はい、本編はじまります。
稗田家で情報を入手した後、咲夜はベンチに腰をかけ昼食を取ることにした。ルーミアが作ったお手製の弁当である。
(よく出来てるじゃない。見た目も味も最高よ、特に卵焼きがいい甘さだわ。帰ったらしっかりと褒めてあげないとね。)
時刻は午後1時を過ぎ、咲夜はさっき中に入らなかった本屋へと向かった。
「掃除は終わったのかしら本屋さん。」
「はい。終わりました!こちら、鈴奈庵の店主、本居小鈴と言います。いや〜、大掃除なんてそう滅多にやらないもんで、大変でしたね。そういや何か本をお探しで?」
本居小鈴、彼女は若くして店主である。阿求とは友人関係で、休みの日には2人で遊ぶこともしばしば。少しおっちょこちょい。
「えぇ、妖怪に関する本を見たいのだけれど。あるかしら?」
「ちょっと待ってくださいね〜。...っと、これとこれ。あ、それにこれも!妖怪を比較的に分かりやすく書いたものと、より詳しく書いたもの。それと、対処法の本をお持ちしました!」
彼女はそれをパラパラとめくった後、何かを見つけたようだった。
「全部貰って行くわ。代金は変わりにこれを受け取ってちょうだい。」
会計場所にとても高価そうな金の塊を置いた。
「こ、これは本物!?初めて見た...。でも、こんな高価そうなもの受け取れませんよ!お金は持っていないんですか?」
「えぇ、こちらのお金は持っていないわ。見た所紙幣のようだからね。」
「そういう事ならいい場所がありますよ!ここから少し遠いんだけど、村のはずれにある道を真っ直ぐ進めば香霖堂と言う店に着きます。そこでならその金塊もお金に変えてくれますよ。」
「香霖堂はこのまま真っ直ぐ行くといいのね?少し待っていて。」
「えっ────」
次の瞬間 目の前にいた客人は消えてしまい、小鈴は何が起こったのかわからなかった。束の間、彼女は再び現れた。
「待たせてしまってごめんなさいね。代金はいくらなの?」
「えっ、あ、はい! 2500円になります。いや〜びっくりしましたよ。いきなり消えちゃうんだもの。」
「2500円ね、はい。さっきのトリックは頑張れば貴方にも出来るようになるかもね。また来るわ。」
「とりっく?新しい魔法なのかな...。 またのお越しをお待ちしておりますー!」
咲夜は鈴奈庵を後にし、時計を見た。もうすぐ夕暮れである。
「今日の情報収集はこれでひとまず終わりね。お嬢様がそろそろ起きる時間だから早く戻らないと...。」
村を一通り見終えた後、急いで屋敷へと帰った。
「あ、お帰りなさい 咲夜さん!村はどうでした?」
「結構栄えているわね。食材や衣類なども豊富で困った事はあまりなさそうだけれど。それと美鈴、貴方はルーミアを連れて食事の準備をしなさい。私はお嬢様と後から行くわ。」
そういうと彼女は姿を消した。
「さて、ルーミアちゃんを迎えに行きますか!確か図書室だよね。」
美鈴はスキップしながら図書室へ向かった。
本編の香霖堂でのお話は、また別の機会という事で。
情報収集って地味な仕事ですが、後々役に立って来るんですよね。
ではまた次回もお楽しみに!