携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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これにて地霊殿編は終了です


謝罪

~地霊殿~

 

ギィ・・・

 

「!?」

「よ、よかった。無事だったんですね!!」

「ああ!!心配かけたな」

 

早苗は嬉しそうに俺に駈け寄ってきた。信じてる気持ちの方が何倍も強かったけど、やっぱり心配はしていた。だからこうして無事に帰ってきてくれて心底嬉しかった

 

「信じられない・・・あの状態のお空を倒しちゃうなんて・・・」

「なあに、死んじゃいない。今すぐ傷を治してあげて寝かせれば回復するさ。傷は薬で回復させたから大丈夫だ」

「とにかく運びましょう」

 

そして俺は寝室にお空を運んだ。今はぐっすりと深く眠っていた。しばらくするとさとりが目を覚ましてやってきた

 

「先ほどは失礼いたしました。それとお空を助けていただいて本当にありがとうございました」

「いいですよ、別に。多少手荒い真似をしましたが、そこは了承を願いたい」

「謝らないでください。今回は主である私のミスですし。任せきりにせずにもっとお空とお燐と接していれば」

「そう悲観になさらないでください。元はと言えば私の仕えるニ柱の神が原因ですし」

 

と早苗は言った。後であの二人に謝罪をさせなければ。あの二人が元凶なんだ。もちろん説教も

今は一応「シンクロノイズ」の防護壁を張っている。しかし俺はさとりに言った

 

「先ほどは手荒な真似をしてすみませんでした。しかしそう簡単に真実を教えるわけにはいかなかったんです」

「?」

「今から他心通を防御する技を解きましょう。早苗ともあらかじめ相談した末に決めたことですのでご心配なく」

 

実は技をかける前にしばらく早苗と話し合っていた。早苗は了承することを決めた

 

「他言は一切しないことを約束してください。いいですね?」

「・・・はい。わかりました」

 

さとりは一つ返事で了承した。この二人に迷惑をかけたのにこうして真実を見せてくれると言ってくれたからだ。ここまで慈悲深い行為を破るわけにはいかない。それと半分は恐怖によるものだった。自分と真聡とでは力量の差がありすぎる。どうやっても勝てない相手だということを悟っていた。さとりにとっては半分命令だった

 

そして俺は技を解いて心を読ませてあげた。これなら声が漏れて他の相手に広がることはない。それでも聞けそうなのは紫くらいだし、彼女はおそらく知っているだろう。とにかくしばらくの間読ませてあげた

 

「・・・事情は分かりました」

「そうですか。もう一度聞きますが先程の約束は守っていただけますね?」

「もちろんです」

(あなた相手には逆らう気がしないわよ。尤も彼は破っても殺す気はないようですが)

 

その後はしばらく雑談をした。さとりは普段はあらかじめ心を読んで言わんとすることを先に言うことが多いのだが、今回はそれをしないようにした

 

「あなた方は本当に仲がいいのですね」

「そうですか?」

「はい。お互いの心を読んでも何一つの嘘も曇りもない。うらやましい限りですよ」

「そうですか」

「なんか照れくさいな」

「あの時あなたが言っていた通り、心が読めなくてもよい信頼関係を築けるように努力します。私のたった一人妹であるこいしのためにも」

「そうですか」

(スカーレット姉妹みたいだな。こちらも姉妹仲がいいんだな)

「そう言ってもらえると嬉しいです」

「!!・・・やはり勝手に心を覗かれるのはあまりいい気分がしないかな」

「あっすみません」

「ふふふ」

 

 

しばらくした後、俺たちは一旦地上へと戻るのだった。行先はもちろん・・・

 

 

~守矢神社~

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

「「・・・・・・・・」」

「・・・さて。俺が言わんとすることはわかりますね」

「もちろん私のこともです」

「「はい」」

 

俺は今守矢の二柱に説教をしていた。早苗は笑顔ではあるが後ろには阿修羅が見えるくらい凄いオーラが漂っていた。俺は再びギラティナの力を宿した。二人の周りは黒い物質が漂っており、オリジンフォルムの触手のような巨大な6本の爪を二人に突き立てていた。逃がす気もないという意味の警告のためだ

 

「あなた方は一体何を考えてるんですか?」

「私はちゃんと忠告もしたはずで了承もしましたよね?」

「いやその・・」

「これでも幻想郷のためを思ってだな・・・」

「それであのまま暴走したらどうする気だったんですか?」

「どう責任とるつもりだったのです?」

「もちろん二人で抑えるさ」

「本当だよ!!」

「「・・・・・・・・・・・・・」」

「今度こんな真似したらこの神社ごと消し飛ばしますよ」

「私も巫女をやめさせていただきますからね」

「「すみませんでした」」

 

翌日俺は地霊殿に二人を連れて謝罪させた。もちろんDO・GE・ZAでな。もはや威厳も糞もないが自業自得だ。同情の余地はない。あの後お空は目を覚ましたようで神奈子から力を授かったことはすっかり忘れてしまっていた。元から頭があまりよくないらしく、すぐ物事を忘れてしまうらしい。しかし大切なことは決して忘れない。主人のさとり、妹のこいし、親友のお燐や地霊殿や地底の仲間たちなどだ。そして自分の過ちも覚えていた。改心したようである。ただ俺は少々ではあるが、トラウマの対象になったらしい。だが話してみると素直でいい子だった

 

その後話し合いでお空は守矢の二柱が計画していた通り、核融合研究施設である「間欠泉地下センター」にて仕事をしてもらうことになった。ただし守矢の二柱が関わっていることは一切公開せずに、あくまで必要な時のみの支持とそれ以外は雑用でもしてもらうことを条件にした。こんなことで信仰を集めないようにするためだ。当然二人にもそれを公表しないように注意した(脅した)。二人とも快く?了承した

 

その後は恒例の楽しい宴会が始まった。地霊殿のみんなと仲良くなっていき、すっかり馴染んだ。こうしてこの異変は幕を閉じたのであった

 

 

~旧都~

 

「いいんですかい?このままで」

「いいんだって。宴会を邪魔するほど私は無粋じゃない。今は止めておくさ。今はな」

 

勇儀には最初から行先はわかっていた。地底が危ないことは気づいていたのだ。故にあえて地霊殿への捜索はさせなかった。今はとりあえずやめておくことにしたのである。ただしあくまで今はだが・・・

 

 

~太陽の畑~

 

「最近暇ねえ」

 

風見幽香はふとまぶいた。そして新聞をちらっと見た。真聡の活躍がまた報道されたのだ

 

「・・・そうだわ。こいつがいたわね」

 

と幽香は傘を片手に不敵に微笑むのだった

 

~??~

 

「いいの?紫。今回は私が異変時なのに一切関わらなかったけど」

「いいのよ。今回だけね。改めて真聡の実力を見るのが目的だったし」

(それにしても核融合すらあっさり蹴散らすとはね・・・あの人間ならもしかして・・・)

 

それぞれのたくらみが幻想郷に交差するのだった

 




はい。最後は不穏な感じで終わりましたね。これらは次の章で行う予定です

小説の執筆を始めて2か月になりますが、再生数もコメントも評価者も増えてきて本当に嬉しいですし、励みになります。これからも物語を執筆して投稿していこうと思います。暇なときにでも読んでくださると幸いです
これからもどうぞよろしくお願いいたします

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