転生先は…光の線を描きもの   作:㐂眼翔

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ルクス










例え、この身体で君達に怯えられても構わない。

化物達と同じ姿しているから、君達に怨まれても構わない。

でも、私にも心がある。

寂しいと言う感情がある。

長い間、この身体で生きてきたけど嫌になる事もあった。

いつか私の行いで君達と理解し合えたら…良いなぁ。


希望に満ちた糸、その色は…

希望に満ちた糸、その色は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

基地の通路を歩き、目的地に向かう男が一人。

 

カッカッカッカッ

 

頭髪は黒でパッと見れば日本人のような顔付き。 そんな彼は米国人と日本人のハーフである。 その為か幼い頃に辛い思いをした所為か…日本の関する事が苦手であった。

しかし、彼は彼女と出会ってからは少しずつと苦手意識は薄れて行く。 心の奥では…まだ溶けていない氷がある為か自分の事は日系米国人と言う。

 

「はぁ〜、これから作戦と言うのに呼び出しだと。 中尉は何を考えているんだ?」

 

彼の名はユウヤ・ブリッジス。 『XFJ計画』の首席開発衛士として不知火・弐型に搭乗する事に。 そんな彼は呼び出した張本人がいる場所に向かっていた。

 

プシュー

 

「入るぜ、中尉」

 

「待っていたぞ、ブリッジス少尉。 話なんだが…これを見てほしい」

 

唯依は呼び出したブリッジスが部屋に入ってくるなり、彼にある映像を見せた。

それは前の戦闘シーンであった。

 

「これは…」

 

「あぁ、あのBETAであるルクスの戦闘記録だ。 それをブリッジスに見てほしいと思って呼んだのだ」

 

そう言われたユウヤは、何故自分にあのルクスの戦闘記録を見せるのかは疑問しか無かったが取り合えず見る事に。

 

(…なんでBETAであるのにも関わらずに、ソ連の戦術機を乗りこなしている。 それも衛士を庇いながらも的確な動き…周りの状況把握。 本当にBETAなのか)

 

彼は自分なりにも戦術機の操縦スキルには自信があった。 だが、目の前に映された映像に少しずつと何かが崩れそうになっていた。

そんな彼の表情を見た唯依は、試すように話しかける。

 

「少尉、これを見て感想をくれ」

 

彼女の言葉にユウヤは少し考えて、自分なりの感想を答えた。

 

「…取り合えず言える事は、スゲェと言う一言だ。 BETAであるのに戦術機の操縦、戦場の状況を把握しつつ良い方向に持って行く勘と言った所だな」

 

ユウヤの感想に唯依は、少し問題を出す。

 

「では、ルクスの操縦に何か気づく点は無かったか?」

 

(…?)

 

そう言われたユウヤは、何度かルクスの戦闘シーンを眺めている。

すると、何か理解が出来ない点を見つけたユウヤ。

 

(なんで機体自体が傾いているんだ? それに片足で立って…OBWシステム《オペレーション・バイ・ワイヤシステム》を無理矢理に抑え込んでいるだと!?)

 

戦術機は、衛士に操作され動いている。 しかし、衛士の操作は本当に戦術機を動かすだけなのだ。

それを補うための物が、戦術機を安定させている《オペレーション・バイ・ワイヤシステム》なのだ。

人間の操縦を直接駆動系に伝えるのではなく、途中にコンピュータ処理を介在させるシステムであり…コンピュータは人間の代わりに機体を細かく制御し、転倒などの意図しない動作を防ぐと言う代物なのだ。

 

その為、戦術機は地面に足をつけてる時は両足なのが当たり前なのだ。

 

その常識を覆したのがルクスであった。

 

「コイツ、態と機体を跳躍ユニットを片方だけを少しだけ使って片足立ちを維持していやがる! 」

 

「そうだ、ルクスは戦術機のOBWシステムを無効化させている。 その理由が、このルクスの戦い方に合わないらしい。

 

そして、ルクスの戦い方は比較的に人間的で合理的な動きをしている」

 

