クロックオーバー・プラネット   作:LW

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遅れると言いつつ書きました。
ネタが湧いて来たから☆

そしてゲンナイ救済ルートとか☆
誰得なの!?って感じです。

と言う訳で?3巻スタートです。


11 歯車嫌いの語り合い

「爺さん、生きてんの?

 怪我人なら病院。犯罪者なら軍か警察。

 痴呆の徘徊なら、家族を呼べば良い」

 

 

普段なら、こんな事はしないだろう。

 

オレは三重を脱出する電車を待つ僅かな時間に、

 

見ず知らずの老人に声を掛けていた。

 

 

老人は怪我を負っていた。恐らく銃創。出血している。

 

オレはお優しい善人では無いので、ケガの手当などしない。

 

手当など望んでイナイ事も察している。

 

ただ同じベンチに腰掛けるダケだ。

 

老人がオレを見る。何か珍しいモノを見る目をしていた。

 

 

「………変わった少年だ。まぁいい。

 少年。一つ、この老人の質問に答えてくれないか?」

 

 

老人は語る。オレは暇潰しに聞く。

 

要は、この老人は研究者か何かで?

 

この歯車世界が気に入らない。気味が悪い。理解デキナイ。

 

この歯車世界そのモノが、夢/幻のようで気に入らない。気味が………

 

Yはバケモノだ。バケモノが造った世界は、気に入らない気味が………

 

と、延々と愚痴が続く。老人らしいグダグダの愚痴だ。

 

だがオレは、珍しくその愚痴を聞いた。

 

歯車が鬱陶しいのは?大いに共感デキるからだ。

 

 

「ソレで少年。どう思う?」

 

 

「最初に言うケド?

 爺さん、アンタ引き籠りのニートだろ?

 たまには外に出ろよ?答え何て、ソレで解るだろ?」

 

 

「どう言う事だ?」

 

 

「外を見ろよ?

 客足が遠のいて、赤字になれば店が潰れる。潰れてまた、次の店が出る。

 爺さん見たいな年寄りが死ねば、人が居なくなって、家が潰れる。

 で、空いた場所にまた家が建つ。

 爺さんの悩みなんて、ソレと同じだろ?

 若い者に、んな事聞くなよ?爺さんの方が経験して来た事だろ?」

 

 

「………ありふれた出来事って事だよ。

 世界が歯車に取って変わられた事も、な?

 新しい時間潰しの趣味でも見つけろよ?オレの趣味は、嫁との戯れだ☆」

 

 

「………ありふれた出来事か。

 若いな。そして、適わんな。コレが若さと言うモノか」

 

 

爺さんは、何処か憑き物が落ちたような顔をする。

 

そして老人らしく、どっと年を取った顔になった。

 

で、鍵を渡された。アンティーク風の凝ったデザインの鍵だ。

 

 

「ナニコレ?」

 

 

「少年は未来在る、時間の在る若者だ。

 宝探しの鍵だよ。話の礼にソレをやろう。

 ソレで宝箱が開いたら、中身は少年のモノだ」

 

 

今度は孫に小遣いをやる、暇な老人の顔をする。

 

で、オレの乗る電車の発車連絡が聞こえた。もう時間だ。

 

 

「じゃ、もう行くから?ソレなりに暇潰しになったよ」

 

 

「あぁ、楽しかったよ少年」

 

 

爺さんに別れを告げる。

 

爺さんの出血が、酷くなっている事に気付いていた。

 

だがオレは、嫁が待つ電車に乗る。

 

流れる風景の中、さっきの駅の方に?

 

軍用車が向かって行くようだが、別にどうでも良い。

 

 

「………オレは寝る。リューズ?」

 

 

「はい。私の膝でお休み下さい。

 良い夢を、ナオト様」

 

 

こうしてリューズの膝で眠って、

 

目を覚ませば?シズやアンクルちゃんも居る。

 

コレが既に、夢のような現実!ってヤツだけどな?

 

 

「ナオト」

 

 

事の発端は?三重を脱出する際の事。

 

灯台管理施設の警備用オートマタのメンテを即処理して、

 

さっさと三重を出よう!と言う時、

 

管理施設に戻ると、シズにクィクィと服の袖を引かれる。

 

振り返るとシズは、朝にはニュースをやっていた情報端末を指差していた。

 

 

「皇居の公開イベント?

 あぁ、修繕費稼ぎのありがたいイベントだな?

 何々?Yの遺産と言われる数々の貴重な品を展示する博物館??

 パチモン臭いなぁオイ?で、もしかしてコレ行きたいのか?」

 

 

コクコクと頷くシズ。

 

マジですか?このパチモン臭い展示がそんなに見たいのか!?

 

ソレとも意表を付いて、凄い本物とかなのか?

 

 

「………………」

 

 

切なそうな上目遣い!

 

しかもコレ?詳しい説明は無し!と言う態度です☆

 

 

「………解った。

 どうせ三重を出る処だしな?行ってやろうじゃないか!皇居に!!」

 

 

「ありがとう。ナオト」

 

 

本当に解り難い。解り難いが、シズは僅かに微笑んでいる。

 

ソレなら良い。シズの微笑みが、オレへのご褒美だ!

 

 

「で、やって参りました。皇居です!

 ですが閑散としています。本当にイベント開催中なのでしょうか?」

 

 

「ナオト様?

 何故レポーター調なのでしょうか?」

 

 

「いや、少しでもテンションを上げようと思って?

