魔法少女育成計画とかどうでもいいから平凡に暮らしたい 作:ちあさ
“今日はみんな、帰ってくるかな…”
N市にある廃寺にひっそりと犬のキグルミを着た少女の像が建てられている。そこはいつからか少女たちの密やかな参拝スポットになっていた。
B級観光スポット番組のTVクルーは現地の住人にこの少女像について取材していた。
今から60年ほど前、このお寺には夜になったら女の子が遊びに集まっていたんです、そう言って教えてくれたのはもう80になろうかというお婆さんだった。
その女の子たちはそれはもう仲が良くて、毎晩遅くまで笑い声が絶えなかったんですよ。近所の方達もみんな微笑ましく見守っていましたね。ですがその頃…お婆さんが何かを思い出すように悲しげに続きを語った。
その頃、このN市で暴力団の抗争が激しくてね、市中でテロみたいな爆発や事故が多かったんですよ。そしてルー…いえ、お寺に来ていた女の子が一人、変死体で見つかった事が始まりでしたね。その子の後を追うように一人、また一人と抗争に巻き込まれたり不可解な事故に遭ったりして亡くなっていったんです。
そして最後に残されたのが、この像、犬のキグルミをいつも着ていた女の子だったんです。
その女の子は亡くなった友達がいつか戻ってきてくれるのではないかと、毎晩、毎晩とこのお寺で待っていたんですよ。それも10年も、20年も、そして40年経っても…。
その間、彼女の容姿は変わることなくずっと少女のままだったんです。いつしかその少女も実はひっそりとどこかで亡くなっていて、それでも幽霊になってまでみんなの帰りを待ち続けているのではないかと噂がたつようになっていました。
そして、当時の事件を知る人達がその噂を聞いて、みんなでお金を出しあって少女たちの魂を鎮めるためにこの像が建てられたんですよ。
私たちに教えてくれた後、お婆さんは一度その少女像を見つめ首を振って帰っていきました。
その像の名は"忠犬タマ公像"と言って、未来永劫変わらない友情を祈願する少女たちが今日も参拝に訪れています。
光あれば闇もある。
くるりくるりと因果は廻る。
夢と希望の魔法の国は、恐怖の奈落へと落とされる。
すべての記録が抹消された惨劇の夜が始まる。
これは決して語られることのない物語。
“ル【検閲済】ちゃんも、ス【検閲済】ちゃんも…ミ【検閲済】ちゃんも、ユ【検閲済】ちゃんも戻ってこない…誰も…誰も戻ってこない…誰も…”
一人殺せばル【検閲済】ちゃんのため
“なのに…なのになんで貴方達はそんなに幸せそうなの”
二人抉ればス【検閲済】ちゃんのため
“ゆるせない…リ【検閲済】も…スノ【検閲済】トも…魔法少女はみんなみんな許せない!!!”
不可視の犬が爪を振るえば、誰であろうと掘り殺す
“みんな貴方達に・・・魔法少女に関わったせいで殺された!貴方達に殺された!!!”
まさに鬼をも食らう夜叉の道
“魔法少女は誰も生かせてはおけない・・・彼女たちのためにも魔法少女は根絶やしにしてやる”
全ては友への鎮魂歌
“もう、誰も悲しませない為に・・・”
それはあり得たかもしれない一人の魔法少女の復讐劇
深い絶望と悲しみが、忠犬を凶犬へと変えた
『魔法少女怪奇譚 狗神伝』
“ねえ?あなた、魔法少女?”
2017年夏執筆開始…しません。
同時執筆
『岸辺颯太がラ・ピュセルのままガチムチ系乙女ゲーの逆ハーレムヒロインとして転生しました』
こっちも嘘です。
犬があまりにも出番がなく、とうとう主人公にすら存在を忘れられてしまったので可哀想になって救済シナリオを番外編として投入しました。
これで本編後は主人公格にランクアップだよ、やったねタ○ちゃん出番が増えるよ!
主人公どころか作者も忘れてたんですが、犬ってまだ透明外套持ってるんですよね。
あとはまぁ・・・分かるだろう?
そんな感じで魔法少女達の約半数が犠牲になった血の惨劇、そんなハートフルストーリーが開幕します。
嘘です、書きません。
ホラーとかかけるほど文才ありません。
誰かこういうおどろおどろしいホラーが得意な方書いてください。
できたら乙女ゲーの方も。