携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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無理矢理ではありますが、ピンチです

それとあとがきで原作に登場しない八百万の神の解説も軽く入れておきます


姉妹の罠

月面は今度はマグマの海となっていた。それは地球が出来た頃の状態を連想させる光景だった。正に原始の大地と言ったところだろう

 

「今度は大地の化身ですか・・・」

弥都波能売神(ミヅハノメカミ)よ!!」

 

すると依姫は水神であるミヅハノメカミを降ろして膨大な水流でマグマを消そうとしたが

 

ジュウ・・・

「・・・やはりだめですか」

 

あまりの温度で水が大気中で一瞬で蒸発してしまった。驚くべきことにこれは天候によるものだった。水は高温で蒸発するが、それが大気中でしかも天候によるもので起こったのだ。これを世界規模でされてはあらゆる生物が死に絶えるであろう。「おわりのだいち」と呼ぶにふさわしい力である

 

「だいちのちから」

 

ズズズズズズズズドォーーーン!!

 

するとマグマの海が揺れて巨大な柱となった。しかもそれが何十本も立ち昇った。更に大地を操作して噴火のような攻撃を行った。立ち昇るマグマと共に打ちあがった火山弾がやがて隕石のようになって雨のように大量に降り注いだ。地獄絵図と言ってもいい光景だった。依姫は飛行しながら躱していく。俺は「ソーラービーム」や「いわなだれ」、「ストーンエッジ」も混ぜていく。「ソーラービーム」は直接やっても切られるだけなので曲げて操作しながら反撃した。しかし何とか近づきたい。そこで

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

大地を盛り上げて高さを調整した。そして依姫のすぐ近くでマグマ柱を発生させた。しかしこれは簡単にかわされる。本当の狙いはここからだ

 

ざっぱ!!

「!?」

「おおおおおお!!」

 

俺は立ち昇るマグマ柱に乗って上に移動した。「たきのぼり」ならぬ「マグマのぼり」とでもいうのだろうか。そして俺は上から拳を叩きつけた

 

ズッズ―ン!!

「ぐう・・がは!!」

 

俺は依姫に「じしん」をお見舞いした。俺が編み出した相手を殴ると同時に地震の振動をぶつける攻撃が炸裂した。しかもそれをゲンシグラードンで行うのだから威力は半端なものではなかった。依姫はマグマの海に吹き飛ばされていった。しかしただ落とすだけでは駄目だ。おそらくカグツチにでもなってマグマの海でも大丈夫にするとかいろいろ策があるだろう。だから俺はこの大技につなげた

 

「だんがいのつるぎ!!」

ズズズ・・・ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!

 

俺は大地の力を無数の巨大な剣へと変えた。マグマの海から無数の巨大な大地の剣が襲い掛かる。そしてとどめに大地の力を全て集めたような超巨大な大地の剣で攻撃した

 

ズッガ――――ン!!

 

止めを刺して依姫はついに倒れて動かなくなった。この勝負は俺の勝利で終わった。このままにして帰ってしまいたいくらいだが、月は地球にとっても重要な存在だ。このままにしたら表の月にも何かしら影響を受けそうなので俺はひとまず元に戻した。この時こう思う人がいるのではないだろうか。ここまで月を滅茶苦茶にしてZクリスタルは無事なのかと。心配ご無用。パルキアを宿している時にクリスタルは異空間に取り込んでおいたのだ。だから傷一つ付いていない。確認もしたが大丈夫だ

 

「さてととりあえず元に戻したしこのまま帰るとするか。これで灸をすえられただろう」

 

と言って幻想郷に帰ろうとした・・・・・が

 

ザク!!

「!?」

ザクザクザク!!

