にたどり着く事が出来た。
「あれ、見ない娘ですね!新人さんかな?」
「あ、どうも!初めまして。ルーミアと言います!」
「ルーミアちゃんかぁ!私は紅 美鈴って言うの。よろしくね!いつも門番の仕事をしているわ。」
2人は気が合ったようで楽しく話し込んでいた。
「あら、仲が良いわね2人とも。今日はルーミアの初仕事よ。美鈴、手伝ってあげなさい。」
「あ、おはようございます咲夜さん!仕事って言っても、門の前で立ってるだけなんですけどね。」
「今日は門の仕事はいいのよ。庭の手入れをして頂戴。ついでに洗濯物も干しておいてね。」
そう言うと咲夜はいそいそと屋敷の奥へ行ってしまった。
「さて、早速始めよっか!手入れのやり方とか色々教えるから、分からないことがあったら聞いてね。」
「さっそく一つ良いですか!」
「ん、どうしたの?」
「どうしてメイド長やお嬢様みたいな服とは違うような見た目をしているの?」
そう、西洋風な服とは違い、美鈴の服は中華風の服なのだ。
「あぁ、これはあれよ。お嬢様達と会う前は違う所にいてね、その時の服がこれなんだ。あとは動きやすいからかな?」
何やら色んな思い出が詰まった服のようである。
「私も着てみたいなぁ...」
「今度門番をする時に着せてあげる!それまで楽しみにしててね!」
美鈴はそう言って庭へ向かい手入れを始めた。ルーミアも手入れを始めたが、中々上手く出来ず、少し落ち込んでいるようだった。
「初めてだから失敗ばっかりなのは当たり前だよ。気にしない気にしない!これでも食べて元気出して。」
美鈴はカバンからおにぎりを取り出した。
「もうお昼だからね、ご飯を食べないと力が出ないよ!」
「ありがとうございます美鈴さん。いただきます!」
昼食を終え、美鈴の励ましの言葉で張り切ったルーミアは、無事に洗濯物を干し終える事が出来たようだ。
「今度はちゃんと出来た!やったよ!」
「こんなに多くの洗濯物をあっという間に終わらすなんて、すごいよルーミアちゃん!」
こうしてあっという間に時間は過ぎ、疲れ切ったルーミアは屋敷に戻った。
「2人ともお疲れ様。ルーミア、初仕事はどうだった?」
「何とか出来ました!」
「ふふ、それは良かったわ。私は夕食の準備をしているから先にお風呂入ってきなさい。美鈴、案内は頼んだわよ。」
「はーい!じゃあ行こっか。一緒に洗いっこしようね!」
「うん!」
この様子を見ていると何だか美鈴が姉でルーミアが妹のように見えた。
楽しいお風呂の時間が終わり、これから夕食だと言う時にある異変が起こった...。
今回の話はお嬢様がメインでは無くてすみません!
次回からお嬢様視点になるのでお楽しみに!
新キャラの登場とかは追々出して行く予定です。