転生先は…光の線を描きもの   作:㐂眼翔

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能登 和泉









あの日は、本当に変な日でした。

BETAの進軍に対しての防衛戦。 その後に撤退。

正直生き残れる気が無かったです。 ですが…あの光線級のお陰で生き残りました。

兵士級に食べられそうになった時は、本当にダメだと思いました。

だけど、あの光線級が助けてくれたんです。

なのに私は怯えて逃げて…しまいには気を失って。

気がつけば基地のベットの中でした。

でも、少し覚えてる事があるんです。

優しく包み込むような感じがあって、少し暖かったです。

あの光線級には、会ってお礼を言いたいです。

ふふっ…変ですよね。 BETAにお礼を言いたいなんて。

でもあの光線級は他のBETAとは違う気がします。

またいつの日か会えたらいいな。







形とは時間をかけて作り上げるもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある基地でのブリーフィングルーム、部屋は暗く壁に吊るしたシートに映像が投影されていた。 そこに映し出されていたのは…筋肉美の足を持った光線級だった。 シートに映している光を邪魔にならないよう横に立つ男性が資料と思われる紙を読み上げる。 しかし男性は浮かない表情だった。

 

「…あー、今日集まってくれた事だが。 本日からこの光線級の名前は『ルクス』だ。 光線級の俗称で元々が『ルクス』だが、他の光線級と別扱いする為だ 」

 

集められた男女の戦術機を搭乗する衛士達は、冗談と言わんばかりの顔を浮かべていた。

それもその筈、人類の敵であるBETAの一匹である光線級を何故別扱いするのか。 確かに他の光線級とは違う足を持っているのかは理解は出来ないでいたが。

 

「……君達が言いたい事は、顔に全部書いてあるな。 私も書類を読まなければ、現実味の無い話だと思ったよ。 しかし、これは現実だ」

 

「質問宜しいですか?」

 

1人の男性衛士が挙手する。

 

「許可する」

 

「そもそも何故、今更光線級の名前に関して変更があるのですか。 不可解です、確かにその光線級は他の奴とは違った足を持っていますが…理解が出来ません」

 

男性衛士の言葉に、他の衛士達はウンウンと頷いていた。 それもその筈、ただ足が違うだけで衛士を集められたのか解らないでいた。

だが、この『ルクス』の目撃情報など行動を知れば此処にいる衛士達は驚愕するに決まっている。

 

「この『ルクス』は、他の光線級と違い集団行動を取らない。 此処からが本当の実話で…今後の対応だ」

 

男性の只ならぬ雰囲気が部屋中に広がり、衛士達は喉を鳴らす。 その中で衛士達は、頭に引っかかる言葉があった。

男性が言っていたが、光線級は他のBETAとは違い遠距離に特化したBETAである。 その為に集団で行動して、後方で制空権を奪うのが光線級なのだから。

 

そして、シートに映し出された『ルクス』の一場面一場面が流れていく。

それを見た衛士達は、開いた口が塞がらない表情だった。

 

「君達の気持ちは理解できるつもりだ…しかし、現実だ。 『ルクス』は我々人間には敵対心を持っていないようだ。 可笑しな話だよ、BETAの名前を覆しているのだから。

 

そして、此処からが本題だ。 『ルクス』を発見次第、上からの命令で捕獲しろとの事だ。 決して殺さずに捕獲しろ、それが君達への命令だ。 疑問があろうが飲み込め! 以上終了だ!」

 

こうして、奇妙な光線級は『ルクス』と言われるようになったのだった。 そして…本来人間を追いかけるBETAの筈が、逆に追いかけられるとは『ルクス』には予想は出来ないでいただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ませば…目の前は地獄のような光景。

 

どうも、今までの記憶も名前も無くしてしまった者?です。 突然の広がる光景に頭が処理し切れずに冷静な私だった。

余りの事があると驚くより冷静になれると言ったもんですが…本当だった。

 

そんなこんなで私は、状況確認する為に周りを眺めるが…化物化物化物化物化物ばかり。 右も左も前も下は自分の足で上は大きな化物。 見渡しても理解出来ず、頭に鳴り響く何かを無視をして私は…この場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず、あの地獄のような場所から離れた私は誰もアイツらもいない高原に辿り着いた。

 

この時、私は今の身体を色々と調べ終わった。

後ろを振り向いて自分の身体見ると…男性のお稲荷さんにしか見えなかった。 足は細く指2本、途中で川の水の反射で顔を見たが顔…なのか? デカイ目しかなかったのだ。 全くもって化物ですわ。

そして、この身体で凄い事が出来る事に。

 

事の始まりは化物の群れと離れて、何処かに向かおうとしてる最中…遠くを見ようとしたんだ。 すると、目の前が明るくなって…目からビームが出たんだ!

