携帯獣の能力を宿す者の幻想伝   作:幕の内

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異変は解決しましたが、今作は原作とは違う展開を迎えることになります


「死」に相対するは「生」。そして・・・

~白玉楼~

 

俺たちは西行妖の暴走を止めるために必死で応戦していた。そしてその途中に妖夢とそして妖怪の賢者、八雲紫が姿を現した

 

「紫!?あんたどうしてここに?」

「幻想郷の危機ですもの。管理者である私が動くのは当然でしょう?。それに幽々子は私の古くからの大切な友人なのよ。助けないわけにはいかないわ」

 

どうやら味方らしい。とにかく今の状況はまずい。だからこの援軍は本当にありがたい

 

「しかし西行妖はますます力を付け始めているわ。あれは私ですら手が出せないほどの代物。このままでは本当にまずいわね・・・」

「・・・だったら俺に一つ策があるのですが。聞いてくれますか?」

「あんた何か方法があるの?」

「まあな。とはいってもまだ宿したことがない力だし、やるには時間がかかってしまうがな。でもこの力ならきっと止められる」

「・・・それは本当なのかしら?」

「はい!」

「失敗は絶対に許されない状況だけど、それでもやれるのかしら?」

「それは承知です。だからこそ俺は必ずやって見せます!!」

 

俺は紫さんの目をしっかりと見て答えた

 

「・・・どれくらいの時間が必要かしら?」

「15・・いや10分だけお願いします」

「・・・わかったわ。藍!、橙!」

「「はっ!」」

 

すると隙間から九尾の狐のような女性と化け猫のような少女が現れた

 

「西行妖を止めるわよ。援護して!!」

「「わかりました!!」」

 

こうして俺は一旦離脱し。そして俺はまず体力を回復するために、カゴの実を口に入れて「ねむる」で回復させる。そしてすぐに目を覚まし、早く力を宿すために能力を限界まで上げた。そして俺は目を閉じ、力を集中させる

 

(集中しろ・・・・・)

 

しかし幻想郷の存命がかかっており、失敗は許されない。それ故にどうしても不安と焦りが出てしまう。それは簡単になくせるものではない。時間も刻々と迫る

しかし・・・

 

(俺は現世では家族や友達といった大切な人たちに助けられているばかりで、力になってあげられることがなかった・・・)

 

(でも俺は力を授かって、この幻想郷でまた生きることが出来た。そしてこの世界でも大切な人たちと出会ってきた。守ることのできる力と守るべき人たちに出会えた。その為に俺は強くなろうとしてきた。だから俺は・・・)

 

俺は一回深呼吸して叫んだ

 

「だから俺は今こそ守りたいと思う人たちを人たちを守って見せる」!!

 

すると全身にすさまじいエネルギーが駆け巡り始める。今までとは比べ物にならない力を感じる。気を抜いたら倒れてしまいそうなほどの

 

しかしそれでも俺は念じ続ける。精神を集中させる。そして

 

「俺に力を!!」

ピカァァァーーー!!

 

俺は光に包まれた・・・

 

 

~side霊夢たち~

 

『「反魂蝶 -満開-」』

 

力は強まりほぼ満開になってきた。そして桜自体も弾幕で攻撃し始める

必死で止めてはいるが、なかなか暴走は収まらない

 

「クソ!!なんて桜だ!!」

「ここまで攻撃してもなお力を持ち続けるなんて・・」

「うだうだと言ってないで今は踏ん張るのよ!!真聡の言っていたことを信じるしか・・・」

(でももうすぐ10分。間に合うのかしら・・・)

 

そうしていると後ろから強烈な光が差した。しかしそれはどこか優しく、そして力を与えてくれるようだった。そして実際に

 

「力が本当にみなぎってくる?」

「傷も疲れも回復していく!?」

「・・・待たせたな」

「「!?」」

 

振り向くとそこには神々しい光を纏った真聡がそこにいた

 

