携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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初のバトルです


VS宵闇の妖怪

「でんきショック!」

 

とまずは小手調べに電気タイプの基本技である「でんきショック」を少女に放った。しかしそれは簡単に避けられてしまう

 

(やっぱりそうなるか・・・)

 

ゲームでは「でんきショック」の命中率は100%であり、「かげぶんしん」や「すなかけ」などで技の命中率に影響を与えない限りは必ず命中する技だ

しかしこれは実戦であり相手はその場で突っ立ってる筈もなく、攻撃が来れば相手は回避行動に出る。そんなのは生物なら誰しもとる当たり前の行動である。実戦のポケモンバトルとはゲーム本編ではなくアニメの方なのだ。故に交代読みなどゲームの対戦でのテクニックはほとんど役に立たないものが多いだろう。

しかしメリットもある。それは・・・

 

「でんきショック」

 

すかさず躱した方向に同じ技を連続で放つ

そう、実戦ではターン制なんて存在せず技を連発して放つというゲームでやったらバランス崩壊クラスの所業を行えるのだ。そして地形を利用することもできる。ここは湖のほとりでその左側には高い木々が生い茂っている。そうなるととっさの回避には木が邪魔になりむかず、それなら広いスペースが使える右側に避けるのではないかとあらかじめ予想しており、その予想が当たり、少女の回避が少し遅れ、直撃とまではいかないものの放った電撃は彼女の右側に命中した

 

「ウッ」

 

ダメージは与えられたようである。電気で体がすこし痺れているようだ

 

「言ったろ?簡単に食われるような人間ではないよって」

 

と少女に言った。すると

 

「ふふ。人間で能力を持っているのは博麗の巫女以外だとあなたが久しぶりね」

 

というとすかさず赤い光弾をいくつも放つ。さらに青い光弾と緑の光弾をそれぞれ違う軌道でばらまくように放ってきた。ピカチュウの力のおかげなのかスピードが上がっており、最初は驚き、素人臭い慣れない動きながらも何とか躱していく。そしてこちらも電撃で応戦するが、躱されたり弾幕に阻まれたりしてなかなか当たらない。そうしていると少女は何かを取り出し叫ぶ

 

夜符「ナイトバード」

 

すると最初は青、次に緑といった順で光弾が半円を描くように弾幕となり襲い掛かってくる。真聡はこんなに鮮やかな攻撃を見たことがなく、一瞬見惚れてしまう。しかし弾幕は容赦なく彼に迫ってくる。最初は何とか躱していたがとうとう被弾してしまう

 

「ぐわ!」

 

命中したことでダメージを負ってしまう。しかし弾幕はまだ迫ってくる

 

(これじゃ埒があかない、使えるかはわからないけどやってみるか)

 

真聡は「じゅうでん」を発動した。本来は卵技なのだが、どうやら宿しているポケモンの覚えられる技なら使用出来るようだ。「じゅうでん」は次に放つ電気タイプの技の威力を上昇させる効果がある。そしてすかさず

 

「10まんボルト!」

 

岩に放った時よりもさらに強力な電撃になり弾幕を全て相殺した。これにより少女の周りはがら空きになり、相手に隙が出来る。ゲームでは次のターンでしか効果がないため需要があまりない技だが、ターン制がない実戦ではゲームとは違った使い方が出来る様だ。何にせよこのチャンスを見逃す手はない

 

「でんこうせっか」

 

名前の通り正に電光石火のスピードで少女に一気に近づきタックルを決める。だが威力不足。だからさらに攻撃をするために力をためる。すると光輝く銀色のエネルギー体が発生して

 

「アイアンテール!」

「カハッ」

 

と叫ぶと同時にそれを相手にぶつけて地面に叩きつける。そしてすかさず「10まんボルト」で追撃した

 

ドッカーーン!!

 

「じゅうでん」したときほどの威力はないものの、それでも「でんきショック」の倍以上の威力。かなりのダメージが入ったはずだ。これ以上は深追いするべきじゃないと判断し、地面に着地すると同時にその場を離れ逃走しようとした。しかしその直後黒い闇が自分の周りを包んだ

 

「これは一体?」

 

真聡は困惑したが冷静に「フラッシュ」を発動して明かりをつけようとする。しかし本来は暗闇を照らすはずなのにいくら発動しても一向に明るくならない

「私の産み出す闇は光を通さない」

とあの少女の声がすると同時に光弾が真聡に直撃する

 

「ぐっ」

 

痛みが彼に走るが次々と弾幕が出現してさらに被弾していく。しかし暗闇で光弾がどこから来るかわからない

 

「まずは体勢を立て直さないと。「ほうでん」!」

 

すると電撃が全方向にドーム状に広がり弾幕を相殺する。「10まんボルト」よりも威力は少し劣るが全方向を攻撃できるという利点がある

しかし弾幕はさらに続く。このままではジリ貧になり、いずれやられてしまう。真聡は必死に考える

 

(何か策はないか・・・・・・・・そうだ!こいつの能力なら)

 

今度は別のポケモンをイメージしてピカチュウから乗り換える

イメージしたポケモンはオンバットである。オンバットは真っ暗な洞窟に住むポケモンであり現実の蝙蝠と同じように超音波で周りを感知することが出来る。真聡は超音波を使い弾幕の位置を感知して躱していく。ある程度躱しているとあることに気づく。それは弾幕にしろ少女本人の動きにしろ、かなりデタラメであてずっぽうでなのだ。時々自分に攻撃が来るがそれでも攻撃の方向がなかなか直撃へとつながらないため簡単に躱せる。どうやら使用者本人にも居場所が察知できないらしい。相手も音や臭いである程度はわかるようだが、それでも精度は自分の方が上。ならば形勢は逆転したも同然。真聡は弾幕を躱しながら少しずつではあるが確実に少女に近づく。そして大きく息を吸い「ハイパーボイス」を少女の至近距離で放った

 

「ッ-------!!!!!!!!!」

 

凄まじい大声による振動が周りの木々は揺れ中には倒れるものもあり、大地と大気を震わせた。流石に相手も気絶したようで闇は消えていく。そしてそのまま空を飛び、逃げ出した。夢中で気づかなかったが自分は今空を飛んでいた。人生で初めての経験の連続で正直頭が追い付かない。しかし自分はこの戦いに勝利したのは確かである。真聡は本当に自分がやったのかが信じられないような気もしたが、今の勝利の喜びを目一杯感じながら、もう日が落ちかけている大空を飛ぶのであった

 




バトル描写を書くのは楽しいですが同時に難しいですね

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