 大体こんなモノだろ?休日の父親的な?

 勿論、リューズはオレの妻的な?」

 

 

「ナ、ナオト様///」

 

 

ギュッと、リューズの手を恋人繋ぎで握る。

 

そして距離を詰めて、もう片方の手で顎クィを決める。

 

 

「違うだろリューズ?

 ダンナ様を呼ぶ時の、正しい呼び方が在るだろう?」

 

 

「は、はい。ア、アナタ///」

 

 

リューズの頬が、観察しなくても解るくらい赤く染まる。

 

あぁ、いつでもリューズは可愛萌えだ☆

 

シズやアンクルちゃんも居るケド?キスくらいイイよね?

 

オレの気持ちが伝わったのか?リューズがキス待ちの顔になる。

 

迷わずオレは、リューズにキスをした。

 

 

「まぁ☆このような場所で、

 いぇ、ジャマをするつもりでは無かったのですが」

 

 

リューズを追い詰めて萌えていると、

 

品の良い声が聞こえて来る。ギャラリーが居たらしい。

 

オレは唇を放して、声の主を見る。

 

所謂、大和撫子系の黒髪さんだ。オレは別に、興味無いケド☆

 

 

黒髪は蓬子と名乗った。

 

オレ達が皇居の公開イベントに来た旨を伝えると、

 

イベント会場の案内を買って出て来た。先程のお詫びだと言う。

 

蓬子は皇居で働く職員らしい。

 

で、今はシズと何やら談笑している。

 

メインターゲットがシズだと察したのだろう。察しの良い奴だった。

 

 

「ナオト様?」

 

 

「………余り気を抜かない方が良いかも、

 アイツ、勘が良さそうだ」

 

 

蓬子の案内でイベント会場を進む。

 

実際に皇居の中に入ると、ソレなりに人は居た。

 

だが大半は皇居の建物を見たり、庭園を散策したりで、

 

オレ達のように、博物館へ行く来場者は少ない。

 

 

「………シズ?」

 

 

博物館を、割と早いペースで進む。

 

既に何を見るつもりなのか?決めているペースだ。

 

案の状、足はYの遺産コーナーで止まった。

 

そしてシズは展示品を見渡して、その一つに目を止めた。

 

 

ソレは一つの指輪だった。

 

指輪にYの刻印。

 

紋章らしきモノが在り、ソレがYの遺産の証らしい。

 

そう蓬子は説明しているが?シズはソレを聞いている様子が無い。

 

只々、指輪を食い入るように見つめていた。

 

 

「ソレで、説明は在るのか?」

 

 

夜。近くの工房付きホテルに宿を取る。

 

皇居を出て、

 

ホテルにチェックインして部屋に入っても、シズは静かなままだった。

 

 

「………アレは私のモノ、だった」

 

 

シズは語った。

 

あの指輪はYから与えられたモノだった、と。

 

だがYの不評を買い、シズは解体されて?指輪も取り上げられた。

 

 

「シズは、あの指輪を取り戻したいのか?」

 

 

「解らない。

 もうあの指輪は?私の物じゃない、から。だから………」

 

 

シズはソレ以上、何も語ら無かった。

 

今はアンクルちゃんと一緒に、隣の部屋に移っている。

 

 

「リューズ。行ける?」

 

 

「行けるか?

 と訊かれるなら、行けます。と答えましょう」

 

 

リューズの切り札を切れば?

 

皇居の警戒網に捉われる事無く、指輪を強奪デキるだろう。だが?

 

 

「シズ自身がソレを望んでいるか?は別、か」

 

 

微妙なラインだ。

 

しかもシズを解体したヤツとの指輪だ。正直渡したくも無くなる。

 

 

「ナオト様。私はシズに、指輪は必要だと思います。

 話を聞く限り、シズは一方的に離婚させられました。

 心の整理が、ついてイナイのでは無いでしょうか?」

 

 

「………サブマスターの件も、ソレか。

 メインのマスターは、未だにその旦那だと」

 

 

「はい。ですから?

 今回の指輪の件で、何かのキッカケになるのでは?と」

 

 

ソレが+に傾けば良い。

 

だが何もしないのは、オレには似合わない。やるか!

 

 

「良し、なら………。何だ?」

 

 

ホテルの情報端末が?自動で起動。

 

コレは緊急時の緊急特報だ。災害発生や、テロ勃発時に起動する。

 

その内容は?巨大機動兵器が区画/秋葉原に突如出現。

 

巨大機動兵器は、そのまま秋葉原に陣取って占拠!

 

軍が出動するも撃退され、軍民双方に甚大な被害が出ている模様。

 

コレは先日、三重で発見された製造禁止兵器で在るらしい事。

 

犯人は反乱を企てた、滋賀の元研究員だと思われるモノの?

 

犯行声明の類は?特に無い事が報道されていた。

 

 

「うわぁ、しかも電磁兵器とか☆

 近場に居ないで助かった。本当に」




コレで実際に、ゲンナイが納得するかどうかは謎ですが?
今回は歯車が嫌いな者同士、語り合わせて見ました。

そして出番を潰す予定だった八束脛再臨!
アニメで八束脛の雄姿を見たから☆
ソレと、アッサリΩが八束脛を諦めるかな?と思った次第。

最後にアンクルですが?
ナオトとマスター認証してイナイので?
姉の恋人的態度を取っている設定です。
この作品のアンクルは?恋愛ゲーの後輩キャラくらいの精神年齢です☆

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