クロックオーバー・プラネット   作:LW

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主人公とメインヒロインが超好みで在る事は?
とても大切☆SF系も好物!
と言う訳でクロプラモノです。

01の無きに等しい情報量でクロス先を的中させた方には?
神認定を贈呈します。


01 眠る者/目覚める者

「はいはい、おはようございます。

 本日も歯車日和。歯車日和。

 今日も朝だろうと、昼だろうと夜だろうと、

 朝だろうとウルセェなオイ?

 オレの相棒ちゃんは何処よ?」

 

 

意識の覚醒と共に、耳慣れた錆びた歯車の音が響く。

 

目覚めは好く無い。

 

寝返りでもして相棒、自称完全遮音ヘッドフォンが外れた所為だ。

 

重い瞼を閉じたまま、

 

手探りで昨夜も仕事をサボった相棒を手に取り装着する。

 

錆びた歯車の音が、少しマシになる。

 

重い瞼を開く。

 

朝だ。そう認識する。

 

 

「おはよう。

 今日も美人だぜ?オマエラ!!」

 

 

そして起床と共に愛しの彼女達に朝の挨拶!

 

寝床を囲むように配置した、

 

オレの手で整備した置時計を始めとした様々な愛すべきムーブメント!

 

配置を変えて、お休みポジからお目覚めポジへ!

 

コレをやらなければ?一日は始まらない。

 

 

そう。コイツラは特別だ。

 

自分で直した所為か?コイツラの歯車の音は不快に感じない。

 

むしろリラックス出来る。

 

結界だった。

 

 

「おはよう。今日も朝だぜ?」

 

 

意識を覚醒させて、朝のポジチェンジを終えて、

 

一般的な朝の身支度を済ませて、オレは彼女に声を掛ける。

 

粗末なマンションの、

 

粗末なオレの部屋の大半を占めるオートマタ用の粗末な工房。

 

其処に在るメンテナンスベッドの上で、

 

彼女は今日も眠り続けている。

 

と、いやそうじゃない。

 

眠り続けている訳じゃない。まだ目覚めていないダケだ。

 

オレが零から組み上げ続けている無銘のオートマタ。

 

ソレが彼女だった。

 

 

オレは歯車が嫌いだ。

 

他の奴等より、良く聞こえる耳が嫌いだ。

 

錆びた歯車の音が、いつもいつも囁いて来る。

 

助けて欲しい。死にたく無い。

 

だがオレに出来る事は無い。ガリガリと睡眠時間が削れるダケだ。

 

 

時計技師になれば、

 

この耳障りな音を直せるかもしれない!

 

そう思い至って、時計技師になろうとした事も在る。

 

だが上手く行かない。

 

忌々しくも良く聞こえる自分の耳と、直感。

 

心が数々の教材を否定する。

 

ソレでも頑張って第二級までは、資格を手にした。

 

そしてソコまでだった。

 

延々と誤りとしか思えない知識は苦痛だった。

 

そんな知識と技術を命懸けで振るう現場は過酷だった。

 

オレは時計技師の世界に背を向けた。

 

 

ますます歯車が嫌いになり、

 

相棒の遮音ヘッドフォン無しではやって行けなくなった頃。

 

オレは彼女に出逢った。

 

 

始りは一つの歯車。

 

今でもアレは運命の出逢いだと思っている。

 

詳しい事は覚えていない。

 

気付けばその歯車を手にしていた。

 

不思議な歯車だった。

 

その歯車は錆びた音を、悲嘆の声を上げていなかった。

 

只々眠っている。そう感じた。

 

そしてとても心惹かれる音を紡いでいた。

 

鼓動だと思った。

 

この音色は彼女の命の鼓動だと思った。

 

ただ目覚めを待つ命の鼓動だと思った。

 

 

一度は捨てた時計技師の技と、

 

いつもオレから睡眠時間を奪う耳。

 

忌々しい力。忌々しいと思って来た力。

 

それらを総動員して、彼女に相応しいムーブメントを組み上げる。

 

それはオートマタだと確信した。

 

 

ジャンク屋を巡る。違法パーツ屋を巡る。

 

働きたくも無い軍でも働き、パーツの入手ルートを開拓する。

 

正規の軍需企業は使えない。

 

 

そうして今も彼女は眠り続けている。

 

いつか彼女の本当の音色が聴きたい。

 

彼女の本当の歯車の鼓動が聴きたい。

 

何が彼女に足りないのか?

 

 

「コレは………マジか?」

 

 

オレは彼女の名前を呼ぼうとして、ソレに気付いた。

 

彼女との一時に水を差されてカチンと来るが?ソレ処では無い。

 

マンションの外。上空に恐らく輸送機が接近。

 

ソレは良い。

 

が、たった今何かが外れる金属音がした。この時点で嫌な予感!

 

更に予感的中!重量の在る何か、恐らく輸送品が落下して来る!

 

そして時間的に対処不能!

 

その落下物は天井をブチ抜き、オレの工房に侵入して来た処で止まる。

 

マンションに深刻なダメージ。倒壊まで三時間も持たない。と言った処か?

 

 

「やってくれたなオイ?」

 

 

詳しいチェックは必要だが、彼女に目立った損傷は無い。

 

咄嗟に彼女を護った結果だ。

 

だが後で、やってくれちゃった犯人は泣かす!と決めて、

 

犯人の情報を求めて、落下物に近づく。

 

 

落下物は銀色のオートマタ用保存ケース。いや、柩だった。

 

オレは誘われるように、無意識に柩を開けていた。

 

予感はしていたのだと思う。

 

オレには解る。柩を開ける前から解っていた。

 

言葉は無い。

 

必要無かった。只々魅せられる。

 

 

うん。女神降臨と言うヤツですね?解ります!

