ある日の冬の夜
「......さい...お嬢様...」
誰かが起こしているようだ。
「ん〜...あともう少し...」
と言い眠ろうとしたその時
バサッ!!
「さむっー!ちょっと、咲夜!」
冬の冷たさで目覚めた彼女はとても不機嫌そうだ。
いま御立腹な様子の彼女がお嬢様...レミリア・スカーレット、特別な能力のある吸血鬼の主人である。そして、お嬢様を起こしている彼女...十六夜咲夜、こちらも特別な能力がある従者だ。
「少し手荒ですいませんお嬢様。こうでもしないと起きませんので。あと、食事の準備が出来ております。」
不機嫌なお嬢様を物ともせずに淡々と話を進めていく彼女は鋼鉄の心でも持っているのだろうか
「───まぁいい。それより今日のご飯は何?」
早く料理を出せという顔で彼女はそわそわしている
「トマトソースのパスタで御座います」
テーブルの上に置かれたそれはとても赤く、血にも似たような色をしている。
「あら、美味しそうじゃない。寝起きでも大盛りはいけそうね。」
そう言いながらもぐもぐ食べ終え、食後のワインを楽しみながら彼女は少し考え事をしていた。
(何不自由ない生活は良いのだけれど、毎日こうしていると飽きて来るわね。何か大きい事件とか起きないのかしら…)
何やら考えついたようで、不敵な笑みを見せた彼女は自分の部屋からそそくさと出て行った。
彼女の向かった場所───屋敷内にある大きな図書室である。本を読みに来たのではなく、その管理者へ会いに来たのだ。
「おーい、パチェー!!」
図書室全体に響き渡るぐらいおっきな声を出して叫んだ。
「図書室では静かにしてって言わなかった?毎回大きな声を出されると心臓に悪いのよ...」
奥からブツブツ言いながら出て来た彼女...レミリアの友人で大魔法使いのパチュリーノーレッジである。
「ごめんなさいね。早くあなたに会いたくてつい大声出しちゃった!」
はぁ...とため息をつき、
「突然ここに来るってことは何か用があるんでしょう?」
『「何も言わなくてもわかるとは流石ねパチェ。心でも読めるんじゃないの(笑)。まぁそれはそれで置いといて、さっそく本題に移るわ。
退屈な日々から抜け出せるような魔法ってない?」
何を言うかと思えば突拍子も無い事を言い出したのである。これには流石の大魔法使いでも頭を抱えている。
「あのね、レミィ。魔法って言うのはそんなに便利なものじゃないの。魔法って言うのは────」
魔法について熱く語る彼女はまさに喘息をも吹き飛ばす勢いだった。
「ごめんごめん。悪かったよパチェ。じゃあ、別の世界へ移動は出来るの?例えばパラレルワールドみたいな...」
「ええ、行けるわ」
今度は即答だった。
「行けるの⁉︎聞いた私が驚いちゃったわ。それがわかったら早速準備よ!時間は待ってくれないわ!」
「だいたい3日は掛かるわね。その間はゆっくりしてるといいわ。」
「ありがとうパチェ!その間は計画でも建てようかしら...。咲夜、3日後に備えて準備して起きなさい」
彼女がそう言うと、何処からともなく現れ
「承知致しました。他の召使いに屋敷を任せるよう伝えて起きます。」
そう言うとまたスッとその場から居なくなった。
今回初めて書かせて頂いたのですが、全然慣れていないので指摘などして貰えると助かります。