携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

52 / 123
永夜抄編は今回で終わりです。後半は別物の異変になりましたが


長き夜の終わりと伸し掛かる孤独の罪悪感

~???~

 

(・・・・俺は・・一体・・・)

 

「あなたはもっと強くて優しい人間だったはずよ」

 

(・・幽々子・・さん)

 

「あなたがフランの心を開かせてくれた再び「姉妹」になれた!!・・・・私を失望させないで!!」

 

(・・レミ・・リア・・・)

 

「狂気なんかに・・なんかに・・・負けてんじゃねえよ!!!」

 

(・・魔理沙・・)

 

「君はいつも誰かのために必死に戦って人間たちだけではなく、妖怪や妖精とすら仲良くなり、助けることが出来る人だったはずだ!!!」

「私はそんな君が好きだった・・・今の狂気に呑まれて、すべてを破壊する君なんて・・・私は・・・」

 

(・・慧音・さん・・・)

 

そのあとに映ったのは真聡自身が行った、残虐行為だった

時を止めて光線や、竜の形をした波動、闘気のエネルギー弾・・・爪で相手を引き裂くところ・・・そして光速の流星の雨・・・

滅びゆく幻想郷と自らの手で友を傷つけていく自身の姿が写っていた

そして先程自分の頭によぎってきた、こんな姿の俺に対する大切な人たちの悲壮な叫び声が聞こえてきた

 

(嫌だ・・こんな未来なんて絶対に嫌だ・・・)

 

(俺の手で大切な世界と人たちを失うなんて嫌だ・・)

 

(・・・もっといっしょにいたい・・)

 

 

なぜならその人たちは俺にとって大切な人たちだから・・・

 

そして俺はまた光に呑まれていった

 

 

~永遠亭~

 

(・・・ここは・・?)

 

目の前には俺が意識を手放す最後に見たもの。それはうどんげとの戦いの場面だった

俺は今、相手の狂気の瞳を見て狂気に呑まれそうになっていた

 

(このままで絶対に終わらせない。何かこれを打破する術があるはずだ。もう二度とあんな真似を繰り返してたまるか!!!)

 

俺は必死に考えていく。あの惨劇を繰り返さないためにも何としてもこの術から逃れる方法を

そしてあることを思い付く

 

(そうだ俺は今「テレポート」で逃れるためにサーナイトになっていたはずだ。確かこのポケモンはあの技が使えたはず)

 

俺はあることを思い付いた。相手は俺の精神を操って狂気に陥れようとしている。それは俺の精神に直接干渉しているのだ。つまりこちらも逆にそれをやり返せばいいのではないかと思ったのだ。効くかはわからないけどやるしかない

 

(くらえ!!)

「シンクロノイズ!!」

「!?」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

「っ、きゃああああああ!!」

 

真聡の精神に干渉してくるうどんげに対して強烈な音波が雄たけびのようになり、それがうどんげの能力を跳ね返してダメージを与えた。すると真聡の体は光に包まれる

 

ピカアアアアアアアアアア・・・・・

(これは!?)

 

それはかつて自分がなった狂気の神のものではなかった。真聡は今本来のディアルガの力を宿したのだ

 

「っ!!・・・・・・・・・・」

 

あの時のような禍々しい物ではなく、神々しい光と厳格で圧倒的な威圧感を纏っていた。それにはうどんげは完全にひるんでしまっていた。そして俺は力を込めると胸にある宝石が強く光った

 

ピキ、ピキピキピキピキ

 

結界が壊れ始める。そして紫たちによって止められていた夜も動き始めていった。そして俺は叫んだ

 

「はあああああああああああああああああ!!!」

ピキピキピキ・・・パッリーン!!!

 

すると幻想郷を覆っていた永遠亭にかけられていた特殊な能力と、永琳による幻想郷を密室していた結界ごと破壊した。その力を目の当たりにしてうどんげは何もできなくなって腰を抜かしていた

そして幻想郷の空に映っていた偽の月は消え去った。そして照らすのは本物の満月だった。しかしそれもやがて沈み始めて遠くから朝日が昇り、照らそうとしていた

 

「終わっ・・・・・た・・・」

 

そして朝日の光に包まれて俺は倒れた

 

 

 

~人里~

 

あれから俺は今度は一週間も眠っていたらしい。そんなに死闘をしたはずがないと思うけど、どうしてそうなったのか聞かれた。これによりどうやら幻想郷が滅びかけていたことの記憶はないようだ。目が覚めると慧音さん、魔理沙、レミリア、幽々子さんたちが俺を心配して来てくれたらしい

 

その時俺の目から無意識に大粒の涙があふれだした。突然涙を流したことに周りは混乱していた。俺自身もである。しかしその時俺はこう思っていたのだろう

 

みんなが俺の目の前に今しっかり存在していて、本当によかったと・・・

 

 

今回の異変の真相を霊夢から聞かせてもらった。それは永遠亭には月の姫である蓬莱山輝夜と月から脱走した鈴仙がいて、その二人を匿っていた。そして月からの死者の迎が来ないようにするために偽物の月と入れ替えて、月と幻想郷の往来を遮断していたらしい。しかし実はを言うと異変を大きくしたのは霊夢たちであり、真相を突き止めるために夜を止めていたらしい。つまり永遠亭の住人と幻想郷の住人の両方に否があったのだ。しかし最後は俺が結界も止まった夜も全て打ち破って解決したらしい。また、もともと幻想郷そのものが結界に覆われていたので、月の使者は初めから来ることが出来なかったようだ。これにより両勢力ともに和解して事なきを得たらしい。今回の異変は近年稀に見る大異変であるから内密にするように霊夢から釘を刺された

 

こうして異変は解決して、幻想郷は普段と変わらない日常を取り戻すのだった

 

しかし、ただ一人だけは普段と違った。その人物は木戸真聡である

それは真聡自身が危うく幻想郷を滅ぼしかけたことはしっかり記憶に残っていることだ。今回はただ単に運がよかっただけである。今回の異変で自分には幻想郷を滅ぼす力があることを思い知らされた。普段通りに戻ったとはいえ、自分は重い罪を犯したことには変わりはない

 

周りが自分の罪を知らないということは決していいことばかりではない。傲慢な考えだとは思うが、その罪を犯した自分に手を差し伸べてくれる者も相談にのってくれる者いないということだ

 

つまりそれは罪悪感を全て自分の胸の内に全てしまい、自分自身でどうにかするしかないということなのである・・・

 

 




永夜抄編は終了です。後半はまるで別物の異変になりましたが、無事に描き切れてよかったです

まだまだ文章力不足ではありますが、読んでくださる皆様のためにも精進していこうと思っています

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。