クロックオーバー・プラネット   作:LW

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久々にマリーさんの出番です☆
マリーさんは、普通にギルドで働いています。
ナオトと仲良くなれ無かった結果です。

そしてチョイ役で、あの人をリサイクル!


12 この出逢いと別れに祝福を!

「アンタ、どうして!?」

 

 

まぁギルドの仕事に、楽な仕事何て無い。

 

紛争地帯で仕事をした事も在るし、

 

ジャングルで現地人に弓矢で歓迎された事も在るし、

 

南極でペンギンと友達になった事も在る。

 

ペンギンは意外と凶暴だったけど、いろいろ役に立つ子だった。

 

ソレに比べれば?法治国家で銃撃戦に巻き込まれるのは、

 

まだマシな方かもしれない。いや、無いから!

 

 

私達は今回!日本政府の依頼で、

 

三重で開発された、製造禁止の電磁兵器の視察に同行した。

 

問題の電磁兵器のスペック調査の為だ。

 

面倒な仕事を増やしてくれる!

 

コッチの仕事は、歯車のオーバーホールだっての!

 

どうせ政府も絡んでいるんでしょうに?

 

身内ネタは、身内で片づけて欲しいモノね。

 

 

でもモノが電磁兵器なら、放置はデキナイ。

 

アレはこの歯車世界の天敵。

 

歯車は磁化すれば、正常動作デキナイ。皆壊れてしまう。

 

故の製造禁止兵器!

 

でもソレが解っていながら、製造に踏み切るバカはやはり居る。

 

 

今回そのバカ共は?仲間割れで全滅したと聞いたけど、

 

ならたった今?政府と軍の合同視察団と、

 

ギルドの調査団を襲っている連中は誰?

 

と思っていたら、連中を指揮する奴等に知った顔が!

 

 

「リモンズッッッ!!!!!」

 

 

「ブレゲのお嬢様か!

 私には後が無いのです!貴方に構う暇など無いのですよ!!」

 

 

あの京都の、

 

ギルド支部長だったリモンズの姿は?工場の奥に消えた。

 

京都強制パージ未遂事件の後、責任を取って失脚したリモンズが何故?

 

あのリモンズだ。どうせロクな事は企んでいないだろう。

 

 

「ハルタ―。突破デキる?」

 

 

「前で頑張ってる軍の奴等を下がらせれば、な?

 後でまた、(抗議の書類)仕事が増えるぞ?」

 

 

「どいつも、こいつもっっ!!!」

 

 

勿論私に?視察団に同行している護衛の指揮権は無い。

 

護衛部隊と、侵入者の銃撃戦は硬直している。このままじゃ!

 

 

「マリー先生。此処は時計技師らしく行きましょう。

 事前データ通りなら、作業用の迂回ルートが」

 

 

「流石はコンラッド技師長!

 アイツ等は軍に任せて、サッサと行きましょう!」

 

 

だけど私達は間に合わ無かった。

 

結局目の前で、例の製造禁止兵器が起動するのを見送るダケだった。

 

 

「八束脛が!」

 

 

そうして取り逃がした巨大電磁機動兵器/八束脛は、

 

区画/秋葉原を襲い、そのまま占拠。

 

出動した軍の部隊を壊滅させて、軍民問わず多くの被害を出す事となる。

 

 

「ナオト様、ソレは?」

 

 

「見ての通り指輪だよ。

 デキに自信は在る。贋作だけどね?」

 

 

オレはホテルの工房で、例の指輪の贋作を作った。

 

蓬子の言っていた刻印も再現済だ。

 

この辺りはオートマタらしい特性を利用させて貰っている。

 

目に映したモノを、記録として映し出してモデルにした。

 

コレを例のYの指輪と、交換する作戦だ。

 

 

「………Yの指輪と言っても、

 所詮解析不能の骨董品。充分イケる筈だ」

 

 

「………その指輪を、シズの為に作ったのですね?」

 

 

だがリューズの顔は暗い。

 

オレは嘆息して、リューズの左手を取る。

 

そして贋作とは異なる?

 

もう一つ用意した指輪を、リューズの薬指に嵌めた。

 

 

「この、指輪は………」

 

 

「知らないのか?

