携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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影も形も名前もない伝説の存在

~四季映姫の結界~

 

ゼクロムの最強の技と映姫のスペルによって、彼女の張った結界の内部はさらに荒れ果て、底の見えないクレーターが出来てしまった。結界はもう限界寸前だった

 

「終わったようですね。少々卑怯かもしれませんがこれが裁きです」

 

と言っていたが

 

「ああ。確かになかなか汚い真似してくれたじゃないか」

「!?」

「こごえるせかい」!!

ピキ!ピキピキピキピキ・・ガッキー――ン!!

 

するとそこから声がした後に結界内を一瞬で凍り尽くした。穴も分厚い氷によって埋まり、氷の大地になった

 

「・・・まだ立ち上がりますか」

「ああ。こんなところではまだ終わらないよ。お前が油断している間にぐっすり「ねむ(る)」って全快さ」

 

すると俺の傷は確かに治っていた。俺は攻撃をくらった後にクレーターのそこで「ねむる」で回復していたのだ。そして俺はイッシュ地方に伝わるもう一つの伝説のドラゴンポケモン、キュレムを宿していた

 

「れいとうビーム!!」

 

俺はすかさず、俺の分身に「れいとうビーム」で攻撃した。アマルルガのものを遥かに凌駕する威力だ。相手も咄嗟に「りゅうのはどう」で反撃するが、相殺しきれず命中した

 

「ぐあああああああああああ!!」

 

威力は弱まったが、弱点のタイプの技。ましてやキュレム冷気の一撃となるとタダでは済まなかった

 

「くっ。しつこいですね。でもあなたのコピーはこんなものではありませんよ」

「!?レシラムにもなれるのか」

 

映姫は結界を再び張り直した

俺のコピーはゼクロムでは分が悪いと判断したのかレシラムに代えた。そして「かえんほうしゃ」で反撃してきた。俺は「れいとうビーム」で迎え撃つが、今度は俺が押され始める

 

「まずい!!」

 

俺はうまく軌道を逸らすことが出来たが、俺の生み出した氷は一瞬で蒸発してしまった。遠距離戦ではレシラムの方がパワーが上だ。しかし反対に接近戦はゼクロムの方がパワーが上。そもそもキュレムはレシラムとゼクロムよりも少し力が弱い。ある意味当然かもしれない。しかしキュレムの真骨頂は別のところにある

 

ピカーーーーーーー!!ゴオオオオオオオオ!!

「!?」

 

俺は光に包まれた後に膨大な炎に包まれた。肉体はレシラムと同じようになる。俺は体に楔を付けていた。そう。その姿こそ、レシラムの力を持ったキュレム、ホワイトキュレムだった。周りには強烈な炎と冷気の力に包まれる

 

「れいとうビーム!!」

 

俺は先ほどよりもさらに強力になった「れいとうビーム」を発射した。相手も「かえんほうしゃ」で迎え撃ったが、しばらくすると炎を撃ち破った。慌てて回避して直撃は避けたが、ダメージは確実に受けていた

 

「ぐうううううううう・・・・」

 

俺は苦しみ始めていたが、俺は分身を消すために力を溜めに入った

 

「くっ!」審判「ギルティ・オワ・ノットギルティ」

 

映姫は赤、青、紫のレーザーと赤と青の大玉の光弾を大量に放つが、俺はためを完了した。そして

 

「コールドフレア!!」

 

俺はレシラムの超高温の火炎とキュレムの極低温の冷気が組み合わさった凍てつく火炎を放った。その一撃は映姫の弾幕を焼き、そして凍てつかせていき映姫のスペルを軽々と粉砕していく。しかし俺のコピーも黙ってはいなかった

 

ピカーーーーーーー!!バリバリバリバリバリ!!

「!?」

 

俺の分身はキュレムのもう一つの力を使っていたのだ。それはゼクロムの力を宿したブラックキュレム。しかもどういうわけか溜め技の溜めの時間をなくす「パワフルハーブ」を使った。そして今度は超巨大な氷のエネルギー体にゼクロムの雷を付加した大技、「フリーズボルト」で迎え撃ってきた

 

・・・ドオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

凍てつく火炎と、極低温の冷気を纏った巨大な雷のエネルギー体がぶつかり合って凄まじい爆発が起きた。俺のところでは燃える氷が、コピーには稲妻が轟く氷の大地となった

 

一見は互角に見えるかもしれないが、相手はキュレムから変身することが出来るし、力は互角だ。しかし映姫がいるので2対1の状況。不利なのは依然として変わらなかった。道具を使用したところで相手もしてくるだろうし、展開は変わらないだろう。こうなるとベタだけど勝つ方法は一つ。相手は「今の俺」。ならば本物の「俺」が今の俺であるコピーの「俺」を超えるしかない。しかしそれを成すのはそうたやすいことではないし、精神論だけではどうにもならないだろう。あるとすれば・・・

