魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい 作:ちあさ
今回はちょっとキャラが崩壊している可能性があります。
まぁしょうがないね、ギャグだしね。
「はっぴーまほーではじけちゃおー」
暗い部屋の中、大型TVモニターに映し出された二人の女の子の踊りと音楽に合わせてリップルが踊っている
「リップルはEDになると嬉しくなってつい踊っちゃうんだ」
独り言を呟きながら踊り続ける。
その動きはキレッキレで動画投稿サイトのニヤ動にアップすれば再生回数爆上げ確定だ。
リップルのヲタ友達であるDaSH氏や疾風迅雷のナイトハルト氏、そしてきりりん氏も絶賛するだろう。
今度東京オフ会で自慢しよう、リップルはそう思いつつ踊り続ける。
それだけ上達したのも今見ているアニメが現在30話だからだ。
つまり30回も踊っているのである。
魔法少女の身体能力でその回数踊り続ければアマチュアでも相当なレベルになるのも分かるだろう。
ブロント的に言うならば確定的に明らかである。
まさに魔法少女の無駄遣いと言える。
「きゅあっぷらぱぱ!明日よ良い日になーれー」
さて残り20話である。
+++++
空へと飛び上がった魔王パムへと容赦なく銃撃の雨と対空ミサイルが襲いかかる。
重機関銃での銃撃と対空ミサイルはそもそも魔法少女でもまともに直撃すれば即死である。
どちらも人に向けて撃つものではないのだ。
魔王パムは羽を1枚をヘルメット付の全身スーツへと変化させ、残り3枚でミサイル等を防いでいる。
例の黒い魔法少女が転移を繰り返して狙撃しているからだ。
機関銃やミサイルはどこから発射されるか分かっているので防ぎやすいが、転移を繰り返す彼女の狙撃は防ぐのが難しい。
衝撃までは殺せないが弾を止めるだけなら問題ない。
予期せぬ方向からの銃撃で即死しないように必要だった。
魔王パムが空で回避と迎撃を続けている際、羽菜がマナを背負い這々の体で逃げるのがチラリと見えた。
羽菜ではこの戦場は荷が重いだろう。
流れ弾で無駄に死ぬよりはせめて何人かの魔法少女を引き連れて逃げていってくれたほうがありがたいと魔王パムは考えた。
飛ばしている3枚の内、1枚を割いてまずは戦車を片付けることにした。
どうやら魔法で操縦しているらしく、統率した動きをしているため、射程である地表へ近づくのが危険だからだ。
装甲も魔法で強化しているようだが魔王パムの羽は容易く切り裂き、または叩き潰していく。
戦車部隊が軒並みスクラップとなるのにそんなに時間はかからなかった。
これで高度を下げることができ、上下左右四方八方から撃たれ続けるということは避けられる。
同じように今度は戦闘ヘリを落として、最期に山の斜面に展開している多連装ロケット砲搭載の自走車両に攻撃を加える。
だが自走車両が展開している場所は結界の向こう側らしく、羽が弾き飛ばされた。
結界は魔法的な物は全て弾くので、魔法がかかっている自走車両自体は通り抜けができないが、発射しているミサイルには魔法がかけられていない純粋な物理兵器だった。
同じく重機関銃や迫撃砲を発射している魔法少女たちも結界の向こう側に展開していた。
おそらく彼女たちは非戦闘系の魔法少女なのだろうと魔王パムは考察した。
外交部門が突発的に張った結界を作戦へと組み込み後衛への防御壁として使い、非魔法の現代兵器で攻撃する。
そのためにキルゾーンまでの緻密な誘導を行って。
考えて直ぐ実行できるようなことではない。
今回のようなケースを想定していたのだろうか?
