こんな篠ノ之箒ちゃんはいかがですか?   作:妖精絶対許さんマン

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お久しぶりです。


篠ノ之箒、酔います。

「・・・・・・織斑さんがそんなことを」

 

「うん・・・・・・どうしたら良いと思う?」

 

夜11時。唯を寝かしつけてから夫に千冬さんとのことを話す。

 

「箒はどうしたいんだ?」

 

夫はグラスに少しだけ残っている日本酒を飲み干した。夫も私もお世辞にもお酒には強くない。だが、グラス一杯二杯ではすぐには酔わない。

 

「私は・・・・・・もう一度会うべきだと思う。この気持ちにも蹴りをつけないといけないから」

 

胸の内に燻るこの気持ちにも決着をつけなければいけない。

 

「そう。なら、会ってきなよ」

 

「むっ・・・・・・」

 

夫の素っ気ない反応にイラッとしてしまった。だからか、思わずグラスに注がれていた日本酒を飲み干してしまった。

 

 

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夫を怒鳴ってからというもの、私と夫との間には微妙な空気が流れていた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

夫はずっと私のことをチラチラと見てくるが、話かけてこない。私も外ばかり見て夫を見ようとしなかった。当時の私はすぐに転校するものと思っていたが、中々転校先の話が私のところに来なかった。

 

「佑樹ー!昼飯食おうぜー!」

 

「恭介。声が大きい。何度も言わせないで」

 

昼休みということもあり、恭介と立花が夫を誘いに来た。

 

「お、篠原もいるじゃねえか。昼飯、一緒にどうだ?」

 

「結構だ。私は一人で食べる」

 

私は鞄から財布を取り出して購買に向かった。私が通っていた中学校は珍しいことに購買があった。

 

「・・・・・・・・・・鮭弁当一つ」

 

「はいよ」

 

購買のおばあさんは棚からプラスチックの弁当箱を取って、渡してきた。私は代金を払って校舎の裏に向かう。校舎の裏には古いベンチが設置されていて、今までここで弁当を食べているが誰も来なかった。

 

「・・・・・・・・・・」

 

とても静かで・・・・・・とても寂しい。ずっとそうだ。一人で食べる食事は美味しくない。

 

「はぁ・・・・・・」

 

私は一人、小さく溜め息を吐いて箸を進めた。

 

 

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「佑樹は私が一夏と浮気しても良いって言うの!?」

 

「い、いや・・・・・・そんなことは言ってないけど」

 

まったく!佑樹はまったく!私は佑樹にデレデレなのに、佑樹は唯が産まれてから唯に構いっぱなしだし!!

 

「まったく!佑樹はまったく!」

 

私はグラスに並々と注がれている酒を飲み干す。

 

「だいたい佑樹は唯に構いすぎ!唯が可愛いのは分かるよ!?だって私と佑樹の子供だもん!」

 

頭がふわふわする。目も回って来た。何だか変なことを口走ってる気がする。

「ほ、箒?飲み過ぎだよ?そ、そうだ!明日も早いんだしそろそろ寝ようか!?」

 

夫が立ち上がって日本酒が入っている瓶とグラスをシンクに持っていこうとする。私は夫の腕を掴む。

 

「座れ」

 

「・・・・・・・・・・はい」

 

夫は大人しく椅子に座った。

 

「だいたい佑樹はーーーーーー」

 

変なことを口走ってる気がするけど、この際だから言おうと思ってたことを夫に打ち明けよう。

 

 

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一人で昼食を食べ終えた私は教室に戻り、次の授業の用意をする。

 

(・・・・・・あれ?)

 

次の授業は国語なのに教科書が無い。朝は確かに机の中に入れた筈だ。私は鞄の中も確認するが入っていない。すると、教室の後方から小さな笑い声が聞こえてきた。笑い声がした方を見ると、三人の女子生徒が素知らぬ顔で談笑し始めた。

 

「・・・・・・・・・・っ」

 

今までも何度もあった。軽いものでは教科書や筆箱、靴が隠され、酷い時は机が無かったり、体操着が破かれていたこともある。

 

「日直、挨拶」

 

「起立、礼」

 

結局、教科書を探すのを諦めた。今までの経験から隠した本人が持っているか、ゴミと一緒に捨てられているかだ。

 

「ん?篠原、教科書はどうした?」

 

「・・・・・・すいません。家に忘れました」

 

「今回は初めてだから多目に見るが、次からは減点だからな」

 

「・・・・・・・・・・はい」

 

教師はそう言って教科書を読み進めながら歩いて行った。教科書が無い私は外を眺めることにした。この時点でクラスには私と親しい人間は居ない。夫とは私が一方的に嫌っていて教科書を見せてもらうのも癪だった。

 

「・・・・・・篠原さん」

 

私が外を見ていると小声で夫が話しかけてきた。無視する訳にもいかず夫の方に顔だけ向ける。

 

「これ、使って」

 

夫は私の机に教師が読んでいるページを広げて置いた。

 

「・・・・・・何のつもりだ?」

 

「教科書無かったら困るだろ?俺は見せてもらうから、篠原さんは俺の教科書を使ってよ」

 

夫はそう言って自分の右隣の男子生徒の机に自分の机をくっ付けた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

他人の好意を無下にする訳にもいかず、仕方なく使わせてもらった。

 

 

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「ゆーきは私のことすきー?」

 

「もちろん好きだよ。箒と結婚できて幸せだよ」

 

「えへへっ・・・・・・私もゆーきのこと好き。愛してる」

 

私は夫に抱きつきながら、夫の首元に顔を埋める。夫がくすぐったそうに体を動かす。私は夫が逃げないように更に強く抱き付く。

 

「ゆーき」

 

「何、箒?」

 

「子供、もう一人欲しい」

 

「・・・・・・そうだね。唯も大きくなったし、もう一人ぐらい考えても良いかもね」

 

「・・・・・・・・・・うん」

 

夫の言葉を聞いた私に眠気が襲ってきた。酔いも相まって抗いがたい。この際だ、夫にベッドまで連れていってもらおう。

 

「ゆーき。ベッドまでつれてって」

 

「はいはい」

 

私は夫の膝から立ち上がって、しゃがんだ夫の背に体を預ける。夫は私を背負って寝室に歩いていく。夫の背が暖かく、夫が歩く度に生じる微かな振動が私を心地よく、私は夫の背に頭を預けて眠りについた。




・酔った箒ちゃん

コップ一杯半ぐらいで酔う。酔ったら旦那さんに甘えまくる。抱き付く、膝枕をしてもらう、キスマークをつけまくる等。凄いときは旦那さんの寝込みを襲ってにゃんにゃんする。

この作品の箒ちゃんの分岐点は中学校で旦那さんに会ったこと。旦那さんに会ったことで精神的成長があって、超良妻賢母系ヒロイン箒ちゃんが誕生、旦那さんと会わずに精神的成長が無ければ暴力系酷インモッピーが生まれます。

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