携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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波導は我にあり

俺は今膨大な波導があふれ出し、色も青から青紫に近くなっていた。俺はすかさず発射した

 

「はどうだん」!!

「!?」

 

さきほどのフルパワーで発射したものよりも、更に巨大な「はどうだん」になっていた。それに一瞬ひるみ、回避が遅れて直撃する

 

ドッカーン!!!

「ぐあ」

ズッズン

 

大ダメージを受けて膝を地につけてしまう

 

「まだこんな力を隠し持っていたとはねぇ」

 

この現象の正体は、スマブラのルカリオが持つ能力によるものである。その内容はダメージを受ければ受けるほど、波導が強くなり攻撃力が上昇するという能力だ。俺はそれを実現することに成功したのだ

しかし、スマブラは場外に吹っ飛ばされさえしなければいくらダメージを受けても(ルールをHP制にしなければ)大丈夫だが、今回は違う。俺は今はHPが残り1と言ってもいい状態だ。つまり一撃でもくらえばアウトなのだ

 

(勝つには敵の攻撃をかわし、そして大技で一気に仕留めるしかない!!)

 

俺は全神経を集中して身構える。萃香は再び猛攻を仕掛けてきた

 

ドゴ!ズゥ~ン!!ドドドドド

「・・・・・・・」

 

俺は敵の攻撃を確実に交わしていく。そしてグミ撃ちの要領で「はどうだん」を連射した

 

ズドドドドドドドドォーーー!!

弾速と数も格段に上がっているうえに一つ一つが一致「はどうだん」クラスの威力になっていた。俺の凄まじい猛攻には流石の萃香も弱り始めるが、反撃もしてきた

 

鬼火「超高密度燐禍術」

 

すると大量の火球が降り注いできた。凄まじい熱量を持ち、地面に激突してもしばらくバウンドする。ただでさえルカリオは炎が苦手なのにこれはまずい。尤も一撃でもくらえないのだが。しかし

 

「この程度では倒せないし、攻撃の手は緩まんぞ」

 

俺は溶岩弾をほとんど見ずに避けながら、萃香に猛攻を続けた。見えなくても波導があれば位置はわかる。俺は波導のみで動きを感知しているのだ。回避に使う分、波導の量は少し減るが、避けながらも猛攻をし続けられるという大きな利点がある。しかし同時に気力と体力の消耗も激しくなるという欠点もある。そこで俺は一旦わざと攻撃を緩めて、回避を優先させた。何とかチャンスを見極めて、攻撃に使う波導を少しでも消耗を抑えるためだ

 

「虫の息なのにここまで出来るとはね。本当にあんた最高だよ!!」

 

「『百万同一鬼』」!!

 

すると萃香の周りに大玉の弾幕が発生して、あれに大量の弾幕が放たれる。

 

俺は何とか交わし、連続はどうだんなどで相殺していくがこれ以上はいずれ命中してしまう。そこで俺は捨て身に出る

 

ドッカーン!!

 

俺は弾幕をわざとくらった。しかしただくらったのではない。もう一度「こらえる」を発動させたのだ

 

「ぐあああああああ」

 

ただでさえ虫の息なのにダメージを無理やりこらえたのだ。激痛が全身に走って倒れそうだ。でも倒れるわけにはいかない。俺はわざと受けて弾幕の隙間を体で張って作って前進するのが目的だ。そして俺は「しんそく」で一気に近づき

 

ドッ「うおおおおお!!」メキメキメキメキ

「きしかいせい」!!!!!!」

 

ゴオオオオオン!!

 

限界まで強まった波導を乗せた渾身の拳打をお見舞いした。その威力は巨大化した萃香の巨躯を大きく吹き飛ばすほどの威力だ

 

ドッスーン!!

 

ついに萃香の巨躯が地に伏した。でも萃香は何とか立ち上がる。だがそれも想定内のこと。策とはいくつも用意しておくものだ。とはいえ選択肢はもう一つしかない。俺はあの技にすべてをかけることにした

 

ドォ!!

