携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
今俺と早苗は地底に向かっている。今何しているのかって?それは「あなをほる」をしているのだ。俺はイワークの穴掘り能力を素で行うことに成功した。最近第二進化形くらいまでは素で使用できるようになった。そして人も妖怪もいない平原で穴を掘り始めた。何故場所を選ぶ必要があるかというとイワークは時速80キロで地中を進めるからだ。現世の掘削機の速度で時速4キロ弱くらいである。それの20倍以上のスピードで掘ったらどうなるだろうか?答えは簡単だ。図鑑でも書かれているように地面が揺れて大災害になる可能性からである。だから場所を選んだのだ。かといってスピードを緩めたら穴を掘ってショートカットする意味がないというのもある。早苗も妖怪の山の入り口は知らないようだ。そうこうしながら掘り進めていくと
ボッコ!!「着いたぞ!!」
無事に到着。そこからの地面までの距離が10メートルくらいだ。俺たちはそこに降り立って進んだ。更にジバコイルの力で宙に浮き、「フラッシュ」で明るくして進んだ。波導の力も発動させておけば更に安全に進めるだろう
「こういう奇襲を仕掛けてくるやつがいるしな!」
「え!?」
俺は一旦地上に降りた。すると何かが落ちてきた。ルカリオの力を宿して「ボーンラッシュ」をバットのように構える。そして
カッキーン!!
という感じに「ボーンラッシュ」の骨を振りぬいた。そして遥か彼方へと飛んでいく。更におまけに「しんくうは」を放った。理由は糸につるされていることもわかっていたからだ。糸が前にのびきる前に真空の刃が糸を斬る。そしてそのままどこかに飛んでいった
「よし」
「さすがですね」
とりあえず追い払ったので俺たちは先に進む。途中妖怪や普通の妖精やゾンビのような妖精が襲ってくる。俺と早苗はそれを蹴散らしながら進んでいく。俺は電撃や光線で蹴散らしていく。早苗もすでにこの程度の雑魚相手では問題なく倒せるようで余裕を持っていた。ペアを組んで敵を倒しながら道中を進んだのは紅霧異変で魔理沙と組んで以来だ。あの後は一人だし、一緒に行っても敵がいなかった。だからちょっと新鮮だったし、十分戦力になっていた。しばらく進むと
「これは蜘蛛の巣か?いやにデカいな」
「うーん・・・!?真聡さん!!上!!」
「!!おっと」
するといきなり弾幕が発射された。俺は素早く避けた
「ふう。油断したな。ありがとう早苗」
「いいえ。・・・どうやら敵のようですよ」
「そうだな」
すると目の前に人影を見つける
「あんたたちだね?ここに侵入してきた人間は」
「そういうおまえは誰だ?」
すると金髪のお団子頭に茶色いリボンをした少女が現れた。服装は茶色を基調にしている
「私は黒谷ヤマメ。この地底に住む妖怪、土蜘蛛だよ」
「いったい何の用だ?」
「どうしたもこうしたも突然キスメが向こうから吹っ飛んできたことに気になったんだよ。さっき地面が揺れていたけどそれもあんたたちでしょ?」
どうやらさっき襲ってきたやつは妖怪だったようだ。キスメはまだ気絶している
「まあ、地上から穴を掘ってきたからな。そのキスメっていう妖怪も先に上から落ちてきて奇襲をかけてきたから対応しただけだ。別にここを荒らしに来たわけじゃない」
「じゃあどうして人間がここに来たのよ」
とりあえず早苗と一緒に事情を話した。俺たちの目的や今何が起ころうとしているのかを。すると結構話が分かる妖怪だった。多分普通に人間と話しても仲良くなれる性格をしているのだろう。ただ・・・
「お前病気を操ることが出来るのか?」
「うん。でも今は押さえているから大丈夫だよ。でもあんたが来た時には一応軽い病原菌を撒いておいたけど、全然効いてないね。どうしてだい?」
「あー多分それは俺は今はがねタイプのジバコイルを宿しているからだろうな」
「はがねタイプ?ジバコイル?」
「ジバコイルというのはポケモンの名前の一種だ。はがねタイプは属性の一つなんだけど毒の攻撃は効かないんだ。多分これのおかげで平気なんだと思う」
「ポケモン・・・って!!ちょっと後ろの人間の子が!!」
「!?おい!!早苗!!」
「うう・・・」
どうやらキスメの病原菌が体に侵入したらしい。俺は慌ててラムの実を食べさせて、更に「いやしのはどう」を使った。そして最後に「しんぴのまもり」で病原菌が感染しないようにした。まだ症状が浅かったのもあってすぐに全快した
「ふう。助かりました」
「すまないね」
「まあいいよ。君は悪い妖怪ではなさそうだし」
「私もそう思います」
「そう言ってくれるとありがたいねえ」
更にヤマメから話を聞くと霊があふれた理由は知らないとのことだ。しかし最近この先にある旧都という場所の温度が上がり始めているらしい。おそらくそれが今回の異変に関係があるんじゃないかということだ。それと
「あとポケモンという言葉で思い出したけど、あんた自警団に所属しているという木戸真聡で間違いないね?」
「まあな」
「だったら気を付けた方がいい。旧都に住んでいる星熊勇儀という鬼がいるんだけど、そいつがあんたと戦うことを楽しみにしていたよ。急ぐのなら会わないようにした方がいいよ」
「鬼もいるのか」
「うん。あそこにはいっぱい住んでいるよ。でも勇儀は別格だけどね。あんたが倒した萃香と同格だからね」
「マジかよ」
それは結構大変だ。あの時よりずっと強くなっていると自覚しているが、さすがに萃香と同格の相手だと確実に体力を消費する。気を付けないとなと思った
「じゃあ俺は先に進むな。いろいろ教えてくれてありがとう」
「いいよ。私を恐れることも嫌悪感を持つこともなく話す人間なんて今じゃいないからね。私も喋れて楽しかったよ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
こうして俺はヤマメとキスメと別れた
「やれやれ変わった人間もいるんだねえ。でもあの真聡というやつは噂通り様々な技を使うんだな」
そしてまた蹴散らしながら地下を奥へ奥へと進むのだった