携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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これにて決着です


巡り合うことで生まれる力と輝きは八百万をも超える

~月面~

 

ズドドドドドドドドド!!

 

綿月姉妹は俺に苛烈な攻撃を仕掛けていた。空間操作能力を取り戻した豊姫による大量の神器の雨、そして依姫は火雷神(ホイノイカズチノカミ)による雷とそれが変化してできた7頭の火竜で攻撃してきた。俺はそれをかわしていく、何とか倒す方法を考えた末にこのポケモンの力を使うことにした。俺は「えんまく」で視界を奪った

 

「姑息な!!」

シャラアア

 

依姫は刀で煙幕を一瞬で切り払った。しかし真聡の姿はどこにもいない。すると豊姫が

 

「やれやれ本当に小癪な真似をしてくれるわね」

「ええ。全くで・・・!?がは」

ドゴ―ン!!

 

何と突然豊姫が依姫の腹部を殴りつけたのだ。依姫は遥か彼方に吹き飛ばされる。しかし空間の穴からまたパンチが飛んできて上へと吹き飛ばし、そしてその軌跡上にワープで移動して待ち受けていた豊姫が「ハ〇クス〇ッシュ」の要領で両手を握って殴りつけた

 

ドッカーン!!

「ガフ!!き・貴様・・・まさか・・」

「依姫!!大丈夫!?」

「姉上!!」

 

そこには豊姫がいた。しかしこの場にはなんと豊姫が二人いたのだ。しかし偽物も正体もすぐに分かった

 

「まさか私に化けるなんてね・・・汚らわしい地上人に自分の肉体が使われて不愉快極まりないわね」

「しかしこいつ姉上の能力まで使えるとは・・・」(それに姉上にあそこまでの怪力が使えるはずは)

「おほほほほほ!!どうですかな?」

 

俺は豊姫に「へんしん」をしたのだ。「えんまく」を使った直後に豊姫を「テレポート」ではるか遠くに移動させたのだ。少しでも時間を稼ぐために「テレポート」した先にも「えんまく」をしておいた。そしてコピーした能力で依姫を油断させて奇襲したのだ。作戦は成功した

 

「どこまでも侮辱してくれるわね。今すぐ消え失せなさい!!」

 

豊姫は相当頭に来たようで大量の神器で攻撃してきた。俺も同じ攻撃をするが、だんだん押されていく。それもそのはずだ。現実でも高度な技であるほど本物以上の力にするのは至難の業だ。だから俺は

 

バリバリバリ!!ブーン・・ドドドドドドドドドドドド!!!

「「!?」」

 

神器が一斉に電撃が走り出す。そして磁力によって豊姫のものまで浮かんでしまい、やがて電気を纏った。これはジバコイルの力である。そして磁力と電撃を組み合わせて神器をレールガンのように高速で発射した。しかもそれをマシンガンのように連続で発射したのだ。

 

「!?」

「馬鹿な!!姉上はこんな力は持たない筈!!」

 

謎の本に書かれていた「あなたがその力を強くし、つながりを強くすればするほどその力は自分自身の力となる」という文字の意味は鍛え上げれば素の状態でもポケモンの力が使えるという意味だった。初めの頃は進化前しか出来なかったが、最近はとうとう最終進化形までなら素で使えるようになった。俺は今ジバコイルの力を使っている。ちなみに先程はバンギラスの怪力を使ったのだ。とはいえ本物より少し威力が低いのだが

これはどうやら俺自身の精神力によるもののようで肉体を変えてもある程度は使用が可能らしい。一種の憑依のようなもののようだ

 

俺は豊姫の能力にポケモンの力を合わせた攻撃をした。これによって総合力は互角となったが、姉妹も連携して攻めてくる。雷と火竜と弾幕がぶつかり合った。正直なことを言うとやはりこれでは倒すことが難しかった。だから俺は変身を解除して別のポケモンの力を宿した

 

そして一頭の火竜が俺に迫ってきた。しかし俺はそれを黄金のリングを出してその輪の中に入れてしまった

 

「何!?」

 

驚いているようだ。空間操作にかけてはパルキアよりもずっと劣るが、物を取り出したり、呼び出すことにかけてはそれをも凌ぐポケモン。フーパの力を宿したのだ。俺はそのリングにすべての火竜を神器ごと取り込んだ。しかし姉妹はそれでも手を緩めず攻めたてるが

 

「おーでーまーしー!!」

ボオオオオオオオ!!ズドドドドド!!

「「!?」」

 

そして別のリングから先ほど取り込んだ二人の攻撃を呼び出したのだ。高密度の弾幕と化した攻撃が姉妹を襲う。しかし二人とも全くひるまず連携して凌いでいく。瞬く間にこれを突破するだろう。しかし俺は最初からそれで二人を倒すことを狙ってはいなかった。これは囮。もし当たったら儲けものだ程度の反撃だった。本当の狙いは

 

「おでまし~!!」

「え?」

ブオーン!!