格闘技をやっている人間なら少しながらも理解出来ると思うが…立っている体を後ろに振り向いたりする時はどんな動作をしているか。

格闘技を未経験な人間は、二歩三歩と足を動かして後ろを向くであろう。

多少なりとも格闘技を知っている人間なら…一動作で後ろに振り向く事が出来るであろう。

 

左周りなら左足を軸に、右周りなら右足という形に。 無駄に動作を行わずに、一つの動作で行えば動きは省略されて素早く振り向ける筈。 それを戦術機で実行するルクス。

 

どうしても戦術機を動かす際に、プログラムされたパターン化した動きになってしまう。 何故か、人間は脳から直接身体に信号で送ってから命令した部位を動かすが戦術機は限られた操作しか出来ない。

限られた操作には機体の姿勢制御は無かった。 その為のOBWシステムだった。

 

「ルクスがOBWシステムを理解しているとは思わないが、自分なりに扱いやすくする為にあの姿勢にしているのだろう。

 

後は、あの戦い方には長期戦にはうってつけだな」

 

「何でだ、中尉」

 

「見ての通り、ルクスの動かし方は特殊だ。 片方ずつと跳躍ユニットを使い、推進剤を節約が出来る。 下手な動作も無く…最小限に留められた動き。 これは今までに無い戦術機の操縦方法だ。

 

これをブリッジス少尉に真似て欲しい」

 

「はぁっ!?」

 

「ルクスの動きを今すぐやれとは言わない。 次の戦闘でルクスには戦術機である高等練習機《吹雪》に乗せるつもりだ。 少尉が乗っている不知火の直系である吹雪…ルクスなら乗りこなすだろう。

 

そしてルクスを作戦中の間は、少尉に観察をしてもらう。 それを見て覚え学べ。

奴の動きには不知火には必須とも言える」

 

余りの唯依の言葉にユウヤは唖然としていた。それもその筈、確かにルクスの操縦方法は今の戦術機には無いがBETAのやり方を真似るのは前代未聞なのだから。

 

「なんで俺がBETAの真似事を!」

 

「…なんだ。 ブリッジス少尉にはルクスの操縦を真似る事は出来ないと? BETAであるルクスはこなし、人間である少尉には出来ない…そう言いたいんだな?」

 

「!?…」

 

唯依の言葉にユウヤは身体を震わせる。 彼の中では怒りの感情を巻き起こり、自分のプライドをかけて唯依に言う。

 

「上等だ!! BETA如きがやった操縦なんて簡単にこなしてやるよ! 舐めんな中尉!!」

 

ユウヤはそう言って部屋から出て行った。 部屋に残る唯依は、少し笑いながらユウヤの後ろ姿を眺めていた。

 

「ふっ…煽り甲斐のある奴だ。 期待してるぞ、ユウヤ」

 

唯依の表情は柔らかく、揶揄った少女のような物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ザアアアアアァァァ

 

基地のシャワー室で水が流れる音が鳴り響く。 そこには一人の女性がお湯を浴びていた。 すると十代半ばの小柄な体型で栗色な髪を持った少女が入ってきた

 

「中佐、ご一緒してよろしいですか?」

 

「あぁ…構わんよ」

 

「…失礼します」

 

先にシャワー室にいたのはフィカーツィア・ラトロワだった。 後から入ってきた少女は、シャワーを浴びる事なくラトロワの近くに寄っただけだった。 それを不信と思ったラトロワは少女を話しかける。

 

「……どうした、イヴァノワ。 シャワーを浴びに来たんじゃないのか?」

 

彼女の名はナスターシャ・イヴァノワ。 ラトロワの副官を務める精強で有能な衛士だった。 十代半ばの少女でありながら大尉の階級を持っている。

 

「中佐…一つ。 お聞きしたい事があります」

 

「言ってみろ…」

 

ナスターシャは、自分の思いをのせてラトロワに聞いた。

 

「中佐は…なぜあの様な作戦にのったのですか?」

 

「なんだ、そんな事か」

 

「部下達も不思議がっています。 何でアルゴス試験小隊と手を組んでまでする事なのかと…」

 

