魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい   作:ちあさ

27 / 47
本日3話目です
前回前々回を見逃した方はそちらから読んで下さいね。

今回が最終話です。
ハッピーエンドで終われるでしょうか。

そして可愛いあの子もチラッと登場するので最後まで見てくださいね。
さて一体誰でしょう。


魔法少女はとんでもないものを投げていきました

上空には今にも落ちそうなぐらい傷だらけになった鉄腕少女の姿。

森の妖精さんはビルの上からそれを嗤いながら見上げている。

もう終わりとばかりに森の妖精さんは元気が出る薬を追加で飲む。

 

 

なんでだ。

 

なんで僕はこんなに弱いんだ。

 

大事な娘が目の前でボロボロにされていっているというのに!

 

また守れないのか。

 

彼女を守れないなら何もいらない。

 

彼女を守ってくれないこんな世界、どうなろうが構いやしない。

 

やってやる。

 

誰に迷惑をかけようか知った事か。

 

 

森の妖精さんが鉄腕少女にとどめを刺そうとビルの上から飛ぶ。

鉄腕少女はフラフラと未だ飛んでいられるのも不思議なぐらいの状態で上空に浮かんでいる。

あのままだと確実に殺されるだろう。

 

 

だがやらせない。

 

 

横になって立てない僕が投げられるものなんてもうこれだけだ。

今までだって投げようと思えばいつだって投げられた。

だがそれをしたときの被害が余りにも大きいからやらなかっただけ。

何が何でも倒すという決意が足りなかっただけだ。

 

 

視界の端で白いのが恍惚とした笑顔で思いっきりやれとサインを送ってくる。

 

 

ああ、やってやるさ、もう遠慮なんてするもんか。

全てを壊してでも守るんだ。

 

 

 

落ちろと叫ぶ森の妖精さんの声が聞こえる。

 

 

 

いいや、お前が”堕ちろ”

 

 

 

魔法を発動した途端、空中にいた森の妖精さんが地面へと叩きつけられる。

 

 

 

 

 

彼女は最期まで何が起こったのか分からなかっただろう。

叩きつけられた彼女は今までの頑丈さが嘘だったかのように潰れたトマトみたいになって、原型すら全く残っていなかった。

 

 

 

 

 

僕の魔法は重さも大きさも関係ない。

手で触れているものならなんでも投げられる。

そう、どんな巨大なものでも触っていさえすれば投げられるんだ。

当然”地球”だって投げられる。

一方○行さんだってできたことが僕にできないわけがない。

つまり森の妖精さんは地面に叩きつけられたんじゃなく、"地球"が森の妖精さんへと叩きつけられたのだ。

 

 

流石の森の妖精さんも地球なんて破壊できるはずもなく、その膨大な総重量をその身に受けて汚い染みへと変わってしまった。

今頃森の妖精さんだけじゃなく発動時に地面へと触れていなかった地球上の全ては叩きつけられるか上空高く舞い上がっているだろう。

鉄腕少女もいきなり高度が下がって取り乱しているが、森の妖精さんより上空にいたため叩きつけられることはなかった。

だがその被害は数十万人以上確定だ。

その上、たった4~50メートル程度だといっても確実に公転軌道が変わる。

これがどういう自然災害へと影響するか分からない。

上手くいったからいいが、発動した途端太陽の公転から外れて太陽系からはじき出される可能性もあった。

故に今まで躊躇して試せなかったんだ。

 

 

白いのを見るともう蕩けそうな笑顔で悶えている。

今すぐにでも救助に行きたいから巻きでお願いとサインを送ってきている。

 

 

結局白いのは自分のサディスティックな嗜好を満たすために一番多くの被害が出る解決策へと誘導してきたんだろう。

つい殺意が湧いてくるがああいう風にしたのは僕だった。

 

 

