携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
幻想郷は完全に崩壊して、すでに消滅へと向かっていたが・・・
『・・・・・』
「!?」
しかし尚も立ち上がるものもいた。光速の流星が降り注いだとき、蓬莱人の二人が自身の不死の力と月の秘術で攻撃を防いだのだ。しかし完全には防ぐことは出来なかったし、代償に彼女たちは力を使い尽くしてしまった。不死身であっても痛みは感じるし、疲れはする。決して永久に戦い続けられるわけではないのだ。何故生かしたのか?それは少しでも戦えるものを残すことと最後まで希望を捨てないこと。そして異変への償いの意味も込めてである
一人目は慧音だった。すでにボロボロになっており、瀕死寸前だった
「ま、真聡・・・」
「グオオオオオオオオオオ!!!」
響き渡る咆哮だけで意識を失い倒れそうだった。あまりの「プレッシャー」により、真聡の前にいるだけで力を失いそうなほどだ。しかし、それでも慧音は臆さずに真聡を見て言った
「君は・・こんな男ではないだろう?」
「・・・・・・」
「君はいつも誰かのために必死に戦って人間たちだけではなく、妖怪や妖精にすら仲良くなり、助けることが出来る人だったはずだ!!」
「・・・・・・」
「覚えているか?初めて出会った頃、君は私に花をくれたよな?あの、時は嬉しかったんだぞ!!・・・阿求と真棋士さんも助けてくれた、人里の人たちが苦しんでいる時はいつも進んで多くの人を助けてくれた・・・」
「・・・・・・」
「私はそんな君が好きだった・・・今の狂気に呑まれて、すべてを破壊する君なんて・・私は・・・」
慧音の瞳には涙が零れていた。そして
「そうだぜ!!」
今度は魔理沙が言った
「お前はもっと強いはずだろ!!ひねくれ者の私にも気にかけてくれて、修行にも付き合ってくれた・・」
魔理沙も泣いていた。そして初めて会った時の俺が渡した「しあわせのたまご」を取り出して言った
「狂気なんかに・・なんかに・・・負けてんじゃねえよ!!!」
「グア、グ・グオオオオオオオオオオ!!」
明らかに様子が変わっていた。今までと比べてどこか悲しみを持ち苦しんでいた
「あまりガラじゃないけどねぇ・・・」
すると今度はレミリアが出てきた
「あなたには本当に感謝しているのよ!!今まで自分はフランの問題に立ち向かえてなかった。あなたがフランの心を開かせたからまた再び「姉妹」になれた!!・・・なのに、敵にかけられたとはいえ、あんたが狂気に負けっぱなしのせいでまたその関係を失いそうになったじゃない!!・・私を・・私を失望させないで!!」
言葉には怒りが込められていた。しかしその中には悲しみも混じっていた。そして幽々子も言った
「あなたは私に真実を見せてくれた。紫は危険な人間だと言っていたけど、あなたはもっと強くて優しい人間だったはずよ、真聡・・・」
悲しそうな声だった
「グ・・・アアアアアアアア!!」
真聡はエネルギーを溜めて「りゅうのはどう」で止めを刺そうとした。もう全員限界で回避行動すらままならなかった
「いけない!!」
霊夢も起き上がって結界を張ろうとするが間に合わず、「りゅうのはどう」は発射された・・・ただしまったく違う方向にでだった
「グオオオオオオオオオオ!!!!」
ドカン!ズドォーン!!
『!?』
すると滅茶苦茶に暴れだした。まるで自分の中の何かに抗うように、自身に攻撃を向けたりなどして自ら傷をつけ始める
「グオオオオオオオーーーン!!!」
(・・・・イ、ヤだ・・・キヅツ・・ケタ・・クない!!ミンナ・・モ、セ・カイも・・・壊したくない!!)
その目にはいつの間にか涙が溢れ出していた
(大切な人たちを…失いたくないんだああああ!!」!!!)
するとまた宝石が光りだす
ピカァ・・・・・
しかしそれは先程までの禍々しいオレンジ色の光ではなかった
青くて何処か優しい、神々しい青い光だった
ゴゴゴゴゴゴ・・・カッチ・コッチ・・・
すると後ろに6つの歯車が現れた。その歯車が動く姿はまるで世界そのものの時間を刻んでいるようだった
そして宝石が強く光り出し・・・
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
また激しく咆哮をする。しかしそれは禍々しいものではなく、神秘的で厳格な雰囲気を持った咆哮だった。そして歯車も光だして回転が速くなった
『『!?』』
キュィィィィィィィィィィィィィィィィィィン・・・・・
少女たちは青白い光に包まれた
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオ‥
(俺はこの世界を絶対に・・・・・)
「ときのほうこう」が幻想郷中を時空を超えて光とともに響いていった
書いていて思いますが、人物の会話シーンを書くのは難しいとつくづく痛感します
「もっとうまく書ければな・・・」と思う今日この頃です