携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
俺は月の人に単騎で挑むことになった。しかし俺は今多くの兵と玉兎に囲まれている。これでは動きづらい
(まずは周りを蹴散らすか。もはやこいつらに情けはいらないだろう)
俺は久しぶりのこいつの力を宿した。今度は超全力でいくことにする。あの時よりも数段パワーアップしたこの技を放つ。それはバクオングであり
「ばくおんぱ」
「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAああああああああああああ!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
それは永夜異変でも放った技だ。あの時よりもパワーアップしており、揺れはマグニチュード10以上、範囲も50キロ以上にわたる大轟音で攻撃する。音の領域を超えており、ちょっとした核兵器並だ。単純な音の衝撃波でも遥か彼方に吹っ飛ばされる
「ぐう・・この!!」
すると依姫が俺に攻撃をしてきた。強力な炎の龍が現れた。しかし狙いはこれだった
(くらえ!!俺が改良したもう一つの型を!!)
すると俺は音波を圧縮して姉妹のいる方向のみに絞った。今までのが拡散型ならこれは集中型だ。広範囲ではなくなるが、威力と打つ方向の射程が長くなる。いうなれば音のレーザーのようなものだ。それは龍を容易く貫いた。しかしここで倒せるほど甘い相手ではない。豊姫が空間を操って掻き消した。そして俺は反射的に「まもる」を発動した
ゴオオオオオオオオオオ!!
案の定それを俺に跳ね返してきた。「まもる」を発動して正解だった。ああなると最早「ぼうおん」でも防ぎきれないのだ。でもこれで取り囲んでいた兵たちは全滅したようだ。予備の軍隊にも直撃したようでほぼ全滅だった。建物もかなり倒壊したらしい
「まあ周りを蹴散らしただけでも上出来かな」
「くう。耳が壊れるかと思いましたわ」
どうやらあちらは特殊な術で回避したらしい
「まあこれで晴れて俺とあなた方姉妹との一騎打ちってわけだ」
そして俺は剣を構える。すると依姫は剣を大地に突き立てた。祇園様の力により地面から大量の剣が突き出てくる。俺は出てくる剣を波導とネイティオの右目だけ宿して回避していく。波導と未来を見る力が組み合わさったときの回避力は凄まじいものである。そして剣が地面から出る一瞬前に「アクアジェット」で高速移動して抜けた。相手がキャンセルできないタイミングで出れば相手を攪乱できるのだ。俺はそのまま突っ込む
「石土毘古神よ」
依姫は土と岩を司る神の力を宿して分厚い大地の障壁を生みだした。しかしそんなのお構いなしで
「せいなるつるぎ・剛」
ドッゴー―ン!!
「!?」
「おおおおおお!!」
ドカア!!
俺は力で障壁を一撃で破壊して、そのまま依姫に突進して吹き飛ばした。これはテラキオンの力によるもの。そのパワーを生かした力技である。更に
「せいなるつるぎ・柔」
今度はビリジオンの力だ。ビリジオンの素早くしなやかな動きから放つ乱舞で攻撃する。波導と組み合わせれば抜群の回避力を持つ。俺はそれで攻め立てるが
「私がいることを忘れていないかしら?」
すると後ろから豊姫の攻撃が来る。おそらく兵器の一種であろうレーザーだ。俺はそれに気づいて飛んで躱す。しかし地面に着地した頃に依姫が突っ込んでいた。姉の攻撃を絶妙のタイミングで躱し、そのまま俺が体勢が崩れたところを斬りかかったのだ。相当お互いを信頼し合っていないと出来ない芸当だ。流石は姉妹というところか。でもそれは想定の範囲内だ
「せいなるつるぎ・護」
これはコバルオンの力だ。あらゆる攻撃を耐え忍ぶ護りの型だ。俺はそれを受け止めて押し返してみせた。そして俺は「しんぴのつるぎ」を取り出して
「インファイト・聖斬」
これは二つの聖剣を使った超高速剣術だ。俺は一瞬で姿を消した猛烈な乱舞を仕掛ける
ガキキキキキキキキキ・・!!
しかし依姫はこれを殆ど捌いてみせた。しかも
「ぐ・・」
何とカウンターとして一閃を的確に入れてきたのだ。直撃は避けたが、ダメージは負った。この女は単純な武術でも恐ろしく強い。それを感じさせられた。だが
「・・・刀傷などいつ以来でしょうか」
どうやらこちらも一撃だけ入ったらしい。まあ今は相打ちと言ったところか。しかし今度は姉の豊姫からの攻撃が来る。空間を扱った縦横無尽の攻撃は手を焼いた。レーザーや飛び出してくる剣や槍などの猛攻にはさすがに手を焼いた。しかもこの武器は神器の類だ。一つ一つが強力で防御するのも一苦労だ。更に依姫の攻撃まで加わった
(このままじゃじり貧だ。ならば!!)
ザン!!
「!?」
俺は出てきた武器を空間ごと切り裂いた。そして桃色の光が放たれると
「うそ!?空間を操れない!!」
「何ですって!?」
豊姫は突然空間を操ることが出来なくなったのだ。何かの術だろうか?いや違う。これは単純に自分よりも強い空間の力によって干渉することが出来なくなったのだ。彼女は月と地上をつなげる術が使える数少ない存在だ。その中でも彼女は非常に突出しているほど強い力を持つのだ。それを上回る力となるとこのポケモンくらいしかいないだろう
「・・・・・・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
桃色の光を放ちながら圧倒的な威圧感を放ってくる真聡がいた。宿したポケモンの名はパルキア。空間を創造した神である。いくら豊姫でも空間そのものの創設者には敵わないのだ。これで彼女の力は大きく弱まっただろう
「反撃開始だ」
すると無数の空間の穴が生まれた。そこから「はどうだん」、「りゅうのはどう」、「ハイドロポンプ」、「かみなり」などの攻撃が一斉に放たれた。姉妹はそれに対抗しようとする。しかし
ヒュン・・「何!?」
ドーン!!