 

~side真聡~

 

(これが伝説のポケモンの力か。やっぱり他とは比べ物にならないほど、消耗が激しいな)

 

でも俺は前に進む。すると

 

「西行妖の力が弱まっていっている!?」

 

と普段は冷静な紫が驚いていた

西行妖は真聡が近づくにつれてどんどん根が離れていく。この光を恐れる様に

彼の宿したポケモンの名はゼルネアス。生命を司るポケモンであり、他の生物に生命を与える力を持つ伝説のポケモンである。このポケモンの持つ膨大な生命の力は西行妖の死の力を弱めていく

そして俺は手にゼルネアスの角のような七色の光を放つ槍を手に産み出した。そして俺はそれを西行妖に突き刺した

 

「ぎゃああああああああああ!!!」

 

断末魔のような声がしてきて死の力がどんどん弱まっていく。しかしやりすぎてはならない。幽々子を生き返らせるわけにはいかないし、下手したら生命の力があふれて冥界そのものが変わってしまいかねない。だから力を極限まで弱めて槍を抜く。そして

 

「今です!封印を!!」

「「わかったわ!!」」

 

そして最後は紫と霊夢が西行妖を封印した。こうして西行妖の暴走は止まったのであった・・・

 

 

 

~5日後~

 

「う、うーん。私は一体・・・」

「幽々子様!!よかったです!!」

 

と妖夢は幽々子に抱き着いた。あの後幽々子は解放されて何とか無事だった。あと少しで取り込まれる寸前だったが何とか助かったのだ。そのあと5日ほど眠っていた

 

「本当によかったわ幽々子。心配したのよ」

「紫・・・私は一体・・・」

「あなたは西行妖に取り込まれそうになっていたのよ」

「私が?・・・」

 

そうしていると

 

「目が覚めたようですね。幽々子さん」

「あなたは真聡」

 

あの後は俺も力をほとんど使い果たして倒れてしまった。しかしマサラ人の回復力ゆえなのか丸1日眠って、そして十分休んだら元気を取り戻し、そのあとは壊してしまったところの修復作業を行っていた。紅霧異変の時と比べれば、被害は遥かに少ない。今回は冥界の地なので地上とは勝手が違い苦労したが、ゴーストタイプのポケモンの力と霊たちにも協力してもらって何とかほぼ元に戻すことが出来た。俺はその作業から戻ってきたのだ。そしてあの後何が起こったのかを紫さんと妖夢と一緒に話した

 

「そう・・・二人には迷惑をかけたわね」

「本当よ。危うく幻想郷が大変なことになるところだったわ。冬で冬眠が長引いて気づくのが遅くなってしまった私にも落ち度はあるけど」

「冬眠するんですか?」

 

とまあこんな感じに話は進んでいく

 

「まさかあの桜に封印されているのは自分自身だったとはね・・・」

 

と幽々子はお茶を一杯飲んでつぶやく

 

「でも私には生前の記憶はないのよね・・・どうして私の亡骸で封印したのかということも・・・」

 

とどこか寂しそうな表情だった

 

「幽々子。それは・・」

「あなたが望むのなら、それを見せてあげることが出来ますよ」

「「「!?」」」

 

俺の発言に幽々子だけではなく、紫と妖夢も驚いていた

 

「本当にそんなことが出来るのかしら?」

「ええ。少しだけ時間をくだされば」

「あなた、またあのときの異変で使用した力と同等の力を使う気じゃ・・・」

「大丈夫です。あれよりは力は弱いですから。さてどうしますか?」

 

しばらく考えていたが、幽々子はゆっくりと頷いた

 

~白玉楼・庭~

 

俺はまた能力を限界まで上げて念じる。苦労したものの、それでもゼルネアスよりは力が弱いためか今度は5分ほどで完了した

俺は時渡りをすることができるポケモン、セレビィの力を宿した。あらかじめネイティオで過去を見ておいたのである程度は年代の特定ができたが、確実にするために幽々子さんのことを生前から知っているという紫さんから年代を聞いた

