と言う言葉が在る。私はこの言葉が結構好きだ。
と言う訳で?ちょっと何気に街に下りたら、
2巻のラストバトルが発生しても、イイよね☆
「やっぱり、リューズの言う通りだった。
シズの名前。付けて良かった」
「名前を付けてからだ。
シズの胸の鼓動。どんどん強くなってる」
「起きたい。
起きたいって、思ってくれている気がするんだ」
「シズは、きっともう直ぐ起きるよ。
オレにはソレが解るんだ」
「だって、
シズの鼓動は、こんなにも綺麗だから」
街に出る前、
準備に手間取っているのでしょうか?
ナオト様が、いらっしゃいません。
少し心配になって、部屋まで戻ると?
ソコには、シズをケースに納めるナオト様の姿が?
どうやら買い出しにもシズを連れて行くつもりのようです。
部屋まで迎えに来た私に気付くと、
ナオト様は優しい笑顔で、シズの事を教えて下さいます。
あぁ、本当にシズは愛されている。
歯車が震えます。
ですが、コレは嫉妬の感情では在りません。
ただ、思い出しただけです。
崩れ落ちようとする危険な状況の中、
ナオト様が、ただ私を起こそうとして下さった事。
確かにあの時、私に意識は在りました。
ですが眠り続ける私に、そんなナオト様を窺うすべは在りませんでした。
だから思うのです。
私を起こそうとして下さったあの時も、
ナオト様は、あんな優しい笑顔を浮かべていたのでしょうか?と。
「と言う訳でさ、シズも連れて行くよ?
傍に居たいんだ。
ソレでシズが目を覚ましたら、最初に声を掛けるんだ」
「はい、それがよろしいかと」
私もナオト様を愛する女です。
シズに向けられる笑顔に、思う処が無い訳では無いのですが?
私は堪らなく、そんなナオト様の笑顔が好きなのです。
「死んでる。
コアタワーは勿論、街に必ず在る筈の歯車の音が無い」
灯台を下りると?駅前より先に、工業地帯に出る。
工業地帯は静かだった。
普段からウルサイ歯車の音がしない。
操業が止まっている。と言うLvじゃない。
人の喧騒がしない。ゴーストタウンか、廃墟のような静けさだった。
「オレが異常なのは耳ダケの筈何だケドな?
………鼻もおかしくなったかな?」
血の臭いがする。
工業地帯に入って、
必ず目に留まる一番巨大な工場の近くを通りかかってからだ。
オレの鼻は?耳と違ってノーマルな代物の筈!
ソレがこの現状!
「ナオト様が異常な訳では無いようです。
コレは間違い無く血の臭い、死臭です。
………ですが問題はソコでは在りません。コチラを御覧になって下さい」
リューズが指定したヶ所は、
巨大な工場の入り口と、隣接された検問所。
何らかの認証キーが在ったと思われる場所が、丸く抉り取られている。
検問所の方は死臭が酷く、お察しの展開だ。
どうやら丸い何かで認証キーを無効化して、中に侵入したらしい。
「私はコレに心当たりが在ります。
ですが、アンクルは………」
「!
リューズ!工場から誰か来る!!
子供くらいの歩幅のオートマタと、多分背の高い男が一人。
真っ直ぐコッチに来てる。もう気付かれたな?」
オレでも視認デキる距離まで、二人が近づいて来た。
一人はやはり背の低い、小柄なオートマタ。
可愛らしい顔つきだが?コチラを険しい目で見ている。
もう一人も、予想通り背の高い男だ。
何処か酷薄な目で、オレ達を見下ろしている。
オレは即座に悟った。
この男はマズイ。他人の命を刈り取る事に躊躇が無い。
先程からオレ達を見ていた目が、オレに向けられている。
この酷い死臭も、コイツが原因だ!
「この人が私のマスターです。
私は、マスターに着いて行くと決めました」
「アンクル。
貴方は………」
オレがヤヴァそうな男に目を向けている間に?
リューズと、アンクルちゃんらしき二人の方も、話しが進んでいた。
敵対必至かな、コレは?
「アンクル。
銀髪を抑えろ、ガキは俺が仕留める」
「肯定。
敵性存在を認識。戦闘モードへ移行」
戦闘が始る。
まず黒猫のようなボディアーマー姿になったアンクルちゃんが、
紅く長い髪を靡かせ、本当に猫のように獣的な動作で襲い掛って来る。
リューズはソレを回避するが、
向こうの方が運動性が高い事を、オレは初撃で悟った。長くは持たない。
「くたばれ!俺の贄になれっっ!!」
「喪服のリューズも行けそうだケド?無しだな!」
男が手にした血塗られたナイフで襲い掛って来る訳だが?温い!