「ぐああああああああああ!!!」

 

何と突然異空間から剣が現れたのだ。異空間によるものだと波導では見切れずに直撃してしまった。そしてまた剣が迫ろうとしてきた

 

「く・・・「とける」」

 

俺は急いで「とける」を使って液状化することで突き刺さった剣から抜け出せた。しかし神剣によるものでパルキアの力を宿していた時にくらったとはいえ、ダメージが大きかった

 

「ふふ・・・まんまとかかりましたわね」

「詰めが甘かったようだな戯れた地上の者よ」

「何・・・!?」

 

そこには綿月姉妹が姿を現していた

 

「何故だ!?波導でも確認したが、二人とも確かに戦闘不能になっていたのに」

「確かめたのは私を倒した直後だけでしょう?私はね、一応いざってときのために常にある薬を持っているの」

「それは私の神降ろしで生み出した薬の神、蛤貝姫(ウムギヒメ)の薬だ」

「私が意識がギリギリの時に飲んで体力を回復させたのよ。そしてあなたがあの厄介な空間神の力を解除した時に異空間からこっそり見ていたわ。そして依姫には悪いけど敢えて決着がつくまで待っていたわ。私の自慢の妹を倒すとは敵ながらあっぱれでした。しかし倒したとしてもあなたは何かしら大きな消耗はするはずです。それを一番させるには依姫に勝つ瞬間までです。そしてやられてしまった依姫を薬で復活させましたの」

「くう・・・そういうことか。確かに詰めが甘かった」

 

俺はそう思いながら「じこさいせい」で傷を回復させようとするが

 

「回復しないだと!?」

「念には念をということでいかなる治癒の力を掻き消す呪いがある神器を使いましたの」

「ちい。抜かりなしか」

 

これは一気に形勢が危うくなった。かなりのダメージを受けてしまった上に回復も出来ない。しかも相手は全快。これはつらい状況になった

 

「さあ潔くこの地で往ね!!」

「我ら相手にここまで戦ったお前の実力は認めよう。だがこれで終わりだ!!」

「ちくしょう・・・不覚だ!!」

 

しかしまだ戦う力は残っている。まだまだ倒すことだってできるはずだ。しかしこの出血ではいずれ力尽きる。だから俺は短時間で二人とも倒すしかない俺は再びパルキアの力を使おうとするが

 

「何!?」

「もう一つ仕掛けておきましたわ。私にとっての天敵ともいえるその力を抑え込みましたの。依姫と一緒にね」

「封印の一種のようなものだ。その力さえ使えなくすれば姉上も存分に戦えるのでな」

「ちい。悪知恵が働くやつらだよ」

(こうなるとこいつらを倒さないと帰ることも難しいというわけか・・・)

 

でも必ず生きて帰って見せると俺は強く誓うのだった

 




グラードン   NO.383  タイプ:じめん

ホウエン地方に伝わる超古代ポケモン。大陸を生みだした大地の化身と言われているポケモン。大地を盛り上げて大陸を広げ、光と熱で水を蒸発させることが出来る。それによって洪水で苦しむ人々を助けたこともあるらしい。カイオーガとの自然エネルギーをめぐる戦いを長年繰り広げていた。その後は地底で眠っていた。目覚めると火山が噴火するという。マグマ団に大地を広げるために狙われる。ORASでは大地を広げることで人類を発展させることが目的である。しかしあまりにも強い力で世界中の生物が死滅しかねない事態になってしまう
ORASで本来の姿を取り戻した姿、ゲンシグラードンとなった。タイプは新たにほのおタイプが加わった。とくせい「おわりのだいち」はあまりの熱で水タイプの技を大気中で瞬時で蒸発させてしようが出来なくなってしまう。これは通常の天候変化では変えることが出来ない。あふれ出るエネルギーがマグマとして溢れ出てきて歩き回るだけで大陸が広がるという。あらゆる水分を蒸発させ、あらゆる生物が死に絶え世界を終焉へと導くと言われている


弥都波能売神(ミヅハノメカミ)

日本を代表する水神様。カグツチのよって陰部をやけどして苦しんでいたイザナミの尿から和久産巣日神(ワクムスビ)(五穀・養蚕の神)と共に誕生したという


蛤貝姫(ウムギヒメ)

薬を司る女神。大国主命が兄の八十神に殺されてしまったところを蘇生させた。その薬は貝殻を削って粉にしたものを母乳に見立てた蛤の白い汁で溶いて作ったものである

ウムギヒメはスクナヒコノカミと迷いましたけど薬の伝承があるのは前者なのでそっちにしました



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