携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
偽物の月
妖霧異変から数カ月経ち、秋を迎えていた。今日は満月だ。しかしどういうわけか妖怪の動きが活発になっており、ここ最近は襲撃してきた妖怪を撃退することが頻繁になっていた。そのせいもあって今日は夜勤であり、俺は今人里周辺を見回っている
「・・・?あれは?」
すると俺の頭上に空を飛んで移動し始めている人影を見た。こんな時間に誰かがどこかに向かうのを怪しく思い、俺は後をつけることにした
~人里の外れ~
俺は気づかれないようにカクレオンで透明化して追いかけていった。しばらく追いかけていると下に降りていったのが見えた。俺は恐る恐る近づいていくと・・・
「あれは・・・慧音さん!?」
人影の正体は慧音さんだったのだ。俺は何事かと思って声をかけることにした
「こんなところでいったい何をしてるんですか?もう深夜ですし」
「!?な、なんだ真聡か。君こそどうしてここに?」
「空を飛ぶ影が見えてちょっと不審に思って追いかけて来たんですよ。それで一体ここで何をしようとしているんです?」
「ああ、それはな・・・」
と説明してくれた。どうやら最近月の様子がおかしくて、それに危機感を抱いて人里を守るために歴史を食べて隠そうとしているらしい。歴史を食べるとそういうことも出来るのかと感心した
「じゃあ最近の妖怪が襲撃してくるのも・・・」
「ああ、おそらくな」
そして俺はブラッキーの力を宿してしばらくじっとした。すると俺は光を放つが
(!?確かに違和感がある。それによく見たらかけているし、何よりも普段の月よりもさらに強い力がある)
「・・・これは確かにただ事じゃありませんね」
「月の力に影響を及ぼす妖怪はたくさんいるからな。万一のことを考えて人里を隠そうとしていたんだ」
とにかくこの人には異変には関係がないようだ。まあこの人がそんなことをするとは考えられないが・・
「何かこの異変に心当たりとかありますか?些細なことでいいので」
「・・・あるにはある」
「!?それは?」
「ここの先にある迷いの竹林に「永遠亭」という建物がある。妹紅という私の友人と因縁関係があってな、その相手が月にいた姫なんだ」
「月にいた姫!?」
俺は驚いた。まさか幻想郷に月の姫までいたとは。ていうか月に生物っていたのか。でも確かにその人たちが怪しい
「わかりました。ちょっとそこに行ってきます」
と言ってさっそく準備をしようと意気込むが
「待て!あそこは一度は言ったらなかなか出られないと呼ばれている場所だぞ」
「「テレポート」あるのでいつでも帰れますよ」
「そうだとしても、目的の場所まで行くのも大変だろう」
「あっそうか」
そうなると困ったな。波導を駆使すれば着かないこともないかもしれないけど、時間がかかるし消耗が激しくなる。俺はどうしたものかと考えていると
「妹紅に会ってみたらどうだ?あの子は迷いの竹林の構造を熟知しているから、その子を頼ればいい」
「なるほど」
「出会ったら私の友人だと言って、事情を話せばわかってくれるはずだ。ただ・・」
「ただ?」
「さっき言ったようにあの子はその屋敷の姫とは因縁がある。素直に連れていてくれるかどうか・・・」
「うーん。まあ何とかしてみますよ」
そのあと容姿の特徴や今はどこにいるかという検討などを聞いた
「いろいろ教えてくださってありがとうございます」
「気にしないでくれ。でもあの月のせいで妖怪の力や凶暴性が上がっているものもいるから、気を付けてくれよ」
「わかりました。ではこれで」
俺はテレポートして一旦自宅に戻った
~迷いの竹林前
準備が終わり、所長にも事情を話して許可をもらい、そしてこの竹林の前に来た。竹は非常に長く力強く伸びており、霧が出ている。確かに迷いそうな感じだ
とにかく妹紅という人を探さないと、俺は波導を駆使して何とか探していく、しばらくすると
「誰かの波導をキャッチしたぞ!!行ってみるか」
俺は波導を頼りに進んでいく。するとそこには
「・・・屋台?」
するとそこには何故か屋台があった。営業はしてないようだが、とりあえず主人らしき人に話しかけた
「あのーすみません」
と話しかけるが何も反応しない。しばらくすると
「ふふ。まさかこんな時間に人間が来るとは思わなかったわ」
と言った後いきなり弾幕で攻撃してきた。俺はたやすくかわす
「どうやら一戦やるしかないらしいな」
そして俺はスペルカードを構えて弾幕ごっこを始めようとした
ブラッキー NO.197 タイプ:あく
イーブィが夜の間になつかせた状態でレベルアップさせると進化する。月の波動を体に浴びると輪っかの模様が輝き、不思議な力に目覚めるらしい。またこれは相手の威嚇にもなっているようで、興奮状態の時も光る。また毒性の汗を持っていてそれで身を守るという。イーブィの進化形の中でも随一の耐久力を持つ