「大した話じゃない、BETAであるルクスを味方に出来れば大きな戦力になると考えてだ」

 

「はぐらかそうとしないでください。 中佐がそんな希望薄い物に賭けようとしているのか。 それだけの理由で私達は信じると思いますか? BETAを味方に出来ると思う事を…」

 

「…いや思わないだろうな」

 

ナスターシャは少しずつと仮面が取れて行く。 彼女ナスターシャにとってラトロワの存在は母親と思う面がある。 それが大切に思う人間が、自分では考えられない事をしようとして不安がっていた。

 

「中佐…中佐は何故、あのBETAにそこまで気にするんですか? あいつに何があるって言うんですか?」

 

それを聞いたラトロワは、ひとまずシャワーを止めナスターシャの方に顔を向ける。

 

「…あれに興味があるのは認める。 で、どうした? それが気に入らないのか?」

 

「はい、気に入りません。 あのBETAに中佐が興味を持つ程の価値があるなんて思えませんから…! なんでそこまでして中佐はあのBETAを思うんですか? 部下達もみんな……不安がっています…っ!!」

 

目に涙が溢れそうにするナスターシャ、それを見てラトロワは自分の思ってる事を話す。

 

「すまなかったな…『ターシャ』」

 

『ターシャ』とは、ラトロワがナスターシャの愛称呼びなのだ。 そしてラトロワはナスターシャに近寄り、優しく抱きしめる。

 

「大丈夫だ…私はお前達のものだ。 ターシャは聞いたな? 何故、私はルクスを気にかけているのかを。

 

それはルクスなら私達を守ってくれる存在になってくれるかもしれんからだ。 実際にキールは奴に助けられた。 BETAに関わらずにだ…私は怖いのだよ。 戦闘では何があるかは予想も出来ない、お前達を失うのは本当に悲しいと思う。

だから、私は剣と盾を欲しがったのだよ。 ルクスと言う武器をな…」

 

「………」

 

ラトロワの気持ちを聞いたナスターシャは、自分達がどれだけ大切に思われているのかを理解した。 確かにBETAとの戦闘では何が起きるかは予想も出来ない事から、死んでいった衛士達は少なくは無い。

ラトロワもその事には心を痛めていた。 だから、キールを助けたルクスに興味を持ったのだ。

 

「…中佐、ありがとうございます。 嬉しいです…そこまで考えての事だなんて」

 

「だから、ターシャ。 お前に任せた任務…必ず達成させてくれ」

 

ラトロワとナスターシャは一度離れ、お互いに目を合わせる。 そして、ナスターシャは良い表情で返事をする。

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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テクテクテクテク

 

ふぃ〜、今私は何処を歩いているんですかね?

 

あのロボットが墜落してから何日経った事か。 歩けど歩けど似たような地形の所為で何処を歩いているのかも分からない状態であった。

最近は化物達の気配も無く荒れた平地を只管に歩き続ける日々。

 

暇と言うか…疲れはしないけど歩くだけの日々も苦痛ですな。

 

そんな愚痴を発声器官も無い身体では、内心で思うだけになってしまう。 そんな事を思っていると一本の触手がビビッと反応する。

その触手が反応した方向から、何か違和感を感じた。 前の戦闘も、この違和感を感じて向かったら戦場になっていて化物達を発見する事が出来た。

 

長い間にこの身体で生きてきて、また少し感知能力が上がったのかね…

 

そんな事を考えながら私の足は、違和感を感じる方向に向けて走りだすのであった。

 

化物〜、待ってろー! 私の暇潰しにさせてくれるぞー!

