魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい 作:ちあさ
キマシタワーが森の妖精さんに誘われて行ったなう。
お花畑さんから届くぬりかべさんへの愛がたっぷり詰まった惚気メールや新興宗教的魔法少女平和同盟への熱心な入信案内メールなどに紛れて、森の妖精さんが是非とも今後の魔法少女の在り方に付いて話し合いたいと誘いが来たからよかったら僕も一緒にどうかという内容のメールが届いていた。
チェーンメールですら届いたらちょっと嬉しくなって中身を確認してしまうぼっちの習性にもたまには感謝したい。
お陰で森の妖精さんの情報が何かつかめるかもしれない。
会合場所は監視カメラの設置されていない場所だったので、ちょっと高くて勿体なくしまいこんでいた業務用ドローン使うことにする。
手早くセッティングして、会合時間に間に合うように空へと飛ばす。
このドローンは報道用にも使われるため夜間飛行も想定されてあり、カメラも報道用の高性能の物を積んでいるため、夜だと言うのに望遠機能も合わせて鮮明に見ることができる。
これならばいざという時に僕の魔法もしっかり発動するだろう。
だが撃墜されると本当に懐的にダメージが痛いので基本見つからないように遠方から覗き見るようにしないと。
そして本格的な魔法少女の戦いを初めて目にした。
なんだあれは。
どちらも人外過ぎる件について。
ぬりかべさんマジぬりかべさん。
壁の大きさが明確に決まっているとは聞いていたから、多少は対応できるかと考えていたのだが、壁から壁を更にどんどん生やしていって実質限界なんてないじゃないですかヤダー。
この一人万里の長城め、あれでなかなかあの壁の耐久力は高いらしいし、僕の魔法との相性悪すぎるぞ。
1枚ならタンクローリーぶつければ問題ないけど何枚も重ねられると流石にきつい。
それにピラミッド型に強固に覆われるとビルなどを倒壊させて押しつぶしても耐えられそうだ。
その後は視界が悪くなったところで背後を取られてザックリ殺られる未来が見える。
地味目な魔法でもしかしたら同類なお友達になれるかもしれないと考えていた僕の純情を返してくれ。
そして防御的な能力を攻撃に転用できる戦闘センスも問題だ。
格闘もなかなか様になっていてナイト様よりナイトしているよこのベル薔薇め。
ぬりかべさんはぬりかべーとか言いながらぬぼーと突っ立っている所を妖怪下駄で蹴飛ばされていればいいのに、何をそんなに活躍しているのだ。張り切りすぎかっこ悪い。
そしてそんな攻撃を喰らっていながらも余裕の笑みを浮かべて応戦している森の妖精さんもガチだ。
見ただけでは何の魔法か分からないが一撃で強固な壁を破壊している。
詰まりやつのパンチはタンクローリー以上の豪腕ということか?
いや、よく見れば破壊ではなく粉砕している?
幾ら豪腕だとしても殴ったら殴った所から蜘蛛の巣状に割れてしまうはずだが、実際はまんべんなく粉々に砕けている。
それにぬりかべさんが時々変な方向に気を取られている。
・・・音か?
もし音を自在に操れる魔法だとしたら、超音波を叩き込んで対象を粉砕し、さらに音を自在に発生させて気を反らせたりするということも可能だろう。
確かに森の妖精さんの正式名称は音楽家がなんたらだったからそれっぽい魔法なのかもしれないと予想はしていた。
だが音などどうやって対処しろと。
音叉でも買い占めろというのか?
真空状態を作り出して音を遮断しても発生場所を離れた所に設定できるのならば意味がないし、そもそもそんなことをできる能力など僕にはない。
これは要注意事項だ。絶対殺す帳に花丸マークを付けておかねば。
二人の能力について考察している間にぬりかべさんがお花畑さんをお姫様抱っこして逃走に成功したようだ。
森の妖精さんもここで決着をつける気はなかったのか追撃はしないみたいだ。
そこに謎生物が現れた。
もしやこの戦闘は謎生物公認なのか?
何やら森の妖精さんと謎生物の関係について疑問が湧いてくる。
確か森の妖精さんはN市で最初に魔法少女になったと聞いている。
その関係で謎生物との交流が一番深いのかもしれないが、それで不正に便宜を図られても厄介だ。
これは今後の謎生物への対応も注意しておかねばならない。
いっそマジカルフォン廃棄するべきなのかもしれない。
要検討だ。
さて見るものも見たし撤収しよう。
そう思ったときだった。
目があった。
森の妖精さんがこちらをしっかりと見て背筋も凍る微笑みを浮かべていらしゃった。
もしかしてロックオンされちゃった?
ドローンはそのまま絡みたいさんの塒のビルの屋上に破棄し、鉄腕少女を預けた二人組に保存されたデータと対処方法の相談及び就職願いをまとめてメールしました。
いざという時のためにと絡みたいさんの懇意にしている組の名前を書いたステッカーをドローンにデカデカと貼っておいたが撹乱できていることを祈ろう。
今月も塩ご飯だ、とほほ。
文字数少ない上にあまり進んでいない…。