いや、こんな特殊な状況など早々無い。
おそらく普段からどんな状況になっても対応できる訓練を積んでいるのだろう。
酷くシステマチックで狡猾だ。
「素晴らしい研鑽だ。
魔法少女がここまで連携して戦うとは。
これだ、これが見たかったのだ」
個人主義の多い魔法少女らしからぬ統率の取れた戦い方に魔王パムは感嘆の声をあげる。
そして次の瞬間にはその嬉しそうな笑顔は凶悪な笑みへと早変わりする。
「そしてそれを叩き潰してこそ魔王というものだ」
戦いはまだ始まったばかり…。
+++++
「まどか、浄化をお願い」
主戦場となっている場所から少し離れたビルの中にある戦闘指揮所。
そこにほむらが弾薬補給とソウルジェムの浄化のために戻ってきた。
ここでは斥候からの情報を処理したり、各地の戦闘をモニターして相互に連絡を取り合っている。
また、下の階では救護班が詰めており、負傷した魔法少女や戦闘に巻き込まれた一般市民が搬送されてきている。
まどかはここでソウルジェムの浄化をしていた。
「ほむらちゃん、あまり無茶しないでね。
ほむらちゃん達は私達と違って魔力を使いすぎると魔女になっちゃうんだから」
まどかは注意を促しつつ、ほむらのソウルジェムを手に取り魔法を行使し始める。
魔法によって穢へと向かう魂の流れを変え、浄化していく。
「まどかこそこの戦いが終わったらばら撒かれた魔女をグリーフシードに戻す仕事があるのだから、ちゃんと休んでおきなさい」
その魔法を見つつほむらはまどかの事を考える。
2年前、彼女が魔女にならない魔法少女になることによってほむらの長い戦いは終わりを告げた。
だがそれは新たなる戦いの幕開けでもあった。
まどかこと魔法少女「
"流れを操ることができる"魔法。
現状では手で触れた対象か、彼女が弓で撃ち抜いた対象の状態の流れを操作する魔法だ。
魔女から魔法少女に戻すような相転移までは起こすことはまだできない。
それでも汚れたソウルジェムを浄化したり、魔女をグリーフシードの状態に戻したりはできる。
だが彼女の身の内に秘めた膨大な魔力はそれに見合う精神力さえ身につければ魔女を魔法使いに戻すどころかありとあらゆる流れ、それこそ運命という流れすら制御できるようになる。
スノーホワイトはそう言っていた。
『私の魔法が"運命から選び取る"魔法と表現するなら、あの娘の魔法は"運命を作り出す魔法"なんですよね。
今はまだあの膨大な魔力を持て余していますが、いずれ成長して精神力が追いつけば彼女は世界を作り変えることができる、そんな魔法少女になるでしょう。
その時、私は彼女の魔法に抗うことが出来るのか。
彼女の作り出した運命の流れから望む未来を掴み取れるのか。
今から本当に楽しみです』
それが本当ならまさに奇跡を起こす魔法だろう。
だがそれだけに彼女の魔法は危険だと言えた。
彼女が作る幸せな未来が不都合な人間などいくらでもいる。
他人の不幸から利益を得ているものなど掃いて捨てるほどいるのだ。
特に大きな組織の権力者と呼ばれる者の中には。
そんな権力者から彼女を守るためにほむらは鉄腕組へと所属している。
スノーホワイトはワルプルギスの夜やきゅうべえが可愛く見えるほどに邪悪な存在だが、
幸いなことにまどかが成長することを願っている。
お互いの目的が一致している間は利用し合うのも悪くはなかった。
そして何故かまどかはスノーホワイトに上手く騙されているようで心酔してしまっていた。
きゅうべえに簡単に騙されるまどかを言いくるめるなんてスノーホワイトにとっては赤子の手をひねるが如くだったのだろう。
だがまどかの魔法のお陰で鉄腕組はソウルジェムやグリーフシードを安全に運用できるようになった。
もし彼女がいなければ無茶ばかりする美樹さやかなどとっくに魔女化してしまっていただろう。
考えているうちにソウルジェムの浄化は終わっていた。
ひとまずは今回の任務を遂行する。
報酬品であるまどかのムービー集は是非とも手に入れねば。
「魔王パムは手強い。