僕は鉄腕少女が支えてくれてなんとか立てるぐらいまでに回復した。

他の面子もみんななんとか生きているみたいだ、流石魔法少女、G並のしぶとさだ。

しかし確かまだ一つ残ってるんだよな。

グロい血染みになった辺りを探すとやっぱりあった魔法端末。

謎生物がそこから出てきて新しいマスター誕生おめでとうとかクソふざけたことを言ってきている。

 

 

白いのがこれなら壊せますよとケダモノの槍を持ってきてくれた。

だが壊してハイそれまでってなんか違うよな。

そんなんじゃ僕達の恨みは晴らせない。

こいつの嫌がることはないだろうか?

なに?こいつは退屈するのが一番困るって?

ほう、ちなみにこいつは権限凍結されているけど、この状態で動いたりは?できない?

なら決まりだろう。

 

 

僕は謎生物の入った端末を持つと空を見上げた。

ああ、一番星見つけた、あそこでいいや。

 

 

振りかぶって魔法を発動、一番星へとそれを投げつけた。

 

 

適当なところで誘導を切ってやるし、そのまま一人孤独に宇宙を彷徨っていればいいだろう。

寿命のない機械だし、魔法の国製で頑丈だから、永遠に楽しめるだろうよ。

今思いついたが最初からこれで森の妖精さんも宇宙へと投げてればよかったんじゃ。

白いのがテヘッっとしているからわざと気づかないように誘導してやがったなこいつ。

 

 

これで魔法少女騒動も終わりか。

 

 

で、僕はと言うと、漫画じゃあるまいし全てが簡単に円満解決とは行くわけがなく。

元人格は未だに引きこもっているし、これから魔法の国相手の交渉や被害賠償とかももしかしたらあるかもしれない。

今まで先払いで支援してもらった車椅子女へ労働力での返済もある。

一体何をやらされるのか今から不安でいっぱいだ。

あいつも水着女と同類の"妖怪"だしな。

しかし利用価値があるうちは大事にしてくれるので精々頑張って尻尾を振るしかないか。

 

 

まさに問題はマウント・フジも真っ青の山積み状態だ。

だけどそれもこれも一つずつ解決していけばいい。

だってもう僕は一人じゃない。

僕に寄り添っている鉄腕少女を見る。

 

 

おいおい、そんな顔するなよ、ロボットって泣けたのか。

もう離れたりしないからさ。

 

 

これからは一緒に取り戻していこう、僕達、いや私達の失った時間を。

なら当然最初に言う言葉はこれだな。

 

 

 

 

「おかえり、華乃」

 

 

 

 

魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい-完-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年後、某市

 

“─県N市にあるマンションの一室で二人の女性の遺体が発見されました。女性は二人共上半身が消失していることから爆発物を使われたのではないかと───所持品から被害にあったのはこの部屋に住んでいる羽二──々さんと亜──”

 

 

朝から嫌なニュースやってるなぁ。

準備をしながら聞いていたTVから流れてきたニュースを聞いてため息をつく。

今日のお天気を聞こうと思ったのに…折角のデート気分がこんなのを聞いたら盛り下がっちゃうよ。

 

 

そう、今日は念願の初デート。

 

 

といっても魔法少女の姿でなんだけど…。

デート相手の彼は野球部のエースで四番、本当なら私みたいな子が付き合ったりできる人じゃない。

私はそんな彼に魔法少女の姿でお弁当を差し入れしました。

そうしたら彼からお弁当のお礼を言ってくれて、これからも作ってきてほしいって。

最初は話すだけでも本当に緊張した。

でも今まで役に立たないと思ってきた魔法が、実は今日の日のためにあったんだって、そう思えてきて本当に嬉しかったのを覚えている。

その後も彼にお弁当を渡して食べてもらい、そしてだんだんお話もできるようになって。

彼に告白したの。

彼はびっくりしていたけど、はにかんだような笑顔でよろしくって言ってくれた。

もちろん、魔法少女の私にだけどね。

でもいつの日か本当の私のことも知ってもらうんだ、頑張れ私っ。

 