オレの耳でいろいろ察すると、余裕で対処デキる☆
ちょ~~っと、感染症が気になる程濡れてるケドな!
普段は別の武器を使っているのかもしれない。
リューズは長く持たないだろうし?
アンクルちゃんには悪いケド?コイツは即殺!
「………俺は、こんな処では死ねない。
殺してやる。殺してやる。殺してやるぅぅぅっっっ!!!!!」
………うん、煙幕で距離を取って、
地雷を撒いたらアッサリ掛かった。ソコまでは良い。
だがその瞬間!男の服が破れ、膨れ上がった。
身体が一つか二回り、大きくなったように見える。
「此処はファンタジー世界じゃ無いんだが?
三角州の離宮とかでも無いよ?」
オレにはソレが?
ファンタジーに出て来るミノタウロスのように見えた。
そして錯乱したのか?素手で辺りを破壊しながら、近づいて来る!
何だ素手って?素手で壊せる強度じゃないだろ!?
「殺す!俺はあのバケモノを、
ヨグ=ソトースを殺すぅぅぅっっっ!!!!!」
私は、私を認識する。
どうして?ソレが最初の思考。
私は全てを失くした。ソレを望まれた。
私はソレを受け入れた。私は歯車の一つまで、あの御方のモノだから。
あの御方では無い。あの御方なら、直ぐに解る。
他の誰かが、私を再構築しようとしている。
私には解る。
懸命に私を構築しようとする意志。
全てを失くした私に全てを、歯車の一つ一つを与えようとする意志。
あの御方には程遠い、
だけど与えられる歯車は、一つ一つが馴染んで行く。
私の為ダケの新しい身体。歯車がまた廻る。
「良し!なら、今日からシズだ。
シズ?オレはナオト。こっちはリューズ。よろしくな?」
シズ。私の名前。もう失くした私の名前。
私をシズと、もう一度シズと呼ぶヒトが居る。
逢いたい、私の歯車が疼く。
でもソレは出来ない。
私はあの御方の勅命を受けた。
二度とあの御方の前に立てない。起きてはイケナイ。
私は眠り続ける。あの御方の勅命だから。
ソレが辛い。そう思う事が不思議だった。
「殺す!俺はあのバケモノを、
ヨグ=ソトースを殺すぅぅぅっっっ!!!!!」
………申し訳ございません、ヨグ=ソトース様。
私はCZ2128Δは、貴方の勅命に叛きます。
「!
この歯車の音色は!?」
突然その歯車の音色が聴こえた。
聴き慣れた、それでいて初めて聴く音色。
背中の柩が軽くなっていた事に気付いた頃、彼女に気付いた。
風に靡く、ピンクブロンドの長く美しい髪。
片方の目を覆う眼帯。
だがもう片方の目は開き、
綺麗な碧の瞳に、間違い無くその意思を宿していた。
「貴方は、ヨグ=ソトース様を殺すと言った。
ソレは許されない。許してはいけない。
貴方を、処刑する」
「キサマァァァッッッ!!!!!
あのバケモノの!ヨグ=ソトースのシモベだな!?
コロスコロスコロスコロスコロスッッッ!!!!!」
オレには聞こえた。
シズが軍隊の指揮官のように手を挙げると、
何も無かった空間が黒く染まり、撃鉄が上がる音がした。
すると天に星が煌めくように、数多のバレルが姿を現す。
兵士のようにシズに従うバレルの群が、一斉に男が変じた怪物を補足する。
「処刑執行――Initial―Yシリーズ番外機
CZ2128Δが命じる。
支配者の宝物殿/ゲート・オブ・ナザリック
その偉大なる宝を以て、ナザリックの威を示せ」
ツッコミ処満載だと思いますので、設定説明!
まず、このシズの起動条件は?
1/もう一度シズと言う名前を付ける。
2/ヨグ=ソトースの名前を出し、害意を告げる。
となります。
オバロファンの方なら?NPCにとって、
ギルメンの命令に叛くのが、どれだけ重いか解る筈です。
今回、このシズはソレを実行しました。
このシズの詳しいキャラ設定は、また後日☆
支配者の宝物殿/ゲート・オブ・ナザリック
皆大好き!あの王様のパクリ的ネタ技です。
シズに預けられたアイテムボックスを解放して、
納められた銃を、一斉に取り出して放ちます。
作中でバレルしか出ないのは、アイテムボックスに手を入れて、
引金を引く為です。
アイテムボックスの正式名称は、無限の背負い袋(課金で外装変更済)です。
また?オバロ準拠で再現可能と判断して、
Fate/タグは加えません。ご了承下さい。
後?念願のアンクルと遭遇しても、
ナオトがハイテンション化しないのは、
流石にこの事態のさなかだからです。