この発見に私は心が踊った。 この身体になる前は少年だったのか、今の身体の不満は吹っ飛ばされた。 ドリル、ロケットランチャー、刀など扱い辛いけど威力が異常の武器などは浪漫だと思う。 その中に…ビームは入るだろう! SFな世界で主流、太ければゲロビと言われるビーム。

 

今は心をウキウキしていたが…数分後に私の心は深海より深く沈んでしまった。

 

最初は色々と知る為にバカスカとビームを空に撃っていた。 撃った後は、12秒ぐらいのクールタイムがあった。

それは…まだ許せた。 だが、6発ってなんぞ!? リボルバーじゃあ無いんだぞ!

5発ぐらいから身体に力が入れ辛くなり、6発目でバタンキュー。 数時間その場に倒れ込んでいたが、少しずつと動けるようになった。

 

これには私は幻滅。 撃ち過ぎれば死ぬ要素なんて浪漫で無い無謀だ、産廃と言っても良いだろう。

 

他には、最初に目覚めた時にもあったがあの化物達が近くにいると頭に何かが鳴り響くのだ。

試しに他の場所に移動してる時にあったのだが、約1kmぐらいから感知するらしい。 そして近ければ近いほど頭の何かが強く鳴り響く。 最初は何が鳴り響いているのか解らず、意識して解読して見る。すると言葉で言えばこう言っていた。

 

『回収せよ』

 

この一言が頭に鳴り響いている事に理解する。

だが、何を回収するのだろう。 私にはその言葉の意味が理解出来ないでいた。 あの化物達は何かを求めているのか…私も同じ身体持った者だがよくわからん。

 

あ、毛みたいな物は触手なのか意識して動かそうとすれば思う通りに動く事に発覚。

 

この身体に1番驚いた事があった。 口があったのだ。 口は本来顔に存在する物で、一度自分の顔を見た時に目しか無かったので無い物と見ていたが…背中にあったのだ! 男性のお稲荷さんのような身体の背中にだ。

因みに空腹感とは無いのだが、何かが足りないと思う時がある。 まさにビームを撃った後とかに。

口があれば何か食してみようと試みた。 試しに山にあった野イチゴや木の実を食べて見たが味が無い。 味覚が無いのか食べる楽しみが無かった。

でも少し満たしたと感じた。

 

そして何年か過ぎた。

 

色々な所にも行った。 この身体は呼吸しないのか、海の中に入っても苦では無かった。 だけど、潮で流されたのは大変だった…。

太平洋横断は長かった。 その時に化物達の集団にも鉢合わせた。 しかし、あっちは私に興味が無いのかスルー全開。 私も同じくスルー。

海の中では時間の流れは分からないでいたが、長い間海底を歩いていた。 最初はバタ足で泳いでいたが、途中鮫に出くわして襲われた為に断念。 鼻を蹴ったら逃げて行ったが。

 

 

 

久々に陸に上がり、再び自分の身体に対してどんなポテンシャルを持っているのかを調べていこうと考えた。

 

陸に上がった時に私の目の前に人間がいた。 これが初めての人間との対面だった。 だが、私を見た人間の顔は恐怖に塗り潰されたような表情だった。

まぁ、確かに私のような外見がいきなり現れたら誰でも驚くであろう。 そして人間は何かを叫んで私から逃げる。

 

「〆<%€ー!〆<%€$☆×:々>|,・○→♪ー!!!」

 

この身体には聴覚があるのだが、人間の言葉が理解出来なかった。 日本語、英語、中国語など…色々な言語はあるがあの人間が叫んだ言葉は私には聞き取れなかった。

これには参った。 人間とのコミュニケーションが取れれば、幾分か協力してもらおうと考えていたのに。

 

私は逃げていく人間とは違う方向に足を進めた。 この時にその場に居続けていたら殺されていたとは知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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広島海辺。

 

その日は快晴。 1人の男性は海辺で散歩していた。

 

「うーーん、今日は良い天気だ。 何か良い事がありそうだ」

 

身体を伸ばして気分良くしている男性だったが、この後恐怖のどん底に突き落とされる。

 

ザバァ

 

