携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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風神録編は今回で終わりです。本当にバトル要素が限りなく0に近いですが、次章からはバンバン登場させる予定ですのでお楽しみに


思い出の語らい

~守矢神社~

 

「う~」

「やれやれ。大丈夫か?早苗」

「う・な・何とか・・・」

 

早苗は酒を飲んで少し気分が悪くなっているようだ。初めて飲んだらしいから仕方がないだろう。俺も初めて宴会で飲んだ後はこんな感じになっていたものだ。とはいえ早苗は俺よりもかなり弱いようだが

 

「ほら「おいしいみず」だ。ポケモンの世界産のはなかなか効くぞ」

「あ、ありがとうございます・・・ふう、名前通り本当においしいですね」

「お前はしばらくそこで休んでいろ。俺は平気だからさ」

「うう・・すみません」

 

俺はこの後帰っていく者たちの応対と片づけを行った。しばらくすると「おいしいみず」が効いたのか、体調がよくなってきたようで早苗も手伝ってくれた

 

時計の針はもうすぐ12時を越えそうになる。俺はすぐに戻ろうとしたが

 

「待ちなよ。真聡」

「何ですか?諏訪子さん、神奈子さん」

「今日はここに泊まっていきなさい」

「ええ!?しかし女性三人の中に男一人いるのは。それに「テレポート」ですぐに帰れますし」

「そう遠慮するな。私たちはお前が幼いころから知っている。せっかく巡り合ったんだ。しばらくバタバタしていたし、積もる話があると思うし」

「客間くらいはあるし、遠慮しなくていいよ。早苗もいいよね?」

「はい。かまわないですよ」

「・・・じゃあお言葉に甘えて。一泊お世話になります」

「そうしなさい。客間を案内してあげよう」

「まあそのうち一泊じゃなくなるかもしれないけどね。あんたたちが一緒になれば」

「「/////!?//////」」

「おやおや、赤くなってしまって、純情だねえ」

「こら、諏訪子。からかうのもそこまでだ」

「ふふ、ごめんごめん」

(たく。酔いが少し覚めてしまったよ)

 

早苗の様子もちらっと見たが、彼女も赤くなっていた。

 

その後俺は客間に案内された。そして俺は何となく外を眺めて、いつの間にか縁側に来ていた。月は三日月。夜風が心地よく感じた。しばらくそうしていると早苗がやってきた

 

「ここで何しているんですか?」

「おお。早苗。ちょっと酔い覚ましも兼ねて休んでたんだ」

「そうですか・・・・・私も隣にいていいですか?」

「え?・・まあかまわないけど」

 

すると早苗が俺の隣に座ってきた。そういえば幼いころ、遊び疲れた後はこんなふうに座っていたことを思い出す

 

あれから何年もの年月が経った。俺が不治の病にかかってからは病院で生活していたからだ。だからこうして隣り合って座ることは随分久しぶりで少しぎこちない

 

しかし一番の原因は別だ。それはお互いすっかり大きくなったことである。早苗は幼いころから可愛い子ではあった。しかし今は体つきはもう大人の女性と変わらない。あの時の面影は色濃く残ってはいるが、身長は伸びて、顔だちも整っており、細身ながら胸も豊満に成長していた。要は一言で言うなら

 

「綺麗になったな・・・早苗」

「へ!?/////」

「ハッ!!」

(しまった!!口に出てしまった!!)

「「/////////////」」

 

お互いまた顔を赤くなった。非常に気まずい雰囲気である。俺はどうしたものかと非常に悩んだ。これからなんて話せばいいかわからないし、かといってすぐに退散しようとしたらそれはそれで雰囲気が悪くなる気がする。どうしたらと思っていると

 

「////真聡お兄ちゃんだって昔よりずっとたくましくなって素敵な人になっていますよ」

「え!?そ、そうかな?///」

「・・・はい///」

 

すると早苗は更に俺に近寄ってきて、手をつないできた。それには驚いたが、悪い気分・・いや心地いい気分になった。少し照れ臭いが。しばらくそういった雰囲気が続いた。そして俺は口を開く

 

「あれからさ。お前はどうしていたんだ?」

「・・・私はあの後」

 

この後俺たちはお互いあれからどんなことがあったかを語った。早苗は高校三年までは現世で過ごしていたけど、神社の信仰はどんどん落ち始めていったそうだ。そして彼女は言った。それは俺が死ぬ少し前に眠っていた力が目覚めたという

 

「真敏さんがなくなる前に私はどういうことか、力が目覚めて神奈子様と諏訪子様の姿がはっきり見えるようになって話すことも出来るようになったんです。小さい頃から稀に朧気ながら見えた時がありましたが、あそこまではっきりしたのは初めてでした」

 

俺は黙って聞いていた。そして

 

「その時確信しました。私は「東方project」の「東風谷早苗」何だって。普通じゃとても信じられないことですけど、現実として受け止めるしかありませんでした」

「そうだったんだ・・・」

「ですから私は貴方を救うために祈ったんです」

「!?どういうことだ?」

「私には奇跡を操る程度の能力があります。ですから私の能力であなたを救うことが出来るかもしれないと思ったんです。しかし大きい奇跡ほど長い詠唱が必要です。私は毎日祈り続けました。奇跡が起こることを・・・でも結局私では救えなかった。あの時は本当に悲しかったです」

「・・・そうだったのか。辛い思いをさせてしまったな」

 

私は思ったままのことを言った。しかし

 

(じゃあ俺が生き返ったのってもしかしてこの子のお陰なのか!?でも仮にそのお陰で甦ったとしても、どうしておれは幻想郷にきて、そしてポケモンの力を授かったんだ?そこまで早苗が思っていたとは思えないし)

 

俺は非常に混乱していた。こんなことがあり得るのであるのだろうかと

 

「だから私は真敏さんと再会したときは困惑しました。一体どういうことなんだろうと・・・ですが」

 

早苗は俺の真正面を向いて

 

「どういう形であれ、またあなたに会うことが出来た。最初こそ戸惑いましたけど、そのあとは喜びでいっぱいあふれてきました。住む世界は変わりましたけど、また一緒に話したりしてくれますか?」

「・・・・・そんなの」

 

その問いの答えに迷うなんてことがあるはずもなかった

 

「当たり前じゃないか。俺も早苗に会えて本当に嬉しかった。だからこれからもよろしくな」

「はい!!」

 

そのあとは俺が幻想郷に来てからの話をしていった

 

どうして俺がここにきて、早苗が本当にゲームのキャラクターとして生きていくようになったのかはわからない。俺が考えたように本当に早苗が起こした「奇跡」なのかもしれない。少なくとも何も影響がなかったとは思えないと俺は思う

 

今は精一杯喜ぶことが一番だと俺は言い聞かせ、この奇跡を存分に味わうのであった

 

 

 

 

 

 




慣れないシチュエーションを書くことって難しいと痛感いたしました

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