携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
~香霖堂~
「やあ、君がここに来るとは珍しいね。何をお求めかな?」
「いや私は特に用はないんだが、後ろにいる彼が売りたいものがあるらしい」
と慧音さんが言った後店主と思われる男性が俺を見た。とりあえず俺は自己紹介をした
「初めまして、木戸真敏と申します。一昨日に外の世界から流れ着いたものです」
「ということは君は外来人なんだね?」
「はい、そうです」
「そうなんだ。じゃあ僕からも自己紹介をしておこうか。僕は森近霖之助。この店の店主をやっているものだ。よろしくね」
とこんな具合に互いの自己紹介をした。遠くから少女が俺をじっと見ているけど、まずは自分の目的を霖之助さんに話した。
~少年説明中~
「なるほど。だからうちの店に来たんだね。僕は外の世界に物をよく拾いに行っているんだ。だから君の持っている異世界の物にはとても興味があるよ。早速見せてくれるかい?」
「はい。え~とまずはこれらの木の実なんですが・・・」
自分はバッグからオレンの実、クラボの実、モモンの実など10種類ほどの木の実を見せる。霖之助さんもそうだが慧音さんも興味深そうに木の実を見つめていた。
「まずこの青いミカンのような木の実はオレンの実と言います。味は甘く、そして人間やポケモンの体力を回復する効果があります。子供が風邪をひいたときにはリンゴの代わりにこれを吸ったものを飲ませたりするようです。(これはアニメで出てきたことだけどな)」
「ほう。異世界にはこんな木の実があるのか」
と慧音さんはつぶやいていた。俺は引き続き別の木の実を説明する
「で、このさくらんぼみたいな木の実は・・・」
「へえ。このモモンの実という木の実には解毒作用があるのか。しかも即効性が高くて強力な毒でも効くんだね」
「え?ご存知なんですか?まだ説明してないのに名前どころか効果まで言い当てるなんて・・・」
「あっごめんごめん。どれも興味深くてつい調べてしまってね。僕は『道具の名前と用途がわかる程度の能力』を持ってるんだ。僕は見たことがない物でもその名前と用途がわかるんだ。 まあわかるのはそれだけで使用方法はわからないんだけどね」
「そうなんですか」
(どうやら霖之助さんもただの店の店主ではないらしい。まあこれで説明する手間が省けたかな)
「この梨みたいなのと緑色のイチゴは何なんだ?」
前言撤回。慧音さんも興味をもったらしく結局説明がいるらしい。俺は木の実以外の道具も出してみようかなと思い、床に置いていたバッグから中身を取り出そうとするが
「この輪っかみたいのは何だ?」
といつの間にかさっきまでこちらを見ていた少女がいつの間にかフーパのリングを持ち出していた。
「コラ魔理沙。勝手に他人の物を持つんじゃないよ」
「ほかにも全然溶けない氷や何かの種とかいっぱいあるぜ」
「えーとこの子は?」
「この子は霧雨魔理沙。僕がここを開業する前に修行していた道具屋の娘で幼馴染なんだ。年は離れてるしまだ子供だけどね」
「もう!子ども扱いするなよな」
「子ども扱いするなって、最近やっと10代を超えたくらいじゃないか」
「あ~。レディーの年齢に触れるのは失礼なんだぜ」
なんとまあ急ににぎやかになったものだ。まあそのすきに俺はリングを魔理沙という子から取り上げる
「あっ。勝手にとるなよ」
「とるなと言ってもこれは俺のだし、第一これは売る気はないよ」
この時俺は思い出した。
(この子は確かこのゲームの主人公だったよな。確か巫女さんのキャラとのダブル主人公なんだっけ。でも少女とはいっても、やけに幼な過ぎる気がする)
そう思いながらこの魔理沙という子に
「・・・代わりにこれをあげるから勘弁して」
「なんだこれ?」
「これはしあわせタマゴといってな。持っていると早く成長できるんだ。君は強くなりたいんじゃないか?きっと役に立つから」
「本当か?霖之助どうなんだ?」
「どれどれ・・・。うん、どうやら本当に成長の促進を助けてくれる効果があるアイテムみたいだよ」
「本当か?」
「ああ。本当だよ」
「じゃあありがたくいただいとくぜ」
と言って魔理沙はおとなしくなってくれた。俺は引き続き道具を霖之助さんに差し出した。
~少年取引中~
結果として俺はかなりの収入を得た。木の実とかゲームだと10円なのに、種類にもよるけど一つ200円で買ってくれるものもあった。まあ確かにあの効果で10円は安いかもしれないけど。何にせよ、とりあえず資金が出来た。
「こんなに買っていただきありがとうございます。今度はここに置いてあるものもじっくり見させてもらいますね。」
「僕もいろいろ珍しい物が手に入ってうれしかったよ。またいつでもきてくれ」
「じゃあな~真聡。あとこの卵ありがとうな~」
俺は別れの挨拶をし、香霖堂を後にした。後々に魔理沙とはいろいろありそうだなとおもいながら・・
~人里周辺~
「それで住む場所はあったのか?」
「はい。香霖堂に行く途中に丁度いい場所がありました。」
運よく人里から歩いて2分ほどの場所にあってよかった。 俺は早速そこに向かう。向かった先は大きな岩山だった。
「こんなところで住むのか?」
「はい。まあ見ててください」
そして俺はジグザグマをイメージする。そして小さな穴に向かって
「ひみつのちから!」
ピカッと光った後ズズズと音がする。やがて人が入れるくらいの穴が出来た。俺と慧音さんは早速中に入ってみる
「な!?あの岩山の中はこうなっていたのか?」
「ひみつのちから」によって人一人が住むのに十分な生活空間ができた。ちょっとしたアパートが出来たようだ。何故か明かりもついてあり、パソコンまであった
「これなら確かに住めるが。ここは人里に近いから妖怪はめったにこないとは思うが、注意しろよ。ダメな時は私の相談してくれ」
「はい。その時は宜しくお願いします」
そろそろ夕方だし別れないとなと思いながら。俺はお礼として慧音さんに木の実をいくつかあげた
「すまないな。こんなにもらってしまって」
「いえいえ。慧音さんには本当にお世話になりましたから。それとこれをどうぞ」
俺は慧音さんにあるものを渡した。
「これは花?見たことのない花だけどどうして私に?」
「それはグラシデアの花と言います。ポケモンの世界には感謝の気持ちを伝える時に贈る花なんです。本来は誕生日や記念日に渡すんですけどね。まあその・・こんなものしか浮かばなかったのですが俺なりにその・・・感謝の気持ちのしるしにということで・・・受け取ってくれますか?」
女性に花なんてあげたことがないから正直かなり照れ臭く恥ずかしかった。でも・・
「・・・ありがとう。これは大切に家に飾っておくな」
と少しはにかみながら微笑んでくれた。
(・・・贈ってよかったかな)
こうして俺は慧音さんと別れ、俺は新しい自分の住処に戻るのだった
この小説の時間軸は紅魔郷が始まる数年前になります