 

「ではいきますよ。3・2・1・時渡り開始!!」

 

俺は幽々子さんと紫さんと妖夢と一緒に時を渡った

 

 

~生前の幽々子がいた時代~

 

「驚いたわ。本当にここは過去の世界・・時を渡ることすらできるなんて・・・」

「こんなことも出来るんですか?」

「これが私が生きていたころの時代・・・」

 

俺たちは今上空にいた。何とか成功したようだ

 

「あれが生前の幽々子ね。そしてあれがまだ妖怪桜になっていない頃の西行妖・・・」

 

まだ妖怪桜になっていない頃の西行妖の周りには多くの人が集まっていた。そしてその一番前には幽々子。そして桜の木の下で幽々子さんの父親が横たわって死んでいた

 

「申し訳ありませんが、力が持たなくなる前に少しずつ先に移動していきます」

 

そして少しずつ先に進んでいく

紫さんの話によると幽々子さんの父親は「歌聖」と呼ばれるほどの人物だったらしい。そして本人の望みで満開の桜の木の下で息を引き取ったようだ。しかし彼は多くの人に慕われていたようで彼の後を追うように次々と桜の木の下で死んでいった。しかし桜は死んでいった者たちの生気を吸い取っていき、やがて妖怪桜へと変貌してしまったのだ

 

そして生前の幽々子自身も「死霊を操る程度の能力」を持っていた。しかしその桜の影響でいつしか「死を操る程度の能力」になり、桜の木と同じく人を簡単に死に誘える力を手にしてしまったのである。そして自身の能力と父親が愛した桜が人の命を奪う妖怪になり果ててしまっていることを嘆き、そして

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

彼女は桜の木の下で自らの命を絶ち西行妖を封印したのである。しばらくした後、紫さんがやってきて安らかな顔をして眠る幽々子さんを悲しげに見ていた・・・

 

そして俺たちは元の時代に戻るのだった

 




原作では幽々子自身は正体を知らずに終わりますが、
「ロードオブヴァーミリオンIII」の幽々子さん参戦でZUN氏の書き下ろしイラストで趣味が「自分の死体の保存」と書かれていたそうです。
そこから幽々子はいずれ死体の正体を知ったのではないかと思って、今作ではセレビィの能力を使って実際に過去の幽々子を見せてみるという展開にしてみました


ゼルネアス   NO.716  タイプ:フェアリー

カロス地方に伝わる伝説のポケモン。生命を司るポケモンであり頭の角が七色に輝くとき、生物に永遠の命を与えると言われている。樹木の姿で1000年眠って復活するという。イベルタルの力で命を吸い取られて石化した生物を蘇らせられるのは現状ではこのポケモンだけである
とくせいの「フェアリーオーラ」はフェアリータイプの技の威力を上げる効果があり、アニメでは生命を与える力があるという設定がある。またフェアリータイプのポケモンしか言葉がわからない。専用技の「ジオコントロール」は2ターンかかるが、とくこうととくぼうとすばやさが二段階上昇する強力な技。タメ技のターンを短縮する道具の「パワフルハーブ」を持たせると1ターンで強化出来てすさまじい強さを発揮する


セレビィ    NO.251  タイプ:くさ・エスパー

ジョウト地方の幻のポケモン。森の神様として祀られている。時渡りと呼ばれる過去と未来を自在に移動する能力を持つ。平和な時代にだけ訪れて、セレビィが現れると森の草木は生い茂ると言われている。セレビィが姿を現す限りは明るい未来が待っているらしい
映画でも二度登場している。またポケダンシリーズでは救助隊では最難関ダンジョンの「きよらかなもり」の最深部にいる。話しかけると仲間になる。探検隊では色違いのピンク色のセレビィがストーリーに登場している。更に超ポケダンでは通常色と含めて二種類登場する



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