魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい 作:ちあさ
訓練の合間に仮眠を取っていた白いのが飛び跳ねるように起き出して、玉が暴走してとかナイト様の貞操が危ないとか、なんか卑猥な事を言いだした。
いやいや、傍目から見るとお前のほうがよっぽど危ない。
ここ3日ほど魔法に慣れさすために寝るときさえも変身解除を禁止にして常に意識して魔法を使わせながら、48時間耐久麻雀とか能力バトル対策のJ○JO全巻読破をさせたお陰で、ある程度未来の困った声を選別して聞けるようになった。
だが、精神的疲労も蓄積しているのだろう、たまに夢と魔法で聞いた声を混同しているのだろうかおかしなことを言い出すのだ。
この前だって魔法で料理をしたら初デートで殺されるとか言っていたな。
魔法で料理なんてするわけないだろう、食材を鍋に魔法で投げ込んだりするの?
それとも魔女みたいに大鍋でぐつぐつと怪しげな色のスープとか作ったりするのだろうか。
いやはや、これぞまさしく電波ゆんゆん、懐かしいなこのワード。
そもそも今回のだってナイト様はもうお亡くなりになっただろう、それにやつは玉無しだ。いや変身解除したら玉有りか?それにしては根性の方は無かったみたいだが。
ガチムチがー、爪がー、とかまだ訳がわからないことを言っているので、無意識に未来予知したって言うよりただ単に疲労のせいで悪夢をみちゃっただけだろう。
かいきーかいきーってお前、貝○泥舟は作品違うぞ。
確かに彼が出てきたら持ち前の詐欺力でおおいに力になりそうだ。
森の妖精さんだって手玉に取ってくれるだろう。
全く、アニメの住人を頼りにしだすとかもう末期症状だな。
なんもかんも政治が、いや森の妖精さんが悪い。
とりあえず腹パンして落ち着かせてから麻雀卓に投げ込んでおいた。
しぶしぶと麻雀を始める白いのと組員3人衆を見ながら白いのの仕上がり具合を考える。
確かに白いのは時折電波系だがいい感じに仕上がってきた。
卓に座る前もどの席に座ったほうが困った声が多く聞こえるかとか、座ってからも洗牌の際に卓を叩いたり他人の手とわざとぶつかったりとしきりにTASさんばりの乱数調整をしている。
それもはじめはいかに自分の手牌を良くするかの乱数調整だったが、ここ何局からかは如何に相手がもがき苦しむかを考えた絶妙的な配牌になるように調整している。
臆病だった彼女がだんだんとサディスティックに成長しているのを見るとなんとも背徳感でゾクゾクしそうだ。
今や彼女は息をするかのように常に他人が困った状況に陥る行動をとることが癖づいてきていて、僕も他のみんなも白いのの口がニヤリと釣りあがるのを見るたびにこれから何かが起きると戦々恐々とする、そんな毎日だ。
白いの以外の訓練だが、ぬりかべさんは近接技術をある程度高めたが魔法の力は伸びしろがない。
元々能力制限が厳格に決まりすぎているのが原因だ。
高さ2m・幅1m・厚さ30cmの壁と形が決まっているのが致命的。
材質に関しては作り出した場所によるからビル街ならばコンクリ効果で多少は頑丈になるだろうが、魔法少女の力なら問題なく破壊できる程度だ。
あとはもう使い回しでどうにかするしかない。
なので近接技術が多少なりとも高くなってくれたが、基本は壁を応用した撹乱戦や遅滞戦闘を主眼に置いたほうが良さそうだ。
黒いのに関しては…ダメだこりゃ。
格闘センスがないとは言わない。
だが致命的なまでに動きがトロくてぎこちない。
元々のアバターが幼女タイプで手足が小さいのも関係しているのだろうが、これは魔法の影響もあるのだろう。
彼女はどれだけダメージを喰らい体をバラバラにされようが死ぬことはなく再生できる魔法を持っているのだが、反面痛覚がないのだとか。
痛覚がないということは同時に触覚もないということ。
どうやらこのアバターの設定は死体とかゾンビとかそのたぐいなのだろう。
故に全く無い触覚ほどではないが、他の感覚についても他の魔法少女と比べて鈍いようだ。
なので、気配を感知するという能力が劣ってしまっている。
そのせいで相手を捉えるのが遅れて、動きがどうにもズレてしまっているのだろう。
相手の動きが早ければ早いほどそれが顕著になっている。
青い子にも肉壁にしかならないッスねって太鼓判押してもらった。
その代わりと言っては何だが、本来体が損壊しないように脳からブレーキがかかっているフルパワーも、痛覚がないのでブレーキがかからず出力最大で振り回せるというメリットもある。
彼女の馬鹿力はそういう類なのだ。
実際には殴る度に腕とかの骨や筋繊維はボロボロになって、そしてすぐに魔法で治ってしまっているのだろう。
だが当たらないと意味のない馬鹿力なら当てればいいだけの話だ。
僕の魔法と組み合わせればちょっとおもしろいことが出来るだろう。
トップなんとかさんの魔法については矯正できませんでした。
自分の愛車を敵に体当りさせるなら自分も乗っていないと筋が通らないと。
こんなところで変なゾッキー精神出さないでください。
まぁ一撃必殺の体当たりと後は救助要員かな。
音を置き去りにする彼女のスピードなら森の妖精さんの魔法にも対抗できなくはないだろう。
そして僕なのだが、戦場想定場所へのカメラ増設と同時に妖怪車椅子女からの最後の支援物資であるスマートグラスを付けての訓練中だ。
今までモバイルノートを片手に魔法を行使していたが、そのモバイルノートに映し出したカメラ映像を眼鏡型のデバイスに映し出すことによって両手が完全フリーとなっている。
ロックした相手を映し出したカメラに自動で切り替えてくれたりドローンで自動追尾したりなど至れり尽くせりのアプリが入っていて非常に便利だが、いかんせん動きが早い相手だとガメラがどんどん切り替わったり、ドローンが高速で動くために酔いやすい。
いかに改造ナースさんと言っても短時間での調整は実際使う人がいないと厳しかったのだろう。
だがこれのお陰で僕も近接戦闘をしながら俯瞰視点で魔法を使うことが可能になった。
その数日後のお昼頃。
慰労を兼ねて組事務所でたこ焼きパーティをしているところにやってきました森の妖精さん。
事務所に飛び込んで来て早々に隣の市に隠れているなんて反則だろうと言われたが、
ルールとは破るためにある。
というわけで折角のご来訪申し訳ないが時間と相成りましたので組事務所をビルごと爆破させて頂きました。
白いのが順調に魔改造されていっています。