携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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風神録編スタートです
今回はかなり長い間放置されていたとある設定がここで発揮されます


第六章:風神録編
博麗神社存続の危機?


あれからは平和が続いていた。妖怪も俺がいることに恐れをなして人里に来ることはめっきり減った。来たとしても俺の姿を見たら即退散していく。木の実の栽培は順調だった。訓練生もだんだん強くなっていき、今じゃ仕事を任せられる者も増えてきた。おかげで修行もやりやすいものである。最近はこんなことに挑戦していた。それは

 

「うーん。やはり難しいな。一応できたけどどれも弱いポケモンの力でしかできないな」

 

俺は今とある修行をしていた。きっかけは最初からバックに入っていた謎の本だ。そこにこんなことが書かれていた

 

「あなたがその力を強くし、つながりを強くすればするほど、やがてそれは自分自身の力となる」

 

これにはしばらく困惑した。いったいこれが何を意味するのだろうかと

何日かして、俺はフーディンの頭脳で考えてみた。それで導き出した答えは

 

「ポケモンの力を宿す必要もなく、力を発動できるのではないか」と

 

つまりどういうことなのかというと、俺は今までポケモンの力を宿すことによってその能力が使えていた。例えば空を飛ぶには空が飛べるポケモンの力を宿せばいいし、別の見方をするとそのポケモンの力を宿さなければ、俺は空を飛べないということである

しかし、もしかすると修行していくにつれていちいち力を宿さなくても能力使えるのではないかと思ったのだ。先程の例えを引用すると、俺はいちいち宿すポケモンの力を借りる必要もなく、素の状態で使うことが可能なのではないかということだ

それが出来る様になれば更に無限の可能性が広がる。例えば、テッカニンの飛行速度を素で行い、バンギラスの剛腕で攻撃する。そんなことできるかもしれないと思ったのだ。そして俺は早速修行を開始した。長い間の修行により、弱いポケモンなら素の状態で使えるようになった。しかしまだ不完全だし、本家よりは弱かった。とはいえ、これを極めれば大きな可能性が出てくる。何とか会得しようと今日も修行である

 

「ふう。ひとまずここまでにしておくか」

 

と俺は休む。この修行は長くやっているが、なかなかうまくいかない。思うにあの本に書かれていた「つながりを強くする」とはポケモンの一種類ずつの力を洗練させ、より理解することだと思うのだ。それには長い修業が必要だし、種類によって差がある。これはかなり難しい修行だ。でもやりがいはある。俺はしばらく休んだ後にまた修行を開始する。こんなふうに毎日を過ごしていった

 

~人里~

 

仕事中にこんなことを話している人たちがいた

 

「お前知ってるか?最近神社が出来たらしいよ」

「博麗神社じゃなくて?」

「ああ。なんでも妖怪の山に突然神社が現れたんだってよ」

「本当かよ」

(ふーん。新しい神社ねえ)

 

俺は気になったのでピクシーの力を宿して、その聴力で聞いてみた。盗み聞ぎしていて気が引けるが、気になるものは仕方ない。個人情報とか話し出したら、すぐに解除するつもりだ。とりあえず俺はまた耳を傾ける

 

「そこには妖怪の山にあるらしんだ」

「妖怪の山ってあの天狗が治めているという山だろ?」

「ああ。だから天狗たちも不審がっているらしい。あそこは排他的だからな」

「でもその神社が天狗たちに認められたら行ってみたい気もするな。博麗神社は最近妖怪が出歩いていてちょっとおっかねえし」

「そもそもあそこの巫女は自分が仕えている神のことすら知らないみたいだからな」

「それって巫女としてどうなんだよ・・・」

 

とこんなふうに話していた。そのあとは関係ない雑談だったので俺は能力を解除した。しかしあの人たちが話していたように確かに巫女がそんなことでは駄目だろう。博麗神社は幻想郷にとっても大事な場所なのだ。あいつは天才ではあるが、それにかまけていろいろサボりすぎている。いくら優れた才能があっても何も努力しないと宝の持ち腐れ。それに巫女としての能力の才能と神社を上手に発展させる才能は別だ。霊夢は天賦の才能を持っているが、決してそれはあらゆることに精通できる万能な才能というわけではないのだ

 

「仕事が終わったらちょっと霊夢に言いに行くか」

 

そう思い、俺は残りの仕事をこなした

 

~博麗神社~

 

俺は仕事が終わった後に博麗神社に向かった。すると霊夢は少し考え事をしていた

 

「よう。霊夢」

「あ、真聡。どうしてここに?」

「ちょっと言いたいことがあってな。お前最近神社はどうなんだ?今日人里で妖怪の山に新しい神社が出来たと聞いたぞ。ただでさえ参拝客が少ないんだ。下手したらこの神社潰れるぞ。それではどうかと思ってな」

「わかっているわよ。流石に今回は何もしないわけにはいかないと思っているわ。だけど一つ気になることがあるのよ」

「なんだ?」

「実はさっき見ない顔の巫女が来たの」

「何?」

「なんでもこの神社はその妖怪の山に出来た神社に譲り渡せって言いに来たのよ」

「何だって!?じゃああっちは本気でつぶしに来てんのかよ」

「そうみたいね」

 

どういうわけかその神社にとっては、博麗神社は邪魔な存在らしい。これは本当にまずいことになった

 

「で?これからどうするんだ?」

「明日その神社に向かうわ」

「そうか。では俺はここで去るとしようか。今回はお前自身の問題だしな」

「しかしあの緑髪の巫女は何だったのかしらね。カエルの髪飾りをしていたけど」

「・・・・・・」

「ん?どうしたの?」

(緑色の髪にカエルの髪飾り・・・)

 

俺はこの言葉に引っかかった。実は今とんでもないことが起きているのではないかと思い始めているのだ

 

「・・・なあ。少しじっとしてくれないか?ちょっとネイティオの過去を見る力でお前の記憶からどんな奴が来たのか知りたい」

「い、いいけど・・・」

 

俺は霊夢の額に指を置いて過去を見た。するとそこに映っていたのは

 

「・・・嘘だろ?本当に!?」

「どうしたのよ?」

「・・・・気が変わった。俺も同行させてくれないか?」

「え!?なんで?」

「ちょっと気になることがあってな。それに俺は以前あの山の主の天魔と仲良くなって、俺は自由に訪れることが出来るんだ。あそこはかなり排他的だからな。俺についていけば少なくとも天狗相手にはスムーズに行くことが出来る。悪い話ではないはずだ」

「・・・どうして急についていく気になったかはわからないけど、私としても利点があるわ。じゃあこちらこそお願いするわね」

「ああ。わかった」

 

こうして俺は妖怪の山にある神社を目指していくことになった

 

俺は今驚いている。何故なら現世の人間が本当にこの世界のキャラになろうとしているかもしれないのだ。こんなことはあり得るのだろうか?少なくとも俺は会ってみたい。4年以上ぶりに現世での知り合いに会えるかもしれないからだ

 

「本当にお前なのか?・・・早苗」

 

 

 




ピクシー   NO.36  タイプ:フェアリー

ピッピにつきのいしを使うことによって進化した姿。聴力に優れていて1キロ離れたところに落ちた針の音を聞き分けられるほどである。それ故か静かな山奥に住んでおり、めったに人前では姿を現さない。翼を使ってスキップをしていて、水面を歩くことも可能。月夜には湖で遊んでいるらしい。第五世代まではノーマルタイプだったが、第六世代からは妖精ポケモンだからかフェアリータイプに変更された

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