携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
「とりあえずここに寝かせておくか」
「そうですね」
俺は気を失ったパルスィを橋のところに寝かせて、「いやしのはどう」をかけた。そしてそのまま先に進む。しかし避けないといけない存在がある。それは星熊勇儀だ。萃香と同格の相手と戦えば消耗が激しくなる。だから会わないように注意して進む。ここでも波導は便利だ。強いものほど波導の力は強い。だから強い波導に注意すればいいのだ。早苗からも勇儀より強いものはいないとのことだし、これでいいだろう
「・・・おっと!弾幕ごっこの光で気づいて大量の波導がこちらに向かってくるな」
「とりあえず安全なルートをお願いします」
「ああ」
俺たちはその集団を避けて先に進んだ。出来るだけ住人がいない場所を進んでいく。少しずつではあるが確実に先に進み、そして西洋風の大きな建物を見つけた
「あれか?早苗」
「はい。おそらく」
そして俺たちは早速中に入っていった
~橋~
「ちきしょう。いるのは倒れているパルスィさんだけか」
「弾幕ごっこをしている奴は確かに人間の臭いだったんだが」
橋には鬼たちが集まっていた。橋での弾幕ごっこの光に気づいて集まってきたのである。しかしそこに着いた頃には気を失っているパルスィを除いてだれもいなかった
「うう・・」
「おい!パルスィさんが目を覚ましたぞ!!」
「大丈夫ですかい?」
「え、ええ・・・」
「よう。パルスィ!派手にやられたようだな」
「!姐さん!!」
「勇儀・・・」
すると赤い一本角が特徴的な女性が現れた。彼女こそ星熊勇儀である
「誰にやられたんだい?」
「東風谷早苗とかいう巫女によ。人間のくせにこの私に完勝するなんて妬ましいわ」
「他に誰かいたか?」
「ええいたわよ。あんたが会いたがっていた人間が、確かに木戸真聡と名乗っていたわ」
「・・・そうか」
すると盃の酒を一杯飲んだ
「木戸真聡って・・・」
「あの萃香さんを倒したとかいう人間か!?」
「でまかせということは?」
「いやおれは萃香さんから話を聞いた。俺たち鬼は嘘が嫌いだからな。萃香さんも同様だ」
「なんでも吸血鬼や死霊、更に閻魔まで倒してしまったって話だぜ」
ザワザワ・・・
その名前を聞いて鬼たちはざわついた。すると勇儀は
「フフフ、ついに来たか!!」
すると勇儀の目は一気に好戦的になった。今までずっと戦ってみたい相手がついに来たことに興奮が収まらないようだ。その様子に鬼たちは怯む
「でもあの人間はあんたと戦うことは避けているようよ。異変のために消耗を避けたいみたい」
「だったら探すまでだ」
「お前ら!!そいつを探しな!!」
「「へい!!」」
こうして鬼たちは一斉に散らばっていった
「まあ行先は見当がつくけどねえ」
と勇儀は不敵に笑うのだった
~地霊殿~
「紅魔館以外だと洋館はここくらいだな。いやプリズムリバーの住む洋館もあるな。いずれにせよここでは珍しい」
「そうですね。そういえば私も演奏聞きましたけどよかったです。後ファンクラブにも入りましたよ!!・・・もちろんあなたのをです」
「あ~そうだったな。・・・ありがとな」
まあこんな雑談を挟みながら進む。中には広い庭があった。それと様々な種類の動物たちでいっぱいだった
「ここにはいっぱい動物がいるな」
「ええ。ここの主はペット好きなんです」
「そうなんだ」
「はい。その人は古明地さとりという妖怪で心を読むことが・・・!!いけない!!」
「急にどうした?」
すると早苗は慌て始めた
「すみません。ちょっとお願いがあるんです」
「何だ?」
「真聡さんの波導で強い力を感じたら教えてください。そしたら急いで離れますので」
「何故だ?」
「・・・すみません。それは言えないんです」
「心を読まれるとそんなにまずいのか?」
「はい・・・」
どうやらただ事ではないらしい
(心を読むか・・・そうだ!)
「俺にいい考えがある」
「何ですか?」
「ちょっと待ってろ・・・よし!これで心が読めないはずだ」
「え!?一体何をしたんですか?」
「ふふ。それはな・・・」
~side古明地さとり~
「さとりさま。誰かがここに来たようですよ」
「そう。一体何の用なのかしら・・・いや答えは明確ですね」
おそらく灼熱地獄の異常現象のせいだろう。その後姿を見つけたペットに案内された
「あれがここに来た人間たちね・・・うそ!?あの二人の心が読めない!?」
「あなたがここの主ですね?」
すると男性の方が私に話しかけてきた。確かあの人間は・・・
~side真聡&早苗~
「あの様子だとどうやらうまくいったようだな」
「凄いです!!本当に能力を使い分けているんですね」
「まあな」
「どうしてあなたたちの心が読めないのですか?」
「さあな。そう簡単には教えられません」
ここで説明するとしよう。俺が今やっていることは、うどんげとの戦いを思い出して浮かんだ策だ。心を読むとは相手の精神に直接干渉することに他ならない。早苗が言うには過去の記憶から読み取って過去のスペルカードで攻撃してくるという芸当も出来るらしい。そこで俺は微弱な「シンクロノイズ」を発生させることで相手の精神に直接伝わる音波で相手の精神への侵入を妨害しているのだ。簡単に言えば精神干渉の防護壁のようなものを生みだしたのだ
そもそもなぜこれをする必要があるのかというと、それは早苗がこの世界のことを知っていて、しかもそのキャラクターそのものだからだ。「幻想郷縁起」を読ませて知っていることにしたが、心を読まれてしまえば簡単にそれがバレてしまう。まだ相手が信頼できると判明してない以上、下手にそれを知らせるわけにはいかないのである。早苗が俺に教えなかった理由は、もし教えたら俺はそれをどうしても意識してしまう。そうなると結局バレてしまうからだ
何にせよ策は成功した。あとは交渉だ
「俺たちは何もここを荒らしに来たのではありません。しかしここも危険が及ぶから来たんです」
そして二人で説明した。しかし
「あなたにそんな得体のしれない力がある以上、そう簡単に信じられません!!出ていってもらいます!!」
「・・・普通は心を読めない状態で人は話すのですよ」
「うるさい!!」
どうやら冷静さを失っているらしい。心が読めないことにこれほどまで不安に駆られるのだろうか。しかしどうやらまだ別の人物がいるようだ
「そこの柱にいる君は何者だい?」
「「!?」」
すると突然別の少女が現れた。それをさとりは
「ただいま。お姉ちゃん」
「こいし!!」
さて、どうなることやら