 

私は後ろに土煙を舞い上がらせながら、大地を爆走していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ソビエト社会主義共和国連邦・コリャーク自治区。 西海岸部BETA再上陸地点。

 

ガガガガガッ

 

『撃てーッ!!』

 

ドンッドンッドンッ

 

唸る突撃砲と戦車の砲台。 海から上がってきたBETAを殲滅していく人類。 BETAの血肉はぶちまけられ、大地を赤く染めていく。

 

『はっはー! 見てみろよ、まるでぶちまけたボルシチだぜ!!』

 

『喜んでんじゃねぇよ、バカ!』

 

ソ連の戦術機《チェルミナートル》は、次々と海から上がってくるBETAを殲滅していく。

そこに戦術機内で通信が入る。

 

『ジリエージ1より各機。 我々の任務はルクスの誘き出しに奴を戦闘させる為に、適量のBETAをお届けする間引きだ。 決して全滅させるなよ?』

 

『『了解ッ!!』』

 

向かってくるBETAを再び殲滅にかかる数機の戦術機が戦場を駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南地区、統一中華戦線。 暴風(バオフェン)小隊試験戦域。

そこには統一中華戦線が誇る戦術機《殲撃10型》が配置されていた。 その部隊の隊長である『崔亦菲』(ツイイーフェイ)、韓系の人間で中国と台湾のハーフ。 髪色は緑で鈴が付いたヘアゴムでツインテールにセットしている。

 

「バオフェン1より各機。 これより起動近接格闘戦能力のテストを行う。 フォーメーション・アローヘッド2にて戦域に突入。 B7群から片付けるぞ! 全機発進ッ!!」

 

『了解ッ!!』

 

各機の殲撃10型が背中にマウントされている77式近接戦用長刀を、可動兵装担架システムを使い装備する。 そしてもう片方には、82式戦術突撃砲を持ち戦闘に入る。

 

(この前はあのレールガンと亜種のBETAに後れを取ったけど…近接戦なら、この殲撃10型に敵う機体などあるものか!)

 

巧みに殲撃10型を操り、要撃級を77式近接戦用長刀で切り裂いていく。

 

「バオフェンの名を轟かせろッ! 日帝の度肝を抜いてやれッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北区ソビエト連邦イーダル小隊試験戦域。

其処には一機の戦術機だけでBETAを殲滅していた。 夥しいBETAだった肉片と体液が撒き散らしていた。

 

ピピッ

 

『CP(コマンドポスト)より。 イーダル1、戦果は上々だが戦闘起動に無駄が多い。 遊ぶのも程々にしろ』

 

戦術機『チェルミナートル』のコックピット内で通信が入る。

 

「イーダル1、了解」

 

「クリスカ、おこられちゃったの?」

 

そのチェルミナートルには、複座式により2人の女性衛士が搭乗していた。 彼女達は2人で『スカーレットツイン』と言われている。

イーニャ・シェスチナ、小柄な体型で薄紫な色を持った髪は腰以上に長い少女。

クリスカ・ビャーチェノワ、女性として長身な体型にイーニャと同じく薄紫な髪色に肩にかかるほど長さ。 イーニャは垂れ目に対して、クリスカはツリ目に近い。 そんな2人は巧みに戦術機を乗りこなし、他国の衛士より頭一つ分の戦闘力を見せている。

 

「もう少し楽しみかったけど…早く片付けましょう」

 

チェルミナートルの腕から展開された近接武器を収納して、背中にマウントされていた突撃砲を装備する。

 

「とつげきほうって、あんまり面白くないよね」

 

「そうね、でもこの方が早いから。 10秒くらいかな」

 

そしてスカーレットツインは、残るBETAを殲滅する為に戦場を駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西地区国連アルゴス試験小隊試験戦域。

 

「オラオラオラオラァッ!!! こんのぉぉぉぉっ!!」

 

「消えろ、タコ助供ッ!」

 

そこでは二機の戦術機『F-15ACTV』アクティブ・イーグルが戦場に赤い華を咲かせていた。 見事な連携に射撃や近接戦闘で次々とBETAを葬って行く。

 

アルゴス試験小隊の1人、タリサ・マナンダル。 チームの中では最年少でネパール陸軍の少尉であり、勇猛な山岳民グルカ族の出身。 肌は褐色で髪は長すぎず小柄な体型、陽気で口が悪く喧嘩っ早い所が短所と言えるだろう。 しかし彼女は仲間思いな所があり、仲間の事になると感情が出ると言う感情家。

それには理由があり、BETAの進行により故郷を奪われ親しい仲間達を失った所為かもしれない。

 