何か海辺の方から音が聞こえ、首を聞こえた方に向けるとBETAがいるのだ。

男は一気に気持ちが入れ替わる。 目の前にいる存在が、自分を殺す存在だと瞬時に理解していた。 そして男は尽かさず逃走を図る。

 

「BETAだー! BETAが現れたー!!!」

 

そう叫びながら男は広島に建てられた基地に逃げ込んでいった。 そしてBETAの発見により、駆除の為に軍が戦術機を送り出したが…その時には海辺にはBETAの姿は無かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を見て逃げた人間とは逆に歩いていた私は、森を見つけ中に入っていった。

 

とりあえず、この身体は鍛えられるかと痛みと治癒能力があるのかを確認しよう。 私は鍛えられるとするならば足であろう。

この移動にも使う足を鍛えられれば、もし人間と化物から襲われても対処出来るしな。 そうと決まれば最初に痛覚に対してだ。

近場の木を選び、丁度良い枝を見つけては折り自分の身体に突き刺してみた。 だが、刺さってはいるのだが…痛みが無い。 麻酔をかけられた部位に何かを押し付けられている感覚なのだ。 となれば、この細い足で木に蹴りつけても痛くは無い筈。

 

そう決めつけた私は、自分の足で蹴り倒せるか倒せないかの試し甲斐がある木に勢いつけて蹴った。

 

メキャッ

 

見事、折れる音がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐわあああああぁぁ

 

折れたのは私の足だった。

 

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ

 

痛みの余りに恥など御構い無しに、その場を左右に転がっていた。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!! メッチャ痛覚あるやん!! 見事に脛の部分から折れてるやん!

発声器官が無い身体で、森の中で一匹の怪物が転がっているのは私。

 

数時間後、ある程度痛みに慣れた私は片足でケンケンしながら食料を探してみた。 前の土地で木の実などあればと思い探し続ける。 …ケンケンで。

 

何個かの実を食べて、触手を使い足を固定する添え木を作り数日足の経過を見てみた。

 

3日後、足は完全に治り歩けるようになった。 そして嬉しい事が判明した。

人間の骨折のように一度折れた骨が太くなるように、私の足も少し太くなっていた。 改めてみると右と左の足の太さが違うのだ。

これは左右合わせる為に…もう1度?

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐわああああああぁぁぁっ

 

 

 

 

 

 

 

 

メキャッ

 

あれから数日、私は今日も折れる音を聞いていた。

 

バサバサバサバサッ

 

木が倒れる音を。 あれから私は、幾度となく木を蹴り続けていた。 折れては治し、折れては治しの繰り返し。 最初の方で何となく、これを繰り返せば足が丈夫になるのでは無いかと。

実際試す為には気が狂いそうなほど足を折った。 しかし、努力の甲斐があって少しずつと折れ辛くなり最終的には逆に木を折ることに成功。

 

よっしゃあああああっ

 

心の中で私は歓喜していた。 何回もやめようと考えていたが負けずに頑張ってこれた。 結果が出た事に嬉しくなり、私は突き進んだ。

 

この身体で走るのは向いていなかった。 それは指が2本しか無いからだ。 動物は指が5本なのだ、前の私は人間だったのだろう。 感覚的に走り辛いのが教えてくれる。 しかし、欲しがっても指は増えぬ為に2本指の足での走りに慣れようと考えた。

 

何十kmも走り続けて何度も転んでいたが、陸を跨ぎ再び海を見る時には爽快に走れるようになっていた。 それに気がつけば指は5本指。 これは最高の成果だった。 この身体は少しずつと対応していると実感した。

ならば行ける所まで行こうと考えた私は、再び海に入って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パパパパパパパパッ

 

ゴシャッ

 

メキメキッ

 

ザシュッ

 

私は今…戦場にいた。

海を渡り新たな陸に辿り着くと、そこには化物達と戦うロボット達の姿があった。 どう見ても物量が化物達の方が優っている。 ロボットの方は雀の涙。

私は遠目から覗いていた。 不用意に戦場に立てば命を落とすのを知っていたから。

 

うわっ、あの赤いのロボットの中から人間を引っ張りだして食ってるな…。

 

その後はロボット側が全滅。 化物達は他の場所に目指しているのか居なくなった。

その場にあるのは、ロボットの残骸と化物の死骸。 私は戦場の後を歩いていた。 その時に私は思った。

 

共喰いは出来るのか?