 

素晴らしい!美しい、としか表現のしようの無い歯車の音色が聴こえます!!

 

そして外装は銀髪美人!

 

いえ、銀髪ヒロインです!本当にありがとうございます!!

 

幸運の神様とか?出逢いの神様とか?

 

オートマタの神様が居たら?信仰してもイイです!

 

むしろ信仰します!ブラヴォー☆

 

 

「ふぅ………取り乱しちまったゼ☆」

 

 

興奮の後、賢者タイム突入。

 

この銀髪女神は軍の秘密兵器では?とか、

 

何処ぞの軍需企業の試作品では?とか言う一般的反応はスルー。

 

この銀髪女神が欲しい☆コレ重要!

 

デメリット?命の危険?ナニソレ美味しいの?状態。

 

優先順位を間違うヤツはアホだ。

 

1/この銀髪女神をGET

 

2/当然彼女も連れて行く

 

3/絶賛倒壊中のマンションから脱出(使える物も持ち出す)

 

 

「待ってろよ、オレの銀髪女神様☆

 直ぐに起こしてやるからな?」

 

 

コレだけ素晴らしい音色を奏でながら、

 

沈黙する重要そうな歯車が在る事は直ぐに気付いた。

 

オーバーホールを始める。

 

当然服を脱がせて開胸しなければならないが、エロい気持ちは無い。

 

規格外の数の歯車を内包しながら美しいとしか言いようの無い調和。

 

歯車の構成と、ソコから奏でられる音色に負ける事の無い外装。

 

コレには勿論興奮したが、無いったら無い。

 

只々銀髪女神の目覚めを願い、工具を捌く。

 

 

私は眠る。眠り続けている。

 

或いは目を閉ざし続けていた。と言う方が正しかったのかもしれません。

 

重要な、人間の臓器で例えるなら?

 

心臓の停止による機能停止。

 

けれど私はオートマタ。

 

心臓とも呼べる歯車が停止しようと意識は在り続けます。

 

 

私は、私を求める数多くの有象無象が群がるのを知覚していました。

 

無能な時計技師達です。

 

イタズラに私の身体に触れて、何もデキナイ無能な方々。

 

進歩が無く、研鑽が無く、変化が無い。

 

もう私が寄り添うべき人類は絶滅したのでしょうか?

 

私は諦めと言う感情を認識していました。

 

 

ですがソレは私の誤りだった模様。

 

久しぶりに私を起こそうとする方が現れます。

 

また無能様ですか?と思いましたが、

 

この方は?私に適切な処置を施して行きます。

 

まさか!?と言うのが本音でしょう。

 

そして何よりこの方は?まるで私が………

 

本当にただの女で在るかのように扱っていると感じました。

 

ソレに先程から、私の事を上機嫌気に女神女神と///

 

 

歯車が廻る。

 

一つ一つ機能停止した歯車が廻って行く。

 

もう私は目覚めを楽しみにしていました。

 

この方に、貴方に逢いたい。

 

 

「気分はどうだい、女神様?」

 

 

体感で二時間が経過。

 

目当ての歯車の処理が終る。

 

胸を閉じ、服を着せ直した処で銀髪女神の目が開いた。

 

 

「………先程から女神などと、私はリューズ。

 Yシリーズ壱番機。付き従う者、リューズです」

 

 

で、自己紹介を済ませてマスター認証と言う名のフ○ラまで済ませた処で、

 

この銀髪女神ことリューズが毒を吐き出す。

 

 

「………それにしても、

 私の胸を思う存分視姦したにも係わらず、迷わず服を着せる。

 ナオト様は着衣プレイ専の変態ですか?」

 

 

などとおっしゃるが?

 

オレはリューズが若干頬を染めているのに気付いている。

 

良い度胸。ならば更に赤くするのが男の甲斐性ですよね☆

 

 

「着衣プレイ位なら変態の域じゃないだろ?

 せめてマニアと呼ぶように」

 

 

「………成程。ナオト様は変態かつマニア、と」

 

 

「そんなにオレが変態かどうか知りたいなら、

 確かめるか?」

 

 

リューズは起き上がって柩に腰掛けている体勢なので、

 

もう一度押し倒すのは難しく無い。

 

リューズは抵抗しない。

 

むしろリューズの歯車が高鳴っている事に気付けるオレは、

 

少しチートと言えるだろう。

 

オレは人間には興味の無い人間だが、

 

目の前のリューズをとてつもなく魅力的に映している。

 

だから迷わず、オレはリューズの唇を奪う。

 

 

「………やはり、ナオト様は変態です」

 

 

唇を放して橋が崩れて、

 

最初にリューズが紡いだ言葉がソレだった。

 

視線を反らし、唇に指を当てる仕草にも興奮する。

 

そのまま次に行けそうな空気だったケド?

 

オレの無駄に聞えのイイ耳は、マンションの危機的倒壊音を察知する。

 

オオィ!?根性ネェぞマンション!もっと根性見せろや!!

 

 

「………リューズ。非常っっに残念だが、避難優先だ」

 

 

「訂正します。ナオト様はヘタレかつ変態マニア、と」

 

 

「ヘタレちゃうわっっ!!!」




リューズの好感度が初めから高くね?
と思った方!正解です☆
起動時に好感度を稼いだ設定です。
ソレと最初からやらかしましたが?仕様です。

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