 

豊姫の姿が突然消えた。それに依姫は戸惑う。すると俺は独特の構えから暗黒のオーラを拳に纏った。これは俺のパクり技シリーズの一つ。すると真聡の目の前にリングが出現し、そこから豊姫が出てきた。そして

 

 

「魔神拳!!」

「がは」

ドッゴーン!!

 

俺はスマブラの某魔王が使う必殺の拳を豊姫に放った。フーパで行った理由は単純に魔神つながりである。すると次に依姫の上にリングが出現した。依姫はすぐにそれに気づいて剣で対応しようとする。しかし依姫は直後に何かを察して剣を捨てた

 

ヒューン!ドカ!!

 

リングから現れたのは「魔神拳」で殴り飛ばされた豊姫だった。もしそのまま飛んできたものを斬ろうとするものなら依姫は自分自身の手で姉を斬ってしまうところだった。かといって避ければ地面に激突してしまう。反応は遅れたが、依姫はふきとんできた姉を受け止めることに成功した。しかし剣を離してしまったのは運の尽きだった。俺は二人を「サイコキネシス」で浮かせた後に下からリングを出現させて、そこから巨大な拳で上に殴り飛ばした。そしてその先には6つの黄金のリングが待ち構えていた。そしてそこから魔神の拳のような暗黒のエネルギーが一斉に放たれた。「いじげんラッシュ」である

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ・・・

 

俺はジョ〇のような掛け声で連続で殴って殴って殴りまくった。しかし依姫もお返しとばかりに日本神話で怪力を司る神、天手力男命(アメノタヂカラオ)を降ろしてその力が宿った怪力の拳で迎え撃った。そして〆に6つの拳を一つにした巨大な拳のアッパーを、依姫は力を最大まで込めた拳を振り下ろした

 

ドッゴーン!!

 

依姫は次で終わらせようとした。降ろしたのは日本神話の最高神、天照大御神を降ろした。そしてその力による極光で浄化し尽くそうと考えたのだ。強烈な光が月を照らす。しかし

 

「ジオコントロール」ビカアアア!!!

 

俺も光を放つ。それは七色に輝く生命の光だった。俺は今度はゼルネアスの力を宿す。最高神の白い極光と生命を司る存在の伝説のポケモンの七色の光が月を覆った

豊姫はまずいと感じてまた薬を使用しようとしたが

 

「うそ!!つかえない!?」

「同じ轍は踏まないさ」

 

俺はあらかじめ道具の使用をできなくする「さしおさえ」をしておいたのだ。これで全快はもうできないだろう

 

「お前たちは俺たち地上に生きる者を穢れたものと言ったな。でもね、これを見てどう思うだろうか?お前たちの嫌う戯れ・・・「生命」の力は本当に汚らわしいのか?」

「「・・・・」」

「俺は何よりも美しいと思うね。数々の命がふれあい、ぶつかり合った結果でここまでの奇跡を生んだ。それは星、そして宇宙も同じことだ」

 

すると月が大きく輝きだす

 

「なっ何なの!?」

「月があの男に呼応して光っているのか!?」

「・・・ムーンフォース」

 

「ムーンフォース」は月の力を借りて攻撃する技。そしてここはその月であり、更に伝説のポケモンであるゼルネアスの力もあって普段のものよりさらに強いエネルギーが生まれた

「ジオコントロール」と「フェアリーオーラ」による生命の力、そして月の民が絶対の浄土と言い張る月の力。この二つの力が今一つになった

 

「これで終わりだーーー!!」

 

七色に輝く光は天照大御神の極光をも飲み込んでいった。そして幻想郷と現世の地球からでもその時の七色の光を放った月を見ることが出来たという

 

最後は皮肉なものだった。自分たちが否定し続けた生命の力だけではなく、絶対の浄土と信じ続けた月そのものの力によって倒されたのだから

 

そして彼らの記憶に深く刻まれたことだろう。最高神の極光をも超越する輝きが生命には秘められているということを

 




フーパ  NO.720  タイプ:エスパー・あく

空間を歪めるリングであらゆるものを離れた場所へ飛ばしたり、テレポートしたり、財宝などを集めたりするトラブルメーカー。財宝欲しさに城ごと引き抜いて奪い去ったという伝説も残されている。またその力を使って伝説のポケモンをも召還することが出来る。ORASではエンディング後で現れる伝説のポケモンたちはこのリングらしきものから登場する。普段は力を封じられた姿である戒められし姿でタイプはエスパー・ゴーストタイプだが、封じられた姿を取り戻した解き放たれし姿になると体は巨大になり、タイプはエスパー・あくになる。アニメでも極めて高い戦闘能力を持つようである。六本のリングと巨大な手を自在に操る


天手力男命(アメノタヂカラオ)

腕力や筋肉を象徴する力の神様。高天原一の力持ちである。天照大御神が天岩戸に引き籠ったことが原因で高天原が闇に包まれてしまった時の神々の会議をしたときの重鎮の一人。宴会が盛り上がっていることに気になりだした天照大御神の腕を引いて外に出した。そのあとは岩に縄を締めて二度と入れないようにした。これが神社でよくある「しめ縄」のルーツである

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