 

思ったら即実行。 半分になっている赤いのを喰らおうとしたがサイズが…。 小さくする為にビームを使ってみたが全部消してしまった。 失敗失敗、2度3度と繰り返して思いついた。

 

片目だけで撃てないのか?

 

試してみたが…撃てた。 両目より威力と細いが調節するには最適だった。 そしてビームで切り分けた赤いのを触手で掴み口に放り込んだ。

うん、無味。 しかし、木の実とかよりは得た感がある。 そして、先程発見した片目撃ちを試そうと。 残弾が切れて動けなくても餌はここに沢山とあるのだ。 試す価値はあるだろう。

 

 

 

 

ビームを使って試した事で発見した事が幾つか。

片目撃ちで6発が撃てることに。 両方合わせて12発、片目を撃ち尽くしてもバタンキューが無いのはデカイ。後、単純に両目と片目の威力が違う為に多く撃てるだけの話だった。 両目撃ちだと多くエネルギーを使うのか、6発打ち切るとバタンキューするという事だった。

そして片目撃ちの良い所は…クールタイムが無い事。 これは戦い方に手数と幅が増える。

 

粗方ビームの実験が済むと、私は次の実験に移行した。

私の蹴りで化物達に通じるのか。 同じ身体を持つ化物は…弾けた。 赤いのは凹むほど。 少し大きなサソリを似せたような化物は手こずった。 ゾウムシに頭に殻を付けたような化物は、殻に対しては歯が立たないがアイツはケツが柔らかいから関係無かった。

色々と試せて楽しくなって行く私は、突然と記憶が戻ってきた。 決して全部では無かったが戦う知識や戦闘経験が頭に浮かんだ。

 

これは…前の私の記憶?

 

不思議とその記憶は私のだと確信した。 これにより自分の身体を自由自在に動ける様になった。 無駄を無くしてより一層の身体能力を向上させる事に成功。 それを歓喜する私だったが、突如頭に鳴り響く。 それは近くに化物達がいる事を示していた。

それに不安感が襲う。

 

気づけば私がいる所は中国だった。 そして化物達は私が前にいた大陸の方に向かって進軍していた。 今思い返せば、あそこは日本だったのでは無いのか。

戦う力を付けた私は、これ以上人が死ぬのを見るのは良い気分では無かった。 そう感じた私は、ここまで来た道を戻る事に。

人間と変わらない脚を使い、最大限に鍛えられた筋力が私の身体を前に進む。 人間には不可能な速度を私は大地を蹴り続けて出していく。

 

待っていろ、日本!

 

地球の半分以上である海に私は再び入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は化物達が向かう先を予測して、再び日本に上陸していた。 しかし、少し場所がズレてしまったのか市街地に着いてしまった。 そんな所に離れた場所に4機のロボットがいた。

だが、3機のロボットは離れてしまい残る1機が集まって来た化物達と戦い始めた。

 

 

 

 

持っている武器が使えなくなったのかロボットは、片足をやられていた。 動けないロボットを追い討ちをかけるように、ゾウムシのような化物達がロボットに突撃していく。

 

しかし突撃していく化物達は私が既に後ろに回り込み片目ビームでケツを焼いて殺した。

鳴り響く頭は強く無い為に、近くには化物達がいないと分かると私は仰向けに横たわるロボットに近づき胸部分を蹴り上げる。

 

開かれたコックピットを覗き込むと、1人の男性を発見する。 男性は私の顔を見ると驚いていた。 私は男性を触手で掴みあげると、男性は踠き暴れ始める。 それでも強くせず外に出した。

外に出された男性は少しずつ大人しくなっていく。 不思議に思った私は、彼の身体を見回すと背中に出血した場所を見つける。 それを見た私は…彼は助からないと分かってしまった。 とりあえず、顔を合わせるようにすると彼は何かを喋っていた。 相変わらず何も理解出来なかったが、唇の動きを見て解読。

 

『くそ、お前らの所為で何人の生徒が死んでいったんだ。 最後に残ったのが3人か…どうか逃げ切って…く……れ…………』

 

そうして…彼は動かない物になってしまったのだ。

少し離れた場所に、戦闘音が聞こえて頭に鳴り響くのが強くなっていた。 私は彼を優しく置いて、先ほどの3機がいると思われる場所に向かった。

 

 

 

 

 

私は建物に墜落したロボットを見つけた。 コックピットは空いていて中には誰もいなかった。 もしかしたら、近くにいるかも知れないと探し始める。

 

「÷×°%$ー!!!」

 

うん! これは人の叫び声! あっちか!!