 左手の薬指の指輪は、結婚指輪。

 リューズ。コレを受け取って欲しい」

 

 

「はい!はいっ//////」

 

 

そしてポロポロと涙を流すリューズを、抱き止める。

 

その左手には、銀のリングが輝いていた。

 

 

「で、アッサリ片付いた訳だが?」

 

 

指輪の交換は、アッサリ片付いた。

 

世間の目は?秋葉原を占拠した巨大電磁兵器!八束脛に注目している。

 

ソレは皇居警備隊も同様だった。

 

元々リューズの切り札に対して、

 

警備隊が対応策を持っているとは思えなかったが?

 

計画は問題無く成功した。Yの指輪は今、オレの掌に在る。

 

 

「とは言え、コレは………」

 

 

問題の指輪はオレの掌に在る。

 

が、指輪には?小さなメモが仕込まれていた。

 

ソコに書かれていたのは?何とも古式で優美な電話番号だ。

 

メールアドレスでも、個人コミュニティのログインIDでも無い。

 

オレはこの電話番号の主を察しながらも、番号にアクセスした。

 

 

「貴方なら、連絡頂けると思っていました。

 ナオトさん。でしたね?」

 

 

「そんな気はしてた。

 用件を聞こうか?蓬子」

 

 

互いに相手の名前を、敢て確認する。

 

勿論互いに、相手の名前など解っている。

 

 

「あら、強気ですね?

 コチラはもう、貴方が指輪を盗んだ証拠を握っている訳ですが?」

 

 

「嘘だな。物的証拠は無い。

 だが勿論。ソチラが状況証拠ダケで、オレを拘束デキる事も解っている」

 

 

「だが侮ってくれるなよ?

 たった今から、ソコを廃墟にしても構わない。

 今は秋葉原でテロリストが暴れている時期だ。何とでもなる。

 ………試して見るか?」

 

 

脅しでは無かった。

 

リューズが失敗した時に備えて、

 

アンクルちゃんを皇居の近くに配置した訳だが?

 

オレはまだ、アンクルちゃんに引き上げを指示してイナイ。

 

アンクルちゃんの戦力なら、皇居を更地にするくらい?造作も無いだろう。

 

やがて電話の向こうから、嘆息が聞こえて来る。

 

 

「………そのつもりは在りません。

 指輪の件も不問に致します。確認しましたが?見事な出来映えです」

 

 

「繰り返すが、用件は何だ?」

 

 

「貴方とお友達になりたい。

 と言ったら信じて頂けますか?」

 

 

「………世間一般では?

 友達相手に、脅しや命令の類はしないモノだと思うが?」

 

 

「ではメル友になりましょう☆

 世間一般では?そのようなモノも在ると聞いています」

 

 

「旧い指輪一つより、

 貴方と縁を結んだ方が良い。私の勘がそう告げています」

 

 

今度はオレが嘆息して、アドレスを交換した。

 

そして電話を切る。少し疲れた。

 

やはりあの黒髪はタダモノでは無かった。鬱陶しい。

 

 

「………そう。

 ヨグ=ソトース様は、もう亡くなって」

 

 

指輪を受け取ったシズの第一声がソレだった。

 

シズの沈んだ様子から、ソレが事実だと認識する。

 

何らかの確認手段が在ったのだろう。

 

 

「シズ」

 

 

オレはシズを抱き止めた。

 

シズが、何処にも行かないように抱き止めた。

 

シズは泣か無かった。

 

ただオレの腕の中で、抱き止められていた。

 

シズの居場所は此処なのだと伝われば良い。そう思っていた。

 

やがてシズは?その綺麗な碧の瞳でオレを見る。

 

 

「私はYシリーズ番外機。

 名乗る事を許されず、目覚める事も禁じられた者。

 でも、私はシズ。

 ナオトが私をそう呼んでくれたから、私はシズ。シズΔ」

 

 

その夜。オレはシズのマスターになった。

 

シズにとって、前マスターがドレ程大切だったのか?

 

ソレはオレには解らない。

 

だがオレは、シズのマスターになった。

 

その事実と、その時浮かべたシズの微笑みを!オレは信じている。




ジャングルや南極にコアタワーは在るのか?
と言う話ですが?私は在ると思っています。特に南極!
年に一度位の頻度で?
時計技師が命懸けで、南極点や狂気山脈に向かいます。
ロマンが在ると思いませんか?

そして書いている内に?
蓬子の出番がマシマシに☆何故こうなった!?

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