マリーさんは、普通にギルドで働いています。
ナオトと仲良くなれ無かった結果です。
そしてチョイ役で、あの人をリサイクル!
「アンタ、どうして!?」
まぁギルドの仕事に、楽な仕事何て無い。
紛争地帯で仕事をした事も在るし、
ジャングルで現地人に弓矢で歓迎された事も在るし、
南極でペンギンと友達になった事も在る。
ペンギンは意外と凶暴だったけど、いろいろ役に立つ子だった。
ソレに比べれば?法治国家で銃撃戦に巻き込まれるのは、
まだマシな方かもしれない。いや、無いから!
私達は今回!日本政府の依頼で、
三重で開発された、製造禁止の電磁兵器の視察に同行した。
問題の電磁兵器のスペック調査の為だ。
面倒な仕事を増やしてくれる!
コッチの仕事は、歯車のオーバーホールだっての!
どうせ政府も絡んでいるんでしょうに?
身内ネタは、身内で片づけて欲しいモノね。
でもモノが電磁兵器なら、放置はデキナイ。
アレはこの歯車世界の天敵。
歯車は磁化すれば、正常動作デキナイ。皆壊れてしまう。
故の製造禁止兵器!
でもソレが解っていながら、製造に踏み切るバカはやはり居る。
今回そのバカ共は?仲間割れで全滅したと聞いたけど、
ならたった今?政府と軍の合同視察団と、
ギルドの調査団を襲っている連中は誰?
と思っていたら、連中を指揮する奴等に知った顔が!
「リモンズッッッ!!!!!」
「ブレゲのお嬢様か!
私には後が無いのです!貴方に構う暇など無いのですよ!!」
あの京都の、
ギルド支部長だったリモンズの姿は?工場の奥に消えた。
京都強制パージ未遂事件の後、責任を取って失脚したリモンズが何故?
あのリモンズだ。どうせロクな事は企んでいないだろう。
「ハルタ―。突破デキる?」
「前で頑張ってる軍の奴等を下がらせれば、な?
後でまた、(抗議の書類)仕事が増えるぞ?」
「どいつも、こいつもっっ!!!」
勿論私に?視察団に同行している護衛の指揮権は無い。
護衛部隊と、侵入者の銃撃戦は硬直している。このままじゃ!
「マリー先生。此処は時計技師らしく行きましょう。
事前データ通りなら、作業用の迂回ルートが」
「流石はコンラッド技師長!
アイツ等は軍に任せて、サッサと行きましょう!」
だけど私達は間に合わ無かった。
結局目の前で、例の製造禁止兵器が起動するのを見送るダケだった。
「八束脛が!」
そうして取り逃がした巨大電磁機動兵器/八束脛は、
区画/秋葉原を襲い、そのまま占拠。
出動した軍の部隊を壊滅させて、軍民問わず多くの被害を出す事となる。
「ナオト様、ソレは?」
「見ての通り指輪だよ。
デキに自信は在る。贋作だけどね?」
オレはホテルの工房で、例の指輪の贋作を作った。
蓬子の言っていた刻印も再現済だ。
この辺りはオートマタらしい特性を利用させて貰っている。
目に映したモノを、記録として映し出してモデルにした。
コレを例のYの指輪と、交換する作戦だ。
「………Yの指輪と言っても、
所詮解析不能の骨董品。充分イケる筈だ」
「………その指輪を、シズの為に作ったのですね?」
だがリューズの顔は暗い。
オレは嘆息して、リューズの左手を取る。
そして贋作とは異なる?
もう一つ用意した指輪を、リューズの薬指に嵌めた。
「この、指輪は………」
「知らないのか?
左手の薬指の指輪は、結婚指輪。
リューズ。コレを受け取って欲しい」
「はい!はいっ//////」
そしてポロポロと涙を流すリューズを、抱き止める。
その左手には、銀のリングが輝いていた。
「で、アッサリ片付いた訳だが?」
指輪の交換は、アッサリ片付いた。
世間の目は?秋葉原を占拠した巨大電磁兵器!八束脛に注目している。
ソレは皇居警備隊も同様だった。
元々リューズの切り札に対して、
警備隊が対応策を持っているとは思えなかったが?
計画は問題無く成功した。Yの指輪は今、オレの掌に在る。
「とは言え、コレは………」
問題の指輪はオレの掌に在る。
が、指輪には?小さなメモが仕込まれていた。
ソコに書かれていたのは?何とも古式で優美な電話番号だ。
メールアドレスでも、個人コミュニティのログインIDでも無い。
オレはこの電話番号の主を察しながらも、番号にアクセスした。
「貴方なら、連絡頂けると思っていました。
ナオトさん。でしたね?」
「そんな気はしてた。
用件を聞こうか?蓬子」
互いに相手の名前を、敢て確認する。
勿論互いに、相手の名前など解っている。
「あら、強気ですね?
コチラはもう、貴方が指輪を盗んだ証拠を握っている訳ですが?」
「嘘だな。物的証拠は無い。
だが勿論。ソチラが状況証拠ダケで、オレを拘束デキる事も解っている」
「だが侮ってくれるなよ?
たった今から、ソコを廃墟にしても構わない。
今は秋葉原でテロリストが暴れている時期だ。何とでもなる。
………試して見るか?」
脅しでは無かった。
リューズが失敗した時に備えて、
アンクルちゃんを皇居の近くに配置した訳だが?
オレはまだ、アンクルちゃんに引き上げを指示してイナイ。
アンクルちゃんの戦力なら、皇居を更地にするくらい?造作も無いだろう。
やがて電話の向こうから、嘆息が聞こえて来る。
「………そのつもりは在りません。
指輪の件も不問に致します。確認しましたが?見事な出来映えです」
「繰り返すが、用件は何だ?」
「貴方とお友達になりたい。
と言ったら信じて頂けますか?」
「………世間一般では?
友達相手に、脅しや命令の類はしないモノだと思うが?」
「ではメル友になりましょう☆
世間一般では?そのようなモノも在ると聞いています」
「旧い指輪一つより、
貴方と縁を結んだ方が良い。私の勘がそう告げています」
今度はオレが嘆息して、アドレスを交換した。
そして電話を切る。少し疲れた。
やはりあの黒髪はタダモノでは無かった。鬱陶しい。
「………そう。
ヨグ=ソトース様は、もう亡くなって」
指輪を受け取ったシズの第一声がソレだった。
シズの沈んだ様子から、ソレが事実だと認識する。
何らかの確認手段が在ったのだろう。
「シズ」
オレはシズを抱き止めた。
シズが、何処にも行かないように抱き止めた。
シズは泣か無かった。
ただオレの腕の中で、抱き止められていた。
シズの居場所は此処なのだと伝われば良い。そう思っていた。
やがてシズは?その綺麗な碧の瞳でオレを見る。
「私はYシリーズ番外機。
名乗る事を許されず、目覚める事も禁じられた者。
でも、私はシズ。
ナオトが私をそう呼んでくれたから、私はシズ。シズΔ」
その夜。オレはシズのマスターになった。
シズにとって、前マスターがドレ程大切だったのか?
ソレはオレには解らない。
だがオレは、シズのマスターになった。
その事実と、その時浮かべたシズの微笑みを!オレは信じている。
ジャングルや南極にコアタワーは在るのか?
と言う話ですが?私は在ると思っています。特に南極!
年に一度位の頻度で?
時計技師が命懸けで、南極点や狂気山脈に向かいます。
ロマンが在ると思いませんか?
そして書いている内に?
蓬子の出番がマシマシに☆何故こうなった!?