携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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いよいよお空戦です


灼熱地獄の恒星

~灼熱地獄跡~

 

「こりゃ熱いな」

「そう言う割にはそんなに堪えてなさそうだよね、あんた」

「まあな」

 

俺は今リザードンの力を宿して最深部へ向かっている。ポケダンで炎タイプのポケモンは普通にマグマの床でも歩ける。この世界のマグマも例外ではないようだ。まあ流石に少し熱いが、大した問題ではない

向かう途中でお燐が話しをしていたのだが、地上に霊を送ったのは彼女であることが分かった。しかしそれには悪気があってしたのではなく、理由があった。それはお空の影響で地上に噴出した間欠泉に霊を混ぜて送り込むことで異変を地上に伝えて助けを求めようとしていたからだ。それとさとりに話したらお空が処罰を受けることを恐れたという理由もあるようだ。しかしやってきたのは人間だから本来なら実力を試すために戦うつもりだったらしい

 

だが俺の名前を知るや否や戦うことを止めたようだ。俺の名前は地底でも轟いており、試す必要がないと悟ったらしい。それに下手したら自分が殺されそうだとのこと

 

早苗もついていこうとしたが、俺は留守番をさせた。今回は危険だからである

やがて陸地へとたどり着いた。そしてそこに異変の張本人、霊烏路空がいた

 

「あはははははは!!せかいせいふくだーーー!!」

 

すると狂ったかのように炎を巻き散らかしてきた。それに伴って灼熱地獄の炎はどんどん強くなっていく

 

「お空ーーー!!止めな!!」

「あっお燐!!それと・・人間さん?」

「お前が霊烏路空だな?」

 

俺は霊烏路空ことお空と対峙する。容姿は白のブラウスに黒いスカート、長い黒髪に緑色にリボンをしている。しかし異様なところがある。黒い羽は彼女が烏の妖怪だからよいのだが、右足には金属の塊のようなものが纏わりついている。右腕には大砲のような筒があり、胸には大きな深紅の目玉がついていた

 

「単刀直入に言うぞ。今すぐその力を使うのを止めろ!さもないと地上も地底も大変なことになる」

「こんなところまで来てもらって心苦しいんだけど、間欠泉はもう止まらないわ。遅い・・・遅すぎたわ」

「何だと?」

「間欠泉はこの熱を地上に逃がすためのだけの穴なの。私は究極の力を手にしてしまった。その力を使う度に間欠泉が湧くの。だから止められないわ」

「そんなことをしたら地底の住人にも被害が及ぶと言っているだろう?お前の大切な主人や親友が死んでもいいのか?」

「そんなことにはさせないわよ。もしかしてあなた私を脅しているのかしら?」

「違う!!これは警告だ!!このままではお前は一生取り返しがつかないことになりかねないんだぞ!!」

「お空!!馬鹿なことは止めな!!」

「だから地上に新しい灼熱地獄を作って住処を増やす。それだけよ」

 

どうやらいきなり自身に強大な力を手に入れたせいで思考も暴走しているようだ。親友であるお燐の声さえも届かない。こうなったら

 

「お燐。俺はこいつを止めるからお前は早く地霊殿に戻れ!!」

「あんた正気なの!?いくらあんたでもあれを止め・・」

「テレポート!!」

ヒュン!!

 

俺はお燐を地霊殿まで転移させた。とにかくコイツを止めるしかない

 

「この力の前に灰塵になるがいいわ!!」

核熱「核反応制御不能」

 

するとあたりを埋め尽くすほどの特大の弾幕が発生する。まるで小さな太陽が弾幕となっているかのようだ

 

「たく。技名からしてこのままじゃまずそうだ!!」

 

俺はとりあえず回避に専念した。しかし熱量が半端ないうえにかわすのも大変だ。俺はメガボーマンダの力を宿した。その圧倒的な飛行能力でかわしていく。そして

 

「りゅうのはどう!!」

 

俺はドラゴン型の波動を発射した。しかし球が大きくてなかなかお空本人に当たらない。何発か打てば破壊できるがまた別のが発射される。しかしそれでも粘り強く攻撃した結果

 

ドッカーン!!

「うう・・」

 

遂に命中した。すると弾幕が消えだした。まだ使えるようになっても間もないうえに、エネルギーを多く使うため一度集中力が切らされると隙が大きいようだ。俺はこれを逃すまいと

 

「すてみタックル!!」

 

俺は超高速で突進した。とくせいのおかげで威力も上がっており、メガボーマンダのパワーも手伝って凄まじい威力となった。弾幕を切り裂きながらお空に突撃した

 

・・・ヒュン・・・ズッバーン!!!