 

今日のお弁当は今までより奮発したんだもん、きっと喜んでくれる。

やっぱりいつも通り魔法で作ったんだけどね。

いけない、もう待ち合わせ時間になっちゃう。

 

 

手早く準備して家を出る。

 

 

時間がないのですぐに魔法少女に変身して全力で走った。

魔法少女になってお料理魔法以外で得したことは身体能力が上がること。

普段の私なら絶対こんな早く走ったりできない。

周りの風景がどんどん変わっていく。

 

 

今日はまさにデート日和みたい。

雲一つない空、春の日差しが気持ちいい。

まるで今日という日を祝福してくれているみたい。

 

 

私、最高に幸せ。

勇気を出して告白してよかった。

 

 

待ち合わせ場所の駅が見えてきた。

もう待ってるかな?

彼の姿を探して駅を見渡す。

 

 

あ、彼だ。

手を振ってくれている。

 

 

私も笑顔で手を振り返す。

待っててね、今行くからね。

 

 

 

 

そして駆け出そうとしたところで後ろから誰かが私の肩を叩いて来た。

も~、一体誰?

そう言ってちょっと膨れて振り返ったら…

 

 

 

 

彼女は何もないところから浮かび上がるように現れた。

羽織っていた外套を脱いで、首を傾げながらこちらを見つめる"犬のキグルミ"を来た女の子。

濁った目が、深淵のような目が私を見つめていた。

 

 

 

 

“ねえ?あなた、魔法少女?”

 

 

 

 

“うん、わたしは魔───” 言い切る前に彼女の腕が振り下ろされた。

 

 

 

 

走り出した(いぬ)は止まらない

 




最後は開催されないrestartの主人公を友情出演させました。
この子は原作の表紙絵が可愛くて好きなんです。
原作ではリタイヤしてしまい結局付き合うことは出来なかったので夢を叶えてあげました。


ハッピーエンドって良いですよね。
"主人公"の"仲間"には最後まで誰も犠牲者出なかったし。
あととんでもないものを投げていきましたがやっぱり捏造です。
でももし重量制限とか無かったら投げれるんじゃないかなってやってみたかったんです、ゴメンナサイ。
あっさり死にすぎ?まほいくは死ぬ時はあっさり死ぬんですよw


あと主人公の魔法は"破壊されない限り誘導が切れない"という設定にしてあるので、
相手を掴んで魔法で投げると自力で誘導から抜け出せなくなり、超強いと思うので白いのさんがそれを思いつかないようにと思考誘導してました。
あの夕日に向かって投げろ!=必殺になっちゃいますからね。
ブ○リーさんをも倒した太陽最強ということで。
決してサブタイは問題解決とかを丸投げしたとかそういうものじゃないです、たぶん。


犬に狗の字を当てたのはネットで字を調べたら
"狗=犭勹口=勹(つつむ=天岩戸の立ち)に殻田(獣本能)で対処する、神を居ぬとする愚者=傲慢者=てんぐ"
"狗=犭(犬)+句(神は居ぬ)=天(神)を完全に無視すること"
とヤフー知恵袋
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1227610792
に書かれていたので
神様へ毎日お祈りしていた彼女が一年を経て"神様は誰も救ってはくれない"と悟ってしまった為に"狗"へと変わったと、そういう意味合いで付けました。

"神様が誰も救ってはくれないのなら、私が神様に代わって魔法少女を殲滅しないと"
そんな彼女の今後の活躍に期待です。


最後にこんな会話文が最後の最後まで出てこないような読みづらい小説に付き合ってくれてありがとうございます。
どうすれば表現できるかがなかなかに難しかったです。


次回作はまだ決まってませんがもしできたらもっと上手くかけるようにしたいです。


ではまた会う日まで。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。