思うような方向に進めずに攻撃が直撃したのだ。答えはパルキアの力で空間を操り、滅茶苦茶な方向にしか進めないようにしたのだ。つまり自分が前に進もうとしても元の場所に戻されたり、まったく別の方向にある場所に進んでしまったりするのだ。技も同様で。光弾が右側を通ったかと思いきやいきなり消えて上から飛んでくるなどでたらめな方向に進む。どんなふうに進むかは俺しかわからない。さらに隕石まで降らした。もちろん
ゴオオオオオオ!!
「!?上からではなく下からもくるだと!?」
俺は隕石を地面から出したりした。空間を歪めて重力の方向もでたらめになっている。速度はそのままで全方向から来る隕石の雨は驚異的だ。ディアルガとはまた違った使い方である。依姫は空間を切り裂いて進もうとするが、いくら切り裂いても瞬時にまた別の法則の空間が生まれる。切っても切ってもキリがなかった
しかしそれよりも豊姫はさらにまずいことになった。能力が使えない以上兵器や術や自身の動きで対処するしかないが、依姫と違って自分自身の動きはそこまで優れておらず防戦一方だった。そして所々で攻撃が被弾してしまう。お互い何とかここを出ようとするが出られない。俺は空間を新たに創造して二人を閉じ込めているのだ
豊姫とパルキアの決定的な違いは空間そのものを創造できるか否だ。彼女はあくまで操るしかできない。パルキアのように空間そのものを無から創造するという芸当は出来ない。空間に関しては完全に俺の方が上位互換だった
そして俺の腕は桃色に輝いた。俺は自分が作った空間の中で逃げ惑う哀れな二人に大技で蹴散らしてやろうと思ったのだ。放つは神の大技。依姫の物とはわけが違う
「あくうせつだん!!」
俺は腕をあらゆる方向に振りまくった。そして空間がズレて、ひびが入り始める。そして
パッリーン!!
とひび割れた空間がガラスのように飛び散った。そしてその影響による凄まじい衝撃波が月ごと姉妹を襲った
「ふう。流石に疲れたな」
とまぶいたものの、まだ戦闘体勢は緩めていなかった。何故なら
「ハア・・・ハア・・・己!!よくも姉上を!!」
依姫は立っていたからだ。どうやら何かしらの技で威力を限界まで弱めたらしい。姉の方を助けたかったがそれは叶わなかったようだ。豊姫も抗いはしたが、依姫と違って基礎体力をがあまり鍛えていなかったのが災いして、今はもはや戦闘が出来る状態ではなかった。何にせよこれで敵は一人減った
「これで一騎打ちだ。さあ、決着を付けようじゃないか」
こうして俺は依姫と一騎打ちになったのである
テラキオン NO.639 タイプ:いわ・かくとう
聖剣士と呼ばれるポケモンの一種。パワーに優れており、道をふさぐ障害物を破壊する役割を持つ。巨大な城壁をも一撃で破壊する突進力を持って、ポケモンたちを守った。映画では豪快で気さくな頼れる兄貴分と言ったところである。ケルディオに「相手から絶対に目を離してはならない」ことを説いた
BW2で22番道路に現れてアクロマから「今あなたの目の前で存在感を放つ・・」というセリフがある
ビリジオン NO.640 タイプ:くさ・かくとう
聖剣士の一種。聖剣士の中で一番スリムな体系をしている。素早い身のこなしで火の粉からポケモンたちを守ったという。映画では危機に陥っても表情一つ変えない冷静な性格をしている。ケルディオに「一番の敵は自分自身の恐怖心であること」を説いた
マグナゲートではメインストーリーで登場する。みんなから好かれるが、心からは信頼しておらず友達は作らないようにしていた。しかし主人公との出会いから少しずつ改心していく。序盤からステータスが高く非常に頼りになる
コバルオン NO.638 タイプ:はがね・かくとう
聖剣士の一種にしてリーダー格。鋼の体と心を持つ冷静沈着なポケモン。人にらみで凶暴なポケモンを黙らせて従えてしまう。その統率力でポケモンたちを導いていく役目があった。映画でも冷静沈着な性格。ケルディオ曰く言っていることは難しいが一番確信をついているとのこと。ケルディオに「敗北してもそこから何を学ぶかが大切である」と説いた
BWでは残りの聖剣士と遭遇するために最初に会わないといけない
総評
聖剣士はかつて人間の戦争に巻き込まれたポケモンたちを救い、それが終わった後三体で人間たちをその圧倒的な力で蹴散らして戦争を止めさせたという過去を持つ。そのせいで人間を信じてはいないようだ
パルキア NO.484 タイプ:みず・ドラゴン
シンオウ地方に伝わる神と呼ばれしポケモン。空間を司ると言われており、パルキアの誕生によって空間が誕生したという。ディアルガと共にアルセウスの宇宙創成を手助けした。遠くの場所や異空間に自在に移動したり、映画では町を丸ごと異空間に放りこんだりしている。普段は空間の狭間に住んでいるらしい。彼の呼吸によって空間は安定するという
ポケモン不思議のダンジョンでは一人称が「オレ」でやや粗暴な性格をしている。そのせいかDQキアなどと呼ばれてしまう。しかしちゃっかり最後は時空ホールに逃げようとしたダークライにとどめを刺したりしている