携帯獣の能力を宿す者の幻想伝 作:幕の内
今日も平和な幻想郷。俺は普段と変わらず人里の警護の仕事にあたる
しかし最近はちょっとした副業で収益を得ている。それは・・・
「モモン、オレン、クラボ、カゴ・・・はい。今月の仕入れ分です」
「あいよ。じゃあこれ代金ね」
「フムフム・・・確かに頂戴しました。いつも購入してくれてありがとうございます」
「いやいや、こっちこそ。お前さんが育てた木の実は本当によく売れているよ。おかげで前よりも繁盛して助かるよ」
「それはよかった」
今、俺が育てた木の実を八百屋さんが買ってくれている。きっかけはたまたま香霖堂で見つけて、食べてみたらおいしくて様々な便利な効果があって気に入ったらしい。霖之助さんからこれを売った人物が誰かを聞いて、そして俺に訪ねてきた。そしてうちの店の商品にしたいから売ってくれないか?と誘われたのだ。俺はそれを了承し、1週間ごとに届けてあげて、月一で代金をいただいている。木の実は許可をとって畑を貸してもらい、そこで育てている。ポケモンの木の実は成長が非常に速いのでそう簡単には収穫量が底をつくことはない。育てるのも水をやればいいだけなので楽だ。これがなかなかいい収入となっている。更に
「いらっしゃい、真聡さん。注文の木の実とポロックはあるかしら?」
「はいここにちゃんと」
「はいはい・・・・うんありがとう。じゃあこれ代金ね」
「どうも」
俺は製菓店にも売っている。菓子の材料や最近はポフィンの材料として買ってくれている。元々は八百屋さんとの話がついた後に初めからバックにあったポロックキットと、フーパのリングで取り出したポフィン用の鍋でポロックとポフィンを作って、それを製菓店に勧めてみたのが始まりだ
ポフィンのレシピをメモして自分で作れるようにすると、小傘に頼んで同じ形の鍋をいくつかを作ってもらった。得意というだけあって素人目で見ても見事な出来栄えだった。ちなみにリングで取り寄せたものは元の世界にリングを伝わせて戻した
今では店の人にもポフィンのレシピを教えてあげて、店でも作られている。ポロックキットは量産できなかったので、俺が作って店に売っている。どちらも好評で店の新たな名物となっているそうだ
これにより俺には結構な収入が入るようになった。現世だと副業は禁止とかでもめるが、人里にはそんな決まりがなくて自由にできるのだ
そんな生活を送りながら今日も仕事している。自警団での仕事は主に警護だが、たまに部下や新任の訓練の監督をしている
「そこ!てれっとするな。あと少しだから頑張れ!!」
「はっはい!!」
最初はみんな素人同然ではあるが、熱心に指導していく末に強くなっていく様子を見るのはなかなか悪くない。時には俺自身も学べることもある。俺より年上の者も結構多くて、初めの頃は戸惑うこともあったが、今ではだいぶ板についてきたと思う
また・・・
「はーい。皆さん!本日もお集まりいただき、どうもありがとうございます!!」
「本日はこの人も参加してまーす!!」
「どーも!皆さん!木戸真聡です。盛り上がっていきましょう!!!」
たまにプリズムリバー楽団の活動に参加している。俺自身も結構楽しんでやっている。プリズムリバー三姉妹には楽団そのもののファンクラブもあるが、個人のものもある。最近では何と俺個人のファンクラブまで出来た。まさか俺のファンクラブが出来るなんて思いもしなかったので、かなり照れ臭いが悪い気分ではない。最近ではこんなこともしたときもあった
「少女は森をテクテクと歩いていました・・」
チャンチャチャラララン♪チャララ~
「いつの間にか暗い森の奥に迷い込んでしまいました・・・」
チャランチャラン・・・チャランチャラン・・・ピロッロロロロピ・ロロロ・・・
「少女を助けてくれたおばあさんは実は恐ろしい悪い魔女で、少女を食べてしまおうとしていました・・・」
デー・デン!デー・デン!・・ヒュ~ドロ~・・
「しかしそこに勇敢な若者が現れ、魔女に戦いを挑みました」
チャッチャー、チャララララーン!チャチャチャチャーン!チャチャチャチャッチャラーン!
「こうして少女は若者といつまでも楽しく暮らしましたとさ」
チャラララララ・・・チャ・チャ・チャ・チャーーーン!!!
『パチパチパチパチ』
一体何をしているかだって?俺はある人物にコロトックの自由にメロディーを作れる能力を買われて、人形劇のBGMを担当していたのだ。その頼んだ人物とは
「お疲れ様。あなたのメロディーは大好評だったわよ」
「それはよかったです。アリスさん」
この人はアリス・マーガトロイド。金髪でヘアバンドのような赤いリボンをしており、青いワンピースのようなノースリーブを着ていて、まるで西洋人形のような容姿をしている魔法の森に棲む魔法使いだ。人間とは友好的であり、こうしてたまに子供たちに人形劇を披露している時がある。俺がプリズムリバーのライブでいろんなメロディーを自在に操っているところに目を付けたとのことだ
「魔理沙から聞きましたけど、お知り合いだそうですね」
「一応ね。まああんまり相性が良くないと私は思うけど」
「そうなんですか?」
魔理沙とは知り合いらしくて、春雪異変の時も魔理沙にあっていたらしい
とまあこんなふうに適当に話す。紅茶とクッキーもごちそうになったけどどれもおいしかった。それとアリスさんの周りを飛んでいる人形は上海人形というらしい
時折「シャンハーイ」とかいう鳴き声のような声を発する。何故かたまに「バカジャネーノ」とかいうときがある。もう一つ蓬莱人形もいる。こちらは「ホラーイ」という声を発する
しばらくした後
「またお願いできるかしら?」
「いいですよ。仕事があるのでいつでもとはいきませんが、空いている時ならお力になります」
「そう。じゃあその時はよろしく頼むわね」
「はい。あと今日は霧が深いので帰り道はお気をつけて」
「ええそうするわ。じゃあ今日は本当にありがとうね」
そうして俺はアリスさんを見送った
(それにしてもこの霧なんか変だ。何か違和感を感じる・・・)
そう思いはしたが、その日はそこまで気に留めなかった
しかしそれは異変の予兆であるのはまだ知らなかった
次は萃夢想をしますけど、そこまで長くはなりません