 

私は尽かさず声がした方に走り出す。 建物の中を走り抜けていくと頭が鳴り始め、そこには白いキノコのような化物3匹が、ツインテールの少女に襲いかかっていた。 片足を掴まれ宙ぶらりんになっており、私は少女を掴む化物に走って近づきジャンプしてから横回転を加える。 化物の首を切るように蹴った。

 

ズバッ

 

首と胴体がお別れした化物の首は、私の着地地点に落ちて来たのを2匹目の化物の頭に向けて蹴り上げた。

 

化物の顔を化物の顔にシュー!

 

顔がぶつかり合った化物は顔が吹き飛ぶ。 のこり1匹は、天井ギリギリまで回転しながら飛んで遠心力がついた踵落としを化物の頭に打ち込んだ。

潰れたトマトのように弾けた。

 

頭が無くなった化物は、掴んでいた少女を下ろし身体を横たわって行く。 とりあえず少女を助けられた事に、ほっと落ち着いた。

だが、助けられた少女にとって私は3匹の化物達と変わりはない。

 

「>+・→$÷〒\|〜:○*:〆×!!」

 

化物の手から離れ、私の姿を見て怯えながら身体を引きずり後ろに距離を取ろうとする。 しかし少女をこのままにしておくには、此処は危険なのだ。

その為に彼女を安全な場所に避難させなければならない。

 

「##°°##°°!! *○・$€ー!!!」

 

私は少女には悪いが近寄っていく。 少女は私から逃げ続けるが、壁に追い込まれていた。 逃げられなくなった少女に対して、私は目の前に立つと片膝をついて身を低くする。

後々考えて見たらSFホラー物だな。

 

近寄る私を少女は壁にへばり付きながら首を振る。 彼女に触手を伸ばしていくと、彼女は恐怖によって精神的に限界を迎えたのか失神してしまった。

 

…あら〜、まぁいっか。 これで楽になった。

 

私はあるだけの触手を器用に使い、少女の四肢や胴体と頭に巻きつける。 少し持ち上げては、彼女の体制を椅子にでも座らせるような姿勢に整える。

 

そして…私の背中に乗せる!

 

私の身体の形状的にトに近いので、椅子に座らせるようにするとフィットするのだ。 これで彼女を運べるのだ。 注意点は首を歩く時に合わせたサポートしないと痛めてしまう為に、触手で補う。 そして彼女を落とさない為にしっかりと触手で固定。

 

これでバッチリ! よし、彼女を安全な場所に運ぶか。

 

化物達の死体を放ったらかしにして、私はこの場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しの間、歩いていたが少々迷ってしまっていた。 困りながらウロウロとしていた所、少し離れた場所で大きな音が聞こえた。

 

他の生存者か!

 

私は背中にいる彼女に負担をかけないように、揺れを抑える為に爪先走りで音の発生源に全力で向かった。 するとまた頭に鳴り響く。

 

パンッパンッパンッ

 

目的先から発砲音が聞こえてくる。 もしかしたら、化物達と応戦しているのか。 そう考えた私は、一段階ギアをあげて走っていく。

 

「¥○+ーー!!」

 

建物の中で大きく開かれた場所に辿り着くと、そこにはロボットに群がる赤い化物達とショートカットの少女1人を発見。 私は走っていた足を緩めなかった。 そして、化物達と少女の間に入るように滑り込む。

 

ズサーーーッ

 

そして私は赤い化物がロボットのコックピットに頭から血を流す少女も発見する。 今にも赤いのに襲われそうな為に、背中の彼女をパージ! ショートカットの少女にパスをして、念の為安否を確認する為に後ろを振り向く。

すると、私の姿を見てツインテールの少女と同じように怯えていた。 歯をカチカチとならながら。

 

最早怯えられるのは慣れたな。 それよりも長髪の子を助けんとな!