確実に倒すならそれこそワルプルギスの夜をぶつけるべきだけど。
………そもそも任務内容は殲滅ではないからな」
蹂躙と言ったからにはスノーホワイトが楽しめるような白熱した戦いをしないと達成とは言えない。
戦闘をモニターしている魔法少女に他の部隊はどうなっているかを尋ねる。
「兎と杖は既にさやかさんと杏子さんによって捕縛されています。
今は兎の記憶改ざん中ですね。
補給部隊はリオネッタさんの新型武装が届いたので発進準備を進めています。
本隊の方は…さすがエースばかりですね、もう殆ど終わっていますよ。
今、スノーホワイトさんが最期の1人と対峙中です。
それが終わり次第援護に来てくれます」
それを聞いてほむらは若干不機嫌になる。
何かと自分とキャラがかぶるあの忌々しい根暗ゾンビ女がほくそ笑むのを想像してムカムカしてくる。
「援護なんて不要、そろそろ本気を出そうと思っていたのよ。
まどか、アレを使わせてもらうわね」
それを聞いて「え…ほむらちゃん正気?」とドン引きするまどか。
ほむらは円盾の中から綺麗に飾り付けされた宝箱を取り出す。
この中にほむらの最終決戦用の装備品が入っているのだ。
幾重にもかけられた厳重な鍵を、ほむらは丁寧な手つきで一つづつ解除していく。
そして中に入っていたアレを大事そうに取り出し、
そして身につけた。
「フォォォォッォォォーーー!!!」
ほむらは全身から魔力をほとばしりながら戦場へと駆け出していく。
それをまどかは頭痛をこらえながら見送っていった。
+++++
魔王パムは困惑していた。
結界内の魔法少女を蹴散らしていたら雄叫びを上げながら黒い魔法少女が向かってきたのだが。
いや、あれは本当にさっきまで緻密な狙撃をしていたあいつなのだろうか。
コスチュームは同じだ。
手にはさっきまで使っていたアンチマテリアルライフルが握られている。
それだけ見るならばなるほど同一人物なのだろう。
だが今の彼女をこの魔王パムをして油断ならないと評した黒い魔法少女と認めるのは彼女の沽券に関わることではないだろうか。
百歩譲って同一人物だとするなら何処かで洗脳魔法でも食らったのか?
攻撃をするのすら忘れ、「おまえ、正気か?」と呟いてしまっていた。
周りの魔法少女たちも同様に唖然としている。
今この瞬間、世界が凍りついていた。
「あの・・・ほむら先輩です・・・か?」
仲間であろう魔法少女の1人が声を掛ける。
「笑止!いまの私は暁美ほむらではない。
私はまどかの愛に包まれて真の姿を取り戻した。
今の私は愛の狩人・
パンツを顔に装着した変態がいかがわしいポーズを付けながら名乗りを上げた。
とりあえず全力で殴りつけた。
「あの…見なかったことにして再開しますか?」
先程問いかけた魔法少女が申し訳なさそうに声をかけてくる。
「その方が精神衛生上良さそうだ」
了解し、とりあえずお互い距離を取って戦闘を再開することにした。
さて再開するかと思ったところで、空から音楽が流れてきた。
<───に帰りなさーい、───を辿り>
上空を見上げると槍を持ったロボットのようなものが9機、円を描くように旋回していた。
それぞれにスピーカーが搭載されているらしく、そこから音楽が流れてきている。
「鉄腕少女量産型…?」
それを見た魔法少女が唖然として言った。
「まさか………鉄腕シリーズ、完成していたの?」
<ルフラーーーーーーーン!!!!>
そして鉄腕少女量産型たちは魔王パムへと向かって襲いかかった。
「星来オルジェル」と「星くず☆うぃっちメルル」の参戦フラグがたちました。
なに?どっちも劇中劇ではないかって?
何を言っている、片方はギガロマニアックスで創造して、もう片方は加奈子を魔法少女にすればいいじゃないか。
余裕余裕。
それにしてもこの世界線の地球は思いの外頑丈だな。
そろそろスーパー魔女っ子大戦ができそうだ。
あとチラッとrestart組の生き残りが出ました。
結構頑張って戦ってたみたいだけど裏方だからしょうがないね。