アルゴス試験小隊の1人、ヴァレリオ・ジアコーザ。 見た目は長身で髪はバンドマンのように伸ばしており、性格はラテン系特有な軽いノリの典型的なプレイボーイな所があるが面倒見が良い。

他の人間からは『VG』と呼ばれ、高い機動制御や状況判断能力など実戦で生き残ってきた実力は本物のテストパイロットである。

彼もBETAに故郷イタリアを奪われいる為に、BETAに対しては激しい怒りを持っている。

 

「…すげぇな。 あいつらの近接戦起動と連携…実践と演習とではまるっきり別物じゃねぇか」

 

「そう感じる余裕が出来ただけ、あなたも成長したって事よ」

 

ユウヤは後方で2人の戦闘を見て感心していると、彼と一緒に待機している仲間がユウヤを褒めていた。

 

アルゴス試験小隊の1人、ステラ・ブレーメル。 短めな髪は金髪でおっとりとした顔つきでモデルのような身体付きしていた。 チーム中では的確な判断力と高い狙撃能力を持ち、サポート役にしては適材適所な人材。

柔らかい性格な反面、VGなどのセクハラな悪戯には静かに笑いかけて容赦の無い鉄槌を下す。

 

『なんだぁ? まぁた、突っ立ってるだけか? ご自慢のレールガンはどうしたんだよ? お家に忘れてきたの?』

 

『どうせ飛び道具がないから、ビビってるんだろ? 近接戦を仕掛ける度胸がねぇんだよ!』

 

『…キール、無駄口を挟むな。 耳障りだ』

 

ユウヤとステラ以外にも、ジャール隊のキールとナスターシャが其処にはいた。 キールはユウヤに喧嘩を売るような言葉を吐いていたが、それをナスターシャが止める。

ジャール隊の二機の間には、『吹雪』

が無人で持ち出されていた。 この戦闘では、ある作戦が実行されていたからだ。 ルクスは人間とBETAが戦う場所に現れるのは、過去の記録から推定済みの為に唯依の考えた作戦により吹雪を持ち出されている。

未だルクスの姿は発見されていないが、確認され次第でルクスに吹雪を届けるのがジャール隊の2人の役目だった。

すると4機のコックピットに通信が入った。

 

『ジャール隊及びアルゴスチーム。 ルクスの姿を確認。 作戦を実行!』

 

「「『『!?』』」」

 

基地からの連絡により、尽かさずジャール隊は吹雪を両脇を担ぎ運び出されて行く。 それを無言で眺めるユウヤだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴオオォォッ

 

二機の戦術機は一機の戦術機を運んでる最中だった。

 

「あのよ、ナスターシャ」

 

「どうした?」

 

「ルクスに渡す前に、俺機体から降りてあいつと面を合わせてぇんだが駄目か?」

 

突然なキールの言葉に、ナスターシャは一瞬身体を硬直する。 それもその筈、生身でBETAの前に立つのは自殺行為に等しいのだから。

だが、ナスターシャは深い溜息を吐きながらキールの願いを聞く。

 

「…ルクスが貴様に敵対する気配があった時は手を出させてもらう」

 

「サンキュー!」

 

そうして2人は荒野を爆走するルクスを発見するなり、ルクスの手前に機体を下ろす。 そうして、人間とルクスが落ち着いて顔を合わせるのは二度目となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒野を爆走している私。 少しずつと化物達がいる場所に近づいている事を理解しながら走っていると、前の方から三機のロボットが飛んできた。

…いや、一機は運ばれているな。 コックピットも開かれて無人だし…故障でもしてるのかね?