 

私は足を最大限の使い方をする。 足の始動は膝、そして加速させるのが踵だ。 その為少し膝の力を抜き踵を上げる。

その動作をした瞬間に、身体を前に倒して踵で地を…蹴る! この身体になってから鍛え続けた足には、この動作は余裕だった。

柔らかい筋肉で柔軟、これが私が求めた足だった。 0から100の害虫である蜚蠊よりは劣るが、今の状況には十分な事だった。

素早くロボットに近づいては駆け上がり、長髪の子を掴もうとする赤いのを蹴った。

 

メキャッ

 

すると赤いのは蹴った場所が陥没して威力が強すぎたのか、身体が吹き飛ばされていく。

 

…マジか。

 

蹴った私ですら動揺したが、長い時間足に負担をかけて鍛えあげられた強靭の足にとって当たり前な事だった。 瞬時に正気に戻り、他の赤いのを蹴っていく。 ロボットに引っ付いていた赤いのが居ないのを確認したら、私はコックピットの中を覗き込む。

そこには怯えている長髪の子。

 

『い…いや……何する気…?』

 

読唇術を使って唇の動きで彼女の言いたい事を読みとる。

 

…うんうん、最早怯えられるのは仕方がない。 さっさと助けますか。

 

私は背中をコックピットに向けて、触手で彼女を掴み取り出した。 ツインテールの子とは違い、大人しくしていた為同じく私の背中に乗せた。 私は長髪の子を乗せてロボットから降りていく。

私がロボットから降りて、ショートカットの子に近寄ると意識の無いツインテールの子を守るように抱きしめる。 私はもう心の中で溜息を吐く。 確かに私の身体は、化物達と同じなのは認める。 偽善の心で人を助けているのも認めるが…ここまで助けた相手からの行動が否定的だと心が折れそうになる。

心が廃れそうになりながら、ショートカットの子に背を向けて片膝をついて長髪の子を近くに下ろした。 そして、私は残っている赤いのを見て…心の中で叫んだ!

 

テメェら!! 八つ当たりに付き合ってもらうぞ!!!!

 

私は力の限りに赤いのに暴力を振るった。

1発1発に怨念を込めて赤いのを蹴っていく。 少し離れた赤いのは片目撃ちで葬っていく。 そんな中、私を無視して少女達に襲いかかる赤いのがいた。

 

どこ見てんじゃー! 赤いのー!!

 

勢いをつけてマスクライダー張りに飛び蹴りを放つ。 余りにも多い数の赤いのを見て、私は必殺技の1つを使うことに。

 

くらえっ! 薙ぎ払い!!!

 

両目撃ちは威力も高く照射時間が長い為に使える技の1つ。 …どっかの作品の巨神兵みたいだな私。

何もともあれ、頭の鳴るのも無くなり近くには化物がいない事を確認した。

 

「×€¥$…♪☆→:」

 

んっ? 突然話しかけられたような。

 

私は彼女達がいる方に振り向くと、ショートカットの子が何か言いたげな様子だった。 しかし、私が近寄るのは良く無いだろう。 そんな事を考えていて、ふと思いついた事があった。

即実行に移った。 私は彼女達から少し距離をとってから、その場で片足で回る。 彼女達の方にまで身体が回ったら足を広げて胸を張った。

 

シャキーン

 

決まった…。 こんな行動は他の化物には、絶対しない行動だろう。 このポーズするのが私だと、少しずつ人間達に覚えていって貰おう。 そうすれば人間達は私が他の化物とは違うと認識してくれるはず。

そんな事を考えていたら…突然触手が逆立った。 ゾワリと身体が震えそうになり、上の方に目を向けると何かカッコよさげなロボットが私に銃を向けていた。

 

やべっ!

 

私は尽かさずその場から離れた。

 

ドオッ

 

私を狙った弾は床に当たり、爆風が巻き起こった。 私は体制を立て直し、降りてくるロボットを視野に入れる。

 

コオオオオオオッ

 

青いロボットは、私に顔を向けると容赦なく撃ってきた。

 

タタタタタタタッ

 

ちょっ!? やめ! 当たるー!!!

 

何とか避けきり、このまま此処にいたら殺されかねないと思って逃走を図った。 本当に死ぬかと思った。 建物中を走り外に出た。 今は夜の為に、静かで夜空が綺麗だった。

色々と疲れた私には、少し癒された光景だった。 そして…私は歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本だけでは無く、色んな大陸を回って少なからずと助けられる人間は救い…あのポーズを見せ続けた。 いつの日か人間達に私と言う存在がいると分かってもらう為に。

 

 

 

 

 

 




どうも、ヨッピーです。


去年ぐらいから始めていたグラブル…少しずつと成長していく事に感動していますw

でもグラブルの運営は、騎空士達を過労死させようとしてませんかね?w

そんなこんなでランクは140ほど。

グラシ集めにはマネーが…

皆さん、ソシャーゲーには無理の無い課金を…

(`_´)ゞ<ジーク・ヨッピー!

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