 

俺は大地を力強く蹴り、萃香の眼前の高さまで跳躍した。そして波導を込める

 

ピカァァーーーー

 

青紫に近い色をした膨大な波導が両手に集中する。俺が放とうとしているのは俺の波導の修行の集大成ともいえる技。最後の切り札である。しかし萃香も回避は無理だと判断して、先ほどの四天王の奥義を繰り出そうとする

 

ズゥーン!ドッスーン!!ガラガラガラガラ

 

一歩、そして二歩と大地を踏みしめる。大地はどんどん陥没し始める。そう、先程のはほんの一撃目の技に過ぎなかった。この技の神髄は三歩目

そしてお互いの全力の一撃がぶつかり合おうとした

 

「波導の力を見よ!!!」

「これで終いだ!!」

ズッ

 

ほんの一瞬だが、時が止まったかのように周りは静寂した。・・・ような気がした

 

「はどうのあらし」!!!!

四天王奥義「三歩壊廃」!!!!

「「はあああああああああああああ」」

 

正真正銘の全力の一撃が激突した。力は完全に互角だった。お互い体力は限界寸前、最後は気力の勝負である

 

「負けるかあああああああああ!!!!!」

「勝つのは私だああああああああ!!!!!」

 

技の激突で周りの木々も大地も吹き飛ばされていく。その範囲もどんどん広がっていった

しかし

 

ブッシュ!!

 

「うあ・・・」

 

先程の傷が開き始める。これ以上やるといずれ死ぬ。かといってこのまま押し負けても確実に死ぬ。活路は一つ。この押し合いに勝つことだけだ。俺は必死に考える。まだかけられるものは何があるのかを

 

「ダメージを受けて限界にまで高まった波導、自分自身の波導、己の全集中力、あるとすれば・・・・」

 

あるとすれば自分自身の波導の力の強化。つまりルカリオに持つピンチの時ほど強くなる力が自分自身にもあるかどうかだ。・・いやそれも違うのかもしれない。それは

 

(・・・なんとしても勝って生き残ろうとする気持ち・・・)

 

もうこれくらいしかなかった。人は良く根性論と精神論を出して無理やり物事を成し遂げさせようとさせる。でもそれだけになってはいけない。実際、根性だけでは何も変えられない。精神論でなんでも何とかなるのなら、俺はそもそもこの地に来ていないはずだ。死にたいなんて一度も思ったことがないからだ。現世では少しでも長生きしてやると思い続けたし、治ることも目指していた。でも結局病気は治らず死んでしまった。だから精神論や根性論は非科学的なただの幻想なのかもしれない・・・

 

・・・でもそれ以外に何があるというんだ?俺はやれるだけのことは全部やったつもりだ。能力による波導。己の波導。もっとうまくやることは出来たかもしれない。もっとうまくやれば、隙を見つけて「めいそう」や「つるぎのまい」とかで積んでいけたかもしれない。そもそもこんな力の押し合いにするべきではなかったのかもしれない

 

だけど俺はこの道を選んだ。そして今この瞬間にかけられることはやった

もうやれることは一つしかない。幻想であっても、嘘ッパチであったとしても・・・

 

「最後は気持ちを全力で込めるしかないんだよおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

すると・・・

 

ビカアアアアアアア!!!

「!?な、何!?」

 

俺の気持ちに答えたのか波導がさらに強く濃くなっていった。気にせいか俺自身にも波導とは違う色の光があふれ出したようだった

 

まるで「メガシンカ」の時の光のように・・・

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

俺の放つ「はどうのあらし」はついに萃香の巨拳の一撃を撃ち破った。そして萃香の巨躯が地面にたたきつけられる。そして

 

ガラガラガラガラガラガラガラ・・・・・ドオーーーーーーン!!

 

そのまま大地を貫通して、幻想郷にあるという地底まで貫き、底の見えない巨大な穴が出来た。萃香は地の底まで吹き飛ばされていた

 

そしてかろうじて地面に着地すると俺は一言だけ言った

 

「波導は我にあり」

 

そういった後、すべての力を出し尽くしたのが原因で完全に意識を失って倒れた

 




今作での特徴

「波導補正」

大乱闘スマッシュブラザーズにおいてルカリオが持つ固有の能力。本来のものとは違い、今作ではHPが1でMAXになるとする。「しんりょく」、「もうか」、「げきりゅう」、「むしのしらせ」に似ているが、最大HPがどれだけ減っているかで攻撃力が変化する

例:最大HPの半分まで減った場合はMAX時の上昇値の半分上昇する

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