 

そんな事を考えながら走っていると、三機のロボットは私の向かう進路上に下りてきた。

 

はて? 何故私の向かう先に下りたのだろう。 まぁ、いいか。

 

私は三機のロボットを避けるように少し横に逸れようとすると、一機のコックピットが開き中から少年が降りてきた。 これには私は驚いた。 今まで私の前に人間が立つのは、助けた時か幼い子が好奇心で近寄ってくるだけだったのだ。 だが、少年は機体から降りて私の事を見ているのだ。

怯えず怯まず…怖がらずにだ。 そんな彼を見て私は少しずつと走る足を緩めていき、ある程度の距離を図り止まった。

 

あの少年は…この前ロボットから出した時の子だね。

 

少しお互い面を合わせていると、少年の方から私に近づいて来るではないか。 そんな少年の行動に驚きながらも、私は彼よりデカイ身体を低くする為に片膝を着く。 するともう一機のロボットが武器を構えようと一瞬したが、私の行動に敵対する動きでは無いと解ってくれたのか自然体に戻ってくれた。

そして少年は2、3歩しかない距離まで近づき、右腕を振り上げ私の首?部分に向けて殴ってきた。

 

ボム…

 

私の身体は柔らかい方だから、少年に殴られても痛くない。 しかし、彼の行動は理解できない。 そして彼は殴った際に下に向いて顔を上げた。 その顔は子供特有な幼く柔らかい笑顔であった。

 

『あの時助けてくれてありがとうな!』

 

彼の言葉は私の聴覚では理解出来ないが…唇の動きが読唇術で彼が言っている事が理解できた。

今までの無い事に私は考えられず動けないでいた。 この姿になって、数えるのも止めたほどの人間を助けたつもりだった。 しかし、誰もが私を見て怒りや恐怖などの負の感情しか無かった。

 

…あの子だけは一度は怯えたけど、話しかけてきたなぁ。

 

前に助けた三人の少女の一人を思い出した。 彼女も私と面を合わせて話しかけてきた貴重な人間だったのだから。 まぁ、途中で邪魔が入ったけどね。

だが、少年は私に笑いかけて礼を言ったのだ。 私にも心を持っているのであろう。 胸?の奥から暖かいものが身体全体に広がっていくような感覚になった。 やはり私のやってきた事は間違っていなかったと。

 

良かった…間違っていなくて。

 

嬉しくなった私は無意識に、一本の触手を彼の頭にのせて撫でた。 細い触手であるが、私は彼の頭を撫でていると少年は私に向かって話して来る。

 

『やめろよ!』

 

そんな言葉を言っているが、少年は私の触手を払う事なく照れていた。 私の心が癒される中、少年は突如私の触手を握った。

 

『あのよ、お前にアレに乗って欲しい。 そしてBETAと戦ってほしい』

 

BETA?

 

少年は私に説明するように三機が並ぶ真ん中のロボットに乗れとジェスチャーする。 ふむ、私は『BETA』と人間に呼ばれているのか。 そして化物の名前でもあると。

同じBETA同士で戦うのは可笑しな事だろうが、私は私。 彼のような人間を助けていくのが私の生きる意味だと思う。

 

君が私に戦って欲しいて言うなら戦おう。 だから君のような人間が増えて欲しいと思うのは…私の我儘かな?

 

まぁ、言われずとも私は人間を助けるけどね。 よし、予め開けられたコックピットに身体を入れ込み触手で操縦桿に巻きつける。

 

…装備は両手に刀に近い武器で、背中には遠距離武器と。 中々良い感じじゃないか。 このロボットも前に乗った事あるし…。

さて、私の欲しい物が出来た事だし…化物改め私と同じ名前を持つBETAとやら。

 

お前達に赤い華を咲かせよう。

 

狂い咲け、一瞬の美しさを放つ為に。

 

そうして私は人間から授かったロボットを操り、BETAがいる方向に向かって行った。




どうもヨッピーです。٩( 'ω' )و

読者様から有難い言葉により書き上げました。(^∇^)

ルクスのようにやっている事に意味が見出せると嬉しいものです。

下手は下手なりに、こんなストーリーがあってもいいかなと思って書き続けて生きます。\\\\٩( 'ω' )و ////

少しルクスの事を話しますw

彼はマブラブの世界に生まれたのは、実は柴犬より前に生まれてる事にしてます。

アニメの柴犬で光線級がカメラ目線で視聴者側を見ている奴がルクスと思ってくださいw

この先、ルクスがどうなるか…期待してください。

では、また次回!ジーク・ヨッピー!( ̄^ ̄)ゞ

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