「がは!!」

 

弾幕ごとお空を切り裂き、余波だけで近くの岩が真っ二つになった。メガボーマンダはその翼で行く手にあるものを全て切り裂くという。「血に濡れた三日月」という厨二くさい異名も持っているようだ。しかし

 

「ぐう・・・これはとんでもない異物だわ。排除してあげる!!」

 

ダメージは大きいようだが、それでもまだ元気だった。加減はしたのだが、まさかここまで元気とは。八咫烏の力が影響しているのだろうか?何にせよこれは少し予想外だった。ここで仕留めるつもりだったのだから

 

「ちい。甘く見てたか」

爆符「ペタフレア!!」

 

すると大量の恒星のような弾幕が放たれた。俺は何とか回避していくが、数が多い。そしてとうとう被弾する

 

「ぐう・・あ・熱い」

 

ドラゴンタイプのボーマンダのおかげで効果はいまひとつだったが、それでもかなりのダメージを受けてしまった。しかしそれでも立ち上がる

 

「ひとまず「はねやすめ」っと」

 

俺は素早く回復した。しかしその間でも弾幕は迫る。俺は大急ぎで回避した。相変わらずガンガン来るがだんだん慣れてきた。しかし今の俺はさっきのダメージの影響でやけど状態だ。普通なら持っている「やけどなおし」で治すのだが、ここで少し賭けに出た

 

「ハイパーボイス!!」

 

俺はひこうタイプとなった強烈な音波で攻撃した。強烈な音波で弾幕を破壊することも出来るが、一番は相手の聴覚を刺激することが出来る。これで集中力を乱すのが狙いだ。しかもここは洞窟で音がよく反響する

 

「う・・うるさーい!!」

 

するとお空は滅茶苦茶に撃ちだした。そのおかげで精度が悪くなって隙間が出来てきた。俺はそれを見逃さまいと突っ込んだ。そして

 

「おおおお!!「からげんき」!!」

ドッゴオオオン

「ぐはああ」

 

やけど状態でしかもスカイスキンの力が加わった渾身の一撃がお空に直撃してお空は岩肌に叩きつけられた。そしてその隙を見逃さずに別のポケモンの力を借りた。それはメガオニゴーリである

 

「ちい。氷タイプにはやはりこの環境はきつすぎるな。でもこれでおしまい」

 

俺は手に膨大な冷気のエネルギーを溜めた。メガオニゴーリの特性は「フリーズスキン」。その力が加わったこの技を放つ

 

「氷のはかいこうせん!!」

ビュゴアアアアアアアア!!!!

 

同じ特性であるアマルルガを遥かに凌ぐ絶大な冷凍エネルギーが発射された。それはお空に直撃した

 

ガッキーーーーーン!!

 

その衝撃波と共に灼熱地獄はいっせいに凍り始める。そしてやがて灼熱地獄跡は一転してコキュートスと化したのだった。お空は氷漬けになっていた。俺は一応動けるようになった後にあられも降らしておいた。念には念をということだ。それに別に芯まで凍らしたわけではない。ほっといてもいずれは溶けて元通りになる。たとえ凍らしてしまったとしても元に戻せる。というかお空を回収したら元通りにするつもりだ。俺は「かいふくのくすり」で傷とやけどを治した

 

(これで済んで良かった。とりあえず「テレポート」で彼女を転移させるとするか)

 

全てが終わったとこの時は思っていた。しかし

 

ドッゴーン!!

「!?」

 

なんとお空は氷を砕いて飛び出してきた。俺は反射的に「テレポート」で距離をおいた

 

「キケン!キケン!!キケン!!!スベテハイニシテケシテヤル!!!!」

 

どうやら完全に自我を失い、暴走し始めたようだ。そして周りの氷も一瞬で解けて

 

「サブタレイニアンサン」

 

するとお空の周りに核の炎が集まってくる。そしてお空は太陽そのものになってしまった。その影響で引力が発生して引き寄せられる。更に

 

焔星「十凶星」

 

お空の周りに一回り小さな恒星が10発放たれた。それらはお空を中心に公転する惑星のように周りをまわり始める。更に「ペタフレア」で攻撃してきた。この極悪な弾幕に流石に手を焼いた。このままじゃ本当にすべてを破壊してしまうし、おそらく最後は自分自身を滅ぼしてしまうだろう。そして俺は心の中で思ったのだ

 

(やはりこいつの力を使うしかないか・・・)

 




オニゴーリ  NO.362  タイプ:こおり

ユキワラシの進化形。岩のような体に氷の鎧で覆ったポケモン。冷気の扱いに長けており、水分を凍らせて自由に形を変えたり、相手を瞬間的に凍らせて捕食するようだ。そのせいでオニゴーリの周りにはダイヤモンドダストが発生するらしい
ORASでメガシンカを獲得した。とくせいはノーマルタイプの技を氷タイプにして威力を上げるフリーズスキンとなる。常に吹雪を吐いており、メガシンカによる過剰なエネルギーにより、顎が外れてしまった。それで「かみくだく」できるのだろうかという疑問があるが気にしないようにしよう。きっとアニメの「かみつく」みたいに牙のエフェクトが出るのだろうと作者は解釈しておくとする

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