 

(あのポケモンの可能性に賭けるしかない。でも影も形もないポケモン。名前もわからない。わかるのは存在したという記述だけ。それに負担も相当大きいはずだ・・・・でも)

 

俺はホワイトキュレムから解除した。そしてレシラムの力を「ホワイトストーン」に。ゼクロムの力を「ブラックストーン」に変えた。そしてそれを「いでんしのくさび」の中央にして置いた

 

「どうしました?大人しく地獄に行くことを決めたのですか?」

「まさか。あなたのような閻魔にはついていくなんて、絶対にゴメンだね。諦めるなどもっての外だ!!」

 

俺は別のポケモンに変わった。そして力を宿して二つの剣を生みだした。一つは聖剣士が得意とする「せいなるつるぎ」、そしてもう一つは覚悟を決めた若駒が扱う「しんぴのつるぎ」。俺は今ケルディオの力をその身に宿す

 

(しばらくはこの状態で行くしかなさそうだ。禁止伝説だと力が持たない。しかし並の伝説では歯が立たない。ならばせめて二つの剣を使って戦うしかない!!)

 

俺は二つの剣を構えて、二人に立ち向かう

 

「はああああああああ!!!」

 

ザン!!ドドドドドドド!!

 

俺は二つの剣を振り落として強烈な斬撃を放った。二人は素早く回避した

 

そのあとは激闘だった。相手の放つ冷気と雷と炎と閻魔の弾幕を掻い潜り、水と聖剣の力で立ち向かった。映画でもやっていた、水の噴射を利用しての空中移動も使ったが、直ぐに凍らされるか、蒸発されるのがオチだった。それでも懸命に向かっていき、剣で相手を切りつけたり、映姫の笏とつばぜり合いになったりした。だが、状況は好転しなかった

 

「はあ・・・はあ」

「ここまで足掻いたのは誉めてあげますけど、これで終わりです」

 

映姫は無慈悲に俺を地獄へ連れていこうとする。最早万事休すか。と思っていたが

 

カアアアアと俺が置いていた「いでんしのくさび」と「ホワイトストーン」と「ブラックストーン」が光始める。その光は白と黒が混ざった灰色。否、神々しい銀色に輝いていた

 

「あれは!?」

「どうやら間に合ったらしいな」

 

俺は直ぐにそれを手にかざす。しかし出来るかどうかはわからないが、この状況を打破するにはこれに懸けるしかない。だから俺は叫ぶ

 

「来い!今こそ姿を表し、俺に宿れ!古の伝説の龍よ!」

 

すると「いでんしのくさび」から光が放たれ、俺に直撃した

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

「ぐうう・・・」

 

全身にとてつもない力が溢れだす。ただでさえ満身創痍な今の状態には非常にキツかった。しかし俺は最後の力を振り絞って堪える

 

「おおおおおおおおおおお!!」

 

俺は銀色の光に包まれた。しばらく経った後にその姿を表した。

 

その龍はかつては一匹のドラゴンだったが、「真実」と「理想」を司る伝説と、そして脱け殻からは2体の遺伝子を持つ「虚無」のドラゴンが生まれた。もう分裂してからどれ程の時が経ったのかはわからないが、かつての伝説の存在が今ここに甦ったのだった

 

絶大な力を持つ伝説の存在が

 

 




キュレム NO.646 タイプ:こおり・ドラゴン

イッシュ地方の伝説のポケモン。極低温の冷気を操り、回りを雪と氷で多い尽くすが、制御が効かず、自身を凍らせてしまうことがある。失った体を真実と理想で埋めてくれる英雄を待つという。このポケモンは一体のドラゴンがレシラムとゼクロムに別れたとき、その残った脱け殻から生まれたポケモンなのである。「いでんしのくさび」を使うことでレシラムを取り込んだホワイトキュレム。ゼクロムを取り込んだブラックキュレムに変身する。アニメではゼクロムとレシラムの遺伝子を持つため、任意のタイミングで自由に変身することが出来る

ケルディオ NO.647 タイプ:みす・かくとう

聖剣士と呼ばれる、コバルオン、テラキオン、ビリジオンの弟子にして後継者となるポケモン。足から水を噴射することで水面を移動する。映画ではその勢いを使って某配管工のポンプと同じ要領で宙に浮いていた。専用技の「しんぴのつるぎ」を覚えていると覚悟の姿と呼ばれる姿に変わる。ちなみに「せいなるつるぎ」も覚える

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